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3-2.戦略:知性の差別化戦略
3人の資源リストを分析すると、“僕”の強みになる可能性は『知性』にあります。この点では“僕”は彼女よりも優位な位置にあります。そこで、この資源を徹底的にアピールすることが、ファースト・ステップです。ただし“僕”の知性は、いわゆる学業成績としては表現されていません。この点ではライバルの副主将にはかないません。そこで、知性の差別化を全面にプッシュすることが重要になります。
差別化の基準は『真面目な知性/楽しい知性』です。真面目な知性はライバルに典型的な知性なので、それは所詮、つまらなく・通俗的で・点取り虫的な知性にすぎない、というイメージを無意識に連想させるように仕掛けを組まなければなりません。対照的に、楽しい知性(ゲイ・サイエンス)は、ニューアカ的で・ユニークで・脱既成教育的な知性であって、それこそが“僕”の知性感覚に似合っていると、さりげなくアピールする戦略が必要です。
戦術としては、サブリミナル・テープをすぐに購入してプレゼントし、彼女の知性観を変更する方法が最適でしょう。そうやって、学校教育至上主義的歴史研究知性ではなく、路上観察学的知性の優位を彼女の無意識の世界にストレートにアピールしておけば、準備はもう万全です。
このように、知性には2つの大きな流れがあり、副主将と“僕”は、その得意の分野にかんして異なっているだけで、副主将の知性が素敵ならば、“僕”の知性だって素敵なはずだ、ということを分かってもらわなければなりません。学内の知性王が副主将ならば、学外の知性王はまさに“僕”なのだ、という知性の特化/分化を理解させることが肝心なのです。そうすれば、分野は違えど二人は同じ知性王なのだという点を媒介にして、副主将から“僕”への愛のシフトは容易になるのです。
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