若大将な毎日
〜レイディ追悼号〜


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写真日記「つれづれなるままに」



2004年3月17日(水)午前3時、1通の携帯メールが実家の母から送られてきた。
「レイディ、旅立った」

ゴールデンレトリーバーのメスの子犬が我が家にやってきたのは、私が高校2年生の時の11月だった。
小学生の時からうちにいたアイリッシュセッターが前年に急死し、私の情操教育上のことを考えて両親と獣医さんは新しい犬を我が家に連れてくることに決めた。
一周忌が過ぎた頃、新しい犬を飼う計画が具体化し、とうとううちに来る子が具体的に決まった。
新しい子が来る予定日の10日間ほど前、まだ「前の犬と絶対に比較しちゃうからいやだなー」ともんもんと考えていたときに、我が家の電話がなった。
なんと、突然その日に来てしまうことになったのだ!!!
もう悩んでいるどころではない。とにかく犬を迎える準備をしなくては!!というドタバタ劇の中、子犬はやってきた。

ゴールデンレトリーバーの子犬は生後50日くらいで、私の片手に乗るくらい、とにかく小さかった。
なんだかぼーーっとしていて、吠えないし、この犬は目や耳は機能してるのか?と思ったくらいだった。
名前はもう決まっていた。前の犬と同じ名前、2代目の「レイディ」だ。(レイディなどとちゃんと呼んだことはなかったかもしれないけど)
とりあえず、大きなプラスチックの赤ちゃん用お風呂みたいな桶の中にタオルを敷き詰めて、その中に入れてみた。あまりにも小さいので、タオルで窒息して死んでしまうのではないかと、気が気でなかった。

そんな感じで始まったものだから、我が家はすっかり徳川綱吉も喜びそうな「お犬様」家族になった。
お犬様レイディはそれからすくすくと育っていくわけだが、彼女は自分が大きくなっていくということがわかっていないらしい。
プラスチック桶からの脱出に自力で初めて成功したときも、いつも通っていた私のベッドの下を通れなくなってしまったときも、とてもびっくりした顔をしていた。
そしてどんなに大きくなっても、私のひざの上に座ろうとするし、自分の半分のサイズもない犬にほえられただけでもびびっていた。
とにかく元気なんだけど臆病で、散歩の時は私のそばを離れようとせず、何かの匂いをかいでいる間に私が物陰に隠れたりすると、ものすごい形相で探しまくる。(それがかわいくて面白くて、よく隠れたっけ)
さびしがりやだけどマイペースで、とても頭のいい子だったけれど、同時にとても優しい子だった。
普段は名前を呼んでも「呼んだ?」という感じでちらっとこっちを見るだけだったりするのだけど、本当に落ち込んでいるときは、気づくとそばにきてじっとしていてくれるのだ。
兄弟のいない私にとっては本当に分身のような存在で、よく「毛むくじゃらの妹がいるの」と言っていたっけ。
寝るのも、私のせまいシングルベッドの上で一緒に寝るものだから、朝になるとかなり侵略されていて布団も取られていたりする。
ある日など、とてもお腹の痛くなる夢を見て、「何でこんなにお腹が痛いんだろう」と思いながら目覚めると、レイが私のお腹の上にお座りをして、じっと私を見下ろしていた。
そうそう、「ボール」と「ひも」を聞き分けて、私がボールや紐を持ってきて、というとちゃんと正しいものを持ってきたっけ。でも持ってきてそれを口からとろうとすると怒るのだ。

そんな風に毎日毎日一緒にすごしていたのだが、悲しいかな、犬の寿命は人間よりもずっとずっと短い。
13歳になったとき、市から長寿犬として表彰され(茅ヶ崎市に何百匹もいたけど)、そのときに賞状と一緒にみんなで撮った写真は、今でも私の宝物だ。
13歳の冬には大きな手術もしたけれど、それも乗り越え、この分なら次に表彰される17歳まで行けるかな〜、ちょうど戌年だな〜、などと思っていた。
しかし、老いは一度訪れると、坂道を転がり落ちるようにどんどん加速する。
だんだん階段がのぼれなくなり、自分で立ち上がることができなくなり、そして最後にはご飯を食べなくなってしまった。
ご飯が食べられなくなって4日目の朝に、静かに旅立って行った。

本当にさびしいし、まだ現実のこととして実感もわかないが、いずれは必ず通らなくてはならない道としては最高の結末だったと思っている。
老衰だったし、最期はおそらく眠っている間に心臓が止まったのだろう。本人(本犬)も気づいていないのではないかな。
だから、明るく見送ってあげなくてはと思う。

レイちゃん、14年半本当にお疲れさま!ずっと一緒にいてくれてありがとう!!
私がそちらに行くまでの数十年、ちょっと待っていてね。