井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

授業シラバス「パターンランゲージ」(2012年度秋学期@SFC)

今年のパターンランゲージの授業は、アレグザンダーの『パタン・ランゲージ:環境設計の手引』を教科書にして、しっかり読み込みながら、「生き生きした全体」をつくる要素(center)について考えます。


「パターンランゲージ」(創造技法科目-デザインと情報スキル)
2012年度 秋学期 月曜日3時限
担当教員 井庭 崇

【主題と目標/授業の手法など】

この授業では、「生き生きとした全体」を実現するための共通言語である「パターンランゲージ」について、その考え方と方法を学びます。パターンランゲージは、創造・実践の経験則 を「パターン」という単位にまとめ、それを体系化したものです。かつて、建築家のクリストファー・アレグザンダーは、生き生きとした町や建物に繰り返し現れる関係性をパターンとしてまとめました。その後この考え方は、ソフトウェア開発の分野に応用され、成功を収めました。SFCでも、創造的な学びのパターン・ランゲージとして、「ラーニング・パターン」(Learning Patterns)や、創造的なプレゼンテーションのパターン・ランゲージである「プレゼンテーション・パターン」(Presentation Patterns)が制作されてきました。この授業では、パターンランゲージの考え方を学びながら、新しい分野において、自らパターン・ライティングできるようになることを目指します。


【授業計画】

第1回 イントロダクション
この授業の内容と進め方と、パターンランゲージの背景にある考え方を説明します。

第2回 生き生きとした全体について語り合う
自分たちの身の回りにある「生き生きとしている」もの・ことは、どのような要素で成り立っているのかを語り合います。

第3回 建築におけるパターン・ランゲージ (1)
クリストファー・アレグザンダーの『パタン・ランゲージ:環境設計の手引き』を読み込み、生き生きとした町や建物がどのような要素(パターン)で成り立っているのかを考えます。

第4回 建築におけるパターン・ランゲージ (2)
クリストファー・アレグザンダーの『パタン・ランゲージ:環境設計の手引き』を読み込み、生き生きとした町や建物がどのような要素(パターン)で成り立っているのかを考えます。

第5回 建築におけるパターン・ランゲージ (3)
クリストファー・アレグザンダーの『パタン・ランゲージ:環境設計の手引き』を読み込み、生き生きとした町や建物がどのような要素(パターン)で成り立っているのかを考えます。

第6回 パターン・マイニング
「生き生きとした全体」を支えるパターンについて、自分たちの経験や観察・インタビューによって掘り起こします(マイニングします)。

第7回 パターン・ライティング (1)
掘り起こして把握したパターンを、状況・問題・解決のパターン形式で書いていきます。

第8回 The Nature of Order 鼎談
クリストファー・アレグザンダーの最新著作『The Nature of Order』について、中埜博さんと羽生田栄一さんをゲストにお招きして語り合います。中埜さんはアレグザンダーに師事した建築家で、パターン・ランゲージやセンタリングの考え方を実践している方です。羽生田さんはソフトウェア分野において、パターン・ランゲージなどの利用の推進をしている方です。

第9回 The Nature of Order 鼎談
クリストファー・アレグザンダーの最新著作『The Nature of Order』について、中埜博さんと羽生田栄一さんをゲストにお招きして語り合います。中埜さんはアレグザンダーに師事した建築家で、パターン・ランゲージやセンタリングの考え方を実践している方です。羽生田さんはソフトウェア分野において、パターン・ランゲージなどの利用の推進をしている方です。

第10回 パターン・ライティング (2)
掘り起こして把握したパターンを、状況・問題・解決のパターン形式で書いていきます。

第11回 魅力があり、想像力をかきたて、人を動かすことばをつくる
魅力があり、想像力をかきたて、人を動かすことばは、どのようにつくるのでしょうか。パターン・ランゲージがもつ「ことば」の側面(現実をみるためのコンセプトであり、共通言語であるということ)について、考えます。

第12回 ライターズ・ワークショップ (1)
書いたパターンをよりよいものにするための「ライターズ・ワークショップ」を行います。

第13回 ライターズ・ワークショップ (2)
書いたパターンをよりよいものにするための「ライターズ・ワークショップ」を行います。

第14回 プレゼンテーション+総括
この授業を通じて作成したパターン・ランゲージの発表を行います。


【教材・参考文献】

□ 教科書
  • 『パタン・ランゲージ:環境設計の手引』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 1984)
  • 『【リアリティ・プラス】 パターン・ランゲージ』(仮)(井庭崇 編著, 慶應義塾大学出版会, 2012年秋出版予定)

□ 参考書

  • 『時を超えた建設の道』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 1993)
  • 『パタン・ランゲージによる住宅の建設』(C.アレグザンダー, 鹿島出版会, 1991)
  • 『まちづくりの新しい理論』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 1989)
  • 『Notes on the Synthesis of Form』(Christopher Alexander, Harvard University Press, 1964)
  • 『The Nature of Order, BOOK ONE: The Phenomenon of Life』 (Christopher Alexander, The Center for Environmental Structure, 2002)
  • 『The Nature of Order, BOOK TWO: The Process of Creating Life』 (Christopher Alexander, The Center for Environmental Structure, 2002)
  • 『クリストファー・アレグザンダー:建築の新しいパラダイムを求めて』(工作舎, 1989)
  • 『パターン、Wiki、XP:時を超えた創造の原則』(江渡浩一郎, 技術評論社, 2009)
  • 『表現の技術:グッとくる映像にはルールがある』(高崎 卓馬, 電通, 2012)
  • 『名作コピーに学ぶ読ませる文章の書き方』(鈴木 康之, 日経ビジネス文庫, 日本経済新聞出版社, 2008)
  • 『【リアリティ・プラス】社会システム理論:不透明な社会を捉える知の技法』(井庭 崇 編著, 宮台 真司, 熊坂 賢次, 公文 俊平, 慶應義塾大学出版会, 2011)


【提出課題・試験・成績評価の方法など】

成績は、授業中の演習、宿題、最終発表/レポートから総合的に評価します。


【履修者制限】

履修人数を制限する。受入学生数(予定):約 80 人
選抜方法と時期:初回に志望理由を書いてもらいます。
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