2005年11月アーカイブ

コンテンツ政策研究会の設立総会に行ってきた。デジハリっていいところにある。久しぶりに楽器屋をのぞきたくなった。総会は知っている人がたくさんいてアットホームに進む。だけど、スーツがやたらと多かったのが印象的。何人かに後で言われたけど、現場の人の声が反映されないといけない。とにかくみんなでやりましょうというのがねらいなのでひとまず良かった。その後の懇親会に行ったら、知っている人がとても少なくなったので早々に退散。もともとパーティーは苦手だ。

議論の中では境さんの話が印象的だった。クリエイターのインセンティブと産業のインセンティブをどうやって折り合いつけるのか考えないとダメとのこと。これがトレードオフになっているのか、Win-Winの関係にできるのか。

政策や規制は、きちんと動いていない市場を是正するか、あるいは何らかの意図で市場を歪曲するかのどちらかだろう。しかし、レッセフェールにコンテンツ市場をしておいたらどうなるのかの経済学的な分析がまだない。今までのコンテンツ市場はテレビ、漫画、映画、ネットなど縦割りに規制されていたから、規制がなくなったときにどうなるのかさっぱり分からない。経営学的な分析が多く、「こうすれば我が社、我が国に儲けになります」、「あの企業のビジネス・モデルはこうです」という議論が先行している。中村さんが言うように、コンテンツ政策は省庁横断的なんだけど、市場が水平に展開してきたときに何が起きて、どんな政策・規制が必要になるのか誰も分からない。市場を創り出すという第三のタイプの政策・規制がありえるとしたら、かなりの想像力が必要だ。

その辺のところがはっきりしないから、コンテンツ政策といってもまだ迫力が出てこない。「戦略」というのなら、「コンテンツを売って、外貨を稼いで、石油を買います」ぐらいのことを言ったほうがいいのではないかと思う。言い方は悪いけど、コンテンツは生活にどうしてもなくてはならないものではない。潤いを与えるもの。ガルブレイスのいう「ゆたかな社会」で作り出される欲望だろう。

ついでに、関連して12月6日にこういうイベント(pdf)もある。

今ごろになって申し訳ないのですが喪中なので年賀状出さないつもりでいます。私から来なくても怒らないでください。いまだに欠礼葉書さえ作っていない不精者です。毎年大晦日に年賀状は数枚書く程度なのであまり状況は違わないのですが、とにかく許してください。ごめんなさい。

修理に出したiMacがもう帰ってきた。25日に引き取ってもらって27日だ。すばらしく早い。自宅から宅配事業者が梱包して持って行って、自宅まで戻してくれるから非常に楽だ。

修理状況を見ると、何も考えずにロジックボードとパワーサプライを交換しているようだ。問題は解消しているし、ハードディスクの中身は生きている。見直したぞアップル。

昨日(土曜日)、学内の仕事のために朝からキャンパスへ行く。夕方までびっちりと仕事なのかと思ったら思いがけず昼でいったん終わってしまい、午後4時半の会議までぽっかり時間が空いてしまう。こんなことは久しぶりだなあと思い、やるべきことはいっぱいあるはずなのに何をしていいのか分からなくなる。

たまたま机の上にあった学会誌を読み始めるとなかなかおもしろい。ここ数年は学会にもろくに顔を出していないから、最新の状況についていっていないという漠然とした恐怖感があるが、それも少し和らぐ。学会誌に出ていた論文と図書を探しにメディア・センターに2回出かけ、コピーをとる。土曜日のキャンパスは人が少なくて居心地がいい。学生も教員もORFで疲れてあまり来てないのだろう。ダイゼン先生が連続授業をやっているのに出くわした。この人は学事から逃げるのにかけては天才的にうまいのだが、実は面倒見がいい。

午後4時半からの会議は事情で開始が遅れて5時過ぎに開始。午後5時に開始予定だった次の会議も遅れてしまう。この10月から出なくてはいけない会議が増えたけれども、総じてこのキャンパスは会議が早くていい。特に学部長たちが司会だと、みんなせっかちかつ多忙なので早い。

そういえば、先日、三田キャンパスを歩いているときにSFC出身のK先生に会う。かっちりとしたスーツを着てるのでどうしたのかと聞いてみると教授会があったそうだ。ネクタイしてないほうがおかしいという雰囲気らしい。SFCの合同教員会議だとネクタイしている人のほうが少ないんじゃないかなあ。

ORFで村井先生と大前研一さんが対談したとき、あえて三田や日吉から遠いところに新しいキャンパスを作ったのが慶應のウィズダムだと大前さんが言っていた。築地から三田に移ったときは三田の丘はド田舎だった。三田が都会になってから作った日吉や矢上もド田舎。日吉が都会になりつつあるときに作ったSFCもド田舎。あと50年ぐらいするとSFCも都会になるのかな。すでに山形にもキャンパス作ってしまっているけどね。人間を変えるには、場所を変えるか、つきあう人間を変えるか、時間を変えるしかないそうだ。慶應義塾の傘の下に違うカルチャーがあるから緊張感があっておもしろい。

玉村雅敏『行政マーケティングの時代—生活者起点の公共経営デザイン—』第一法規、2005年。

同僚の玉村さんからいただいた。待ってたよ。

フレームがゆがんでしまったPower Bookをこわごわ使っていたのだが、自宅で使っていたiMac G5が先にいかれた。起動すると画面に無数の横縞が走り、ログインもできない。システムの再インストールも効果なし。ハードウェアが良くないらしい。サポートに電話したら、宅配業者がピックアップしてくれるとのこと。保証期間内なので無料でやってくれるらしい。購入してから11カ月ぐらいだから危ないところだった。最近のパソコンはよく壊れるなあ。

ついでにいうと自分の生活も壊れ気味だ。いろいろ忙しすぎてストレスがたまる。アウトプットの出ない仕事が多いのも精神衛生上良くない。ORFも終わったし、共著の本の再校も終わったし(Uさん遅くなってごめんなさい)、仕切り直すとしよう。最近、時間管理術とか手帳術とかが気になるんだけど、そういうの読んで時間がたってしまうのも問題だよなあ。集中力ですな。重要なのは。こんなこと書いている場合ではない。

最近、毎日新聞の座談会にお呼ばれして出ている。1回目は授業で欠席したけど、2回目は成田空港からかけつけてフラフラながら出席。昨日、3回目の座談会があった。それぞれが論客なので聞いていて、とてもおもしろい。

昨日はネットとナショナリズムがテーマだったのだが、そういえば、ネット右翼は元気だけど、ネット左翼は最近元気がないなとふと思う。私の周りにもいっぱいいたはずなんだけど、別のことで忙しかったり、引退モードだったり。革命は終わってしまったのだろうか?

ORF 2005についてのレポート

◆知の遺伝子変化がイノベーションを促進する——ORF 2005が開催http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0511/22/news101.html

◆六本木ヒルズで「SFC Open Research Forum 2005」開催
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2005/11/22/9946.html

◆インターネットに求められる経営の知識〜村井純教授・大前研一氏対談
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2005/11/22/9954.html

私も今日の午前中話をしたけど、いまいちうまくいかなかったなあ。村井・大前対談はおもしろかった。日韓インターネット政治対話もダイレクトな対話がおもしろかった。

アメリカン・センターからのお知らせ。現場の情報が聞けそうだ。

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現代アメリカ基礎講座
第15回 『国際犯罪とテロとの戦い: FBI東京の役割』

日時: 11月29日(火) 17:00 - 19:00 
場所:東京アメリカン・センター・ホール(芝公園2-6-3 abc会館10階 )
地図: http://japan.usembassy.gov/j/amc/tamcj-map.html 
講師: ブルース・ストラウス Bruce Strauss (FBI特別捜査官)

ローレンス・レッシグがWSISをめぐる議論に答えている。WSIS開催前の電話インタビューかなんかだろうか。ウェブ独占ということになっている。

Seven Questions: Battling for Control of the Internet
(Foreign Policy)

「政策は技術の関数だ」というのはそうだと思う(この分野では)。

おとといと昨日、湘南国際村で情報通信政策研究会議(ICPC)が行われた。準備会合を含めると4回目になるが、今回は若手底上げ合宿と称して、若手を中心に16名が発表した。

内容は実に多岐にわたっている。過疎地でのブロードバンド敷設やユニバーサル・サービス、IPアドレスの配分といった昨今の中心的話題の他、パクリ問題を著作権の視点から考察したり、安全保障とインターネットについて考えたりというわけだ。

米国のTPRCと比べたら、日本で情報通信政策の研究をする人がまだまだ少ない気はするものの、この多様性は注目すべきものがある。ここに集まった若い研究者、政策担当者、ビジネスパーソンたちがフロントラインに出る頃にはより良い政策が生まれてくるようになればと思う。

「聖和慶應定期戦」慶應義塾大学BREAKS 創部15周年記念大会

私の研究会の学生が出場。駒沢第二球技場にて無料。私もタッチフットボールとはなんぞや(軽装でできるアメフトらしい)を見てくる。

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陸の孤島で合宿中(ホント合宿ばかりだ)。昨日は夕日がきれいだった。今朝もいい天気だが、二日酔いで頭が痛い。

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載せるの忘れていた。湘南台の八田の鍋。土曜日の補講の後のゼミ(SFCでは正式には研究プロジェクトというが、通称では研究会という)の懇親会にて。食べ物もたくさん出てくるし、浮いた話もたくさん出てくるし、おもしろかったなあ。ちなみにこの店は竹中大臣や草野先生のサイン色紙が飾ってあるSFC生御用達の店だ。チェーン店のありきたりの料理じゃないところがいい。SAの皆さん、段取りありがとう。

Kenneth Neil Cukier, "Who Will Control the Internet?," Foreign Affairs, November/December 2005.

Summary: Foreign governments want control of the Internet transferred
from an American NGO to an international institution. Washington has
responded with a Monroe Doctrine for our times, setting the stage for
further controversy.

モンロー・ドクトリンと来たか。やはりインターネットは外交問題になってきたんだなあ。ケンはICANNの会議などで何度か話したことがある。いろいろなところに顔を出して精力的に取材していた。今まさに開かれているWSISはどうなることやら。

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着任して1年7カ月、ようやく研究室に本棚を設置した(ただし、向かい側の壁には作りつけの本棚があってすでに本と資料で埋まっている)。3週間前に配達されたものの、忙しくてずっと設置できなかったが、H君の手伝いで何とか終わった。これで本を置く場所には困らなくなる。一時的だろうけど。

えっ、私も出るの?って感じだ。

コンテンツ政策研究会設立総会のご案内】

今日、デジタル化の進展、日本コンテンツの世界的評価の高まりを背景に、
コンテンツ政策の重要性がクローズアップされております。
その時流に即して、この度、コンテンツ政策を学産官共同で学際的に
研究するプラットフォームを形成すべく、コンテンツ政策研究会を
発足する運びとなりました。

吉田倫子、土屋大洋「ネットワークにおける創発現象とSNS」『世界週報』2005年11月8日号、60〜61ページ。

ほとんど富士通総研の吉田さんが書いているけど紹介だけ。

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新宿で人待ち中。今日はとても気持ちがよい。秋だなと思う。大きな問題もひとつ片付きそうだ。

洞道

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先日、都心某所で洞道(とうどう)を見せてもらう機会があった。洞道というのは通信会社や電力会社が地下に持っているトンネルだ。地上のビルから集まってくるケーブルを集約して通信会社や電力会社につないでいる(NTT東日本東北電力のページを参照)。他にも自治体などが持っていたり、共同保有しているものもある。たいていは道路の下にあり、地下2〜3メートルのところや、数十メートルのところにあるものもあるそうだ。

ある研究会の一環として私が見せてもらったのは、まさに都心の一角なのだが、その会社の地下食堂の脇のロックされたドアをくぐり、ヘルメットをかぶってさらにいくつかのドアを抜けると別世界が広がる。何もなければ車が通れるくらいの空間で、薄暗く、ラックに無数のケーブルが走っている。ケーブルは水や火から守るためにコーティングされているが、洞道の中は蒸し暑い。

洞道はかなり広くつながっており、東京23区なら、歩いてどこでも行けるそうだ。ただし、入ったところから出るというルールがあるから、関係者でも便利に使うことはもちろんできない。地方に行くと洞道はほとんどなく、細い管路が使われているそうだ。セキュリティ上、写真を撮らせてもらえなかったのが残念。

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ミニトマトは、夏の間ぐんぐん成長し、たくさん実をつけた。しかし、枝が広がりすぎて不安定になり、台風で三回ほどひっくり返って鉢から飛び出した。それでも成長し続け、11月に入ったのにまだ花が咲き実がなる。だいぶスローペースになり、もうすぐ終わりなのかと思うが、けなげに実をならせる姿は感動的だ。ここ最近、私の生活には腹立たしいことが続くのだが、このミニトマトの苗が被った被害に比べれば大したことはない。実を結ぶように頑張ろう。

たまたま読んだForeign Policyの記事がおもしろかった。

"Inside the Ivory Tower," Foreign Policy, November/December 2005.

アメリカの大学で国際関係論を教える教員1084人にアンケートをとったそうだ。その結果、若い教員ほど理論や学術的論争について教えているのに対し、キャリアが進むにつれて現実世界の問題を論じるようになる。したがって、象牙の塔にこもって十年一日のごとく、古いノートにしがみついた授業をやっているわけではないという。

まあ、それは当然だろう。堅実に業績を出しつつけていれば、そのうち政府の委員会などに呼ばれる機会が増えるはずだ。そうするとだんだん現実世界の仕組みがはっきり見えてくる。反面、学会誌の論文を読んでいる時間はなくなる。

教員の博士の学位の25%は、コロンビア、ハーバード、UCバークレー、MIT、ミシガン、スタンフォードのいずれかだそうだ。もっと独占率は高そうな気もするが、そんなものか。

アメリカの学者は安全保障、政治経済、米国の外交政策が得意だが、地域研究の経験が足りないという。それは強く感じるなあ。もっと在外研究やればいいのに。

慶應義塾大学 SFC研究所主催
SFC Open Research Forum 2005 (ORF2005)
レッドクイーンの法則〜知の遺伝子進化を加速せよ〜

2005年11月22日(火), 23日(水・祝)
於 六本木アカデミーヒルズ40(六本木ヒルズ森タワー40階)

参┃加┃登┃録┃受┃付┃開┃始┃
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http://orf.sfc.keio.ac.jp/

入場無料・事前登録WEBをご活用ください。
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