井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

「構造とつながり」(第二言語によるライティング・パターン)

「第二言語によるライティング・パターン」(Second Language Writing Patterns: A Pattern Language for Writing in a Second Language)プロトタイプ Ver. 0.1のなかのパターンのひとつ。


「構造とつながり」

複数の文が集まってパラグラフ(段落)となる。
パラグラフのメッセージを示すために、個々の文がある。


Context: 複数の文からなる文章を書いた。

Problem: 相互に関係が読み取れない文が並んでいるだけのバラバラな文章になってしまっている。これは、母語で書いたものを訳したときや、第二言語で書き下ろしたときになりやすい。母語で書く場合には、自然と身についている文章力のおかげで、本来はプツプツ切れてしまっている文章の流れが、それなりのつながりをもって書かれているように見えてしまう。しかし、それを他の言語に翻訳しようとすると、本来の切れている状態が露呈することになる。また、第二言語で書き下ろした場合には、個々の文を書くことに一生懸命になってしまい、文と文の関係性にまで意識が及ばないことが多い。

Solution: 一度、ひとまとまりの文を書いたら、それらの文が属するパラグラフ(段落)の構造と、個々の文のつながりを再考する。文は単体で存在しているわけではなく、他の文とともにパラグラフのなかに存在しているおり、逆に、パラグラフで言いたいこと(キー)を支えるために、そこに文が存在している。そこで、一度部分(文)が出来上がった段階で全体(パラグラフ)を見直し、その関係性を再考することが不可欠である。パラグラフの構造とは、例えば、あるテーマについての3つの具体例を示すパラグラフの場合には、単に3つの具体例の文を並べるのではなく、まず冒頭でそのテーマの具体例に「○○」「△△」「××」という3つがあることを述べ、その後にそれぞれを説明する文をもってくる。このようにパラグラフ全体における文の関係を考えるわけである。その上で、個々の文と文の「つながり」は、必要な箇所に適切な「接続詞」を用いて明示する。文と文の間の流れが切れていないかのチェックは、一度頭のなかを白紙に戻して、文章を上から順に読んでいくとよい。口に出して読んでみると、より効果的である。なお、パラグラフをどのように構成すればよいのかについては、『考える技術・書く技術:問題解決力を伸ばすピラミッド原則』(バーバラ・ミント, 新版, ダイヤモンド社, 1999)第I部が詳しく、おすすめである。

Consequence: 論理的で読みやすい文章になる。ただし、構造化を徹底してやりすぎると、文章としての魅力が損なわれる場合もある。そのため、全体として論理的にまとめられていることを前提として、一部が崩れていてもよし、とすることもある。
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