IBALOG - Concept Walk 日本語版

新しい社会の捉え方を探して。井庭 崇のblogです。

幻のバンド !? リアル・ライフ・ファクトリー (その2)

僕が大学院生のときに組んだ即席バンド「リアル・ライフ・ファクトリー」で体験した「作詞」について書きたいと思う。そして、そのときの歌をあと2曲だけ紹介することしよう。

band6.jpg僕らは「曲先」(曲をつくった後、歌詞をあてる順番)で歌をつくっていった。まず植野がギターを引きながら、曲をつくる。ときに、僕らに相談したりしながら、少しずつつくっていく。そして、それをMDに吹き込む。僕は、そんな「できたて」の曲を、MDウォークマン(時代的にまだiPodではない)で何度も聴きながら、歌詞をあてていく。

実際にやってみると、歌詞をつくるのって難しいな、と痛感する。まだギターパートとメロディラインしかできていない曲を聴きながら、どういう世界観の歌詞が合うのかを考える(感じる)ことから始める。そして、そのメロディラインに言葉をのせていく。言葉選びのときは、イメージが合うかだけでなく、文字数も合っていないといけない。このときはまだ、歌いやすさを考える余裕はなかったが、本当はそういうことも考えないといけない。歌詞は、最終的には「音」として表現されるから、音としての響きは重要だ。

しかも、歌詞には2番があって、1番とトーンを統一するが、違う内容を歌わなければならない。これが難しい。とても難しい。あまりに難しいので、このころからJ-POPの歌詞を分析し始めた。ふだん僕らが聴いている歌の歌詞が、どのような構造・表現になっているのか、ということを分析してみるのだ。それでわかったことは、歌詞がうまい人たちは、本当にうまいということ。具体的な話はまた今度紹介したいと思うが、実に巧みにつくられていることがわかってくる。(ちなみに、このときわかったことを、僕は「コラボレーション技法ワークショップ」の授業で教えている。この授業には「J-POPの歌詞分析」の回があり、「共感」の仕組みについて考えるきっかけにしている。)

さて、今日紹介するのは、「Rail Way」。この歌は、僕が生まれて初めて作詞した歌だ。曲がとても素敵で、当時、こんな素敵な曲に歌詞をつけたり歌ったりできるなんて、なんて僕は幸せなんだ、と真剣に思った。それと同時に、これを作曲した植野は本当にすごい!と心から尊敬したものだ。(そして、この曲をライブでやったときの、おっちーのアドリブのギターもかっこいい。)


Rail Way
                                  music by Ken UENO
                                  words by Takashi IBA

[1]railway1-150.jpg
つめこまれた一本遅れの電車の中
奇妙な形で立ってる僕がいる

誰かの電話のベルで 夢から醒めては
背中の温かいものを 避けて向きを変える

僕もいつか 降りてみたいと思ってるんだ
すてきな場所(ところ) 光の射す世界

† だけど
 このままどこまで 僕は行けるんだろう?

 厳しい世界を 寝ぼけたままで
 でも今は もう少しだけ on the railway

[2]
あなたの言うことわかんない いつも言われる
君の言うこともわかんない そんなもんかな

誰かの軽い冗談で 意味に気づいては
左の温もりを抱いて 日々が過ぎていく

僕もいつか 見てみたいと思ってるんだ
君の奥に 広がる世界

†' だけど
 これからいつまで 僕らは行けるんだろう?railway2-150.jpg
 壊れそうな世界を 抱えたままで
 でも今は もう少しだけ on the railway

†'' このままどこまで 僕らは行けるんだろう?
 新しい世界を 夢見たままで
 そして もう少しだけ on the railway


                    Copyright(C) 1999, The Real Life Factory


「Rail Way」の音源も、前回同様、1999年の学園祭ライブで収録したもの。曲の最初の部分にノイズあり。後半演奏を間違ったりしているし、ボーカルの声の伸びも足りなかったりするけれども、そこは大目にみてね。

icon-face-mini.gif 「Rail Way」(MP3音源: The Real Life Factory, 1999)

この曲、すごくいい曲だと思うし、僕もいまだにすごく好きな曲だ。ちなみに、上の写真はアメリカで撮影したもの。大学院生らしく(笑)、学会発表に行ったときに、一緒に行ったバンドメンバーの島くんと撮影した。

当時、この歌詞を書くときに気にしていたのは、自分のことを歌うのではなく、聴き手のための歌を書くということだった。聴き手として考えたのは、僕と同じ年代の人たち。学部卒業後2、3年たって、だいぶ仕事にも慣れ、徐々に今後の人生のレールが見え始めた、そんな時期の僕らの世代に向けて書いたのだ。

「このまま定年までずっとこのレールに乗っているのかな?」「そういう安定は必要だけれど、もうずっと先まで決まっているというのも、少しさみしいな。」という声を、しばしば友達から聞いたりした。でも、「まだ勤めて2、3年だから、まだしばらくはこのレールの上をひたすら走るぞ」、そういう穏やかな決意も心に秘めているようだった。そんなことを、通勤ラッシュの電車のなかで思い出し、この「Rail Way」の歌詞が生まれたのだ。

そんなわけで、この曲は、僕から同世代のみんなへの応援歌なのである。
ちょっと昔の話 | - | -
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