国際関係論: 2004年11月アーカイブ
気の早いアメリカのメディアは2008年大統領選挙の候補者を論じ始めている。半ば冗談、半ば本気で論じられているのがアーノルド・シュワルツネッガー! 彼はヨーロッパ生まれだから、憲法の規定で大統領になる資格はない(アメリカ国籍を持っていても、アメリカ生まれでなければ大統領になれない)。憲法を改正すべきかどうかというテレビ投票も始まっている。
今日の会議のランチョン・スピーカーはニューズウィークの記者。田舎から来た役人のみなさんにワシントン小話を繰り広げて笑いをとりまくる。最後に「2008年の大統領候補は?」との質問が出ると、両党からいろいろ名前を挙げる。しかし、最後には、「共和党はシュワルツネッガーだね。民主党はヒラリーだよ。副大統領候補はビル・クリントンだね。これなら雑誌が売れまくるよ」だって。本当になりそうで怖い。
ABCニュースのグッド・モーニング・アメリカを見ていたら、CIAを辞任したMichael Scheuerという人物が出てきた。彼が『帝国の驕り(Imperial Hubris)』の著者Anonymousだそうだ。肩書きは、「Former Head, CIA Bin Laden Unit」となっている。すでに誰が著者かは知られていたわけだ。どうやらCIAの新体制に抗議して辞めたようだ。
韓君のブログで教えてもらった。おもしろいといったら不謹慎かもしれないが、たしかにおもしろい。
ワシントン・ポストに出た図をスキャンして載せている人がいる。これを見るとブッシュ圧勝の様子がよく分かる。ケリーは都会人にしか支持されていない。アメリカの田舎に住んでいる人はブッシュが大好きなのだ。得票数でも今回はかなり差が出ていたようだから、これでケリーが選挙人をとって当選していたらそれこそ暴動でも起きそうだ。だから、一つ前のエントリーは訂正が必要。民主党は都会派政党になり、共和党はアンチ都会派政党になったのだろう。
その昔、アンソニー・ダウンズが『民主主義の経済理論』(邦訳もあるけど絶版)で確か説明していたと思うのだが、二大政党制といっても、できるだけ得票するためにはどうしても過激に走るのではなく中道にならざるをえない。だから二大政党制でも結局は政策は近づいてきて、差が分からなくなるといわれた。クリントン政権の時には中道化が顕著に出ていた。
今回の大統領選挙を見ると、それがあてはまるのかどうか分からない。ケリーとブッシュで政策に大きな差はなかったように見える。ケリーも「私のほうがうまくできる」というぐらいで、ラディカルに政策に差があった気がしない。
しかし、有権者は二人の政策以上に分裂していたのではないかと思う。ブッシュにうんざりしたアメリカ人がカナダの移民局のウェブサイトに殺到しているというニュースは、米国民の間の分裂があまりにも深いことを示している気がする。