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10.ネットワークは、ポップメディアだ。(編集の自由)
ポップメディア成立の第2の条件には、ますはコピーの自由が不可欠である。ネットワークでは、オリジナルとコピーの境界が無視される。オリジナルとコピーは、基本的には等価である。オリジナルの所有権は保証される(これは、だれの作品なのか)が、それがネットワーク上に公開されたならば、それを誰がコピーし、それをいかように手を加えようが、それはすべて許容されなければならない。上手な作品をコピーすることは、自由であるし、それをもとに新しいオリジナルが再生されることも自由である。オリジナルへの敬意は十分に尊重されるが、ネットワーク上に公開されたならば、オリジナルがコピーを拒否する権利は放棄されなければならない。オリジナルは、無限にかつ多様にコピーされることで、ネットワーク上で共有される財産になっていくのである。ネットワークの価値は、希少性ではなく、アバンダンス(無限なまでの豊かさ)であり、それを共有することがネットワークの価値である。
オリジナルがオリジナルのままで、1つ(希少性の極限)であることに価値を見いだす、という発想はネットワークにはなじまない。ネットワークでは、すべての資源がどんどん融合し拡散しなければならない。そのためには、オリジナルは、その原型をとどめないまでに、コピーを媒介にして、融合され拡散されなければ、価値を誘発しない。ネットワーク上で、みんながオリジナルを介して、積極的に関与し、オリジナルを多様に変容させるプ編集プロセスこそが、ネットワークに参加することの意義である。オリジナルがオリジナルとして閉じることなく、つねに新たな編集プロセスが次から次へと絡まなければ、ネットワークではないのだ。ネットワークは、どこまでいってもオープンである以上、オリジナルもつねに変化しなければならない。不変なオリジナルは、価値がない、という証明でしかない。オリジナルの変容は自明なのである。それには、まずはコピーが不可欠であり、さらにそこに協働(コレボレーション)的な編集プロセスが関与しなければならない。これが、ポップメディアであることの第2の条件である。
整理しよう。ネットワークではオリジナルの無限の変容こそ価値があるので、それには、オリジナルを「コピー(模倣)する自由」と「コラボレイティブな編集プロセス」が不可欠である。これを、『編集の自由』と呼ぼう。編集の自由が、ネットワークがポップメディアであることを支える第2の根拠である。
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