”Getting Started in debate”(Lynn Goodnight 著)
(日本語版作成:1993・1995年度 開智会 RESEACH AND DEBATE 執行部)
この ”Getting Started in Debate” は、ディベートを全く知らない学生のための本であり、ディベートが教える技術(skills)はあらゆる分野に有用であるという哲学に基づいている。ディベートは、批判的思考(critical thinking)、精神的勇気(courage)、構成能力(organization)、そしてリーダーシップ(leadership)と探求技法(investigation skills)の育成を手助けする。この本は、ディベートを始めたばかりの人が、ある一つの見解をどのように案出したらよいのか、その見解に対する賛否の議論をどのように発展させたらよいのか、そして他人の主張を如何に予期するか、を知ることが出来るよう手助けするものである。
学生がディベートを通じて培うリサーチの技術は、大変使い道があるといえる。というのも、様々な情報源を学ぶときの実践的な経験がディベートから得られるからだ。この本は、リサーチを進めてゆく上で図書索引をどのように使うかといった案内を順を追って説明してゆく。例えば、政府文書をどのように見つけ、使うのかといった説明も含まれるし、現行法がどのように、そしてなぜ施行されているかを知れば、法改正に対する議論をし易くなるであろう。
また、この本は、実践的な活動(練習問題)をたくさんこなすことによって、段階的に学べる仕組みになっている。作業/テキストという体裁は、学生がディベートを学びながら実践的な活動に没頭できるようにするためである。”ディスカッションの為の質問(Questions for discussion)”は、重要な言葉や概念に馴染む為のものである。”課題(Activity)”はディベートの初心者が実際にディベートが出来るようにと、意図されて設けられている。第8章の終わりまでには、実際にディベートするためのディベートのルールと、特別な事柄についての十分なエビデンス、アイデアについての基本的な理解が得られているはずである。
第1章では、ディベートとは何かを定義し、紹介する。ディベートを通じて習得してゆく、分析(analysis)、批判的な物の見方・聞き方(critical thinking and listening)、開かれた精神(open mindedness)、チームワーク(teamwork)といった数多くの重要な技術(lifeskills)が議論される。
第2章では、ディベートの基本5大要素が定義され、それらの説明がなされる。問題領域、論題(命題)、肯定側、否定側がそれで、もう一つは、ディベートのフローチャート(flow sheeting)である。これにはディベートの簡単な流れが含まれている。
第3章では、様々なディベートのフォーマットとディベーターの責任についての大まかな説明がなされる。スタンダード・ディベート(標準ディベート)、クロス・エキザミネーション・ディベート(反対尋問ディベート)、リンカーン・ダグラスディベート(大統領ディベート)が紙幅が許す限り説明される。ディベートでの8つのスピーチ(後述)が、与えられたディベートでのスピーチとスピーチの間のディベーターの責任とともに、大まかに説明される。
第4章では、論題(命題)のいくつかのタイプに焦点を当てる。事実命題(a proposition of fact)、価値命題(a proposition of value)、政策命題(a proposition of policy)の違いを学ぶことになる。
第5章では、リサーチの技術について議論される。何を調べ、どこに眼をつけ、どんなエヴィデンスが適切かをどのように決定し、見つけたエヴィデンスをどう活用するかに、ここでは焦点が当てられる。
第6章では、図書館を如何に活用するか、実践的に述べられる。図書館で手に入る情報源とそれらをどのように見つけ出すかを学ぶ。特別な文献の糸口となるたくさんの特殊な索引にここでは焦点が当てられる。
第7章は、肯定側の説明である。改革の必要性を立証するために、肯定側は何をしなければならないかを学ぶ。2つの立論の型と肯定側の見解を示すために、それらを如何に使うことができるかが述べられる。
第8章は、否定側の説明で、反論する方法がいくつか述べられる。否定側を支配するルールが大まかに述べられ、デメリット(disadvantage)の概念が説明される。