井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

創造社会とクリエイティブ・メディア

僕は時代の変化を、C→C→Cという3つのCで捉えている。

Consumption(消費社会)→Communication(コミュニケーション社会=狭義の情報社会)→Creation(創造社会)である *。

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創造社会は,人々が自分たちで自分たちの認識・モノ・仕組み,そして未来を創造する社会である。創造社会は、企業等の組織だけでなく、一般の個人が「創造」を担う点に特徴がある。

かつてP.F.ドラッカーは、「知識社会」の到来を指摘したが、そこでの主眼は企業・組織と労働者をめぐる社会的変化であった。

創造社会においても、知識社会と同様に「イノベーション」が重要であることは変わらないが、創造(つくること)が企業・組織の内に留まらず、また労働と切り離して捉えるという点で、よりラディカルである。

そう考えると、「創造社会」、ひいてはそこに至までの「社会の創造化」は、企業・組織の現象ではなく、社会の現象として捉えるべきである。

そのような観点で考えるとき、公文俊平先生の「情報社会」の議論が参考になる。オープンソース・ソフトウェア開発やWikipediaの編集などでは、従来の組織とは異なるかたちでコミュニティが形成されている。情報技術の発展により、人々は活動のなかで自由につながり組織化されていくのである。

同様に、「創造社会」では、これまで企業・組織で行われてきた創造行為が広く一般に解放されることを意味する。「創造社会」においては、人々の創造活動の過程で社会的なネットワーキングがなされ、コミュニティが形成される。

つまり、「組織によって創造がなされる」ことから「創造の過程でコミュニティが形成される」ことへのシフトが生じるのである。

もちろん、企業・組織が無くなるというわけではない。しかしながら、創造社会における企業・組織あり方は、人々が創造的な活動をすることを踏まえたかたちに変わっていくだろう。

従来は、個人と企業・組織の関係は「労働」や「商品・サービス」の関係に限定されてきたが、創造社会においては創造活動の協働的なパートナーシップが個人と企業・組織の間で築かれることになるのである。

そうなれば、企業・組織における知識や情報の蓄積や管理のあり方も変化を迫られることになる。創造活動が組織的な境界を超えて縦横無尽に展開されるようになるため、それらを囲い込むことはできなくなり、また囲い込むことが戦略上不利になる可能性が高くなる。

そのため、暗黙的であれ形式的であれ、企業・組織内に蓄積される知識・情報をどのように記述し、共有し、外部と未来に開いていくのかということは最重要な課題となるだろう。特に、創造に寄与する知識の記述と共有は、重要なテーマとなる。

このような創造社会においては、創造を支える新しいメディアが求められ、重要な役割を果たすことになる。そのようなメディアを、僕は「クリエイティブ・メディア」(Creative Media)と呼んでいる。

このようなクリエイティブ・メディアとして僕が有力視しているのは、「パターン・ランゲージ」だ。パターン・ランゲージは、創造における実践知を記述する言語であり、それが人々の創造を支援するメディアとなるのである。



* 以前は、2つ目のCの時代を「情報社会」と記述していたが、最近は、「コミュニケーション社会(狭義の情報社会)」と呼ぶことにした。これで、混乱なく、公文俊平先生の「情報社会」が、僕の2つめのCと3つめのCを包含する概念だと捉えることができるようになる。
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