ボストン: 2008年5月アーカイブ

寝ぼけまなこで起きると、テレビで民主党の党規委員会の中継が始まっていた。何気なく見始めたがかなりおもしろい。大統領選挙の行方を決める委員会になるのかもしれない。背景については、例えばこちらこちらこちらを参照。

2004年の選挙でインターネット旋風を巻き起こしたハワード・ディーンが民主党の委員長を務めており、彼の挨拶も気合いが入っていた。司会が二人いるのだが、そのうちの一人はどうやらフランクリン・ルーズベルト大統領の孫らしい。

今のところ一番盛り上がっているのは、オバマ派の下院議員でフロリダ州選出のRobert Wexler議員の演説と質疑応答。彼の発言に激しい拍手とブーイングが巻き起こる。

その後も延々と議論が続けられ、それぞれの立場から熱心に主張している。普段は偉そうに質問している議員たちが、党規委員会の委員たちにぐりぐり質問攻めにされている姿もおもしろい。

真の勝者は民主主義だという指摘ももっともだ。複雑な大統領選挙の仕組みについて、これだけ報道されればより分かった気がする。

Alan Wolfe, "The Race's Real Winner," Washington Post, May 11, 2008; Page B01.

徹底的に議論することで、結果に対する満足度は上がる。オバマにせよ、クリントンにせよ、マッケインに勝てるかどうかは別の話だが、比較的あっさりと決まった共和党よりも、民主党のほうがアメリカ政治が理想とする姿を描き出したといえるだろう。ここまでもめなかったとしたら、モンタナやサウスダコタの予備選なんて誰も注目しなかっただろう。

今日のボストンはサンダーストームの予報が出ているせいか、外出している人が少ない気がする。窓から見える駐車場の出入りが週末にしてはとても少ない。みんなこのテレビを見ているのだろうか。

20080529swan.JPGボストンには春がなかなか来ないなあと思っていたら、もう夏になってしまった。月曜日はメモリアル・デーで休日だった。この日を境にアメリカの学校は夏休みに入る。MITも先週は試験期間で、その前の週で授業も終わってしまっている。来月6日にはMITの卒業式も行われる。気温はぐんぐん上昇し、アメリカ人はTシャツと半ズボンで歩いている。ボストンの夏も日本並みに暑いそうで、気が滅入る(もっと涼しいと思っていたのに)。

今日は特に気持ちの良い天気なので仕事をさぼり、ダウンタウンのパブリック・ガーデンへ散歩に行き、A学部長が好きそうなスワン・ボートに揺られる(ちなみにこのブログの上部にある絵はボストンをイメージしたもので、左側に少しだけ見えているのがスワン・ボート)。

ところで、少し前にニューヨーク・タイムズの社説にネットワーク中立性のことが載った。さすが、新聞はうまく議論をまとめるものだと思う。日本のネットワーク中立性に関する懇談会では、アメリカの議論はずれているという話があったけど、やはりアメリカでは民主主義の話とつながっている。そうでなければこれだけみんなが議論するわけはない。普遍的な価値に引きつけて議論するからこそおもしろくなる。単なるビジネス・モデルの話ではない。

"Democracy and the Web," New York Times, May 19, 2008.

数日後、政府が規制してネットワーク中立性を確保しようとするのはおかしいという意見投稿もあった。

Mike McCurry and Christopher Wolf, "Regulating the Net," New York Times, May 22, 2008.

「政府の介入を許してまでも」ネットワークの中立性を確保すべきなのかどうかが重要な論点で、日本の総務省も議論まではしたけれども、ダイレクトな規制にまでは踏み込めなかった。そのギリギリのラインを見定めるのがこの議論の肝なんだろう。

ニューヨーク大学でわいわい「インターネットの未来」について議論しているビデオもおもしろかった。

http://www.isoc-ny.org/?p=214

日本でもガソリン価格が問題になっているようだけど(正確には税金の話か)、アメリカのガソリン価格も深刻だ。たまにジップカーに乗るぐらいで、普段は乗らないことにしたので、私には大して影響がないが、ニュースでは毎日その話をしている。

2001年から2002年にワシントンにいた頃はたしか1ガロン108セント(1.08ドル)で安いなあと思った記憶がある。データを確かめてみると確かにそうなのだが、それはかなり安かった特別の時期だということが分かる。次のグラフはエネルギー省のデータを元に作ってみたもので、1990年の湾岸危機以降のデータが出ている。湾岸危機前のデータがないのが残念だが、湾岸危機でほんの一瞬上がってからは、比較的安定していて、1999年後半から市場が荒れているようだ。9.11以後はなぜか安くなり、2002年春から上昇に転じている。その後は上がる一方で、3.5倍近くなっている。

gaspricehistory.jpg

今住んでいるアパートからは駅に併設されている駐車場がよく見える。朝と夕方のラッシュ時間は車の行列ができていて、クラクションがうるさい(ボストンの人は意外にもかなりクラクションを鳴らす)。毎日毎日車に乗っている人にはこの値上がりはたまらないだろうなと思う。地下鉄のないエリアに住んでいる人には車は不可欠だ。東京のような満員電車もどうかと思うけど、地下鉄を延伸すれば良いのにと思う。やはり電車は嫌いなのかなあ。

ガソリン価格の高騰のせいで、燃費のいい小型の日本車が売れ始めているそうだ。不必要にでかい車が多いから良い傾向だと思う。MITやハーバードのイベントでも環境問題、エネルギー問題関連のものが多い。Go Greenはかなり根付いてきている。

こういう生活上の不満は大統領選挙にどう影響するのだろう。もし法的に可能だとしても、この状況ならブッシュ大統領の三選はあり得ないだろう。何だかアメリカ人も民主党の混乱には疲れているような様子があり、決め手を欠くオバマを見離す声も出てきている。

MIT学長のコラム
Susan Hockfield, "MIT's Burgeoning Role in the Green Movement," Boston Globe, April 7, 2008.

【追記】
米国の1ガロンは約3.785リットルである。1リットル当たりに換算すると92セント(約100円)にしかならない。税金の上乗せ幅が違うとしても(米国のガソリンにも税金が入っている)、まだまだ米国のガソリンは安いことになる。

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