旅: 2007年10月アーカイブ
先々週から先週にかけてヨーロッパに出張する。通信と放送の融合に関する調査と学会参加が目的である。
最初の目的地はロンドン。空港からタクシーに乗った。窓の外を見ながらボーとしていたところ、突然バーンと大音響が響いた。何事かと後ろを振り向くと、タクシーの後部座席の窓が粉々に砕け、バスケットボールぐらいの大きな穴があいている。全く何が起きたのか分からない。運転手は私が頭をぶつけたのではないかと思ったらしく、大丈夫かと聞いてくるが、私はどこもぶつけておらず、ガラスの粉をかぶっただけだ。
驚いたことにタクシーの運転手は止まりもしないで走り続ける。銃で撃たれたのか、石が飛んできたのか、と聞いてくるが、私には何も分からない。ガラスが内側に向けて割れているのが確認できるが、石は見当たらない。警察に電話したらどうかと運転手に言ってみるが、そのまま走り続ける。狙われて銃撃されたのなら走り続けるのが正しいが(この辺がロンドン・タクシーのプロフェッショナリズムか)、そんな覚えはない。
運転手は携帯電話で誰かに話し始めたが、どうも家族か友人に話しているような口ぶりだ。そのまま市内のホテルに到着した。車を止めて二人で確認するが、何が起きたのかよく分からない。あまりにびっくりして写真を取り忘れたのが悔やまれる。正確には、撮ろうと思ったのだが、それどころじゃないだろともう一人の自分が言っていた。
インテリジェンスの研究なんかやるから警告されたのだろうと友人に言われたが、懲りずにMI5(上の写真)とMI6(下の写真)を見物に出かける(もちろん外観だけ)。両者はテムズ川を挟んでそれほど遠くないところに位置している。MI6の建物は英国らしくない奇妙なデザインだ。007シリーズでここからボートに乗って007が飛び出してくるシーンがあるらしい。
その後、学会のためにフランスのニースに行き、再び調査のためにベルギーのブリュッセルに行く。両方とも2回目なので懐かしい。
9月はじめにオーストリアで開かれたザルツブルグ・グローバル・セミナーで会った欧州委員会の友人にブリュッセルで再会。彼は欧州委員会で安全保障を担当している。ロンドンでの経験を話したら、そんなことあるかと笑っていた。しかし、原因は分からない。ヨーロッパは危ないところだ。
全然関係ない話だが、ブリュッセルで会ったスコットランド人にITとエネルギー/環境問題について日中共同研究をしているんだと説明したら、「お前はロンドンの霧って見たことあるか」と聞かれた。話には聞くけど見たことはない。実はあれはテムズ川の霧ではなく、工業化によるスモッグだったのだとか。今の中国と同じというわけだ。霧というとロマンチックだが、スモッグといわれるとがっかりする。