2004年09月25日
無事帰宅しました
昨晩、無事に帰宅しました。最後時間がなくて慌ただしくて残念でしたが、いろいろ学ぶところがあった五日間でした。体重もかなり増えていました。うどんを食べ過ぎたかもしれません。
皆さんのレポート楽しみにしています。是非いいものを送ってください。
投稿者 taiyo : 05:20 | コメント (0) | トラックバック
2004年09月24日
レポート課題
講義中で論じたトピックや分析枠組みを用いて、情報ガバナンスについて論じよ。
横書き8000字程度。
締め切りは2004年10月8日(金)の午後5時(17時)
電子メールで担当者(taiyo@sfc.keio.ac.jp)まで送ること。
なお、レポートはウェブで公開するのでそれを前提に執筆・提出すること。
投稿者 taiyo : 15:43 | コメント (0) | トラックバック
2004年09月22日
講義ノートを一覧するには
右の欄の一番下にある「講義ノート」をクリック。カテゴリが「講義ノート」になっているエントリがすべて表示されます。
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2004年09月18日
京都の天気
投稿者 taiyo : 19:12 | コメント (0) | トラックバック
参考文献一覧
- Albert-Lazlo Barabasi, Lined: The New Science of Networks, Cambridge, MA: Perseus, 2002(アルバート=ラズロ・バラバシ/青木薫訳『新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く』NHK出版、2002年)。
- C&C振興財団編『ブロードバンド国家戦略』NTT出版、2003年。 C&C振興財団編『デジタル・デバイド』NTT出版、2002年。
- Steven Johnson, Emergence: The Connected Lives of Ants, Brains, Cities, and Software, New York: Simon & Schuster, 2001(スティーブ・ジョンソン/山形浩生訳『創発―蟻・脳・都市・ソフトウェアの自己組織化ネットワーク』ソフトバンクパブリッシング、2004).
- Lawrence Lessig, Code and other laws of cyberspace. Basic Books, 1999(ローレンス・レッシグ/山形浩生、柏木亮二訳『CODE―インターネットの合法・違法・プライバシー』翔泳社、2001年。
- Joseph S. Nye, Jr。, Soft Power: The Means to Success in World Politics, New York: Public Affairs, 2004.
- Howard Rheingold, Smart Mobs: The Next Social Revolution, Cambridge, MA: Perseus, 2003(ハワード・ラインゴールド著/公文俊平、会津泉監訳『スマートモブズ―<群がる>モバイル族の挑戦』NTT出版、2003年)。
- 岩崎正洋・植村秀樹・宮脇昇編『グローバリゼーションの現在』一藝社、2000年。
- 梅棹忠夫『情報の文明学』中公文庫、1999年。
- 木村忠正『デジタルデバイドとは何か』岩波書店、2001年。
- 木村忠正・土屋大洋『ネットワーク時代の合意形成』NTT出版、1998年。
- 公文俊平『情報文明論』NTT出版、1994年。
- 田中明彦『ワード・ポリティクス―グローバリゼーションの中の日本外交―』筑摩書房、2000年。
- 土屋大洋『情報とグローバル・ガバナンス―インターネットから見た国家―』慶應義塾大学出版会、2001年。
- 土屋大洋『ネット・ポリティックス―9。11以降の世界の情報戦略―』岩波書店、2003年。
- 林紘一郎・池田信夫編『ブロードバンド時代の制度設計』東洋経済新報社、2002年。
- 村井純『インターネット』岩波書店、1995年。
投稿者 taiyo : 18:26 | コメント (0) | トラックバック
第15回 受講者のレポート・プロポーザル発表(3)とまとめ
第15回 受講者のレポート・プロポーザル発表(3)とまとめ
■玉垣憲一「日本外交のパブリックディプロマシー政策―外務省改革を中心に」
セキュリティ・クリアランスの概念をきちんと導入することが重要では? これは文書管理とも裏返し。
"Lecture Series: Winning Hearts and Minds: Propaganda and Public Diplomacy in the Information Age"も参照。
■岩田康雄「情報ガヴァナンス報告」
メディア検証機構
中国の人民日報の強国論壇
■与原裕介「インターネット開発過程におけるアメリカ政府の役割」
児玉文雄のテクノパラダイム論(『ハイテク技術のパラダイム』)と薬師寺泰蔵の「テクノスタイル論」(日経新聞に連載):技術が社会を変化させるのか、社会が技術を選ぶのか。
競争力は経済学では厳密に定義できない概念だが(比較優位はあるが)、これはどういう文脈で生まれてきたのか?
国防総省の研究開発費と、電電公社・NTTの研究開発費
投稿者 taiyo : 18:25 | コメント (0) | トラックバック
第14回 受講者のレポート・プロポーザル発表(2)
第14回 受講者のレポート・プロポーザル発表(2)
■中矢拓司「情報化と地球環境問題」
エピステミック・コミュニティ論と情報化、知識構造
スーザン・ストレンジ『国際政治経済学入門―国家と市場』
■池田優
米国のHIPPAのケースが参考になる?
インテリジェンス・コミュニティと同じ構図。「秩序・安全」を「科学の発展、国民の健康管理」と入れ替える。
■藤井大介「2ちゃんねるは忌むべきものか」
鈴木謙介『暴走するインターネット』
しばらく前のAERAに特集があって、金の流れに切り込んでいる。
投稿者 taiyo : 18:25 | コメント (0) | トラックバック
第13回 受講者のレポート・プロポーザル発表
第13回 受講者のレポート・プロポーザル発表
■竹本信介「不平等社会化と対外政策決定(仮)」
佐藤俊樹『不平等社会日本』(中公新書)
ジョセフ・ナイ『ソフト・パワー』(日本経済新聞社)
■岡真由美「インターネットと現代の社会運動」
■山村英隆「『Yahoo! 読売』が実現する日?」
新聞発行部数
主要全国紙
地方紙
九州・中国・四国
新聞のローカル性はどういう意味を持つのか?
投稿者 taiyo : 18:24 | コメント (0) | トラックバック
第12回 情報通信政策
第12回 情報通信政策:ブロードバンド、電波、日米交渉
→パワーポイント資料
■NTT経営形態
独占か、競争か、国際的競争力か
一体経営か、分割か
郵政族議員の暗躍:郵政・通信事業と利権
■ブロードバンド
普及率:韓国が第一位、日本はじわじわと上昇、北欧が強い
料金:ビット単価では日本が第一位
ソフトバンク参入による秩序破壊
トリプルプレイからクアドラプルプレイへ
■電波
総務省の「電波利用ホームページ」
周波数帯別に見る電波利用の現状
命令と統制型
市場解決型
技術解決型
韓国の2.3GHz帯サービス
日本は居座り型か?
■日米交渉
日本の事業者がUSTRに圧力をかけ、USTRが総務省とNTTに圧力をかけるという図式
相互浸透モデル
ツー・レベル・ゲーム
投稿者 taiyo : 18:24 | コメント (0) | トラックバック
第11回 デジタル・デバイド
第11回 デジタル・デバイド:国内・国際デバイド、ドットフォース、WSIS
■ユニバーサル・サービス
セオドア・ヴェイル(AT&T社長):分割を回避するためにユニバーサル・サービスを政府に約束
どこでも均一にサービスを提供する義務:日本の電電公社とNTTにも
■アメリカにおけるデジタル・デバイド
電話があってもISPのアクセス・ポイントがない
ブロードバンドがない
教育のデバイドと相似形
多分に政治的な要素
■2000年九州・沖縄サミット
IT憲章で国際的なデジタル・デバイドをとりあげる
日本政府はIT憲章で終わらせようと思っていたが、実行が伴わないとだめという批判を受け、ドットフォース(Digital Opprtunity Task Force)が設置される
翌年のイタリアのジェノア・サミットに報告書提出するが、デモ隊の騒ぎにかき消される
さらに一年延長され、2002年のカナダのカナナスキス・サミットに具体的な政策案を提出
■国連ICTタスクフォース
2000年にアナン事務局長が提案
数回会合が開かれるが、実質的に機能せず(ドットフォースとの重複も問題に)
■世界情報社会サミット(WSIS)
ITU主導でデジタル・デバイド解消のための提案を議論する
ITUによるインターネット主導権獲得のための運動
2003年にスイスのジュネーブ、2005年にチュニスのチュニジアで本会合。その前に各地域とジュネーブで準備会合
インターネット・ガバナンスが問題に:なぜ台湾が入っているのか、なぜ米国政府がルートAサーバーを管理しているのか
アナン事務局長の下にインターネット・ガバナンスを考えるタスク・フォースを設置
日本ではIGTFが始動
■文化とインターネット
増大する非英語人口
チュニジア:産業化時代の失敗を繰り返さない
ペルー:ローカルな言語の導入
■文字コードとフォント
カンボジアのクメールとISO
インターネット・コミュニティの役割
■アクセシビリティ
インターネットを使いにくい人々
画像認証
バイオメトリックス認証
投稿者 taiyo : 18:23 | コメント (0) | トラックバック
第10回 言論の自由
第10回 言論の自由:通信品位法、2ちゃんねる
C&C振興財団監修、原田泉・土屋大洋編著『デジタル・ツナガリ』(NTT出版、近刊)第1章(上村圭介)、第2章(渡会俊輔)を参照。
■インターネット・コミュニティ、オンライン・コミュニティ、ネット・コミュニティ
インターネット・コミュニティ:インターネットの自由を守ろうとする人々
オンライン・コミュニティ:パソコン通信に参加していた人々
ネット・コミュニティ:パソコン通信やインターネットが作り出すさまざまなコミュニティ
ネットワーク技術は群れを作り出す←ハワード・ラインゴールド『スマート・モブズ』
■1996年通信品位法(CDA)
孫と一緒にインターネットを見ていた上院議員がポルノに衝撃を受け、インターネットのポルノを規制しようとした
#ポルノはインターネットを普及させた要因の一つ←VHSと似ている?
「obscene」と「indecent」:前者は規制されるが、後者はグレーゾーン。
「indecent」な素材の規制は表現の自由を規定した米国憲法修正第一条に違反→CDA違憲判決
インターネット・コミュニティが政治的活動を行った最初のケース→ネティズン(智民)のアクティビズム
インターネットにおける表現の自由とは?
マスメディアのようなメディアの希少性(電波その他kのインフラ)が存在しないから言い放題か?
■パソコン通信
1982年から1983年にかけて日本でも徐々にパソコン通信ホストが開局
1984年7月 日本航空JALNET
1983年3月 Tele Star
1983年5月 アスキーネット
1986年4月 PC-VAN
1987年4月 NIFTY-Serve
企業や自治体、公共施設、個人といったさまざまな主体がパソコン通信ホストを開局
日本で、純粋なパソコン通信の利用者がもっとも多かったと思われるのは、1995年ごろ
1995年6月の段階で、日本の商用パソコン通信サービスの会員は369万人
1996年に入るとパソコン通信事業者大手が、会員に対してPPPによるダイアルアップ接続サービスを提供
■オンライン・コミュニティ
パソコン通信の主要なサービスは、「会員間の」電子メールと掲示板
インターネットとの違い
(1)ほとんどのサービスがテキスト・ベース
(2)すべてのサービスは通信ホストを経由して提供
(3)参加者が通信ホストの提供するサービスの中に完全に囲い込まれていたこと
電子掲示板:一方向的な告知を掲載
電子会議室:複数の参加者が参加してメッセージを投稿しあう
→総称して「掲示板」ということが多くなる
■ニフティ・サーブ
電子会議室サービス(フォーラム)
趣味(鉄道、アマチュア無線、映画、競馬)や学術分野(文学、哲学、歴史、科学)、各種スポーツ競技(野球、水泳、テニス)、生活関連(健康、料理、信仰)、社会問題(女性、教育、恋愛)
スレッドによる議論の整理
シスオペとサブシスによる「管理」(身分制度の存在)
ハンドル名の利用(半匿名)
入会承認
最終的にはニフティが会員情報を把握し、管理が可能で、除名もできる
事業者が提供するシステムとインフラに強く依存
■ニフティ思想フォーラム事件
ニフティの思想フォーラムにおける書き込みが名誉毀損にあたるとして問題になった事例
被害者は、名誉毀損的な書き込みを行った利用者とともに、その書込みを削除せずに放置しておいたとして、シスオペおよびニフティ自体を訴えた
高裁判決の中で、シスオペの削除義務について義務違反は否定
■ニフティ本と雑誌のフォーラム事件
ニフティが不法行為に対して適切な措置をとらなかったために精神的被害を受けたとして損害賠償請求
書き込みを行った本人についてはハンドル・ネームしか分からないため、本人を直接訴えることはせずに、ニフティを訴え
東京地裁の判決は損害賠償請求を棄却
本件各発言がされたパソコン通信についてみるに、フォーラム、パティオへの参加を許された会員であれば、自由に発言することが可能であるから、被害者が、加害者に対し、必要かつ十分な反論をすることが容易な媒体であると認められる。
■パソコン通信からインターネットへ
サービスの比重がインターネットへシフトしていった
電子会議室サービスが急増する利用者に対応するだけの拡張性と柔軟性を持ちえなかった
サービス・モデルが事業者主導であった
強固に設定された著作権によりコミュニティの資産である発言ログが再利用できなかった
掲示板の資産を移行させられなかった
何よりパソコン通信サービスそのものがコミュニティを維持するために必要な要素であった
■ユーザを解き放ったインターネット
入会承認:どこへでも好きなところに匿名でいけるようになった
料金:ダイヤルアップから常時接続へ
技術:GUIが登場するとともに、情報発信が容易になった
■匿名掲示板の台頭
匿名と顕名
匿名掲示板は著作権をパブリック・ドメインに置くことができる?
■動物病院対2ちゃんねる
動物病院の経営者が、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」に自分の名誉を毀損する発言が書き込まれたため、掲示板の管理者に対し書き込みの削除を依頼したにもかかわらず、掲示板の管理者がそれらの発言を削除するなどの義務を怠りその状態を放置したため、精神的損害を被ったなどとして、損害賠償と名誉毀損発言の削除を求めたもの
情報の発信者が分からないため、情報の発信者ではなく、掲示板の管理者に対して書き込みの削除とさらに慰謝料の請求
東京地裁の判決は、動物病院の経営者の訴えを認める
このような匿名で利用できる電子掲示板においては、他人の権利を侵害する発言が数多く書き込まれることが容易に推測され…(略)…被告は、遅くとも本件掲示板において他人の名誉を毀損する発言がなされたことを知り、又は、知り得た場合には、直ちに削除するなどの措置を講ずべき条理上の義務を負っている
(被害者は)本件掲示板を利用したことは全くなく、本件掲示板において自己に対する批判を誘発する言動をしたものではない。……複数と思われる者から極めて多数回にわたり繰り返しされているものであり、本件掲示板内でこれに対する有効な反論をすることには限界がある
被害者の動物病院の経営者は自らについての名誉毀損的な書き込みがなされるまでそのコミュニティに参加したこともなく、知人から指摘されて初めて書込みに気づいている
はじめにこの動物病院についての書き込みを行った者も、書き込みの内容をコミュニティの参加者に伝えたいというよりは、被害者に危害を加える目的で、コミュニティ内にとどまらずできるだけ多くの人に広めたいという意図があった?
■「研究する人生」におけるセンター試験情報の流出
■2001年11月にプロバイダ責任法(2002年5月に施行)
掲示板の書き込みにより、名誉毀損、著作権侵害などで権利を侵害されたとする者は、プロバイダや掲示板の管理者などに対し、
(1)違法情報の削除の申し出
(2)発信者情報開示の請求
を行うことができるようになった。
2ちゃんねるではIPアドレスの取得
しかし、ほとんど影響が見られない
出会い系サイト規制法成立やWinny利用者逮捕の影響と比べると軽微
■掲示板の対応
Yahoo!:書き込みには登録制度を用いる
ニフティ:
事前の会員登録が無くても読み書きができる「オープン」
読むことはできるが、書き込みができない「セミオープン」
会員以外は読むことも書くこともできない「クローズ」
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第9回 インテリジェンス・コミュニティ
第9回 インテリジェンス・コミュニティ:暗号、諜報
■外交論における「大穴」インテリジェンス・コミュニティ論
米国のインテリジェンス・コミュニティの失敗:パールハーバー、9.11、イラク戦争
土屋大洋「インターネットを萎縮させるインテリジェンス・コミュニティ」
→パワーポイント資料
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第8回 セキュリティ
第8回 セキュリティ:スパム、電子投票、通信傍受
■サイバー攻撃
本当に脅威か?
ねらわれるインフラ
2000年問題の教訓
■スパム
土屋大洋「スパムに占拠されるインターネット」
スパム:アメリカのスーパーで売られている挽肉の缶詰の名前
モンティ・パイソンというコメディ・グループが「スパム、スパム、スパム……」とコメディの中でしつこく連呼
■増大する電子メールへの不信感
ミルグラムの6次の隔たりがインターネットでは確かめられなかった
ミルグラムの実験を、ニューヨークにあるコロンビア大学が電子メールで再現しようとした。
しかし、多くの人がスパムやチェーン・メールだと思って電子メールを転送
背景には、電子メールに対する不信感の増大
アメリカの新聞のオンライン版に登録した時にアドレスが転売されたり、ホームページのアドレスがボッツと呼ばれるソフトウェア・ロボットによって収集されたりしている
今年中に電子メールの4割はスパムになり、このまま何も対策がとられなければ2007年には7割に達する
日本では特に携帯メール宛のスパムが問題になった
2001年から2002年にかけて経済産業省と総務省が対策
ヨーロッパ:「オプト・イン(選択的参加)」のアプローチ
問題はアメリカ:「オプト・アウト(選択的退出)」のアプローチがきちんと機能してない
■スパムは新たなインターネット分断の危機・・
2003年の4月末に米国政府が主催する3日間のスパム・ワークショップがワシントンDCで開かれた。
「その昔、日本は自動車や半導体など大幅な対米輸出黒字で批判されましたが、今はどんどんアメリカからスパムを輸入し、アメリカ文化を学んでいます」
フランスから来た年輩の女性パネリストは、「あなたには申し訳ないけど、そんなこっちゃダメなのよ。アメリカ政府がきちんと規制し、そして国際的な規制をめざすべきに決まっているじゃない」
■一般的なスパム対策
(1)ウェブやメーリング・リスト、掲示板などで電子メール・アドレスをさらさない
(2)例えば「name@domain.com」を「name at domain dot com」のように、人間には分かるが、ボッツには分からないように書き換えてしまう
(3)使い捨てアドレスを持つ
(4)ISP(インターネット・サービス・プロバイダー)や自分のメール・ソフトのフィルタリング機能を使う
(5)ISPレベルでブラックリストを作って特定のサーバーからのメールはすべてブロックしてしまう
もっとラディカルな意見
電子メール一通あたり10分の1セント(約0円12銭)を課せば、普通の利用者にはほとんど影響しないが、100万通送る人には1000ドル(約12万円)
電子メールを送る度に使っているコンピュータは数学的な問題を解く
■スパムは儲かるのか
スパム王と呼ばれているアラン・ラルスキー(Alan Ralsky)は190のメール・サーバーを運用し、このビジネスを通じて億万長者になっている。
90%のスパムは200人足らずの人によって送信
スパマーが使っている安上がりなサーバーで送ることができるスパムの数は1時間で65万通
スパムがこのままインターネットを占拠してしまえば、その活力を奪ってしまいかねない。
初心者は使うのをやめてしまうかもしれない。しかし、電子メールはキラー・アプリケーション
リストを求め続けるスパム事業者 → 意味のないスパムが増加中
最近ではウイルスとスパムが連動する傾向
マイクロソフト問題
外国刊行物輸入配布に関する法律(1999年1月21日)
行政情報の共同利用に関する規程(1998年3月28日)
刑法典におけるコンピュータ犯罪の規定(1995年12月29日)
公共機関の個人情報保護に関する法律(1999年1月29日)
個人情報保護ガイドライン(2000年6月1日)
コンピュータプログラム保護法(2000年1月1日)
住民登録法(2001年1月26日)
住民登録法施行令(1999年7月23日)
少年院法(2001年1月29日)
情報化促進基本法(2000年1月21日)
情報通信基盤保護法(2001年7月1日施行)
情報通信網利用促進及び情報保護等に関する法律(2001年7月1日施行)
(旧法)情報通信網利用促進等に関する法律(1999年5月24日)
信用情報の利用及び保護に関する法律(2000年1月21日)
青少年の性的犠牲からの保護に関する法律(2000年2月3日)
青少年保護法(2000年2月3日)
性暴力犯罪の処罰及び被害者の保護等に関する法律(1998年12月28日)
通信秘密保護法(1993年12月27日)
電気通信基本法(2000年1月28日)
電子署名法(1999年2月5日)
電子政府実現のための行政業務等の電子化促進に関する法律(2001年3月28日)
電子取引基本法(1999年2月8日)
■韓国の特殊な位置づけ
・北朝鮮との間で休戦状態
・長く続いた軍事政権
・強力な大統領の権限と政治的腐敗
・政権と結びついた巨大財閥による寡占
・1997年〜98年のアジア経済危機
I・T社会ができる前に国民総背番号制確立
第1章 総則
第2章 情報通信網の利用促進
第3章 電子文書中継者を介した電子文書の活用
第4章 個人情報の保護
第5章 情報内容等級の自律表明など
第6章 情報通信網の安全性確保など
第7章 国際協力
第8章 補則
第9章 罰則
■第49条(情報通信網侵害行為などの禁止)
(1)何人も、正当なアクセス権限なしに、または許されたアクセス権限を超過して情報通信網に侵入してはならない。
(2)何人も、正当な事由なしに情報通信システム、データまたはプログラムなどを毀損・滅失・変更・偽造、またはその運用を妨害できるプログラム(以下「悪性プログラム」という)を伝達または流布してはならない。
(3)何人も、情報通信網の安定的運営を妨害する目的で大量の信号などを送ったり否定した命令を処理するようにする等の方法で、情報通信網に障害を発生させるようにしてはならない。
■第50条(秘密などの保護)
何人も、情報通信網によって処理・保管または電送される他人の情報を傷づけたり他人の秘密を侵害・盗用または漏洩してはならない。
■第62条(罰則)
次の各号の1に該当する者は、5年以下の懲役または5千万ウォン以下の罰金に処する。
1および2 略
3.第49条第2項の規定に違反して悪性プログラムを伝達または流布した者
4.第49条第3項の規定に違反して情報通信網に障害を発生するようにした者
5.第50条の規定に違反して他人の情報を傷づけたり他人の秘密を侵害・盗用または漏洩した者
■電子投票
土屋大洋「電子投票の裏側」
→パワーポイント資料
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第7回 インターネット・コミュニティ
第7回 インターネット・コミュニティ:インターネット・ガバナンス
土屋大洋「ラフ・コンセンサス」
土屋大洋「ICANNとインターネットの安定性」
■インターネットを作ったギーク
資金とアイデアは国防総省
作ったのはギーク
■中心のない組織
ネットワークのネットワーク
自律・分散・協調
いくつかの組織
ISOC: Internet Society
IETF: Internet Engineering Task Force
W3C: World Wide Web Consortium
ICANN: Internet Corporation for Assigned Names and Numbers
■David Clark, MIT
We reject Kings, presidents and voting.
We believe in rough consensus and running code.
■ITUとIETF
ITU
原則として政府代表
一国一票
IETF
個人で参加
メーリングリストと年数回の会合
RFC(Request for Comment)の作成
■RFCができるまで
- インターネット・ドラフトとして文書を公開
- ドラフトに対してコメントを受ける
- コメントに基づいてドラフトを編集
- 1〜3のステップを数回繰り返す
- エリア・ディレクターにドラフトをIESG(Internet Engineering Steering Group)へ渡すよう依頼
- IESGが必要だと考えるあらゆる変更をする
- RFCエディターが公開するのを待つ
■ICANN
ドメイン・ネームとIPアドレス
ジョン・ポステルのIANAから移管
「インターネット政府」という誤解
2000年の理事選挙とナショナリズム
■インターネット・コミュニティの自由
利用者の増大と変質
政治体制を超えて接続を維持する
ビジネスの利害の侵入
イノベーションを維持する
政府介入とセキュリティの高まり
安全と自由のバランスをとる
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第6回 新しい帝国主義
第6回 新しい帝国主義:米国とインターネット、ソフトパワー
■冷戦の後の時代
冷戦の時代:1945〜1991
ポスト冷戦の時代:1991〜2001
ユニラテラリズムと地域紛争
NGO、NPOの台頭
ポスト・ポスト冷戦の時代:2001〜
9.11、イラク戦争
新帝国主義論
この時代を説明するにはどうしたらいいか
プラットフォーム化する国家
ネットワーク理論
土屋大洋「新帝国主義論とインターネット」
■もう一度帝国主義に戻るべきだという意見が出てきた
■マルクス:資本主義→<共産革命>→共産主義(ユートピア?)
■レーニン:資本主義の最終段階としての帝国主義
■イギリスのトニー・ブレア首相の外交顧問:ロバート・クーパー
(1)「万人による万人の闘争」状態から抜け出せない「前近代国家」
(2)西欧やカナダのような武力解決をもはや考えない「ポスト近代国家」
(3)伝統的な「近代国家」
日本:ポスト近代国家に近いが、地政学的な制約から抜けきれていない
アメリカ:相互依存の必要性や望ましさを認めていない伝統的近代国家
現在の世界の混乱を収拾
→人権とコスモポリタン的価値に合致した「新しい帝国主義」が必要
その主役はアメリカではなく、ポスト近代国家であるヨーロッパ
静かな賛意と激しい批判
■セバスティアン・マラビー「気の進まない帝国主義者」
貧しい国々の無秩序が他の国々の脅威
→ アメリカがリーダーシップによって力の空白を埋め、世界の安定を取り戻す
■ジェームズ・チェイス
すでにアメリカは帝国
安全保障上の脆弱性を徹底して回避する
→ 他の国の干渉を受け入れることはできない。
結局のところ西欧や日本とも完全に価値を共有しているわけではない
独立した政策を維持するためには、(妥協を伴う)外交よりも武力が好ましい
しかし、アメリカの全能に対する脅威
← ヨーロッパや日本の疎外感、中国やロシアの警戒心
アメリカ帝国の存続期間
→ 潜在的なライバルとの間に共通の目標を見つけることができるかどうか
■ジョセフ・ナイ
軍事の次元ではアメリカは唯一の超大国だが、世界はそれほど単純ではない。
経済の次元ではヨーロッパや日本などを含めた多極的な世界
政府のコントロールの及ばない超国家活動の次元
→ 金融取引が瞬時に行われ、テロリストやクラッカーたちが暗躍
この次元ではパワーは分散されており、アメリカ一国主義を唱えても意味がない
軍事の次元を見ているだけでは不十分
アメリカの利害を追求するには他国の協力が必要
ソフトパワーの重要性
■マイケル・ハートとアントニオ・ネグリ『帝国』
現在のグローバリゼーションの大きな流れの背後にあるもの
→ multitude:群集、多数、大衆、大勢
「帝国」の概念は「帝国主義」とは隔絶したもので、新しいグローバルな主権形態
マルクス主義の影響
■マイケル・イグナティエフ『軽い帝国』
アメリカに帝国としての決意はあるのか?
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第5回 情報と国家
第5回 情報と国家:情報国家論の視点
情報はそもそも誰のものか?
情報をめぐるルールを決めるのは誰なのか?
情報技術の発達と普及によって情報のフローが拡大し、意思決定・合意形成システムが変わり始めている?
■情報に対する二つの考え方
(1)情報は隠しておいた方がいい
例)森本敏「北のミサイルが教えた日本の情報意識と組織の欠点」『世界週報』(1998年9月29日号)18-19ページ。
国家の情報機能は、その内容を公にすることによって、情報収集能力を暴露することになる。同盟国も警戒して教えてくれなくなる。その結果、国家の情報収集能力は著しく阻害される。従って、情報は本当は、知っていても知らせないのが最も望ましいのである。
(2)情報は明かした方がいい
例)司馬遼太郎『「昭和」という国家』(NHKブックス、1999年)。
もしそのときに勇気のあるジャーナリズムがあって、日露戦争の実態を語っていればと思います。満州における戦場では、砲弾もなくなりつつあった。これ以上続けば自滅するだろう。そういうきわどい戦争だったのだと言うことが正直に書かれ、日本という国はその程度の国なんだという自己認識が明快に文章で提示されていたらと思いますね。国民は自分についての認識、相手についての認識がよく分かったろうと思うのです。(50-51ページ)
政府には政府自身の秘密があるものですが、イギリスの場合は三十年で文書を公開します。アメリカもそうします。そのように政府はある機関は手の内は見せないにしても、何年か経つと手の内を明かす。そういう国というものは、やはり国を誤らないですね。(62ページ)
日本のジャーナリズムも明治期や大正期には元気のいい時代もありましたが、自国を解剖することに関してはどうでしたでしょうか。自国の政府を解剖したり、ジャーナリズムがジャーナリズム自身までを解剖する勇気があったかどうか。(223ページ)
インターネットは国家と情報の関係をどう変えていくのか。
■情報から見る三つの国家のタイプ
■独占型情報国家
独裁者や政府高官など一部の人々にしか情報が共有されないタイプ。独裁体制、権威主義体制をとる国々に見られる。独占型情報国家では政府による情報収集は行われるものの、それが国民に対しフィードバックされることはなく、時に情報操作という形で誤ったフィードバックが行われる。また情報収集機能自体に問題がある場合もあり、政府すら正確な情報を把握できないこともある。意思決定・合意形成には一部のエリートだけが参画し、国民の大多数は関わることができない。対外的にも内部の情報を発信することは少なく、逆に外部のメディアによる情報収集に制限を設ける。
■ガバメント型情報国家
多くの民主主義国家が含まれ、最も一般的なタイプ。ガバメント型情報国家の多くは民主主義体制をとるために、選挙や情報メディアの報道を通じて国民と政府の間で情報のフィードバックが行われており、また一定の条件を満たさない情報については国民に公開されることが制度的・慣習的に求められる。政府が情報メディアを有することもあるが、民間の情報・報道メディアが発達しており、言論の多様性が保障されている。対外的にも情報操作は行われず、国際的な情報のフローは制限されない。
■ガバナンス型情報国家
特殊な民主主義体制。意思決定・合意形成のための情報が広く流通しているため、多様なアクターが意思決定・合意形成に参加する。そこでの合意形成は必ずしも制度や手続きとして保障された形式にだけ従うものではない。つまり、政府内部での決定・合意が全てではなく、なるべく政府が関与しない形での自律的な決定・合意が奨励される。対外的にも対内的にも情報の自由な流通が行われ、情報の共有が積極的な価値として認められる。
■プラットフォーム化する国家
世界経済と国民経済をつなぐ防波堤?
国内外の諸勢力が形成する諸関係の重要な結節点
プラットフォームとしての新宿駅
OSI :Open System Interconnection(開放型システム間相互接続)
第7層 アプリケーション層 具体的なアプリケーションに対応したプログラム。
第6層 プレゼンテーション層 データの圧縮や暗号化などネットワークに適した形にする。
第5層 セッション層 下位層との間に信頼できるリンクを提供する。
第4層 トランスポート層 データの転送を保証し、信頼性を提供する。
第3層 ネットワーク層 データを送る相手を決め、最適なルートで送る。
第2層 データリンク層 パケットを電気信号に分解、再構成して2点間で伝送する。
第1層 物理層 1点間を物理的に結ぶ方法を規定する。
あくまでも概念的なもの。
第8層 ビジネス・モデル層
第9層 政治闘争層
を足す場合もある(?)
■ローレンス・レッシグのコード論
コンテンツ層
コード層
物理層
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第4回 ガバナンス
第4回 ガバナンス:理論的説明と分類
■われわれはどうやって意思決定を行っているか。
経済学では、合理的な判断をする経済人を想定してきた。しかし、個人に限っても、現実世界では合理的な判断ができるかどうかは疑わしい。少なくとも、自分が知りえている情報の範囲でしか合理的な意思決定はできない。
■われわれはどうやって他者との間で合意形成を行っているか。
古典的なパワーの問題
ケネス・ボールディング『経済学を超えて』
人間の社会には三つの主要な「組織因子」:脅迫、交換、統合
公文俊平『情報文明論』
脅迫・強制
取引・搾取
説得・誘導(魅力としてのソフトパワーにも近い)
■イロコイ族の意思決定
星川淳の「物語のもう半分/ネイティヴ・デモクラシー」
アメリカ先住民文化の伝承調査→合州国憲法が、じつは先住民社会から多大な影響を受けて生まれた
戦後の日本国憲法が多くの点で合州国憲法の姉妹ヴァージョンだとすれば、モンゴロイド/縄文コネクション
「民主主義は古代ギリシア・ローマ以来のヨーロッパの独創」というのも話の半分としては生きている。
フランクリン、ジェファーソン、ワシントンといった合州国建国のキーパーソンたちがイロコイ民主制の直接的薫陶に浴し、独立から憲法制定にいたる過程で具体的な示唆と手引きを受けていた
イロコイ族は一万年前にユーラシア大陸から渡ってきたと思われる伝承を口伝えしている。北米の五大湖付近に定着した後も、争いを繰り返していたが、ピースメーカーと呼ばれる人物が登場して、平和主義に転ずる。
イロコイ族の意思決定は、火を囲んだ車座での徹底的な熟議。何ヵ月でも決定に時間をかける。近代的な意味での指導者は存在しない。「七代先まで考える」のがモットー。
■インターネットでの意思決定
インターネット・コミュニティはヒッピーの影響が濃厚
ヒッピーたちの思想は、ネイティブ・アメリカンの思想に通じるところがある
インターネット・コミュニティの「デモクラシー」はネイティブ・アメリカンにルーツがある?
■「ガバナンス」?:様々な定義
■法学のコーポレート・ガバナンス(corporate govenance)
龍田節「序説−コーポレート・ガバナンスと法」『コーポレート・ガバナンス―アメリカ法律協会「コーポレート・ガバナンスの原理:分析と勧告」の研究―』(日本証券経済研究所、1994年)
「少なくとも1970年代からアメリカの会社法文献や資料で盛んに用いられている」
「企業とくに大規模な公開会社が、どのような機構を備え、どのような基準に則って行動すれば、株主その他の関係者の利益を程よく調整し、社会の要請に応えることができるか」
■経営学のコーポレート・ガバナンス
青木昌彦「日本の企業統治構造は収斂するか」平木多賀人 編『日本の金融市場とコーポレート・ガバナンス』(中央経済社、1993年)
「企業の経営行動の選択を管理する基本構造、より限定していえば企業の基本政策を決める最高経営者を選抜する構造」
■国際政治学のグローバル・ガバナンス
James N. Rosenau and Ernst-Otto Czempiel, eds., Governance without Government: Order and Change in World Politics, Cambridge University Press, 1992.
「政府なきガバナンス(governance without government)」
ガバナンス:秩序プラス意図
秩序を維持するための意識的な活動が必要
■サイバースペースのガバナンス
ジョン・バーロー(John P. Barlow)「サイバースペース独立宣言」公文俊平 編著『ネティズンの時代』(NTT出版、1996年)
「自然の働きの産物であって、われわれの集合的な行為を通じて自ずと成長するもの」
■ガバメントとガバナンス=意思決定・合意形成システム
ガバメント:拘束力、強制力をもつ法制度による権利、義務に基づき、組織の正統性と一貫性を維持しながら行われる意思決定・合意形成システム
例)議会、取締役会、学級会
ガバナンス:主体性、自発性および公益性に基づき、関与する行為者が目的意識を強くもって行う意思決定・合意形成システム
例)タウン・ミーティング、インターネットの各種組織
■Hedley Bull, Anarchical Society
現実主義者:国際関係は基本的にアナーキーであると考える
アナーキー:国家が安全その他の目的のために自らを頼りにするしかない状態
しかし、実際には国際関係はまったくのアナーキーでもない。アナーキーは混沌(カオス)とは異なる。
もしカオスならばそこには停戦も休戦も講和も無く、果てしない戦乱が続くはず。
アナーキー下でも、アクターは相互に理解する能力を持ち、利得の計算ができる状態
各国が実質的に従わざるを得ない取り決めや慣習、さらに各国が合意の上で従う条約や協定が数多く存在
だから国際関係はアナーキーな社会である:いくばくかの社会の要素を見ることができる。
国際社会と国際システムは別物
国際システムは国際社会がなくても成立する
国際システム:二国以上が相互に影響を及ぼしあう状態
国際社会:二国以上が共通の利害を有し価値を共有している状態
ホッブズ:人間は国家の中で「政府なき社会(society without government)」を作ることができない
ブル:しかし、国家は国際関係の中で「政府なき社会」を形成することができる
■国際レジーム
1970年代以降の相互依存関係の深まり:GATT、WTO、ITU、京都議定書など
国際レジーム:国際関係の特定の問題領域で、アクターの期待が収斂する明示的もしくは黙示的な原則、規範、ルール、決定手続きの総体
いかにガバーンするか
相互依存関係に影響するガバニング協定(Keohane and Nye, 1989:10)
ガバーンするのは強国の支配ではなく相互理解(Zacher, 1996)
無秩序と秩序の間にあるものをどう表現するか
■グローバル・ガバナンス成立の条件
(1)価値観の転換
(2)公益性に基づき新秩序を模索する意思の存在
(3)多様なアクターの意思決定への参加
(4)重層的な制度
(5)情報の共有
必要とされなくなった条件
(1)メンバーシップの限定
(2)強制的な権力の行使
国際社会は原始的か? 新しい中世か? ニュー・タイプか?
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第3回 プライバシー
第3回 プライバシー:RFID、個人情報保護法、自己情報コントロール権
■IDをめぐる問題
個人情報保護法の成立と反対運動
住基ネットの稼動と反対運動
企業の個人情報漏洩事件
RFID(Radio Frequency Identification)ボイコット運動
アイデンティティ・セフト、フィッシング(成りすまし)犯罪の多発
■u-Japanの結・湧・優:デジタル情報を介した結びつけ
オブジェクトのIDと人間のIDの結びつき
■プライバシーと個人情報
自己情報コントロール権?
放っておいてもらう権利
収集制限の原則 適法かつ公正な目的のために収集され、同意を得た個人データのみに限定する。データ内容の原則
収集する個人データは利用目的に適合しているものとし、正確、完全かつ最新のものに保つ。目的明確化の原則
データの利用目的は収集時に定められるものとし、またデータの利用はその目的またはその他の適合する理由に限定されるものとする。利用制限の原則
個人(データの主体)による承認及び法による権限下記の場合を除き、データは明確化された目的のみのために開示され、利用されるものとする。安全保護の原則
データは合理的な安全保護措置によって保護されるものとする。公開の原則
個人情報に関連した開発、慣行、ポリシーおよび連絡先情報を公開する。個人参加の原則
個人は自己に関するデータが保有されているか否かの確認をすることができる。また保有しているデータを遅滞無く、必要な場合には有料で、わかりやすい方法により、個人に伝えること。個人がデータにアクセスできない場合、その理由を提供することおよび異議の申し立てができること。 意義の申し立てができた場合、個人はデータを削除、修正または変更できるものとする。責任の原則
データ管理者(会社)は上記の諸原則を実施するための措置に従う責任を有する。
■個人情報保護法の問題点
■韓国の住民登録カード
土屋大洋「飛び交う個人情報」
■RFID
■RFIDによるデジタルID革命?
既存のバーコードを代替し、世界中の物品の個品管理ができるだけの膨大なID
電波を使った効率的な読み取り
トラッキング、トレーサビリティの向上
u-Japan
u-Korea
■RFIDの用途
物流
販売・流通
情報流通
道路・交通
食品
金融
医療・薬品
環境
高齢者障害者対策
教育・文化
就労
情報家電
エンターテインメント
犯罪監視
建設資材管理
Factory Automation
消防・防災
生活利用
■導入計画
米国防総省
2005年1月までに納入業者に対応義務付け
米ウォルマート・ストアーズ(世界最大手)
主要取引先約100社に1年以内の採用を求める。2005年1月までに米国内向けの商品の荷台やケースにタグを付ける
独メトロ(世界第5位)
同上。今年11月までに装着を要請。2006年には300社に拡大
英マークス・アンド・スペンサー
店舗への食品輸送用にタグつきケースを採用
■標準化団体
EPCグローバル
EPC:電子製品番号
ユニフォームド・コード・カウンシル(UCC)と国際EAN協会が共同で設立
実用化に向けた標準化を推進
オートIDラボ
旧オートIDセンターを改称
次世代の技術開発や既存技術の検証
ユビキタスIDセンター(日本)
日立製作所やNECなどが加盟
■プライバシー侵害?
自分の購入したもの、持っているものがスキャンされ、蓄積され、マッチングされ、アイデンティファイされる
ビッグ・ブラザーからリトル・ブラザーズへ
中央から監視されるのではなく、いたるところに監視装置があり、それがどう管理・共有されるか不明
■RFIDとプライバシー:高木浩光氏による整理
属性データの内容を読まれる
よく理解されている
技術的対策が可能
IDでトラッキングされる
あまり理解されていない
技術的対策は可能だが、低コストタグでは非現実的
重要なのはトラッキングの問題
「IDはただの番号であってプライバシーの問題はない」?
例1
RFIDが埋め込まれた商品を購入
RFIDのデータと購入者の情報(クレジット・カードやお得意様カード)をマッチング
例2
靴に埋め込まれたRFIDを各所でスキャン
その人の行動をモニター
■グレーゾーン
個人情報保護法における個人情報
この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの
IDにひも付けされた情報の扱いは?
「個人情報」が入っていなければトラックしてもいいのか?
キャサリン・アブレクト(Katherine Albrecht:ハーバード大院生)
1999年10月に設立
スーパーマーケットの「得意様」カードに対する反対運動を展開
消費者を教育し、消費者のプライバシーを侵害するマーケティング戦略を非難し、プライバシーを意識した購買慣行を奨励
スーパーマーケットが顧客を登録し、監視するのを不適切だと考える人々を代表
食品など基本的な品目に関する情報は蓄積されるべきではない
個人情報を提供する代わりに値段を下げているというが、消費者は低価格、親切なサービス、良い品揃え、何よりも顧客への敬意を求めているという事実に戻るべき
■プライバシー・ガイドライン
EPCglobal, Guidelines on EPC for Consumer Products
経済産業省「電子タグに関するプライバシー保護ガイドライン(案)」
第3:電子タグが装着してあることの表示等 第4:電子タグの読み取りに関する消費者の最終的な選択権の留保 第5:電子タグの社会的利益等に関する情報提供 第6:電子計算機に保存された個人情報データベース等と電子タグの情報を連携して用いる場合 第7:説明・情報提供
■なぜRFIDは、インターネットと異なる受容のされ方をするのか?
両方とも軍事技術に由来
インターネットは狂喜して迎えられた
しかし、RFIDはその可能性にもかかわらず、プライバシーに対する懸念が強い
インターネットにもたくさんプライバシー問題はあるのに
■インターネットの特徴
破壊的技術(クレイトン・クリステンセン)
まぬけなネットワーク(インターネット)がインテリジェントなネットワーク(電話)を駆逐
2010年までに交換機をやめる?
E to E(エンド・ツー・エンド)の原則
ネットワークはTCP/IPという共通語を理解するだけ
ネットワークの末端(エンド)にインテリジェンスを置く
末端でのさまざまなイノベーションを可能に
■データベースとネットワークの管理
■自己コントロールできないRFID(一見すると「E to E」だがそうでもない)
インターネット
好きな相手
好きな時間
自分で選んだデータ
ただし、暗号化しないと丸見え
RFID:3D問題
どこでデータを取られる?
どこへデータが送られる?
どうデータは使われる?
事業者が全体を管理しないと意味が無い
■なぜRFIDはつまらない?
RFIDはミドルウェアであり、統合システムである
RFIDはE to Eの原則に従っていない→システム全体を管理する必要がある
RFIDで重要なのは、ネットワークとデータベース
RFIDではユーザがイノベーションを行うことは難しい
オープン・ソースのようなイノベーションの連鎖が起きるかどうかは疑問
バーコードを置き換える点では破壊的技術
■なぜプライバシーが問題に?
プライバシー問題を利用者自らの力では解決できない
タグをつけるかどうか決めるのは事業者や販売店
タグを外せばメリットは受けられない
データを自分でコントロールできる幅がインターネットよりも小さい
■誰のためのRFID?
監視カメラ
至るところで撮影
安全のために許容
今のRFIDは事業者のメリットばかりが目立つ
トレーサビリティは一見すると消費者のエンパワーメントだが、システム自体は事業者のもの
消費者をエンパワーできるアプリケーションを見つけられるかどうかが今後の課題
アメリカのアプローチは、流通管理で限定的、明瞭
■国防総省とウォルマートの導入
シュリンケージ防止とトレーサビリティの違い
■過小評価と過大評価
新しい技術を過小評価することは簡単
RFIDはパラダイム革命ではなく、パラダイム「内」革命のように見える
しかし、面白いのは創発(emergence)の分析への応用
ミクロなエージェントの振る舞いがマクロな秩序を作り出す
エージェントとしてのオブジェクトと人間
■AutoID Lab:「人間もしょせんオブジェクトだ」
■プライバシー対策(自己情報コントロール)
技術的アプローチ
購入時にタグを外す、使用不能にする
暗号化・認証機能を持たせる(例:eTron)
法的アプローチ
データベースを規制する→個人情報保護法+α
リーダ/ライタを規制する
ユーザ・エンパワーメント:
電子端末(携帯電話やパソコン)に入っているデバイスは、ID通知レベルを柔軟に設定できるようにする(ユーザーが面白がって使えるようにする)
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第2回 著作権
第2回 著作権:クリエイティブ・コモンズ
■FCCのドラえもんもどき
■政治とデジタル技術
ブッシュとブレアのビデオ
■著作権(世界大百科事典(C)株式会社日立システムアンドサービスより)
思想または感情を創作的に表現したもので,文芸,学術,美術,音楽の範囲に属するもの(著作物)を排他的に利用(複製,上演・演奏,公衆送信など)する権利。
古代では著作物がつくり出されてもこれを複製する技術がない
中世になると僧侶が書き手の中心に
活版印刷術が開発され,新しい時代:15世紀,ドイツのマインツでヨハン・グーテンベルクの発明した活版印刷術が急速にヨーロッパの各地に広まる
そしてインターネットの時代:巨大なコピー・マシンの登場
著作権の保護期間のばらつき
■著作者人格権と狭義の著作権
著作権は人権か、金儲けの手段か
■エルドレッド訴訟
パブリック・ドメインの行方
2003年1月15日、米最高裁は1998年成立のソニー・ボノ著作権期間延長法――同年亡くなった故ソニー・ボノ議員を追悼して命名。歌手でもあった彼の著作権も延長されるからではない――は合憲であるとの判断を下した。 ソニー・ボノ法以前、著作権は作者の寿命+50年間か、または企業の著作物の場合75年間保護されていた。どちらの期間も20年延長するこの法律は、古い書籍のデジタル版をインターネット上で提供していたニューハンプシャー在住の愛書家エリック・エルドレッドらによる違憲訴訟を呼んだ。
■ベルヌ条約 Berne Convention for the Protection of Literary and Artistic Works(世界大百科事典(C)株式会社日立システムアンドサービス)
1886年スイスのベルンで調印された著作権を国際的に保護する条約。正称は〈文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約〉。世界での著作権に関する標準的条約。1908年以来,著作権の享有および行使に登録,納本,留保の表示などの手続(方式)を必要としない無方式主義を条約上の原則
■ローレンス・レッシグとクリエイティブ・コモンズ
「All Rights Reserved」から「Some Rights Reserved」へ。
「IPマッカーシズムを止めよ」(CNET)
「無意味な規制を廃し文化の自由を守れ」(GLOCOM)
■iCommonsとクリエイティブ・コモンズ・ジャパン
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第1回 情報ガバナンス研究Rのねらい
第1回 情報ガバナンス論Rのねらい:イントロダクションと講義方法の説明
■講義内容・テーマ
冷戦時代までは、国際関係における主たるアクターは政府でしたが、グローバリゼーションが進行する中で、多国籍企業ないしグローバル企業が力をつけ、特定の分野においては非営利組織が重要な役割を果たすようになってきています。国際的な問題、グローバルな問題についての意思決定に際しても、政府間機構による調整だけでなく、多様なアクターが参加するグローバル・ガバナンスが注目されるようになってきました。そうした新しいアクターの台頭を可能にしたのがインターネットをはじめとする情報技術の発展です。同時に、インターネットそのものをどうやって管理・運営していくかというインターネット・ガバナンスの問題は、これまでの国際関係における意思決定とは大きく異なるアプローチを採用していることから、ひとつのモデルとして注目されています。この講義では、「情報ガバナンス」という新しい分野を考えるための視点の獲得を目標とします。
■受講生に関わる情報
インターネットの一般的な利用方法(電子メール、WWWなど)を理解しておいてください。技術の専門的知識は必要ありません。ベースとなる議論は国際政治学ですが、他分野を横断する学際的な議論を予定しています。
■評価方法・基準
講義内容を踏まえた上でのケース・スタディになる予定です。
■テキスト
特に使用しません。
■授業の方法
通常の講義に加えて、適宜、受講者の発言を求めます。
■参考になるWWWページ
http://taiyo.way-nifty.com/infogovernance/必要な情報はどんどんこのブログに書き込んでいきます。
http://web.sfc.keio.ac.jp/~taiyo/
担当者のホームページ。
=====
■ブログとは
従来のウェブは一方向リンク。ブログは双方向リンクを可能にしたところが重要。
「blogってどうよ?」HotWired Japan
ブログの特徴
(1)ジャーナリズム性
(2)双方向リンク(トラックバック)
■バラバシの『新ネットワーク思考』
※西口敏宏「やさしい経済学 『小世界』の新組織論」『日本経済新聞』(2004年7月26日〜8月4日)も参照。
インターネットは平等ではない。正規分布ではなくベキ法則(Power Law)に従っている。実は世界の多くはベキ法則で説明できるのではないか。
ハブが重要になる
なぜYahooはハブなのか
ネット時代のリーダーとは
コネクターとネットワーク・ガバナンス
■ミルグラムの六次の隔たり
周辺的なネットワークこそがしばしば決定的な役割←情報の共有の程度のわずかな差が重要「緩いネットワーク」
■公文俊平の『情報社会学序説』
世界政治のサイクルは創発によって説明できる。
国際政治学がこれまで覇権安定論などで取り組んできた国際政治のサイクル論に一石を投じる。ウォーラスティンの世界システム論にどちらかというと近いか。
■創発
ローカルなエージェントの振る舞いがマクロな秩序を作り出す。
渋滞モデル
シュガー・モデル:人間はアリよりも賢いか?
■群れを作るインターネット
見えない世論ではなく、見える世論を形成するネットワーク技術
ネットワーク化された人々の「群れ」
マルチチュード(ネグリ/ハート)
スマート・モブズ(ラインゴールド)
非国家主体としての個人とその「群れ」の登場と創発(emergence)
スティーブン・ジョンソン『創発』:ローカルなエージェント同士の複雑な並列相互作用で、高次のパターンが生じる
James F. Moore, "The Second Superpower Rears its Beautiful Head"
「帝国」に対抗できる勢力はいないのか?「人々の意思」の結集が、もうひとつのスーパーパワーだ(James F. Moore)
イラク戦争における独仏露首脳に妥協させなかった?
国際会議に結集するデモ隊←シアトルの反乱
Howard Rheingold, Smart Mobs:スマートな群集が登場してきている
伊藤穣一「創発民主制」(pdf)
土屋大洋「もうひとつのスーパーパワー」
投稿者 taiyo : 18:12 | コメント (0) | トラックバック
暫定的講義スケジュール
第1回 情報ガバナンス研究Rのねらい:イントロダクションと講義方法の説明。
第2回 著作権:クリエイティブ・コモンズ
第3回 プライバシー:RFID、個人情報保護法、自己情報コントロール権
第4回 ガバナンス:理論的説明と分類
第5回 情報と国家:情報国家論の視点
第6回 新しい帝国主義:米国とインターネット、ソフトパワー
第7回 インターネット・コミュニティ:インターネット・ガバナンス
第8回 セキュリティ:ウイルス、スパム
第9回 インテリジェンス・コミュニティ:暗号、諜報
第10回 言論の自由:通信品位法、2ちゃんねる
第11回 デジタル・デバイド:国内・国際デバイド、ドットフォース、WSIS
第12回 情報通信政策:ブロードバンド、電波、日米交渉
第13回 受講者のレポート・プロポーザル発表
第14回 受講者のレポート・プロポーザル発表(2)
第15回 受講者のレポート・プロポーザル発表(3)とまとめ
投稿者 taiyo : 17:54 | コメント (0) | トラックバック
ソフトパワー
ジョセフ・S・ナイの『ソフトパワー』。
ジョセフ・S・ナイの『アメリカへの警告』。
投稿者 taiyo : 17:42 | コメント (0) | トラックバック
情報と国際政治(拙著)
拙著『情報とグローバル・ガバナンス』
拙著『ネット・ポリティックス』
投稿者 taiyo : 17:40 | コメント (0) | トラックバック
創発
スティーブン・ジョンソンの『創発』。
ハワード・ラインゴールドの『スマートモブズ』。
公文俊平の『情報社会学序説』(近刊)。
投稿者 taiyo : 17:37 | コメント (0) | トラックバック
ベキ法則
バラバシの『新ネットワーク思考』。
西口敏宏「やさしい経済学 『小世界』の新組織論」『日本経済新聞』(2004年7月26日〜8月4日)。
投稿者 taiyo : 17:20 | コメント (0) | トラックバック
ソーシャル・キャピタル論
Robert PutnamのBowling Alone。
山内直人「やさしい経済学 ソーシャルキャピタル考」『日本経済新聞』(2004年8月5日〜17日)。
ちなみに京都のボーリング場一覧。
投稿者 taiyo : 17:18 | コメント (0) | トラックバック
ネット・プライバシー
ネット・プライバシーにうるさいアメリカの諸団体。
投稿者 taiyo : 17:11 | コメント (0) | トラックバック
クリエイティブ・コモンズ
ローレンス・レッシグが始めたクリエイティブ・コモンズ。
日本版のクリエイティブ・コモンズ・ジャパン。
投稿者 taiyo : 16:57 | コメント (0) | トラックバック
ミッキーマウス 独占インタビュー
著作権法のあり方を考える上で重要なインタビュー(?)。
投稿者 taiyo : 16:55 | コメント (0) | トラックバック
メモ
投稿者 taiyo : 16:47 | コメント (0) | トラックバック
立命館大学国際関係学部
立命館大学国際関係学部の「情報ガバナンスR」(夏季集中)のためのウェブログです。
予定シラバス。数ヶ月前に作ったので、たぶんこの通りには進みません。