2004年11月アーカイブ
ちょうど20年前に開かれたLIVE AID。16時間ぶっ続けのライブ演奏。最大3時間しか撮れなかったVHSのビデオをとっかえひっかえ録画し続けたのは中学生のときだ。そのDVD版が発売された。QUEENのフレディも生きている。懐かしい(おまけに初回版のほうが安い!)。DVDの冒頭に入っているBAND AIDとUSA For Africaの歌も泣けるくらいに格好いい。心意気もすばらしい。BAND AIDの新バージョンも出るらしいが、最近のアーティストを知らないのが悲しい。
BAND AIDの"Do They Know It's Christmas Time?"で最も論議を呼んだのはU2のボノが歌う"Well, tonight thank God it's them instead of you"だそうだ。そしてボノは新バージョンでもそのフレーズを歌うらしい。
マイクロソフトの楠正憲さんにマイクロソフトの新製品を見せてもらった。分厚い手帳のような塊にハードディスクとUSB2.0が付いていて、パソコンで録画した動画を転送して貯めこめる。自動的に圧縮してくれて100時間(?)ぐらいは見られるという。OSをマイクロソフトが担当している。
それよりもおもしろかったのが、そのデバイスで見せてもらった動画。「二足歩行ロボット競技大会 第6回ROBO-ONE」の様子で、二足歩行するロボットがプロレス並みの技を掛け合って戦っている。大手メーカーが作った動きの鈍い二足歩行ロボットのイメージとはかけ離れてダイナミックだ。
外部環境とのコミュニケーションという点では進んだAIを搭載したロボットのほうが優秀なのだろうが、横で解説してくださった白田秀彰先生によると、アマチュアが数十万円で作っているロボットのほうが圧倒的におもしろいらしい。ああ、驚いた。
エクスポズのワシントンDC移転が気になる。ボルチモア・オリオールズが観客を失うのは明らかだ。
もう一つワシントンDCで聞いたうわさ話はFCC(連邦通信委員会)の人事。父親のコリン・パウエル国務長官は辞任したが、息子のマイケル・パウエルFCC委員長は留任しそうだ。ダシェル院内総務の落選で再任が危ぶまれていたジョナサン・アデルシュタイン委員は生き残りそう。すでに任期が切れているキャサリン・アバナーシー委員が辞任するかどうか。こちらの記事だとどうやら辞任しそうで、後任探しが始まっている。
"A Nation Online: Entering the Broadband Age," National Telecommunications and Information Administration, September 2004.
http://www.ntia.doc.gov/reports/anol/index.html
...broadband more specifically, are transforming the way we live, work, and learn.
ニューヨークは賑わいを取り戻していた。タイムズ・スクエア近辺は渋谷のような人混み。ホテルの料金も高い(その分、サービスも良くなっている)。
中華街のJoe's ShanghaiでLF氏とそのフィアンセと食事。この店はワシントンDCでインターンをしていた高橋氏に1997年に紹介してもらった。今彼はどこにいるのだろう。
この店の名物の小籠包! チキンの甘酢あんかけ(?)もおいしかった。この店はいつも混んでいて待たされる。予約をとらないし、全員が揃ってからでないと席に案内してもらえない。回転がいいはずなのに、とにかくいつも待たされる。
念のため言うと、おいしいものを食べてばかりいたのではない。アメリカでは食べ過ぎるのでだいたい一日二食に抑え、ひとりで食べるときはサンドイッチなど。今回は体重が増えずに済んだ。
ニューヨークではSさんやNさんにも会いたかったけど、時間の都合でダメでした。ごめんなさい。次回こそ。
ともあれ無事に帰宅。ORFのために明日から合宿に来いというお達しが……。つらいなあ。
浜村さんのブログで中国のiPodの話が出ている。違法コンテンツを入れた上で売ってくれるらしい。
同じようなことをアメリカで体験したことがある。iTunesが出たてのころ、アップル専門店(アップル・ストアではない)で開封済みだが新品で安売りされていたHDを買おうかどうか迷っていたところ、店員が「いいもの入れておくから買ってよ」といっておもむろにiMacに接続し、中に入っていた2千曲ぐらいのMP3ファイルをコピーし始めた。唖然として見ていたが、あまりにも時間がかかるので中止してもらった。
JFK空港から接続中。たった10分のためにTモバイルの無線LANサービスを買う気がしないので、モデムでつなぐ。いまどき信じられないが24Kしかでない。写真をアップロードできる状態ではないのでやめておこう。
ワシントンDCやニューヨークでいろいろな人が使っていたのがEVDOサービス。日本のPHSより速い(300K? 要確認)。パーム型のPDAに組み込まれていたり、無線LANのようなカードになっていたりする。
昨日のセミナーはWiMaxに関するもの。これはWiFiのいとこと表現されていて、6キロメートルぐらいは届くらしい。電力線ブロードバンドがうまくいかないので、次のラストワンマイル技術として期待されている。
セミナーはヒッキーやサッチーで有名なコロンビア大学で開催。ヒッキーの全米デビューCDはタイムズスクエアのバージン・レコードで堂々と売られていた。日本人観光客向けなのか、本当に売れているのか、よく分からない。
ナッシュビルの会議でおもしろかったのは、FCC(連邦通信委員会)とその他の機関に適用されているという「ex parte requirement」の話。
「ex parte」とは英辞郎によれば、
一方だけの、一方的、当事者の一方に偏して
となっているが、いまいちよく分からない。
FCCの弁護士の説明によると、何か審議中の事項に関してFCCにロビーイングをする場合は書面でそのロビーイングの内容を提出しなくてはいけないというもの。逆に言うと、立ち話とか電話とかそういった類のロビーイングについてFCCの委員はじめスタッフは一切影響を受けてはならないということだそうだ。透明性を確保しようという試みであるのはいうまでもないが、こうした規制がないと大変なことになってしまうのかとも勘ぐってしまう。
ちゃんと会議に出ていた証拠写真。エネルギー問題が重要になってきている。この教授は中東のエネルギー情勢について語る。公益事業の会議でエネルギー安全保障の話を聞くとは思わなかった。
ナッシュビルからワシントンDCへ。ホワイトハウスの前は以前よりも平穏な印象(写真は議会だけど)。選挙のことはみんな忘れてサンクスギビングが気になる様子。
ワシントンのとあるペルー料理屋にてTB氏および日本からたまたま来ていたKK氏と会食。下の写真はペルー伝統料理のセビチェ。酢漬けみたいなもので、とてもすっぱいがおいしい。リマで食べたものとだいぶ印象が違う。
翌日、MY氏、TH氏と情報交換。他にも会いたい人がたくさんいたが、時間がなくて断念。
ワシントンは一泊で切り上げてニューヨークへ。それにしてもワシントンのダレス空港は改装してゲートを増やしたせいか、大混雑。Gゲートは、離れ小島になっていて最悪だった。
気の早いアメリカのメディアは2008年大統領選挙の候補者を論じ始めている。半ば冗談、半ば本気で論じられているのがアーノルド・シュワルツネッガー! 彼はヨーロッパ生まれだから、憲法の規定で大統領になる資格はない(アメリカ国籍を持っていても、アメリカ生まれでなければ大統領になれない)。憲法を改正すべきかどうかというテレビ投票も始まっている。
今日の会議のランチョン・スピーカーはニューズウィークの記者。田舎から来た役人のみなさんにワシントン小話を繰り広げて笑いをとりまくる。最後に「2008年の大統領候補は?」との質問が出ると、両党からいろいろ名前を挙げる。しかし、最後には、「共和党はシュワルツネッガーだね。民主党はヒラリーだよ。副大統領候補はビル・クリントンだね。これなら雑誌が売れまくるよ」だって。本当になりそうで怖い。
今出ている会議は全米の州の公益事業委員会の役人たちとそれに関連する業界の人たちの年次会合。ここで公益事業とは、水道、電気、ガス、電気通信を指していて、それぞれネットワーク産業ということになっている。
しかし、誰も知り合いがいない。ネット系の会議に行けば、知り合いでなくても有名人がいるものだが、そういう人もいない。昨年、同じ団体が主催するブロードバンド・サミットというので話す機会があったが、そのときに司会をしてくれた通称「モンタナ・ボブ」といわれるおじさんがいるだけだ。
そもそもアジア系がほとんどいない。参加者リストでは日本人が私だけで、他に韓国人が1人いるだけ。日本の役人らしい2人組がいるが未確認。3割ぐらいがアフリカ系、残りがヨーロッパ系。偏見だが、ワシントンDCなどの都会に行くと地方自治体の役人はアフリカ系が多いし、ブッシュ支持のレッド・ステートではヨーロッパ系の人が多いのかなと想像してしまう。
「50州×数人+業界のコンサルタントやサービス請負会社」となっているので数百人が集まる大きな会議だ。おもしろいのは、公益事業といってもかなり民間業者へのアウトソーシングが進んでいて、大きな市場を形成していることがうかがえること。通信はその先端を行っているのはいうまでもない(そもそもほとんど公営事業ではない。しかし、ひどく規制された産業ではある)。
今日の昼食は気分を変えて、ホテルに併設されているショッピング・モールのフード・コートでケイジャン料理をいただいた。Bourbon Chickenのコンボだ。こういうものを食べ続けるとあの巨体が形成されていく。私が1年間のアメリカ滞在から帰ってきたときの体重は今より8キロも多かった。
英辞郎によると「Cajun」とは
【形】ケージャンの、ケージャン人[語]の◆米ルイジアナ州(テキサスの東側)に住むアケイディアン Acadian 移民の子孫。Acadian は、カナダ(Nova Scotia)(旧・フランス植民地)からの移民。
となっている。しかし、なぜバーボンなんだ? バーボンに漬けておくのだろうか?
ABCニュースのグッド・モーニング・アメリカを見ていたら、CIAを辞任したMichael Scheuerという人物が出てきた。彼が『帝国の驕り(Imperial Hubris)』の著者Anonymousだそうだ。肩書きは、「Former Head, CIA Bin Laden Unit」となっている。すでに誰が著者かは知られていたわけだ。どうやらCIAの新体制に抗議して辞めたようだ。
(電子フロンティア財団や)クリエイティブ・コモンズは本当によく頑張っているけど、われわれの年代はそのことをよく知らないみたいだ
Dana Priest and Walter Pincus, "Deputy Chief Resigns From CIA: Agency Is Said to Be in Turmoil Under New Director Goss," Washington Post, November 13, 2004; Page A01.
The deputy director of the CIA resigned yesterday after a series of confrontations over the past week between senior operations officials and CIA Director Porter J. Goss's new chief of staff that have left the agency in turmoil, according to several current and former CIA officials.
CIA新長官の改革はうまくいってないらしい。
少し時間があったので散策。
ホテルの中に川まである。
ナッシュビルはカントリー音楽の町。馬もギターを持つ。
カントリー音楽の殿堂Grand Ole Opry。日曜日は休み。隣のミュージアムは開いている。カントリー音楽は演歌みたいなもんなんだろうなあ。ヨーロッパにはないし、ロックのように世界に拡散していったわけではない。ロックのような反骨精神がないから、普遍性がないのか。
前のエントリーの写真と同じ場所から昼間に撮影。巨大なビニール・ハウスの中に作られたような町。
いつも日本線は日本人観光客でいっぱいなのに、今回はやたらとアメリカ人らしき人たちでいっぱい。入国審査も外国人の列が圧倒的に少ない。
やはりシカゴの入国審査で指紋と写真をとられた。左手の人差し指、右手の人差し指を順番に、カウンターの読み取り機に押し付ける。デジタル処理されているようだ。小さなデジタル・カメラで写真も撮られる。思ったよりもすばやい処理。
ホテルがやたらとでかい。東京ドーム5~6個分全部がホテルとコンベンション・センターというイメージ。あるいは六本木ヒルズ全体がホテルといったほうがいいか(高層タワーはないけど)。部屋から会議場に行くのにやたらと時間がかかる。ホテル内にいくつかガーデンが作られていて、クリスマスのイルミネーションがきれいだ。
家を出てから20時間、ようやくナッシュビル到着。シカゴからナッシュビルは小さな飛行機。ナッシュビルのあるテネシーはいわゆるレッド・ステート。
機内の雑誌にCIA職員の募集が出ていた。あまりに普通の広告だった。
Richard K. Betts, "The New Politics of Intelligence: Will Reforms Work This Time?," Foreign Affairs, May/June 2004.
ここ数年のインテリジェンスの数々の失敗にも関わらず、制度改革はうまくいかないだろうと悲観的。
CIA長官はインテリジェンス・コミュニティ全体を統括するDCI(Director of Central Intelligence)でもあったのだが、新設のDNI(Director of National Intelligence)はCIA長官を兼務しなくなるがゆえに立場は弱くなるのではとも指摘。ますますインテリジェンス・コミュニティのパフォーマンスは悪化するのではないかという気もするが大丈夫なのだろうか。
韓君のブログで教えてもらった。おもしろいといったら不謹慎かもしれないが、たしかにおもしろい。
夏に立命館大学大学院国際関係研究科で行った下記集中講義の課題レポートが出揃った。みんな個性的でとてもおもしろい。国際関係論が専門の修士課程の受講者たちの目から見た情報ガバナンスの諸問題。
宣伝です。
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慶應義塾大学 SFC研究所主催
SFC Open Research Forum 2004 (ORF2004)
<21世紀をつくる対論12>
21-12
~未来技術戦略から福澤精神まで~
2004年11月23日(火、祝日), 24日(水)
於 六本木アカデミーヒルズ40(六本木ヒルズ森タワー40階)
参加無料、事前登録不要
詳┃細┃決┃定┃
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http://orf.sfc.keio.ac.jp/
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ブッシュ政権の今後の外交政策に関してブルッキングス研究所とCSISが専門家の討論会を開いたそうだ。地政学なんて言葉が出てきているなあ。
1. ブルッキングス研究所
Richard C. Bush III, Philip H. Gordon, Fiona Hill, and Martin S. Indyk, "The Direction of U.S. Foreign Policy," Brookings Institution, November 4, 2004 (pdf, 43p).
2. 戦略国際問題研究所(CSIS)
Kurt Campbell, Patrick Cronin, Teresita Schaffer, Jon Alterman, Robin, Niblett, and Bathsheba Crocker,"New Administration's Foreign Policy: How Election Results will Affect Geopolitics, Global Perceptions," CSIS, November 4, 2004 (pdf, 29p) .
NIKKEI NETのネット時評「読まれる電子メール――米国の判決が示したプライバシー問題」掲載。
これもだいぶ前に書いたので忘れていた。これをドラフト段階で読んだある先生は「アメリカの裁判官というのはあほだなあ」とおっしゃっていた。まあ、どうなんだろう。法律論議は難しい。
ワシントン・ポストに出た図をスキャンして載せている人がいる。これを見るとブッシュ圧勝の様子がよく分かる。ケリーは都会人にしか支持されていない。アメリカの田舎に住んでいる人はブッシュが大好きなのだ。得票数でも今回はかなり差が出ていたようだから、これでケリーが選挙人をとって当選していたらそれこそ暴動でも起きそうだ。だから、一つ前のエントリーは訂正が必要。民主党は都会派政党になり、共和党はアンチ都会派政党になったのだろう。
その昔、アンソニー・ダウンズが『民主主義の経済理論』(邦訳もあるけど絶版)で確か説明していたと思うのだが、二大政党制といっても、できるだけ得票するためにはどうしても過激に走るのではなく中道にならざるをえない。だから二大政党制でも結局は政策は近づいてきて、差が分からなくなるといわれた。クリントン政権の時には中道化が顕著に出ていた。
今回の大統領選挙を見ると、それがあてはまるのかどうか分からない。ケリーとブッシュで政策に大きな差はなかったように見える。ケリーも「私のほうがうまくできる」というぐらいで、ラディカルに政策に差があった気がしない。
しかし、有権者は二人の政策以上に分裂していたのではないかと思う。ブッシュにうんざりしたアメリカ人がカナダの移民局のウェブサイトに殺到しているというニュースは、米国民の間の分裂があまりにも深いことを示している気がする。
とても面白いとおもってp2p-politics.orgを見ていたのだが、とうのレッシグ教授は失敗だと思っているそうだ。そんなこともないと思うのだが。
そのために、われわれはp2p-politicsを制作した。だがすばらしい技術的実装にも関わらず、このアイデアは失敗だった。無数の人々がサイトを訪れてビデオクリップを観た。たくさんの素晴らしいクリップが寄せられた。だがそのなかで、誰かに議論を、理由を、せめてビデオクリップを送信する機能を利用したのはごく僅かだった。