Research Theme 01

胆汁酸シグナルを介した
生活習慣病の改善Bile Acid Signaling

胆汁酸は、食事により摂取された脂質やコレステロールを効率良く吸収する役割を担います。さらに近年、胆汁酸は単なる消化液ではなく、代謝を制御する「シグナル分子」として働くことが分かってきました。私たちはこのシグナルを起点に、生活習慣病の改善を目指します。

胆汁酸の代謝・再利用の仕組みを示す図。肝臓でコレステロールから作られ、脂肪の消化吸収を助け、約95%が再利用される
図:胆汁酸は肝臓でつくられ、脂質の消化吸収を助けたのち約95%が再利用される
胆汁酸とは

肝臓でつくられ、約95%が再利用される

胆汁酸は肝臓でコレステロールから合成され、胆のうに蓄えられたのち、主に小腸で脂質の消化吸収を助けます。役目を終えた胆汁酸は再び腸から吸収されて肝臓へ戻り、その約95%が再利用されます(腸肝循環)。

この胆汁酸が活性化すると、細胞の核内受容体 FXR を介して中性脂肪(TG)の合成が抑えられます。さらに、インスリン分泌を促すホルモン GLP-1 の分泌を促進することも分かっており、糖・脂質代謝の要として注目されています。

研究のねらい

胆汁酸シグナルから、代謝の改善へ

私たちは、胆汁酸シグナルを制御することで、肥満・糖尿病・脂質異常症といった生活習慣病の予防・改善につなげられると考えています。研究会で扱うテーマの多くは胆汁酸に関わっており、身近な食品成分(もずくやこんにゃくなど)による胆汁酸への作用も、その一例です。

胆汁酸代謝シグナルFXR / GLP-1生活習慣病
天然物由来機能性物質が腸内細菌・二次胆汁酸を介して肥満関連肝細胞がん(HCC)を抑制する仮説図
図:食成分 → 腸内細菌 → 二次胆汁酸を介した肝がん抑制の仮説
Selected Publications

胆汁酸に関する主要論文Key Papers

  1. 2006Watanabe M, et al. Bile acids induce energy expenditure by promoting intracellular thyroid hormone activation. Nature 439:484–489.
  2. 2004Watanabe M, et al. Bile acids lower triglyceride levels via a pathway involving FXR, SHP, and SREBP-1c. Journal of Clinical Investigation 113:1408–1418.
  3. 2006Houten SM, Watanabe M, Auwerx J. Endocrine functions of bile acids. EMBO Journal 25:1419–1425.
  4. 2016Taoka H, et al. Role of bile acids in the regulation of the metabolic pathways. World Journal of Diabetes 7(13):260–270.