5.ノベリストのユウウツ
a. 未来の文豪は、文豪の証明を求められる。さもないと、ワニに食べられてしまう。
b. 書いた小説は、まったくつらなかった。
c. 文豪は、2人の批判に怒り、そして熱をだして倒れる。
d. マクビティのダイジェスティブ・クッキーにピーナツ・バターをぬって、バナナのうすぎりをのせて食べる。これが、ユミちゃんとケイコとワニのしあわせ。
e. 文豪は、この部屋で人生を台無しにしてもいいやとゆう気になった。
ここでは、未来の文豪の「憂鬱」とユミちゃんとケイコとワニの3派連合の「幸福」 の対照性がテーマなんです。文豪はワニに一体化したけれども、まだ馴染んでおらず、
したがってユミチャンの部屋のしあわせ環境に適応するために、「産みの苦しみ」がま だ続きます。それが、おもしろい小説が書ける文豪になるための試練なんです。最初の
トライアルは失敗し、懸命に書いた小説も2人からさんざんな罵声を浴び、ショックを うけます。熱をだして倒れたのも、結局のところ未熟者の証明にすぎません。文豪への
道はまだまだ長いようです。
しかし文豪は、いままでの人生を台無しにしてもいい、と思えるほどまでに、この部 屋の環境に馴染みはじめました。ユミちゃんたちの幸福の前に屈服してもいいや、と思
えることで、憂鬱はその意味を喪失しはじめました。いきつく世界は、バナナのスライ スをのせたクッキーの幸福です。
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