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6.ネットワークは、情報発信をしない。
たとえばミニFMならば、身近な地域にたいして、自分の好きなことを放送できる。いま、パーソナルな放送局の可能性ができる時代になった。ネットワークでも、同じように、誰もが自分の情報を発信することができる。その意味で、まさに誰もが簡単にパーソナル放送局を開局できるようになった。誰もが、ネットワークを通して、自分の放送局から自分の好きなことを世界中に放送できる。自分専用の放送局をもっていれば、世界中の人と容易にコミュニケーションできる、というわけだ。
しかしここには重要な欠陥がある。それは、情報は発信するものだ、という誤解である。ネットワークでは、情報は発信するものではない。つまり世界との関係は、ネットワークの環境では、自分から情報発信してつなげるものではないのだ。ネットワークにおける関係は、相手からつながってくるのをじっと待つことで、初めてつながる、という認識が重要である。だからネットワークは放送局であってはならない。自分の情報は発信しないで、ただ自分のところに置いておくだけである。相手がほしい情報を求めて、自分のサイトにたどり着いたとき、そこに初めて関係が成立するのだ。自分は、客が来るのもじっと待つショップのオーナーである。関係は、つなげるものではなく、つなげてもらうものなのだ。つまりネットワークの環境では、魅力がないかぎり、誰もアクセスして来ないし、そこでは関係は成立しないし、だからといって、つまらない情報しかないのに、安直に世界にダイレクトメールを打たないでほしい、というルールが必要なのだ。情報発信というコンセプトは、もう古い。
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