アメリカ大統領選挙: 2009年1月アーカイブ

昨晩、ブッシュ大統領がお別れスピーチを行い、テレビで中継された。

昨日の昼間はいろいろな人のお別れスピーチが行われていた。私がテレビで見ただけでも、ジョー・バイデン次期副大統領が上院でお別れスピーチを行い、その後、ヒラリー・クリントン次期国務長官が同じく上院でお別れスピーチを行った。それと同じ時間にブッシュ大統領がフォギーボトムの国務省に出向き、ここでお別れスピーチを行っていた。駐日大使がなぜあんなに早く離日するのかと思っていたが、これに参加するためだったらしい。

この国務省でのスピーチでブッシュ大統領は、日本、韓国、中国の三つの国と同時に良い関係を持った政権はなかったのではないかと言っていて、苦笑してしまった。この辺のロジックの展開がブッシュのおもしろさだ。

お別れスピーチの裏では、初の黒人司法長官承認のための公聴会が行われており、CIAの拷問問題やNSAの通信傍受の問題を抱える重要なポストだけに注目されていた。たぶん、他にも政権移行に伴う一連の出来事が行われたのではないかと思うが、ニューヨークの墜落事故のニュースで、雰囲気が一気に切り替わった。

墜落事故で犠牲者がなかったこともあり、午後8時からのブッシュ大統領のホワイトハウスでのお別れスピーチは予定通り行われた。

最初にブッシュ大統領のスピーチを生中継で見たのは、2001年8月のステム・セルに関するスピーチだったと思う。

http://www.whitehouse.gov/news/releases/2001/08/20010809-2.html

このページで見られる映像は、テレビで放送されたものと少し角度が違うと思うのだが(テレビではもっとカメラ目線に近かった)、頼りないなあという印象を持った。たぶん自分で理解していない話を一所懸命話しているという感じだった。

しかし、この後で9/11が起きたことで、大統領の雰囲気はずいぶん変わる。

今日のお別れスピーチも自信たっぷりに見えた。大統領は9/11とイラク戦争で腹が据わったのだろう。ブッシュ大統領の支持率はとても下がってしまったが、将来評価は改善するだろう。確かに安全保障・治安関係ではやり過ぎが目立ったが、大規模なテロを防いできたことも確かだ。オバマ政権になって大規模なテロが起きれば、やはりブッシュはちゃんとやっていたと言われるようになるだろう。

ブッシュ大統領も、自分の決断が万人に評価されないとしても、タフな決断をしたのだと主張していた。彼の決断で多くの人が命を落とした。彼はその評価を歴史に委ねるつもりだが、その責任に耐える鈍感さがないとアメリカの大統領は務まらない。決断をするに臆するところがなく、また意外な決断ができるという点では、まれな大統領であり、最初に受けた印象とは異なって凡庸な大統領とは言えないと今は思う。

ブッシュ大統領のスピーチはこれで最後になり、主役は入れ替わる。CNNの記者によれば、ブッシュはオバマの船出を心から祝福しているという。この率直さが、ブッシュの(かつての?)人気の要因だった。テロ、戦争、カトリーナ、経済危機といった出来事が続いた時代は歴史にどう評価されるのか。

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