生活世界をめぐる、3つの構成原理
 
1. 客観的世界の構成原理
2. 主観的世界の構成原理
3. 間主観的世界の構成原理
4. メディアスケープ(媒介景)
5. 核家族の視点(産業社会に対応)
6. 粒子家族の視点(消費社会に対応)
7. 携帯家族の視点(情報社会に対応)
6.粒子家族の視点(消費社会に対応)

1975年以降、産業化と都市化の成果がでて、いままでは異なった社会 構造になった。それが消費社会の到来である。そのとき、新しい家族の 視点が必要になった。それが粒子家族(ホテル家族:小此木啓吾)のコ ンセプトである。

◇価値

◆欲求充足:幸福(しあわせ)/リアリティ(実感)

・この家族では、家族のメンバーは、ばらばらである。核家族のように、父親を核に堅く統合されることは、意味を失っていた。各人は、自分の個室にこもって、自分の好きなことをやること(欲求充足)こそが価値になっていた。それが、実感としてのリアリティの重視であり、「わたしのしあわせ」の追求である。こうして、家族は、それぞれの欲求を充足させることを優先させ、家族の役割の遂行は2次的な価値に後退していった。

◇主体

◆自閉する快感

◆身体感覚/エロス

◆女/ジェンダー

◆子供/遊び・がらくた・ポップ

・欲求充足は、基本的には、個人の身体に宿るものである。その究極は、性的な快感(エロス)であり、すべてはそこをメタファーとして解釈されるものである。

・ここは、女と子供の世界である。核家族で一番抑圧されていた娘(女*子供)は、粒子家族では、もっとも解放され、自分の欲求充足を謳歌する。それが、幼児期の人形遊びから、成人しての恋愛ゲームまで、自己の身体をなびかせ、幸福の実感に酔いしれる、彼女たちのライフスタイルなのである。

◇関係

◆消費優位

◆恋愛/美しさ(女の世界)

◆暴力/無駄(少年の世界)

◆無垢/虚勢

・自己の欲求充足に素直になるほど、関係は、一方では純粋(無垢)になり、他方では虚偽意識(虚勢)で包まれたものでなる。その両極端に走る可能性が強くなる分、関係は、妥協がしにくく、破滅か至福か、という結果になる。しかもここでは、目的達成は価値がないので、社会関係の過程における充足が価値なので、関係は、いかなる意味でも、うつろいやすい。だから、美と死が重視される。

◇環境

◆豊かさ(物的)

・消費が生産にたいして優位な関係にたつには、その社会環境に豊かさ、とくに物的な豊かさが基盤として設定されなければならない。すべては、そこから始まる。産業化と都市化の達成は、豊かさを自明として生きる世代の登場を実現した。そこから、新しいライフスタイルが多様化したのである。