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2009年07月 アーカイブ

2009年07月01日

頂き物―『工部省の研究』『史料を読み解く』ほか

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 柏原宏紀『工部省の研究―明治初年の技術官僚と殖産興業政策』(慶應義塾大学出版会、2009年)

 技術官僚の研究を丹念に進められてきた柏原さんの博士論文が本になりました。おめでとうございます。近々、内務省研究会で書評会を行なう予定です。史学会編『工部省の研究』や、大淀昇一先生の新著『近代日本の工業立国化と国民形成』と合わせて読みたいですね。

 以下、出版社のサイトから。

<出版社から>
 鉄道や電信事業を推進したのは誰か。明治初年、「工部の理念」のもとに、西洋技術による殖産興業を担う技術官僚たちがいた。明治留守政府下の政治状況と工部省の政策過程を追った近代日本史の知られざる一面を考究した画期的論考。
 「殖産興業」は、日本の近代化の過程を考える上で重要なテーマであるが、その多くは経済史の立場からの分析であった。本書は、これまで注目されてこなかったお雇い外国人や技術官僚に着目し、政治史の視点から、工部省設立の基礎となった「工部の理念」と彼らの政治思想を解明する。

<目次>
 序章
 第一部 工部省の成立と技術官僚
  第一章 工部院設置をめぐる政治過程と技術官僚
  第二章 工部省設置過程と「工部の理念」
  第三章 草創期工部省の組織整備と技術官僚
 第二部 明治初年における工部省の展開と政策実現
  第四章 明治五年の行政史的展開
  第五章 明治五年の政策展開と政治手法
  第六章 明治六年の政局と工部省の政策過程
 第三部 明治初年における工部省の政策実現の背景
  第七章 明治初期鉄道建設をめぐる住民と技術官僚
  第八章 工部省の「西洋性」と西洋意識
 結章
 工部省年表

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 鈴木淳・西川誠・松沢裕作『史料を読み解く4 幕末・維新の政治と社会』山川出版社、2009年

 著者の先生方から頂きました。ありがとうございます。 重要史料の写真、釈文、読み下し、現代語訳に加えて、丹念な解説がなされており、入門はもちろんのこと、発展学習にも使えるテキストになっています。

<目次>
 Ⅰ 開港と倒幕
 Ⅱ 明治政府の成立
 Ⅲ 殖産興業
 Ⅳ 民権と立憲
 Ⅴ 地方社会

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 内務省研究会にご参加のお二人から、抜き刷りを頂きました。ありがとうございます。
 いずれも以前から研究内容を伺っていたご報告です。

 島田大輔「戦中期日本の西アジア向け宣伝ラジオ放送と大日本回教協会」
  『メディア史研究』25号、2009年5月

 吉岡拓「平安遷都千百年紀年祭における寄付金募集活動の実相」
  『民衆史研究』77号、2009年5月

2009年07月05日

SFC七夕祭&ホームカミングデー(7月4日)

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 合衆国独立記念日の今日、SFCでは七夕祭が開催されました。昨年に続き、2回目の参加をしてきました。昨年にも増して、地元のお客さんが多く、地域色豊かな、よいお祭りでした。
 
 今年の収穫(お腹の)は、ケバブ、焼きそば、焼き鳥、つくね、フランクフルト。いずれもゼミ生の所属サークルで頂きました。どれもおいしく、夕食前にすっかりお腹いっぱいに。フラペチーノを飲めなかった(あれは食べ物?飲み物?)のが心残りです。そうそう、ゼミ生といえば吹奏楽と花火も忘れてはいけません。今年も見事でした。
 しかし、何より実行委員事務局長、おつかれさま。

 今年は、OBOGが集まる「ホームカミングデー」も同時開催。担当委員として、冒頭、ご挨拶に伺いました。こうやってキャンパスに帰ってくる、というのはいいですね(連合三田会?)。ゼミ生が卒業生として戻ってくる時を楽しみに。
 
 

2009年07月10日

頂き物―おさんぽブーちゃん

 打ち合わせに向かうため桜田通りを歩いていると、デゴイチに見立てたピンクのトラックがスーパーの前に駐車中。SLの煙突を模したとおぼしき筒からシャボン玉が吹き出していました。トラックの前では、なにやらウグイス嬢のような方が司会をして、くじ引きをしています。

 近づいてみると「港区選挙管理委員会 港区明るい選挙推進協会」のサイン。そう、今度の日曜日に迫った東京都議会議員選挙の広報活動でした。

 ちょうど選挙に造詣の深い知人といっしょだったので、これはやってみようと、さっそくくじ引きに参加。結果は「あたり」。頂いたのが、こちらの「おさんぽブーちゃん」(はずれは、普通の風船でした)。

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 かわいらしく鼻を突き出した表情、ちょうど浮き上がるようにできている足、くるっと丸まったシッポ。いずれもステキです。

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 なによりのチャームポイントは、腹部に貼られたこのシール。 本来の役目をしっかり果たそうと、ブーちゃんも真剣です。さすがに30を越えた私がこれを持って電車に乗ると違和感たっぷりで、注目を集めました。すこしは投票率アップに貢献できた、でしょうか。

 もちろん、めいすいくんもいましたよ。

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2009年07月16日

頂き物―『イノベーションと政治学』ほか

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 高橋洋『イノベーションと政治学―情報通信革命<日本の遅れ>の政治過程』(勁草書房、2009年)

 IT革命という象徴的なイシューを事例に、理論、文献、オーラルを駆使して「イノベーションと政治」の関係を明らかにした著作が出ました。私にとっては、長年、先端研で机を並べてきた畏友の著作です。政治学と歴史学を融合して現代を問うとどう解けるのか。そのひとつの答えを出された一冊だと思います。

 以下、出版社のサイトから。
<内容紹介>
 IT革命のような「非連続のイノベーション」が国家にとってもつ意味とは何か。通産省と郵政省の取り組みや産業政策という文脈のなかで、IT革命の40年を考察する。
 どうして、IT革命はアメリカで発生し、日本は遅れをとったのか。情報通信分野の革命性を世界でいち早く認識したのは、実は日本政府だった。30年も前から「知識集約化」戦略を打ち出していた日本政府が、いったいなぜ2000年の時点では自らの遅れを認めざるを得なくなったのか。国家にとって、「非連続のイノベーション」が意味したもの。

<目次>
 序章 IT 革命を政治学から考える
 第1章 政府とイノベーション
  第1節 政府の役割
  第2節 環境変化と省庁の変化
  第3節 政府と市場の関係の概念類型
  第4節 省庁の組織資源配分と人事資源配分
  第5節 郵政省と通産省の省内資源配分の分析
 第2章 高度経済成長(1950 年代半ば~1960 年代半ば)
  第1節 高度経済成長と「情報」と「通信」
  第2節 通産省と産業政策
  第3節 郵政省と郵政現業
 第3章 第一次情報化(1960 年代半ば~1970 年代末)
  第1節 情報化社会論と「情報」と「通信」の融合
  第2節 通産省と「知識集約化」の政策ビジョン
  第3節 郵政省と第一次データ通信開放
 第4章 高度情報化 (1970 年代末~1980 年代末)
  第1節 ニューメディアと新自由主義
  第2節 郵政省と電電改革
  第3節 通産省と産業政策の限界
  第4節 VAN 戦争と日本型多元主義
 第5章 IT 革命(1980 年代末~2000 年)
  第1節 インターネットとアメリカ
  第2節 郵政省による「管理された競争」と NTT 経営形態問題
  第3節 通産省と利用者支援の情報化政策
  第4節 日本の遅れと内閣による取り組み
  第5節 森内閣と IT 戦略会議
 第6章 イノベーションと政治学
  第1節 情報通信革命の政治過程
  第2節 IT 革命への日本の遅れ
 参考文献
 あとがき
 事項索引
 人名索引

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台湾オーラルヒストリー研究会編『台湾口述歴史研究』第1集、2009年
 台湾でのオーラル・ヒストリーにと組まれている所澤潤先生より頂きました。ありがとうございます。

奈良岡聰智「駐日ベルギー大使館の140年(3) 戦前から戦後へ」『日本・ベルギー協会会報』76号、2009年6月
同「駐日ベルギー大使館の140年(2) 加藤高明邸からベルギー大使館へ」『日本・ベルギー協会会報』75号、2008年12月
 著者の奈良岡聰智さんから頂きました。以前に(1)も頂いていたのですが、漏らしていました。すみません。(2)に掲載されている加藤邸の写真について熱く語る奈良岡さんが、とても印象的でした。

2009年07月29日

09年度春学期終了!

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 2009年春学期のタスクが、ほぼ終了しました。講義を中心に、回顧しておきます。

<総合政策学の創造>
  担当2年目となった「創造」。SFC唯一の必修講義。1年生全員が履修します。今年もSFCを
 代表する名物教授から、元気バリバリ若手の会まで、たくさんの先生にご登壇頂きました。
  昨年に引き続き、模擬選挙「政策コーカス」を実施。今年のテーマは「未来創造塾は、こう
 創る!」。身近なテーマで議論を重ねた4グループの発表は見事でした。
  思いのほか好評だったのが、講義冒頭で行なった研究会紹介。今年は最終課題を
 「私の研究会案内」として、学生生活の設計図を描いてもらうようにしたのですが、それに
 よって関心が高まったこともあってか、学生による研究会紹介は実感をもって受け止められた
 ようです。
  運営をがんばってくれたTA・SAのみんなに、感謝です。

<近代史(日本政治外交史)>
  こちらも「考えて、書く」リマークシステム導入2年目。なにがどうなったのか、履修者が
 270名に倍増したことで大教室に。SFCの大教室は、器材の関係か教壇が他のキャンパス
 より高く、ちょっと講義がしずらい印象があります。このため、今回は高さ1mほどの教壇から
 降りて講義をしてみました。これが案外快適。
  政治が変動期を迎える中での政治外交史の講義、多くを考えるきっかけになったでしょうか。

<ライティング技法WS>
  こちらも「オーラル・ヒストリー実践講座」2年目。今年は研究テーマが定まっていない1年生の
 履修者が多く、最終成果まで辿り着くだろうかと不安がありましたが、最終的には去年よりも
 到達率が高く、それぞれ興味深い成果をあげてくれました。この講義でオーラルについて
 お話を繰り返し、ゲスト講師の方のお話を伺い、みなさんの報告を聞いていることで、私の
 オーラル観も、徐々に変化してきているように感じています。ありがたいことです。

<研究会1 日本政治外交研究>
  春学期はとにかく基礎固め。コースワークをイメージしながら、前半は制度をゴリゴリと、
 後半は実態(歴史的展開)を丹念に。気がつけば春学期だけで15本ほどの文献を読み、
 ペーパーを切り、議論を行ないました。やはり、1全員がペーパーを出すのが、議論を
 進める上でもよいようです。
  次は夏合宿。個人研究がはじまります。どんなテーマで、何を論じてくれるのか。
 楽しみにしています。19人の個人研究、どうやって回していくか考えないと。

<研究会2 オーラル・ヒストリー>
  昨年のライティング技法WS履修メンバーと「ゼミにしよう!」と立ち上げたオーラルゼミ。
 いったいどれだけ、どんなメンバーが集まるのか予想もつきませんでしたが、立ち上げに
 ふさわしい、とても個性的なメンバーが集まりました。総勢11名。いい大きさです。
  こちらも春は基礎固め。リサーチデザインを練りながら、10本ほどの文献を読み、
 ペーパーを切り、議論を行ないました。
  オーラルゼミは夏が本番。合宿での成果報告を楽しみに。秋からは新しいメンバーも
 参加です。

 マルコム・グラッドウェルの本に「問題は夏休みだ!」というくだりがありました。
 充電しつつ、活動しつつ、秋に向けたよいステップとなる夏休みになりますように。
 

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