井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

プレパタ作成物語 第4話(6月13日:KJ法 1回目)

2011年6月13日のゼミでは、まず最初に僕が、井庭研がつくっているような新しいタイプのパターン・ランゲージの特徴と位置づけについての解説をした。

これが後に、解説論文「パターンランゲージ 3.0:新しい対象 × 新しい使い方 × 新しい作り方」(井庭 崇, 情報処理, Vol.52 No.9, 2011)としてまとめられる「パターン・ランゲージ3.0」のアイデアの初期バージョンである。

僕は日頃、新しく考えたことを、まず井庭研メンバーに話し、フィードバックをもらいながら、それを洗練させていく。今回もまさにそういうプロセスを経て、考えを煮詰めていった。

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そんな話を30分くらいした後、プレゼンテーション・パターン制作に入った。

この日にやったのは、前の週にブレインストーミングで出した「プレゼンテーションにおける大切なこと・こだわり」を体系化してまとめる「KJ法」である。

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机を2つを並べ、そこに4枚の模造紙をひろげる。その上に、すべての付箋をでたらめに置いていく。この状態からスタートする。

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いつもに比べ、付箋の数がかなり多い。この無秩序な状態を眺めていると、本当に絶望的な気持ちになる。(下の写真は、2つ上の写真から2時間が経過したときの風景。全体的には、ほとんど変化がないことがわかるだろう。これをやっている本人たちは、本当に苦しい時間を過ごしている。)

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それでも、付箋ひとつひとつの意味を再確認しながら、少しずつ配置を変えていくしか、前に進む道はない。

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「これはどういう意味だっけ?」とか「これとこれは近いと思うんだけど、どうだろう?」というような会話をしながら、意味が近い付箋同士を近づけていく。

しかし、どうも空間が狭すぎるということがわかってきた。こんなに混み合っていては、どれとどれがまとまりなのかがわかりにくい。そこで、机をもう1つ足して、模造紙を2枚追加した。これで広くなって、余裕ができた。

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狭い空間に詰め込まれていた付箋が広く散ったことで、だいぶ作業がやりやすくなった。

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どんどん付箋は動くが、依然として秩序は感じられず、まだまだ先は長い。しかし、辛抱強く続けていく。

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みんな、だんだん身を乗り出してくる。それだけノってきたということだ。BGMは、Lady GaGa。

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少しずつではあるが、まとまりができ始める。ようやくこの段階。

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僕も参加者のひとりとして、KJ法に参加している。

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こうして、最初の無秩序な状態とは明らかに異なる、あちこちにまとまりがあるような全体になっていく。

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しかし、結局この日は、最後までまとまらなかった。まとまりはでき始めていたが、それらはまだあやふやで、無秩序な部分も残っていたし、まとまり同士の関係性もまだ考えられていなかったからだ。

終了したのは、夜10時半。つまり、この日、5時間半もKJ法に取り組んでいたことになる。終った後は、さすがにみんなげっそり。。。


ログ係のメールに、この日の雰囲気が書かれているので、一部紹介。

先週の「魅力的なプレゼン」でブレストしたものをKJ法でまとめていく。
先週こんなに出したのか?と思うくらい多くの要素がでていた。

実際に机の上に並べると膨大な量で、はじめはかなりとまどった。

でも、最初から完璧にくっつけようとするのではなく、それとなく近いものでもいいから、行動を起こさないと、場がかなり硬直状態に陥ることがわかった。

また、ブレストをしたのが1週間前なので、ポストイットに書いてある内容だけではわからない部分も多く、その解明にかなり時間を割いた気がする。

永遠とKJ法。

今日は終わることができず、来週に持ち越し。

「本気のKJ法はかなり疲れる」と井庭先生のメールにあったが本当だった。

来週もがんばりましょう。


この日は、食べやすい夕食(サンドイッチなど)を各自持って来て、作業の合間に食べるというスタイルでやったのだが、あまりよくないことがわかった。げっそりしたまま帰ることになるからだ。やはり、ゼミの後の食事は欠かせないということを痛感した。この日以降は、遅くなっても必ずみんなで食べに行くことに。


そして、僕といえば、次の日の井庭研B2でも、「パターン・ランゲージ3.0」のアイディアを(より洗練されたバージョンで)紹介した。こうやって、少しずつ詰めていくのだ。まさに、ラーニング・パターンでいう「『はなす』ことでわかる」である。

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