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4.メディアスケープ(媒介景)
生活者は、さまざまなメディアに接触して自分の生活世界を形成して いる。そのメディアからの影響力は、現実の家庭や学校での影響とまっ たく同じように、大きい。生活者は、現実の生活のなかで生きると同
じように、フィクションの世界にも生きている。しかもそのフィクショ ンの世界は、あきらかにヴァーチャル・リアリティ(事実としての現 実)であり、その世界を欠落させては、生きることの全体の意味を理
解することにはならない。生活者が生きるうえで、現実の生活は制約 条件として重要な機能をはたすが、フィクションの世界は、生活世界 に方向性やヴィジョンを付与するという機能にかんして、非常に重要
である。たとえば、テレビドラマに勇気づけられて、生きる喜びを認 識できる人もいるだろうし、難解な本を読むことで、人生の哲学を知 る人もいよう。それらは、現実の生活と同じように、生活世界を構成す
る上で欠かせない要因である。 そこで、このようなヴァーチャル・リアリティを構成する情報記憶を、 メディアスコープ(媒介景)と呼ぶ。具体的には、つぎのようなメディ
アを想定する。
◇テレビ
◇マンガ ・アニメ
◇音楽
◇ゲーム
◇CM
◇本・雑誌
◇映画・演劇
◇デジタル・ネットワーク
ライフスケープをめぐる、3つのパースペクティブ
ライフスケープは、一方ではスケープ(情報景)から構成されるが、 他方では、そのスケープをそのような視点から解読すればいいのか、 というパースペクティブを必要とする。この場合、パースペクティブ
は、生活世界を根底から規定する家族(家族意識)形態をもとに、つ ぎのように提示される。
■核家族の視点 (産業社会に対応)
■粒子家族の視点(消費社会に対応)
■携帯家族の視点(情報社会に対応)
それぞれは、つぎのフレームのもとで、解読の視点を構成する。
◇価値:なにが望ましい生活世界なのか。
◇主体:どのような主体であるのか。
◇関係:どのような関係が形成・維持されているのか。
◇環境:どのような環境が前提とされているのか。
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