国際関係論: 2004年4月アーカイブ
Steven C. Clemons, "Visas for America: The Folly of Discouraging Visitors," International Herald Tribune , 10 April 2004.
メールを交換したことのあるクレモンスさんが送ってくれた。
アメリカは9.11後にビザの申請料を65ドルから100ドルに上げた。しかも、ビザ発給が認められなくてもこの料金は返金されない。途上国の人々にとっては大金だ。おまけに発給拒否率は9.11後に上がってきている。アメリカが内向きになって外から来る才能を拒むのは、結局はアメリカのためにならない、というのが彼の主張。
ビザ拒否率のデータも公開。
http://www.steveclemons.com/visafees.htm
でも、こういうまっとうな意見は無視されるんだろうなあ。
坪内淳「「アメリカ時代の終わり」と日本のグランド・ストラテジー―日米同盟という「応急措置」の先にあるもの」『世界と議会』2004年3月号。
坪内先生は相変わらず歯切れがいい。なるほど「イラク問題」ではなく「アメリカ問題」のほうが深刻という指摘。
この戦争に「大義」があったのかどうかは、問題の本質ではないのである。アメリカがそのように「判断」し、それを単独で実行する「能力」を持っているということこそが、現在の国際関係の最大の特徴であり、それが「アメリカ問題」である。
日本の対米政策が「忠米」という指摘も面白い。きっと日米同盟堅持派からは批判が浴びせられるのだろうが、それこそがおかしいというのが坪内先生の指摘だ。
「グランド・ストラテジー」という言葉は、リデルハートが『戦略論』の中で使い、最近では(坪内先生が翻訳した)カプチャンの『アメリカ時代の終わり』で使われている。
「ポスト・ポスト冷戦」の時代(9.11後の時代)は、「グランド・ストラテジーを競う時代」になるかもしれない。言い換えればそれが「新しい帝国主義の時代」かもしれない。
日本でもグランド・ストラテジーを研究する研究者や研究所がたくさん出てこないとまずい。まずいぞ!
横浜で「日米交流150周年記念式典」が開かれた。1854年に日米和親条約が結ばれたことを記念したもの。小泉首相やベーカー駐日米大使などが来ていた。日本語で挨拶した米国人学生のスピーチが見事だった。
式典の後で開かれたレセプションはあまりの大人数で芋洗い状態。食べ物もぜんぜん足りなかった。