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2.ネットワークの社会的意味
2)弱さとボランティア
ネットワーク環境では、人はすべて「知りたい、でも知らない、だから、誰か助けて」という意味で弱い人であり、その前提に立脚してコミュニケーションが発動される。だから情報探索がスタートで、情報支援がそれに応えることで、コミュニケーションが成立する。したがって既存の情報発信と情報受容のコミュニケーション図式はもう古い。これは、情報を所有している人と所有していない人の落差を利用して、情報が伝達される図式で、これは対面的で閉鎖した関係に典型的なコミュニケーション・パターンで、ネットワークという非対面的でオープンな環境ではふさわしくない。情報発信ー受信のモデルが、強者と弱者の関係から構成されるのにたいして、ネットワーク環境では『すべてが弱者で、同時にすべてがボランティア』なのである。
ネットワークは、相互に情報探索し相互に情報支援する関係をもっとも優先する環境である。これは、ボランティアそのものである。すべての人が、弱い自分を前提にしてコミュニケーションをするとき、そこでは、すべての人は必然的にボランティアとして行動せざるをえない。一部の弱者にたいして一部の強者がやさしさを振りまく、という役割分化が確定した関係としてのボランティアではなく、すべての人が弱いことで、その人の心理(やさしいとかのボランティア精神)に関係なく、誰もが社会的な関係(社会的な役割)においてボランティアとしての行動を余儀なくされる。ネットワークは、どこまでもボランティアとしての行動をすべての人に要求する。
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