井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

SFC「パターンランゲージ」(2016年度春学期前半)シラバス

SFCで2016年度春学期前半(4・5月)に、「パターンランゲージ」(月曜4・5限)を担当します。

経験則(秘訣、コツ)を言語化する方法である「パターン・ランゲージ」の考え方とつくり方を学びます。

授業では、履修者のみんなの興味・関心をもとに、グループワークのテーマを決めます。地域活性や教育、食、恋愛、イベント、コミュニケーションなど、いろいろなテーマのグループワークが行われます。

新1年生も大歓迎! すべての学年が対象で、特に前提知識・スキルは入りません。

実際、1年生の春にこの授業をとって、面白くて、1年生の秋から井庭研に入るという人が結構います。2年生でも同様。なので、できれば、早い段階で履修することをお勧めします。

履修者選抜のエントリー〆切は、2016年4月8日(金) 15:00。詳しくは公式シラバスを参照してください。

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「パターンランゲージ」(井庭 崇)
【学期前半】2016年度 春学期 月曜日4・5時限(2単位)


【主題と目標/授業の手法など】

この授業では、創造的な未来をつくるための言語「パターンランゲージ」について、その考え方と方法を学びます。パターンランゲージでは、創造・実践の経験則 を「パターン」という小さな単位にまとめ、それを体系化します。かつて、建築家のクリストファー・アレグザンダーは、いきいきとした町や建物に繰り返し現れる関係性をパターンとして定義し、253個のパターンを抽出・記述しました。その後この考え方は、ソフトウェア開発の分野に応用され、現在でも広く活用されています。SFCでは、創造的な学びのための「ラーニング・パターン」や、創造的プレゼンテーションのための「プレゼンテーション・パターン」、創造的コラボレーションのための「コラボレーション・パターン」などが制作されてきました。この授業では、パターンランゲージの考え方を学びながら、新しい分野において自らパターン・ランゲージをつくることができるようになることを目指します。


【履修上の注意】

  • 1ヶ月間の短期集中のグループワークを行います。しっかりと取り組み、最後までやり切るようにしてください。
  • 授業と並行して、文献を読んでまとめを提出する個人宿題が毎週出ます。


    【授業計画】

    第1・2回 イントロダクション&パターン・ランゲージを用いた対話ワークショップ
    この授業の内容と進め方と、パターンランゲージの背景にある考え方を説明します。また、創造的コラボレーションのパターン・ランゲージである「コラボレーション・パターン」のカードを用いて、これまでのコラボレーションの経験について語り合う対話ワークショップを行います。

    第3・4回 パターンの掘り起こし方(Pattern Mining)
    パターン・ランゲージのつくり方について学び、自分たちの経験からパターンを抽出する方法を理解し、グループで実践します。

    第5・6回 パターンの書き方(Pattern Writing)
    経験から得られた結果をもとに、状況・問題・解決というパターン形式で書いていく方法を学び、実践します。

    第7・ 8回 パターンの磨き方(Pattern Improvement)
    グループで書いてきたパターンをさらによい内容・表現にするためのコツを伝授します。また、パターン名やパターン・イラスト制作の秘訣についても紹介します。

    第9・10回 ライターズ・ワークショップ(Writers’ Workshop)
    各グループのパターンをよりよいものにするために、他のグループのメンバーからコメントをもらいます。

    第11・12回 パターン・ランゲージ・ワークショップ
    パターン・ランゲージを用いた新しいタイプのワークショップを実践します。

    第13・14回 グループワーク成果発表と対話ワークショップ
    グループワークで作成したパターン・ランゲージを発表し、それを用いた対話ワークショップを行います。

    その他 必要に応じてグループワークの相談にのります。


    【提出課題・試験・成績評価の方法など】

    成績は、グループワークへの参加と成果、個人宿題、授業中の参加、最終レポートから総合的に評価します。


    【教材・参考文献】

    教科書
  • 『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語』(井庭崇 編著, 中埜博, 江渡浩一郎, 中西泰人, 竹中平蔵, 羽生田栄一, 慶應義塾大学出版会, 2013年)

    参考書
  • 『時を超えた建設の道』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 1993年)
  • 『パタン・ランゲージ:環境設計の手引』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 1984年)
  • 『プレゼンテーション・パターン:創造を誘発する表現のヒント』(井庭崇+井庭研究室, 慶應義塾大学出版会, 2013年)
  • 『Fearless Change アジャイルに効く アイデアを組織に広めるための48のパターン』(Mary Lynn Manns, Linda Rising, 丸善出版, 2014年)
  • 『プロジェクト・デザイン・パターン:企画・プロデュース・新規事業に携わる人のための 企画のコツ32』(井庭崇, 梶原文生, 翔泳社, 2016年)
  • 『パターン、Wiki、XP:時を超えた創造の原則』(江渡浩一郎, 技術評論社, 2009年)
  • 『クリストファー・アレグザンダー:建築の新しいパラダイムを求めて』(工作舎, 1989年)
  • 『社会システム理論:不透明な社会を捉える知の技法』(井庭 崇 編著, 宮台 真司, 熊坂 賢次, 公文 俊平, 慶應義塾大学出版会, 2011年)


    【昨年度(2015年度)の授業風景】

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    初回のイントロダクション。

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    今学期取り上げるグループワークのテーマとメンバー決め。

    昨年は、こんなテーマのパターン・ランゲージでグループワークを行いました。

  • 幸福感のある食生活
  • 子どもの成長
  • 地域の魅力を発見する
  • 魅力的なまちにする
  • 芸術によって人の心を動かす
  • 快適なファンクションデザイン
  • ステキな広告デザイン
  • 心を動かすイベント企画・運営
  • いきいきとしたグループワーク
  • 会話を弾ませる
  • 恋を実らせる恋愛パターン
  • 成功の法則を君におくる恋愛パターン
  • より良い合コン

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    コラボレーション・パターン・カードを用いた対話。

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    インタビューの結果をまとめるクラスタリング。

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    それぞれのグループが、自分たちのテーマのパターンを編み上げていきます。

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    書いたパターンをグループ内でよりよくする話し合いをします。TA・SAからもアドバイスをもらいながら。

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    2015年度のグループワークの成果のパターン・ランゲージを収録した冊子。13プロジェクトで、この厚さの2冊に。

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    各パターンにパターン・イラストも描きます。グループごとに個性的なキャラやテイストで、その点も興味深いところです。

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    授業最終回は、今学期すべてのグループがつくったパターン・ランゲージを用いて、対話のワークショップを行います。自分たちのつくった「ことば」で他の人たちが対話する面白さを味わうことができます。

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    最終回の授業後、履修者全員で記念撮影。7週間のインテンシブ・グループワーク、おつかれさまでした!

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    2015年度は、最終回の夜に、履修者有志によるCoCookingパーティーを開催。大学近くの場を借りて、みんなで料理をして食べました。グループを超えての交流もまた楽しいものです。
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