井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

SFCについての熱い言葉たち

SFCを創設した方々のSFCについての熱い言葉を振り返ると、その当時のコンセプトはまだまだ古びていないし、かつ、僕らにはもっともっとやるべきことがあると感じる。そのなかでも僕がいまでもパワーをもらい刺激を受ける言葉たちを紹介したい。


  • (『総合政策学部』設置の要旨と構成)「ここでいう”総合”は単なる既存知識の寄せ集めということではなくて、政策が本来もつべき性質としての総合という意味であり、『政策学』はその意味での新しい学問体系の確立を目指すものである。」(慶應義塾年鑑・別冊, 大学教育委員会, 1995)


  • 「今日の社会科学の大半は、一九世紀思想の産物である。…要するに、個々のいわゆる学問分野が着々と制度化されていく過程は、前世紀にはじまったことであって、それ以降のことにすぎないのである。…学問分野の個別化を抑制し、理論と方法論を刷新するためには大学システムの再編成が急務である。」(加藤寛, 『教育改革論』, 1996)


  • 「知の再編成:…藤沢キャンパスでは…近代西欧が生み出した、「観照の知」、「分析の知」にあえて挑戦し、主体と客体が互いに変化する中で、問題を発見し、解決し、デザインする、「行動の知」を追求するのである。」(加藤 寛, 『慶應湘南藤沢キャンパスの挑戦』, 1992)


  • 価値前提なき社会科学は空虚である」(加藤 寛, 中村 まづる, 『総合政策学への招待』, 1994)


  • 「政策判断は、総合的視点なくしては分析し判断することは不可能である。近代科学から排除されていた価値前提を復権させることが、政策の総合的判断を可能にするのである。」(加藤 寛, 1994)


  • 「SFC開設の背景としては、そうするとこれから21 世紀をつくっていくのを慶應の中につくり出さなけりゃいけない。さまざまな難問がある。で、しかもそこで要請され期待される新しい知と⽅法は何なんだろう? 従来の個別科学ではない。…湘南藤沢キャンパスは、⼈間として、⽇本⼈として、21世紀・22世紀に向かって、今までとは違うかたちで⾃⼰の存在の証を⽴てるのはどうしたらよいかってことなんです。これが新しい知と⽅法の創造なんです。これをしようとしている。」(井関 利明, 授業講演, 2008)


  • 「だから、やっぱり、藤沢みたいなところのもともとの考え方は、従来の考え方とは違うんだよ、ね。古い学問やるんなら三田に来てやったらいい。だけど、あそこでは新しいメソドロジーで学問を展開しようという野心があったんだな。」(石川 忠雄, 映像「SFCキャンパス革命」, 2000)


  • 未来からの留学生」 「ミネルヴァの梟(ふくろう)」(加藤 寛, 1990, 1994)


  • 「(SFC創設の)2年後くらいあとにその結果を見て、ちょっと失敗だったかなと思った。というのは、ものすごく成功したんですね。『我々の考えはかなり先進的だから、わかるまで5年はかかる』と思っていました。ところが、ものすごく評判がよくなって、『こんなにも早わかりされるコンセプトは安かったな』 『もう少し長めでよかった』と思った」(高橋 潤二郎, 授業講演, 2009)


  • (政策・メディア研究科の創設時 1994)「新大学院構想委員会に期待された基本的な目標は、『今後の変化する社会において、「社会変革と自己変革を連動させることのできる競争力のある個人」を生み出す』ことは、いかにして可能なのか、そしてそれを保証する制度としての新大学院とは何かを追求することだった。」(孫福 弘, 小島 朋之, 熊坂 賢次 編著, 『未来を創る大学』, 2004)


  • 「SFCは、そこで実践されることが研究であれ教育であれ、つねに「先端性」にいさぎよく徹することこそ、SFCの使命であると確信しています。「実験する精神」で未知の領域に果敢に挑戦することにこそ、SFCの使命があると思います。またかつてのように、あらゆる意味で境界が明確であった二〇世紀的社会では、学問的なディシプリンに典型的にみられるように、分化と統合という方法が妥当有効であったのでしょう。しかし、今すでに展開されつつあるすべての境界が曖昧なネットワーク環境にあっては、新しい方法への模索が開始されなければならないはずです。ここでは先端性と表裏の関係として、融合という方法が価値あるものだと思います。」(SFC21世紀グランドデザイン素案 (2002) by 小島 朋之, 熊坂 賢次, 徳田 英幸,『未来を創る大学』, 2004所収)


  • 「SFCっていうのは、実に遠⼤なる⼀つの計画と願いのもとにつくられたんだよ。あの時代の背景の中でね。混迷する時代の中で。混乱と混迷は今なお続いています。だから、その意味での新しい学問をつくり、新しい学部をつくり、新しい⼤学をつくるための条件が失われたとは思わない。」(井関 利明, 2008)


  • 「SFCはこれからも、『未来を創る大学』として挑戦し続ける。」(『未来を創る大学』, 2004)



  • References
    加藤 寛, 『慶應湘南藤沢キャンパスの挑戦:きみたちは未来からの留学生』, 東洋経済新報社, 1992
    加藤 寛, 中村 まづる, 『総合政策学への招待』, 有斐閣, 1994
    慶應義塾年鑑・別冊 自己点検・評価 検討結果報告書, 「慶應義塾大学における改革とそれを推進した組織について」, 大学教育委員会, 1995
    孫福 弘, 小島 朋之, 熊坂 賢次, 『未来を創る大学:慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)挑戦の軌跡』, 慶應義塾大学出版会, 2004
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