ネットワークコミュニティ2015
-Network communty#2015-
 
序論
1. 2015年の成熟化問題
2. ネットワークの社会的意味
  -1 情報探索と情報支援
  -2 弱さとボランティア
  -3 情報共有と情報生成(創造性)
  -4 公共空間(贈与性)と私的空間(ニーズ)の融合と拡散
  -5 自己責任と相互了解プロセス
3. ネットワークコミュニティのヴィジョン
  -1 携帯家族のヴィジョン
  -2 構造としての家族の絆
  -3 役割融合と自立する契機
  -4 家族拡張の原理:第3の関係
  -5 現実からの支持
  -6 ネットワークコミュニティの生成プロセス
3.ネットワークコミュニティのヴィジョン

2015年の人口データを前提にすると、5年間の成熟化へのシフトが緊要な社会問題である。この問題解決するための社会ヴィジョンを構築するために、ネットワークの社会的意味を検討した。最後に、ここから成熟したネットワーク社会のヴィジョンを構想してみる。

ネットワーク以前の社会システムは専門分化と統合という社会原理に基づいて構成されていた。その典型が「機能と階層」によって構造化された近代産業社会である。これは5つのネットワーク特性すべてと対極にある理念/概念によって構成された社会システムである。とすると、もしもIT革命が文字通り上記の5特性を基本に社会構造を構築するとしたら、それは革命と呼ぶにふさわしい社会ヴィジョンを要求するはずである。

そこで、その新しい社会ヴィジョンを「ネットワークコミュニティ」を呼ぶ。もちろん新しい社会ヴィジョンを描くアプローチは多様であろうが、ここでは、マクロな視点でもまたビジネス/組織論的な視点でもなく、あえてミクロな生活/家族レベルから考えることにする。その理由は、後述するように、ネットワークを活用している生活者のライフスタイル特性をみると、ポスト核家族への志向が明確に確認され、さらにはネットワーク環境のもとで新しいコミュニティを形成しようとする傾向が強く確認されるからである。しかしデータで確認する前に、ポスト核家族はネットワークの社会的意味との間でどのような適合関係にあるか、を論理として確定する。