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7.ネットワークは、情報所有を求めない。
情報発信するには、情報を所有していなければならない。しかも情報発信に価値が発生するには、その情報が希少であることが不可欠であるし、その希少な情報を所有することで、はじめて発信することが社会的に意味をもつ。これがいままでの情報についての基本的な考え方である。
しかしネットワーク環境では、情報発信はしない。その根拠はなにか。まず重要なことは、情報を、人は所有していない、という認識である。欲しい情報が手元には何もない、ということがネットワークでのコミュニケーションを始動させる第1歩である。人は、情報を所有していないから、ネットワークの環境のなかで、情報を求めて探索する。だからサーチエンジンがネットワークでは不可欠なツールなのである。つぎに、自分のほしい情報は、ネットワークのなかで誰かが保有している、という認識も重要である。しかも、その誰かは情報を保有しているけれど、発信をしないで、じっと待っている(つまり自分のホームページに情報を載せている)だけである。そしてそこにアクセスしたとき、自分のほしい情報が得られる、という仕組みがネットワークである。
誰もが、情報を所有していないから、情報の希少性は関係ない。情報を保有しているのはアクセスした先で、しかも先方はネットワーク上に無限?に散在して、じっとしているだけだから、情報を所有する意志はそこにはない。だから、すべての先方はネットワーク上に情報を公開しているだけである。とすると、ここでは、情報は、探索された行為にたいして、支援するために存在する、という関係が発生する。それが、情報を共有することで成立するネットワークである。ネットワークにおける関係の基本は、したがって、情報所有と情報発信ではなく、情報非所有と情報探索であり、その行動を支持する情報支援と情報共有の関係である。これは、いままでのコミュニケーション行動を根本から変革する大きな認識枠組である。
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