6.HAPPY SEED
a. ハルヲくんは、未来の文豪=吉野くんの名前です
b. ハルヲのBFとして、彩子ちゃん登場。料理とフェラチオが得意
c. 彩子は、ハルヲが小説家なのをしらない。彩子は雑誌とTVとマンガで十分
d. 文豪は、専属読者のケイコを満足させる作品ができない
e. ユミちゃんは、商売で、おじいさんから「幸福の種」をもらう
f. おじいさんは、「あなたのおもいでの品ぜんぶいただいてゆきます」と、逃げる
g. 「幸福の種」を植えると、すぐに芽がでて、花が咲いた
h. 文豪は、「立派で偉大な小説家になれますよーに」と願った
i. ユミちゃんとケイコも、願いごとをした。それは、ヒ・ミ・ツ
j. 願いごとは、かなうまでナイショにしておくもんよ。なのだ
k. 文豪とケイコは、このごろユミちゃんの部屋に入りびたりです
しあわせ物語のきっかけになる「しあわせの種」と、不吉な攪乱を予感させる彩子ちゃんの登場です。はなしが動きます。
まず彩子ちゃんからいきましょう。彩子ちゃんは、ブンガクには関心がなく、あるのはTVとかマンガですから、ユミちゃんとまったく同じです。そして料理とフェラチオが得意なわけですから、ハルヲくんとは、けっこうな仲で、けっして単純なBFという関係ではありません。とすると、彩子ちゃんは、ハルヲくんを間にして、ユミちゃんとトライアングルのラブゲームを楽しむ状況になりつつあります。ユミちゃんの世界に囚われつつあるハルヲくんにとって、彩子ちゃんはやや重たくなりつつあります。初登場から重い役で、彩子ちゃんとしてはやや気分斜めです。いつもならば軽いタッチが得意なはずなのに、このシーンではしつこい役を演じざるをえません。その矛盾のなかに、不吉ななにかが潜んでいます。
もう一つは、「しあわせの種」です。これだけが、『ジャックとマメの木』のようなおとぎ話になっていて、不幸な交換のあと、ウメボシの種のようなものを蒔くと、なんとあっというまに花が咲いてしまったのです。いそいで3人は、願いごとをします。もちろん文豪は、文豪になりたいと願をかけました。
さて、残りの2人は、どんな願いをしたのでしょうか。
ここでは、大きな仕掛けがかけられました。
一つは、彩子を登場させることで、ユミちゃんと彩子のゲームが開始されます。これは、ワニの世界の話でして、スリルとサスペンスにみちていなければいけません。なぜか60年代の田舎ボーイのハルヲをめぐって、同型の東京ガール2人、ひとりがOL、もうひとりが女子大生という典型的な東京ガールが対決します。この仕掛けによって、ワニの世界がさらにふくらみます。ゲームは血をみるまでに派手に展開されなければいけません。
もう一つはピンクのしあわせ物語にかんする仕掛けで、「しあわせの種」の交換です。ここだけが完璧なおとぎ話であることで、しあわせ物語の「嘘と内緒」の重層化がはかられます。「裸でランチ」でのテーマがここでもう一度提示されたのです。しかも、そのことで、ピンクの「しあわせ物語」は理想(リアリティの欠如=嘘)と知りながら、あるいはだからこそ、永遠にそこに囚われてしまう世界(内緒)であることが、暗示されます。
『スリルとサスペンスのゲーム』と『しあわせ物語』が、女子大生ともうたたない老人という外部を導入することで、動き始めました。これからが勝負ですし、佳境です。
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