国際関係論: 2009年2月アーカイブ
ニューヨークで開かれているISA(International Studies Association)に参加。全4日の日程のうち、最初の2日間しか出席できなかったが、初日にポスター発表、2日目にパネル発表をこなした。
ポスター発表はたぶん初めてやった。多少不安があったが、グーグルで指定の大きさに合ったフォーマットのパワーポイントをダウンロードして、コンテンツを埋めて、キンコーズに持ち込んで印刷してもらった。かなりの大筒を持って飛行機に乗らなくてはいけなかった。案の定、開けて中身をチェックされたらしい。
普通、ポスターは学会の間ずっと掲示されていて、指定時間にポスターの前に立って説明するというスタイルだが、ISAではポスター発表はまだ実験段階のようで、指定時間だけ掲示して、そこに立っていれば良い。指定時間が終わったらはがしてしまい、掲示板は次のポスター発表に使われる。
実際に始まるまでは、1時間45分は長い気がしたが、やってみると割とすぐに終わってしまった。インテリジェンスに関連する発表だったのだが、Fのビューローに17年いたとか、Cのエージェンシーに35年いたとか強者がいろいろ現れて、私の研究発表をするよりも、こちらからインタビューする感じになって、けっこう楽しかったし、いろいろ聞けて良かった。それと、ポスター発表になれていない人が多いらしく、「ポスター発表ってどうやるの?」と後でポスター発表する人から質問を何回か受けた。
翌日のパネル発表はサイバーテロに関して。日本の国際政治学会もそうだけど、ISAもまだパワーポイントを使う文化が無くて、わざわざホテルと交渉しないとプロジェクターを持ってきてくれなかった。実際、3人のパネリストのうち使ったのは私だけ。
そもそも5人のパネリストがいたのだが、2人がドタキャン。国際学会はno showが多い。私以外の二人はヨーロッパの大学の同僚同士なので、何となく分が悪い。二人はお互いの研究をよく知っているからリファーしながら発表している。しかし、ヨーロッパの人は飾りっ気なしで、とうとうと話すスタイルがいまだ主流のようだ。
サイバーテロについてのパネルといいつつ、あまり中身の話はなくて、聞いている人は若干つまらなかったのではないかと思う。他の二人のうち一人は予告と違う内容で、テロリスト系ウェブサイトの静的な分析、もう一人はYouTubeでテロに関するどんなメッセージが流されているかという話だった。欠席した一人はペーパーだけ出したのだけど、彼の結論はサイバーテロはただのハイプだというもの。それはちょっと言い過ぎで賛成できない。現に起きているわけだし、使われる技術は核兵器と比べたら実に簡単でどこでも手にはいる(だから軽視されているともいえる)。
ま、私の発表はやはり準備不足の感は否めないが、まあまあだろう。終わった後にポーランドの先生から自分が編集している雑誌に載せるからペーパーを送ってくれと頼まれた。ちょっとうれしい。
今回の大きな収穫は、実積寿也先生の紹介で福田充先生とお知り合いになれたこと。地元ニューヨークのコロンビア大学で在外研究をされている(実積先生もコロンビア大学にいらしたがすでに帰国)。研究の関心が重なる部分もあり、大いに刺激を受ける。私のプレゼン中の写真まで撮っていただいた。
7月以来のニューヨークはやはり楽しい。寒い季節のニューヨークのほうが良いと思う。