« 2009年04月 | メイン | 2009年06月 »

2009年05月 アーカイブ

2009年05月15日

「政官関係の歴史的展開」(日本行政学会)

 5月9日(土)、晴天に恵まれたなか、日本行政学会研究大会 分科会C「日本の政官関係は変化したのか?」で「政官関係の歴史的展開―行政国家の誕生と政党政治の創業―」と題して報告させていただきました。拙著『政党と官僚の近代』の議論をベースにしながら、行政国家、官僚、政治家、政党政治が相互作用しながら誕生してきたことを論じ、その後の政党政治期(二大政党制)における政権交代と官僚の関係についての問題提起を行いました。

 報告予定者がおひとり辞退されたため、私(歴史)と京都大学法学研究科の南先生(韓国)による報告となりましたが、司会の建林先生、討論者の牧原先生をはじめ、フロアからも積極的にご質問を頂いて、得るところの大きい研究報告でした。お越し頂いたみなさんに改めて御礼申し上げます。

 何より、行政学においても歴史研究、歴史的視点が重要であるということを、お越し頂いたみなさんに共有していただけたことは、嬉しいことでした。引き続き、研鑽を積んでいきたいと思います。

%E7%94%BB%E5%83%8F%20204.jpg

 今回が初の広島行きだったので、江田島(旧・海軍兵学校)に行ってきました。親族が海龍に乗組む予定だったこともあり、感慨深く見学しました。
 

2009年05月20日

頂き物―『メディア研究とジャーナリズム21世紀の課題』『中国近代外交の胎動』

 51Hi1MnO6gL__SS500_.jpg 津金澤・武市・渡辺編『メディア研究とジャーナリズム21世紀の課題』(ミネルヴァ書房、2009年)

 執筆者のおひとり、飯塚浩一先生からお送りいただきました。ありがとうございます。研究史、研究法、これからの課題の3部構成でまとめられており、とても有用です。ちょうど昨日のゼミで佐藤卓己先生の『輿論と世論』を題材に議論したところですので、さらなる研究の入口として、ゼミ生にも奨めたいと思います。

 以下、出版社サイトから概要と目次を挙げておきます。

<概要>
 メディア学はどこへ行くのか。グローバル化のなかでメディアとジャーナリズムを捉え、国際的に活躍する研究者が21世紀を展望する。
 学問としての意識化はここ100年ばかりのことだが、メディアに対する着目にはギリシャ神話から2000年以上の歴史がある。本巻では世界的視点から研究を振りかえりながら、メディアと現代社会の課題にも挑戦する。

<目次>
 序 メディアとメディア学者は21世紀とどう向きあうか
 第1部 研究史
  第1章 メディア・コミュニケーション研究の歴史―権田保之助とR・パークを手がかりに
  第2章 日本の新聞学・メディア研究
  第3章 英国メディア研究の新傾向と批判理論―ウェストミンスター学派を中心に
  第4章 アメリカにおけるメディア・ジャーナリズム教育
  第5章 メディア・リテラシーの思想と系譜
 第2部 研究法
  第6章 オーディエンス研究の理論と実際
  第7章 社会学とコミュニケーション研究
  第8章 言語学とコミュニケーション研究
  第9章 カルチュラル・スタディーズ
  第10章 ジェンダーとメディア
 第3部 メディアとジャーナリズム、これからの課題
  第11章 メディア・ジャーナリズム教育
  第12章 テレビとこれからの社会
  第13章 情報バリアフリー社会に向けて
  第14章 生命とコミュニケーション――メディアと"生きがい″の哲学
 第4部 資料編
  メディア研究史年表
  コラム
  メディア研究と社会的価値観
  インターネット時代のジャーナリズム
  グローバル化社会とプレスの自由
 索引

------------------------------------------------------------------------------------------

 %E4%B8%AD%E5%9B%BD%E8%BF%91%E4%BB%A3.jpg 岡本・川島編『中国近代外交の胎動』(東京大学出版会、2009年)

 執筆者のおひとり、五百旗頭薫先生からお送りいただきました。ありがとうございます。近年の近代中国研究の充実は、日本政治外交研究にも大きく資するところがあります。東アジアへの現代的な関心の高さともあいまって、特に学生には興味深く感じられるテーマのようです。

 以下、出版社サイトから概要と目次を挙げておきます。
<内容紹介>
 中国外交の本質を捉えるためには,そこに内在する歴史的要素を見逃すことができない.本書は,伝統外交の文脈を踏まえた中国外交史の構築を目指し,清朝末期の「天朝」体制から中華民国期以降の「外交」関係が成立する過渡期に焦点を当て,前近代から近代への継続と断絶の諸相を描く.東アジア全体を視野に収め多角的に分析するとともに,日本史・西洋史との実り多き対話を促す奥行きを秘めた期待の書.

<目次>
 序章 中国近代外交へのまなざし(岡本隆司)
 第I部 「夷務」の時代
  第一章 清代の通商秩序と互市―清初から両次アヘン戦争へ(廖敏淑)
  第二章 日清関係の転換と日清修好条規(森田吉彦)
  第三章 隣国日本の近代化―日本の条約改正と日清関係(五百旗頭薫)
 第II部 「洋務」の時代
  第四章 在外領事像の模索―領事派遣開始前後の設置論(青山治世)
  第五章 在外公館の伝統と近代―洋務時期の在外公館とその人材(箱田恵子)
  第六章 中華帝国の近代的再編―在外華人保護論の台頭をめぐって(茂木敏夫・岡本隆司)
 第III部 「外務」の時代
  第七章 韓国の独立と清朝の外交―独立と自主のあいだ(岡本隆司)
  第八章 外務の形成―外務部の成立過程(川島 真)
 

2009年05月21日

頂き物―中村悌次『生涯海軍士官』

 %E4%B8%AD%E6%9D%91%E6%82%8C%E6%AC%A1.jpg 中村悌次『生涯海軍士官―戦後日本と海上自衛隊』(中央公論新社、2009年)

 元・海上幕僚長、中村悌次さんのオーラル・ヒストリーが出版されました。ここ数年、防衛省防衛研究所戦史部が主軸のプロジェクトとして精力的に取り組んできた自衛隊オーラル・ヒストリーですが、これまでは限定部数の成果冊子として、研究者に配布されるに止まっていました。今回、その第一号である中村幕僚長のオーラルが、広く一般に読まれる形になったことは、立ち上げから間接的に関わらせて頂いた一人として、とても嬉しく感じています。

 本書の意義が、海軍士官であった氏が幹部自衛官として、戦前戦後を通じて連続した意識のもとで自衛隊の存在を問い続けたことにあるのはもちろんですが、私自身には、終戦直前、氏が第18突撃隊の特攻長として勝山に勤務していたくだりが印象的でした。わが祖父は、氏の下にいたり。記憶を記録に残す仕事の、長い射程を、聞き手ではなく私人として体感できたように感じています。
 
 

2009年05月23日

140三田会同窓会(5月23日)

mita001.jpg

 10月の連合三田会に向けて、1999年卒業生による140三田会が本格始動したのは4ヶ月前のこと。今日、10月に向けて弾みをつけるべく、大同窓会がANAインターコンチネンタルホテル東京で行われました。

 1999三田会、140三田会、連合三田会の紹介、そして、応援指導部、若き血(熱唱(笑))。卒業以来、10年ぶりに会う友人も多く、その活躍ぶりに目を丸くするばかりでした。学生時代から大きなことをやるなぁ、と思っていた友人から「今、飛行機売ってる」と聞いたときは、さすがのひとことでした。よい刺激です。

 そろそろ、連合三田会本番が見えてきました。10月18日(日)に日吉キャンパスで開催されます。こちらでも、多くのみなさんにお目にかかれることを楽しみにしています。 

 (↓去年の連合三田会の様子)
 http://www.keio.ac.jp/ja/news/2008/kr7a43000000k5fa.html
 

2009年05月27日

頂き物―『「死の跳躍」を越えて』『「南進」の系譜』

%E6%AD%BB%E3%81%AE%E8%B7%B3%E8%BA%8D.jpg
     佐藤誠三郎『「死の跳躍」を越えて―西洋の衝撃と日本』(千倉書房、2009年)

 待ちに待った復刊です。学生時代からどうしても手に入れたいと思いながら手に入れられずにいたのが本書。もう一方の「雄」である升味準之輔『日本政党史論』は、なんとか古書で入手できたものの、本書は古書市場でもほとんどお目にかかることができませんでした。本当にうれしい復刊です。
 今月、大学院で第1章「幕末・明治初期における対外意識の諸類型」の書評報告を行いましたが、やはりこのテーマは、インパクトがあり、かつ、息の長い対象であるようです。いずれ、学部ゼミで本格的に扱ってみたい一冊です。
 
 帯、目次は以下のとおりです。
<帯>
 西洋の衝突という未曾有の危機に近代日本は如何に立ち向かったか。
 日本精神構造の変貌を描いた名著復刊
 
<目次>
 新版の刊行にあたって 北岡伸一
 第1部 西洋文明の衝撃
  第1章 幕末・明治初期における対外意識の諸類型
  第2章 近代化への分岐―李氏朝鮮と徳川日本
  第3章 幕末における政治的対立の特質
 第2部 危機のリーダーシップ
  第4章 川路聖謨
  第5章 大久保利通
  第6章 岩倉具視
 第3部 近代化日本の国際関係
  第7章 協調と自立の間
  第8章 日米関係・その三〇年代と七〇年代
 解題 北岡伸一
 あとがき―謝辞にかえて 佐藤誠三郎
 丸山眞男論
 新版への解題 御厨貴
 主要事項索引
 主要人名索引
 

--------------------------------------------------------------------------------------------------

 
%E5%8D%97%E9%80%B2%E3%81%AE%E7%B3%BB%E8%AD%9C.jpg

 
 矢野暢『「南進」の系譜 日本の南洋史観』(千倉書房、2009年)
 
 佐藤本と同時に復刊されたのが本書。『「南進」の系譜』『日本の南洋史観』の2冊(いずれも中公新書)が収められている。いずれも私が生まれたころに世に問われた本であるが、高校生時代に中公新書を読みあさったこともあり、こちらは手にとって読んでいた。佐藤本の「西洋の衝撃」から、矢野本の「南進論」という導き方は、編集者氏が提示する合わせ読みのすすめなのだろう。東南アジア研究をしているゼミ生にも、ぜひ読んで欲しいと思う。あとは、いささかはやりの印象があるが、満洲だろうか。

  帯、目次は以下のとおりです。
<帯>
 南洋へ向かったひとびとの姿から、近代日本の対外認識をあぶり出す。

<目次>
 第1部 「南進」の系譜
  まえがき
  プロローグ
  Ⅰ 南方関与のはじまり
  Ⅱ 「南進論」の系譜
  Ⅲ 経済進出のパターン
  Ⅳ 在留邦人の生態
  Ⅴ 「大東亜共栄圏」の虚妄性
  Ⅵ 戦後日本の東南アジア進出
  エピローグ
  参考文献
 第2部 日本の南洋史観
  まえがき
  プロローグ
  Ⅰ 七人の「南進論」者
  Ⅱ 明治期「南進論」の性格
  Ⅲ 大正期「南進論」の特質
  Ⅳ 「拠点」思想の基盤―台湾と南洋諸島
  Ⅴ 「南進論」と庶民の関わり
  Ⅵ 昭和期における「南進論」の展開
  エピローグ
  資料
 解題 清水元
 あとがき 矢野卓也
 主要事項索引
 主要人名索引
  

2009年05月29日

2009年度のゼミ

 春学期も早2ヶ月が過ぎ、ようやくゼミ、講義ともに落ち着いてきました。
 気がつけば、今年のゼミのご紹介をしていなかったので、さっそく。
 
<JPD(Japanese Political Development)ゼミ―日本政治外交史>
 2007年の着任時からスタートした日本政治外交史のゼミも、はや3年目に入りました。2年生でゼミに入ってきた学生たち(清水ゼミのファウンディング・ファーザーズ)も4年生。就職活動でも、妥協せず、自分の夢を掴んでいっている彼らには、心から敬意を覚えます。
 
 春学期は、昨年度と同様、政治学・日本政治・日本政治外交史の基礎的な理解と解釈力を身につけるため、文献と論題を設定したディスカッションを進めています。久米郁男ほか『政治学 Political Science』を中心に据えながら、これまで飯尾潤『日本の統治構造』、水口ほか『変化をどう説明するか』、ラムザイヤーほか『日本政治の経済学』、佐藤卓己『輿論と世論』、吉野孝ほか『誰が政治家になるのか』を扱いました。
 
 秋学期には、ここから個別のテーマを見出して、長期的なスパンからテーマを俯瞰する研究を進めていくこととなります。2年生10名、3年生3名、4年生6名、大目付サマ1名(男13名、女7名)で、着実に歩んでいます。
 
 
<「聞く力」で未知を拓く―オーラル・ヒストリー>
 多くの方から希望をいただいていたオーラル・ヒストリーのゼミを、ようやく開講しました。昨年春学期のワークショップ(とその、あまりに元気で愉快な履修者のみなさん)、秋学期の講義、冬の立命館での地域共創とオーラル・ヒストリーの試みなどが強く背中を押してくれました。
 
 春学期は、研究計画を磨きながら、聞くことの意味、研究における聞き取りの位置について考えることを大切にしています。参加者は2年生6名、3年生4名、大学院生1名の11名(男4名、女7名)で、すでに個人研究とは別に、2つのグループプロジェクトが始動しています。積極的な学生が多く、楽しいゼミです。
 
 
 この2年間、ゼミから受ける刺激がこんなにも多く大きいものかということを、日々感じてきました。今年も、私自身、多くのことをゼミから吸収していきたいと思います。みなさま、ご支援のほど、どうぞ宜しくお願いします。
 

About 2009年05月

2009年05月にブログ「研究室通信」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のアーカイブは2009年04月です。

次のアーカイブは2009年06月です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.36