“デート”(糸井重里)をめぐる社会学的想像力:1991.3
 
1. 構造分析
2. 長嶋さんからの模範回答
3. ゲームの達人からの回答
-1 状況分析
-2 戦略:知性の差別化戦略
-3 戦略:美貌の痴呆化戦略
-4 戦略:“やさしさ”の戦略
-5 長時間プレイへの回答
4. 山口さんちのマサオ君からの回答
-1 モデルとしての「蒲田行進曲」
-2 長時間プレイへの回答
5. code99からの回答
6. code99:期末レポート"date"
3−5.長時間プレイへの回答

やっと結論に到達しました。彼女の長時間プレイの提案には、つぎのような回答が最適でしょう。

1. 長時間会わないでいるプレイはゲームとしては非常に楽しいそうなので、プレイには基本的には賛成であることを表明する。

2. ただし、このプレイにはルールの調整が必要なので、ルール研究会をもつことを提案する。なお、これは、決してプレイの実施を延期する意図でなされるものではなく、ゲームをより楽しいものにするために不可欠なことであることを十分に説得しなければならない。

3. 研究会のテーマは、つぎの2点にする。
a) 会わないでいる時、どこまでがゲームの実行中であるか、を判定する基準を作成する。
例>おフロに入っている時は、ゲーム中なのか、いなか
b) 電話や手紙によって通信行為を行なった時、それは逢っていることになるのか、といった、逢うことの範囲をめぐる基準を作成する。

4. この研究会は、週Я回の割合で開催されることを提案する。

<A> この研究会の提案に平行して、前述した戦略・戦術を秘かに展開する。
Ω )知性の差別化戦略(戦術:サブリミナル・テープのプレゼント)
θ )美貌の痴呆化戦略(コウモリ戦術)

以上の提案と戦略により、状況はつぎのように展開しよう。

(1)上記の2つの戦略がうまく進展すると、彼女は、副主将に捨てられ、その結果、“僕”との研究会に来ることに唯一の救いを求めるようになる。

研究会における“僕”との主従関係だけが、彼女のボロボロの心をいやす、たった一つの残された手段なのである。

しかもすでにこの時テープの効果によって、“僕”はすでに過去のダメ男ではなく、ニューアカの旗手に変身している。

にもかかわらず、“僕”がどこまでも優しさの戦略で通すと、彼女はある瞬間に、いままでの主従関係が全くの幻想であったことに気づき、“僕”の優しさに深い負い目を感じ、それへのお礼には愛しかないことに気づく。

しかもその愛は、彼女のもつ高いプライドを傷つけるものではない。なぜならば、“僕”は副主将に対抗できるほどの知性の人だからである。“僕”の知性と彼女の愛が交換されるのである。

(2)研究会はそのまま対等な関係にある二人の場として継続され、開始されることのない長時間プレイのルールの基準づくりが楽しそうに語られるのである。