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研究関係 アーカイブ

2009年04月03日

頂き物―『日本の国際政治学4』ほか

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 著者のおひとり、服部龍二先生からいただきました。すでに刊行直後から定評のあるシリーズですから、紹介に贅言は要さないでしょう。ゼミでも扱ってみたいと思います。

 以下、出版社による紹介と目次を挙げておきます。

 学問としての国際政治学は,その出発から歴史学と不可分の関係にあり,歴史研究・外交史研究との密接な相互作用の中で発展した。本巻は,歴史と理論の交差をふまえつつ,歴史の観点から国際政治の解明をめざす外交史・国際関係史研究に焦点を当てる。

 序 章 歴史から見た国際政治学=李 鍾元
 第1章 国際政治史の系譜学──戦後日本の歩みを中心に=細谷雄一
 第2章 グローバル・ヒストリー──その分析視座と冷戦史研究へのインプリケーション=田中孝彦
 第3章 近代ヨーロッパ国際政治史=渡邊啓貴
 第4章 東アジア国際政治史──中国をめぐる国際政治史と中国外交史=川島 真
 第5章 戦間期アジア国際政治史=服部龍二
 第6章 米ソ冷戦史──アメリカの視点=佐々木卓也
 第7章 ヨーロッパ冷戦史──ドイツ問題とヨーロッパ・デタント=山本 健
 第8章 戦後アジア国際政治史=宮城大蔵
 第9章 冷戦後の国際政治=岩間陽子
 第10章 近代日本外交史=酒井哲哉
 第11章 戦後日本外交史──自立をめぐる葛藤=添谷芳秀


・木寺元「地方制度改革と官僚制―外部専門家のアイディアと行政官の専門性の視座から」
                        (日本政治学会編『年報政治学』2008-2、2009年)
  著者の木寺さんからお送りいただきました。官僚の専門性と外部専門家の発想という、
 両者の特色ある知見は、共にあって初めて有効に機能するということは、地方制度改革に
 止まらない、ひとつの定式であるように感じました。

・吉野作造講義録研究会「吉野作造講義録(二)」(『国家学会雑誌』122巻1・2号、2009年)
  研究会のみなさんからお送りいただきました。(一)に引き続き赤松克麿による講義ノートの
 翻刻がメイン。矢内原忠雄によるノートについても紹介がされている。政治史講義の淵源に
 迫る労作。感謝です。
 

2009年04月29日

著作―「オーラル・ヒストリーの可能性」

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 「オーラル・ヒストリーの可能性―仮説の発見と実証―」(RPSPP Discussion Paper No.4)
 2009年4月(ディスカッションペーパーのページに飛びます)

 昨年12月に立命館大学大学院政策科学研究科・地域共創セミナーでお話しした内容を加筆修整して、論文としてまとめました。方法論を扱った論文は、慶應G-SECでの「日本におけるオーラル・ヒストリー―その現状と課題、方法論をめぐって―」以来、実に5年半ぶり。少しは成長したところを出せたでしょうか。

 今回、執筆してみて、オーラル・ヒストリー全般が抱える課題を再認識することができたのは、とても大きな収穫でした。ゼミのメンバーとの議論にも活用できそうです。
 

2009年05月15日

「政官関係の歴史的展開」(日本行政学会)

 5月9日(土)、晴天に恵まれたなか、日本行政学会研究大会 分科会C「日本の政官関係は変化したのか?」で「政官関係の歴史的展開―行政国家の誕生と政党政治の創業―」と題して報告させていただきました。拙著『政党と官僚の近代』の議論をベースにしながら、行政国家、官僚、政治家、政党政治が相互作用しながら誕生してきたことを論じ、その後の政党政治期(二大政党制)における政権交代と官僚の関係についての問題提起を行いました。

 報告予定者がおひとり辞退されたため、私(歴史)と京都大学法学研究科の南先生(韓国)による報告となりましたが、司会の建林先生、討論者の牧原先生をはじめ、フロアからも積極的にご質問を頂いて、得るところの大きい研究報告でした。お越し頂いたみなさんに改めて御礼申し上げます。

 何より、行政学においても歴史研究、歴史的視点が重要であるということを、お越し頂いたみなさんに共有していただけたことは、嬉しいことでした。引き続き、研鑽を積んでいきたいと思います。

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 今回が初の広島行きだったので、江田島(旧・海軍兵学校)に行ってきました。親族が海龍に乗組む予定だったこともあり、感慨深く見学しました。
 

2009年08月20日

『WEDGE』総選挙特集

 WEDGE2009-9.jpg  『WEDGE』9月号(8月20日)「政権交代すればハッピーなのか」

 『WEDGE』9月号掲載の「政権交代すればハッピーなのか」にコメントが掲載されました。総選挙に向けた特集の中で、外交、安全保障、歴史的経験から政権交代が論じられています。

 注目はコメント陣。北岡伸一先生、井上寿一先生、土居丈郎先生、升味準之輔先生と錚々たるメンバー。私のコメントはごく短いものですが、先生方の論旨は、さすがと唸らされます。

 JR、私鉄の駅売店に並んでいますので、ご関心の方はお手に取っていただければ幸いです。
 

2009年08月22日

ジョルジュ・ビゴー展とギャラリー・トーク

bigot.jpg 「ジョルジュ・ビゴー展」図録

 東京都写真美術館で開催されている「ジョルジュ・ビゴー展―碧眼の浮世絵師が斬る明治」を観に行ってきました。ビゴーといえば、上記の絵をはじめとする風刺画で知られる明治日本を描いたフランス人画家。ノルマントン号事件や選挙干渉の風刺画でご記憶の方も多いのでは。

 私自身、この時代を専門にする以前からビゴーには特に興味があり、清水勲さんや及川茂さんの著作は軒並み目を通していましたが、なぜかこの展覧会は知らず、知ったのはつい昨日。第3金曜日は担当学芸員さんのギャラリートークもあるというので、研究の合間を縫って恵比寿に足を運びました。いつ来ても、ここは雰囲気がいいですね。

 『あさ』『おはよう』『また』に書かれた一般のひとびとの姿が壁面にプロジェクターで写し出され、その脇には、おなじみ『トバエ』の絵がずらり。図版でなく、実物で見ることができたため、書き込まれている文章もしっかりと読むことができました。これには感動。

 来日前、来日後の活動がとてもバランスをもって紹介されていたのもすばらしかったですが、何より圧巻は担当学芸員、三井圭司さんのギャラリートークでした。明治前期におけるメディアとしての写真と絵の関係について語られたくだりには熱というか、作品への愛情がこもっており、感動を覚えました。御礼深謝です。

 帰り道、図録を見ていたところ、謝辞のところによく知る某館学芸員Mさんの名前が!おとといまで一緒に出張していたのに(笑)。灯台もと暗しですね。
 
 展覧会は23日までです。この週末、お時間のある方は、恵比寿まで散歩されてみては。
 

2009年09月19日

「政治主導の政治史」(『WEDGE』10月号)

 WEDGE21-10.jpg 『WEDGE』2009年10月号

 『WEDGE』誌上にて、今月号から「政のかたち 官のすがた」と題して連載を開始することになりました。同誌にはこれまで2回、政治史の視点から政権交代、二大政党制、政官関係についてコメントしてきました。歴史の経験を重視した連載を、というお話で今回の企画に至りました。

 第1回は「政治主導の政治史」と題して、明治以降、綿々と続けられてきた政治主導の模索を、見取り図をイメージして描きました。拙著『政党と官僚の近代』で示した理解を前提にしつつ、「政治指導の形成と展開」(『慶應の政治学 日本政治』所収)を執筆する中で考えたことを反映させるかたちを取りました。SFCの環境のなかで見出した形です。お目に止まれば幸いです。
 
<以下、10月30日加筆>
 お読み頂いた方から、このテーマでもっと深掘りするには何を読めばいいかという問い合わせを何件か頂きました。ありがとうございます。
 比較的入手しやすく、参考になるであろう文献を挙げておきます。ご活用ください。

・隈板内閣、政官関係、政官協働
 拙著『政党と官僚の近代―日本における立憲統治構造の相克』(藤原書店、2007年)
・政党内閣と政権交代
 村井良太『政党内閣制の成立―1918~27年』(有斐閣、2005年)
・加藤高明、憲政会内閣
 奈良岡聰智『加藤高明と政党政治―二大政党制への道』(山川出版社、2006年)
・明治憲法
 大石眞『日本憲法史』(有斐閣、2005年)
・官僚制度
 大森彌『官のシステム』(東京大学出版会、2006年)
 

2009年09月27日

政治大学現代日本研究中心開所シンポジウム(9月24、25日)

 12年ぶり2度目の台湾訪問に行ってきました。

 目的は、国立政治大学に新設された現代日本研究センターの開所式と開設記念シンポジウム。開所式には蕭万長副総統をはじめ、台湾の要人が列席、壮観でした。

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 シンポジウム初日は、世界各国の日本研究についてのレビュー報告。方法論の観点から、日本、アメリカ、中国、韓国、ドイツ、シンガポールにおける日本研究の現状について台湾の若手研究者が報告し、日本の若手研究者がコメントをするというものでした。私の役目は呉明上先生(義守大学)報告へのコメントでした。日台双方の若手研究者で交流できたことで、多くの示唆を得ることができました。

 2日目は、ベテランの先生方が登場。台湾における日本研究について、日本側から5名、台湾側から6名の先生方が講演されました。これは嬉しい経験でした。同センターのスタートに際して、とても有益な議論だったように思います。

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 12年ぶりに訪れた台湾は、大きく変化していました。台北101(高層ビル)や、MRT(市内鉄道)をはじめ、中心部はずいぶんと様変わりしたように感じました。

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 幸いにも宿は、市郊外に位置する政治大学近くに取っていただけたので、「台湾らしい」街並みを満喫することができました。相変わらずどこに行っても台湾人に間違われましたが(笑)、雰囲気、空気、人柄、とても好きな国のひとつです。

 何より嬉しかったのは、政治大に留学している古い友人が、とても真摯に研究を積み重ねている様子を聞けたことでした。彼のまわりにいる台湾人、日本人留学生もみな熱心で優秀。最終日によいひとときを過ごさせてもらいました。感謝です。

 蓬莱の島に、また伺える機会を楽しみに。
 

2009年10月07日

「『過去官僚』、官邸下支え」(談話)

 『朝日新聞』10月6日朝刊の記事「『過去官僚』、官邸下支え」に談話を寄せました。

 「政府・与党の協調が課題」と見出しがありますが、専門知の継承、内閣主導の進展、政府与党関係について、大隈重信・憲政党内閣、原敬・政友会内閣、加藤高明・憲政会内閣の経験を述べたものです(加藤内閣の部分は編集の段階でなくなってしまいましたが)。

 お目に止まれば幸いです。
 

2009年10月19日

「『内閣主導』実現なるか」(『WEDGE』11月号)

 WEDGE09-11.jpg 『WEDGE』11月号

 『WEDGE』の連載「政のかたち 官のすがた」、第1回の総論に続き、今回からは各論です。まずは「内閣主導」について論じました。内閣の有する性格がどう変わってきたのか、政権交代に伴う政策変革はどう起こったのかを論じました。

 今号にはのっぽさん、升味先生の記事があります。「できるかな」と『日本政党史論』に育てられた私にとっては、格別な喜びです。
 
<以下、10月30日加筆>
 お読み頂いた方から、このテーマでもっと深掘りするには何を読めばいいかという問い合わせを何件か頂きました。ありがとうございます。
 比較的入手しやすく、参考になるであろう文献を挙げておきます。ご活用ください。

・政治主導
 牧原出『内閣政治と「大蔵省支配」―政治主導の条件』(中央公論新社、2003年)
・内閣制度、官邸機能
 拙著『政党と官僚の近代―日本における立憲統治構造の相克』(藤原書店、2007年)
・加藤高明内閣全般
 奈良岡聰智『加藤高明と政党政治―二大政党制への道』(山川出版社、2006年)
・行政調査会
 拙稿「政治指導の制度化」(『慶應の政治学 日本政治』慶應義塾大学出版会、2008年)
・セクショナリズム
 今村都南雄『官庁セクショナリズム』(東京大学出版会、2006年)
・GHQと公務員制度
 岡田彰『現代日本官僚制の成立―戦後占領期における行政制度の再編成』(法政大学出版局、1994年)
 

2009年11月19日

「過去官僚と現在官僚」(『WEDGE』12月号)

 WEDGE21-12.jpg 『WEDGE』12月号

 10月号の総論、11月号の「内閣主導」に続いて、第3回となる12月号では政権と官僚のあり方について論じました。昨今聞かれるようになった「過去官僚」(かつて官僚であった人)と戦前の政党内閣の関係から論じて、現役の「現在官僚」と政権のあり方に射程を伸ばしてみました。刊行は明日20日だそうです。お目に止まれば幸いです。
 
 立冬ということばが肌にしみる今年の冬。風邪などひかれませぬよう。
 

2009年12月21日

「予算膨張は政党政治の必然か?」(『WEDGE』1月号)

  WEDGE22-1.jpg 『WEDGE』1月号

 『WEDGE』の連載「政のかたち 官のすがた」も4回目。通常国会の開会を前に、政党内閣下における予算統制について書きました。同僚の神保謙先生も、北朝鮮政策についての論考を寄せられています。
 
 わがふるさとは、はや雪景色のようです。土曜の朝にはSFCでも小雪が舞っていました。
 あと10日、よい年末になりますよう。

 <追記>
  19日の『朝日新聞』、「事務次官いる?いらない」にコメントを出しました。
 

2009年12月30日

「大正・昭和の政治史に関するデータベース」(『日本歴史』740号)

 nichireki.jpg 『日本歴史』740号

 『日本歴史』1月号に「大正・昭和の政治史に関するデータベース」という記事を書きました。新年号の特集「日本史研究とデータベース」のうちの一本です。私の記事は1ユーザーとしての範疇にとどまるものですが、「分野別現況」の記事は提言としての意味をこめて書かれたものが多く、勉強になります。なにより、歴史系の雑誌にARGの岡本真さんが書かれているのはすばらしい。

 なお、この原稿作成にあたり、多くの方にDB情報をご教示いただきました。ありがとうございました。

 これが今年最後のエントリーになると思います。みなさま、どうぞよい新年をお迎え下さい。

 清水 拝

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新年特集<日本史研究とデータベース>
新年特集にあたって…『日本歴史』編集委員会
日本史研究データベースはどこへ行こうとしているのか…横山伊徳

【分野別現況】
日本古代史研究のためのオンライン・データベース…小口雅史
中世史研究資源としてのウェブデータベース…田良島 哲
日本近世史研究とデータベース…鵜飼政志
インターネットで歴史研究…櫻井良樹
中国・台湾史に関するデータベース…江川式部
朝鮮前近代史に関するデータベース…長森美信
朝鮮近現代史に関するデータベース…河 かおる
ぞんざいな検索、丁寧な検索―日本文学関連データベースの周辺―…荒木 浩
日本史研究におけるインターネットの学術利用―これまでの成果と、これからの課題―…岡本 真

【提供者の立場から】
国立歴史民俗博物館のデータベースと統合検索…安達文夫
国文学研究資料館(アーカイブズ関係)のデータベースの紹介…五島敏芳
国文学研究資料館(文学系)データベース…入口敦志
国立公文書館・アジア歴史資料センターのデータベース…平野宗明
国立国会図書館・憲政資料室…堀内寛雄
東京大学史料編纂所データベース…遠藤基?
東京都公文書館におけるデータベース利用…中元幸二
法政大学大原社会問題研究所のデータベース…若杉隆志
墨書土器データベース…吉村武彦
早稲田大学文学学術院学術情報データベース…海老澤衷
大阪市立図書館商用データベース紹介…岡本泰子
京都大学附属図書館「貴重資料画像」…西村暁子
奈良文化財研究所のデータベース―木簡を中心に―…渡辺晃宏
奈良県立図書情報館地域史料目録のデータベース…大宮守友
九州大学デジタル・アーカイブ…宮崎克則

【利用者の立場から】
日本史学におけるデジタル・アーカイブの現状と展望…後藤 真
日本思想史系データベースの利用とその現状…桐原健真
四国における歴史教育・研究とデータベース―デジタルアーカイブとeラーニングの取り組みを中心に―…鈴木正信
琉球史に関するデータベース紹介…渡辺美季
古代史研究とデータベース…加藤友康
日本古代史関係のデータベース…倉本一宏
古代史データベースと初歩的な使用法…服部一隆
韓国木簡のデータベース…橋本 繁
研究環境の最適化…野村朋弘
学会・研究会等データベースの現状…川戸貴史
大正新脩大蔵経テキストデータベース…生駒哲郎
日本禅宗史に関するデータベース…川本慎自
幕政史関係のデータベース…荒木裕行
藩政史研究におけるデータベースの活用…野口朋隆
藩政史・地方史に関するデータベース…脇野 博
学術空間としてのインターネット…梶田明宏
近代法制史に関するデータベース…天野嘉子
日本外交関係資料のデータベース…熊本史雄
大正・昭和の政治史に関するデータベース…清水唯一朗
地方公文書館等のデータベースの現状と課題…松沢裕作
国立国会図書館近代デジタルライブラリーおよび新聞・雑誌に関するデータベース…真辺将之
日本経済史に関するデータベース…宮地英敏

【口 絵】
重要文化財 壬申検査関係写真のうち東大寺中門・大仏殿…(解説)田良島 哲
書評と紹介/新刊寸描/新刊書案内/学界消息
 

2010年01月01日

新年のご挨拶(1月1日)

 いつも当ブログをご覧頂き、ありがとうございます。
 
 本年も研究に、教育にがんばって参りますので、どうぞ宜しくお願いいたします。

                                2010年1月1日 清水唯一朗

清水研究室の2009年

 2月  「政治の安定、官僚の安泰?―二大政党時代と官僚」(『三田評論』1120号)
     「明治日本の官僚リクルートメント―その制度、運用、実態―」(『法学研究』82巻2号)

 3月  「歴史検証 戦前の政党が政治任用で失敗した理由」(『WEDGE』21巻4号、談話)

 4月  日本政治外交(JPD)ゼミ第3期、開講。オーラル・ヒストリーゼミ第1期、開講。
     研究室整備完了。ゼミ生による研究室利用を開始。
     「オーラル・ヒストリーの可能性―仮説の発見と実証―」
                                  (RPSPP Discussion Paper No.4)

 5月  学会報告「政官関係の歴史的展開―行政国家の誕生と政党政治の創業―」
                                             (日本行政学会)

 6月  講義「総合政策学の創造」において政策コーカスを実施。2年目。

 7月  講演「政策研究とオーラル・ヒストリー―その現状と課題―」(防衛省防衛研究所研究会)
     ゼミ2期生の成果を『日本政治外交研究』2号として刊行。

 8月  「政権交代すればハッピーなのか」(『WEDGE』21巻9号、談話)
     「次世代人材育成・研修会」(吉野作造記念館)に講師・コーディネーターとして参加。
     8.30総選挙に多くのゼミ生がさまざまな形で関与。

 9月  JPDゼミ合宿@伊豆長岡。
     オーラル・ヒストリーゼミ合宿@河口湖
     慶應義塾大学ウインドアンサンブルOB吹奏楽団第7回定期演奏会にて演奏。
     東京大学菅原ゼミとの第3回インゼミを実施。
     「政のかたち 官のすがた 政治主導の政治史」(『WEDGE』21巻10号)
     「日本研究と台日関係」国際フォーラムにコメンテーターとして参加。
     SFC初の宿泊型講義「福沢諭吉と現代2」がスタート。

 10月 「『過去官僚』、官邸下支え」(『朝日新聞』10月6日付朝刊、談話)
     連合三田会大会、幹事学年として参加。
     「政のかたち 官のすがた 『内閣主導』実現なるか」(『WEDGE』21巻11号)

 11月 講演「逗子市民大学 「日本近代史」」
     「政のかたち 官のすがた 過去官僚と現在官僚」(『WEDGE』21巻12号)
     研究報告「政治主導と官僚主導の150年」(先端公共政策研究会)

 12月 講義「総合政策学の創造」において政策コーカスを実施。2年目。
     「事務次官いる?いらない?」(『朝日新聞』12月19日付朝刊、談話)
     「政のかたち 官のすがた 予算膨張は政党政治の必然か?」(『WEDGE』22巻1号)
     「大正・昭和の政治史に関するデータベース」(『日本歴史』740号)

 身長 2mm成長。
 体重 1kg成長。今年もすこやかに。
 

2010年01月20日

「政治家の領分、官僚の領分」(『WEDGE』2月号)

  WEDGE22-2.jpg 『WEDGE』2月号

 『WEDGE』の連載「政のかたち 官のすがた」も最終回。これまでの連載をふまえて、明治、大正、昭和の政官関係を俯瞰しなおしました。同僚の渡辺頼純先生も、FTAについての論考を寄せられています。

 秋学期の講義も昨日で終了。これからが勝負です。

2010年03月03日

シンポジウム「宇和島と近代日本のリーダーたち」(2月28日)

 念願だった四国・宇和島に行ってきました。

 小藩ながら、賢侯として知られる伊達宗城のもと、幕末維新の政治史に大きな功績を残した宇和島藩。明治に入っても児島惟謙、穂積陳重・八束兄弟、桑山鉄男、二荒芳徳といった人材を輩出し続けた地。知人の宇和島出身者もおしなべて快活で優秀。どんな土地なのだろうと、とても関心がありました。

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 これまで愛媛は松山、内子どまりで南予までは足が伸びなかったのですが、今回、渋沢栄一記念財団・宇和島商工会議所が主催するシンポジウム「宇和島と近代日本のリーダーたち」にお招きいただき、ようやく伺うことができました。

 高知から四万十川沿いに進み、目の前に開けた宇和島は、空高く、海青く、緑のひろがる風光明媚な地でした。知の力も、駅前の古書店に入ってすぐに感じることができるほど。文化のある街は、地力が違います。

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 シンポジウムは、穂積兄弟、渋沢栄一、福沢諭吉、大隈重信の事跡を通じて企業家精神を学ぶというもの。私はディスカッサントとしての参加でしたので自由度が高いなかで話させていただきました。津波警報が発令されるという事態のなか、200人を越える方に来場頂きました。感謝です。

 うれしかったのは、同級生のご両親やSFCの卒業生、それに10年以上音信が途絶えていた下宿仲間がわざわざ松山から駆けつけてくれたことでした。司馬遼太郎は宇和島人を愛し、お手伝いさんはすべて宇和島の方にしたといいますが、そうした「気持ちのよさ」がわかるような気がしました。

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 また訪れてみたいと思う街がひとつ増えました。宇和島のみなさん、ありがとうございました。
 

2010年03月17日

「2010年日台フォーラム」(3月8日)

 3月8日(月)、霞山会館で開催された「2010年日台フォーラム 民主党政権獲得後の東アジア情勢と両岸関係の展開」に報告者として出席しました。

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 フォーラムは「オバマ大統領アジア歴訪後の東アジア情勢」 「民主党政権掌握後の日本国内政治と外交政策」 「最近の中国情勢と日中台関係」 の3つのセッションからなり、日台の研究者9名が報告しました。

 報告のタイトルは「民主党政権の誕生と政治主導の始動」。『WEDGE』の連載などで検討してきた「政治主導の政治史」の議論を前提に、現政権の施策についても、生煮えながら若干の議論と展望を行いました。討論者を務めてくださった曽根泰教先生、楊釣池先生からのコメントはきわめて示唆に富んでいました。ありがとうございました。

 報告の機会をくださった加茂具樹先生にも感謝です。前のセッションでの中山先生のコメントにも、強い示唆を受けました。充実した時間でした。

 会場となった霞山会館は、近衛篤麿が初代会長を務めた霞山会の本部。再開発により建物は変わりましたが、独特の雰囲気はしっかりと受け継がれていました。

 台湾・中央社の記事
 http://www.dwnews.com/gb/Taiwan/2010-03/cna_2010-03-08-20-50-48-000.html

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 3月6日の読売夕刊「次世代 人」に取り上げていただきました。汗顔のいたりでしたが、これまでお世話になった方へのよい報告にはなったようです。

 3月8日の朝日朝刊「GLOBE」の公務員制度改革特集にコメントを寄せました。
 「官僚制は戦前から戦後へ 改革は、蛇行した」という記事です。
 この企画、とても周到に取材がなされていて、大変勉強になりました。ご関心があれば。
 

2010年06月15日

近況報告

 前回の投稿から、あっという間に2カ月が過ぎました。学期中は時の流れるのが格段に早く感じます。すっかり遅くなってしまいましたが、春学期に入ってからの近況報告を。

・日本政治外交ゼミ
 4期目となる今年は、4年生2名、3年生10名、2年生9名でスタートしました。

 春学期前半は、制度と現状に関するコースワーク。政党、政治家、官僚といったアクター、選挙、メディア、利益団体などコミュニケーションと代表制、立法過程と政策形成過程などプロセス、手続きへの理解を深めました。政権交代のせいか、新しいテキストが軒並み刊行延期になったため文献のセレクトに苦心しましたが、メンバーの意欲が高く、新聞雑誌記事をフォローする形で現実へのキャッチアップが行われました。
 現在は春学期後半の運用と歴史に関するコースワーク。明日のゼミは国民の参加について、戦前日本の政党政治期の経験から考えます。

 5月18日には第1回目の社会人セッションを実施。ゼミ1期生の園田さん(内閣府政策調査員)に、鳩山政権が取り組む「新しい公共」についてお話してもらいました。第2回目の社会人セッションは、同じくゼミ1期生の大城くん(琉球放送)に来てもらいます。普天間問題の現場の話が聞けることが、とても楽しみです。

・オーラルヒストリーゼミ
 こちらは4年生2名、3年生5名、2年生5名の12名でスタート。開講2年目になる今年は「聞くこと」の意味と方法をより深く考えるため、オーラル・ヒストリーの方法論に留まらず、ナラティヴ、インタビュー、エスノグラフィー、ライフストーリーなど近接分野の手法を丹念に検討しました。新規履修者のプロジェクトもそろそろ本格化。実際に聞くことで、かなりの進捗が生まれはじめています。

 くわえて、今期はグループによるプロジェクトも本格化。藤沢市の中学校のご協力を得て、中学生が地元のベテランの方に「地域の記憶」を伺い、継承するプロジェクトが順調に進行しています。今後の展開が楽しみです。

・政策コーカス
 2年前にスタートしたSFCの新名物「政策コーカス」。今年は総合政策学部に加え、環境情報学部の1年生も全参加となり、キャンパスの全1年生が取り組むイベントとなりました。twitterに加え、Ustでの配信も始まっています。本番の政策討論会、最終演説・投票もいよいよ来週。10名×4グループが移民政策について、真剣に学び、議論しています。

・政官関係研究
 一昨日、慶應法学会にて「戦前日本の政官関係―党派化と政党化の観点から」と題して報告をさせていただきました。正統性、政治応答性、専門性の相互関係で戦前の政官関係の構造を描き、現在の政治主導論、公務員制度改革を照射しようという試みです。当面、この研究は続けていきたいと思います。

 いよいよ梅雨入りしたようですね。こんなときこそ、元気に歩んでいきたいものです。みなさま、どうぞお元気で。

2010年06月30日

「戦前日本の政官関係」(慶應法学会、6月12日)

 6月12日、暑さが増した週末、慶應三田キャンパスで開催された慶應法学会で研究報告に臨んできました。

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 今年のテーマは「政党制と政治」。第1報告として「戦前日本の政官関係―党派化と政党化の観点から」と題して報告をしました。第2報告の菅原和行先生はアメリカ公務員制度における政治任用、第3報告の増山幹高先生は2009年衆議院議員総選挙、第4報告の山元一は政権交代と憲法の観点から論じられ、有意義な研究会となりました。司会の大沢秀介先生、討論の駒村圭吾先生に感謝です。

 とりわけ、終了後の懇親会で公法系の先生方と議論できたことは有益でした。こういうインターディシプリンの場は、本当にありがたいものです。

 ひきつづき、政権交代と政官関係について、歴史的視座を持ちながら論じていきたいと思います。
 

2010年07月29日

書評 杉本仁『選挙の民族誌―日本的政治風土の基層』


 『選挙研究』26-1号(日本選挙学会、木鐸社、2010年)に、杉本仁『選挙の民族誌―日本的政治風土の基層』(梟社、2007年)の書評を書きました。


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 これまで政治学、歴史学の分野ではなかなか取り上げられる機会がなかった本書ですが、地方における伝統的な選挙の実態がよくまとめられている、貴重な一冊です。山梨県の選挙、教組による候補者支援の事例としてはもちろんのこと、ある種の伝統的な選挙を知らない私たちの世代や、新興地域に住んでいる方々には、別して一読の価値があると思います。2007年刊と、やや旧聞に属する書籍ですが、取り上げずにはいられませんでした。

 以下に目次をあげておきます。

 はじめに
 第1章 ムラ祭りとしての選挙
  一 神迎え
   1 御輿に乗る人、担ぐ人
   2 神座と縁起物
   3 神意伺い      
  二 神の降臨
   1 暴れ御輿
   2 御成道
  三 神祭りのあと
   1 排斥と調整
   2 謝礼と日和見
 第2章 ムラの選挙装置と民族
  一 イッケとジルイ
   1 同族組織
   2 スジの拡張
  二 親分子分慣行
   1 オヤブンの権威
   2 オヤブンの変容
  三 無尽と仁義
   1 資本金借
   2 無尽の活用
   3 選挙と無尽
   4 義理張り
 第3章 ムラの精神風土と金丸信
  一 甲州の政治風土
   1 中傷ビラ戦争
   2 甲州人気質
  二 ムラの政治家
   1 イデオロギーの棚上げ
   2 任侠
   3 久親会
   4 人脈政治
   5 傀儡人形
   6 ウチのホトケさん
 終章 政治風土と民族のゆくえ

 

2010年09月08日

SFCフォーラム「これからの日本づくり」(9月3~4日)

 処暑とは思えない暑さのなか、涼と学びを求めて箱根に上がってきました。


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 今回の目的は、企業人が集まる「SFCフォーラム 経営サロン」合宿での講演でした。

 私のお題は民主党と政治主導。「政治主導を問い直す―歴史的経験知からのアプローチ」と題して報告させて頂きました。
 政治主導、官僚主導、内閣主導、官邸主導といったことばを整理しながら、その歴史的経緯から現状を論じたところ、実際にそれらの分野で活躍された方々から多くのコメントを頂くことができました。これまでの政治学分野での研究報告とはかなり違った向きの議論になり、有益でした。

 何より楽しかったのは、同僚他分野の仲間の報告が聞けたこと。普段から親しくしている同僚が展開する最前線での議論は、さまざまな意味で新鮮でした。やはりここは本当に時代を拓くキャンパスなのだと改めて実感。そこで議論をできることの幸せを感じました。政治史、ユビキタス、プロボノ、パターン・ランゲージ。融合できたら本当に素敵です。

 悔やまれるのは、深更まで話し続けて温泉に漬かれなかったことでしょうか。また改めて、ゆっくり行きたいものです。


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 帰途、同僚に連れて行ってもらった蕎麦屋が小田原にあった山県有朋の邸宅「古稀庵」の離れを移築したお店(暁亭)でした。古稀庵の跡地には一度行ったことがあるのですが、某損保の保養所になり、門と庭は当時のままでしたが建物がなく寂しく思ったものでした。後日、政治家の別荘を研究している同業先生に伺ったところ、古稀庵の建物のうち、少なくとも本館と洋館は関東大震災で全壊したとのこと。この離れがそれ以前のものか、以後のものか気になるところです。
 

2010年09月11日

吉野作蔵記念館人材育成研修会(9月4~6日)

 箱根から戻った翌日、宮城に向かいました。吉野作造記念館「人材育成研修会」に参加するためです。この企画ももう4年目。私のなかではすっかり晩夏の恒例行事になりました。


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 私は箱根との兼ね合いで2日目からの参加になったのですが、初日のシンポジウム「吉野作造と現代」(『毎日新聞』記事へのリンク)がなんとも豪華。基調講演は御厨先生の「日本に政党政治は根づくのか-党名の政治学」。自由、民主といった人を惹きつけるワーディングから論を展開。これに猪木武徳先生、阿川尚之先生、苅部直先生に、奈良岡聰智さんがコメント、討論。ちょっと東京でもないメンバーです。聞けなかったのが悔やまれます(後日、DVDが送られてくるので、ゼミ生のみなさん、一緒に見ましょう)。


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 2日目、午前中に小川原正道さんによる報告のあと、午後すぐに「吉野作造と大正の公論空間」と題して発表させて頂きました。参加者は上記の先生方に加えて、東北大から12名、慶應から6名、京大から3名の学生のみなさん。先生方を中心にたくさんのコメントをいただき、活字にしてみようかと思えるところまでたどり着きました。政治史、日本史、思想史の合同セッションだったことによる益が大だったように思います。文献調査も進み、ありがたい機会でした。

 気にかかったのは、学生のみなさんの質問が「答え」を求める一方的なものになっていて、対話が意識されていないことでした。一方的に「授業」を受けることが多いでしょうか。一方通行では、公論空間はできませんよね。後半は、このあたりがうまく回ったように思います。

 しかし何よりこの企画には記念館のみなさんが多くの力を注いでくださっていることがありがたい。みなさまのご尽力に、心から感謝したいと思います。ありがとうございました。

 仙北の沃野では稲穂の波が太陽に輝いていました。もう秋ですね。


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2010年09月21日

「民主党執政後日本政治、経済と外交政策の転変」学術検討会

 政治大学国際関係研究中心で開催される表記シンポジウムで報告するため、台湾に行ってきました。

 が、折悪しく台風11号が直撃し、シンポジウムは中止。日本では台風で研究会議が中止になることはあまりありませんが、台湾は南国です。風雨は東京のそれとは比べものになりません(でした)。被害を押さえるため、台風が襲来すると自治体の判断で出勤停止、通学停止(停班停課)の決定がなされるそうです。

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 国際シンポジウムは残念ながら中止となってしまいましたが、そのおかげで日本側の研究者のみなさんとゆっくり意見交換することができました。これはこれでありがたい時間。戒厳令下のような街をみることができたのは、貴重な体験でした。

 翌20日は、台風も通り過ぎ「上班上課」。半年ぶりに政治大学歴史系の友人たちと会い、研究相談、意見交換をして帰国しました。お世話になったみなさん、ありがとうございます。

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 10月末には、羽田―台北(松山)線が就航するそうです。現在の成田―台北(桃園)はいずれも郊外にある空港。日本で1時間、台湾で1時間の短縮は大きいですよね。MRTに直結しているのもうれしいです。

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 さて、これから恒例のインゼミです。
 

「辛亥革命と日本の反応―『崛起する中国』と近代日本」

 shikkoku.jpg 小林道彦・中西寛編『歴史の桎梏を越えて―20世紀日中関係への新視点』(千倉書房、2010年)

 「辛亥革命と日本の反応―『崛起する中国』と近代日本」と題する論文を書きました。上掲書に所収されています。

 1911(明治44)年10月、日本は中国(清王朝)で起きた革命を、ある特殊な感覚を持って迎えました。日清戦争を経て日本は古代から模範としてきた中国を「乗り越えた」と理解していました。
 その中国で起こった共和政革命は、中国にとっての明治維新となるのか。むしろ、立憲君主制えを取る日本を越えて共和政になることは、東アジアにおける近代化レースの中で日本が追い抜かれることになるのではないか。
 そうした日本のとまどいをよそに、革命は進行していきました。崛起する中国にどう向き合うのか。近代日本は大きな課題に直面することになります。

 本稿では、新聞10紙、雑誌10誌の論調を追うことでこのテーマに世論レベルでアプローチしました。中国のめざましい発展を日本人はどう捉えたのか。今後も研究課題のひとつとして、このテーマに取り組んでいきたいと思います。ご高覧、ご批評いただければ幸いです。

 この原稿は、当初、小島朋之先生への追悼として書いたものでした。「崛起する中国」というサブタイトルも先生のご著書から頂いたもの。先生の口癖は「いいんじゃない?」。お元気であったら、そう言ってもらえたでしょうか。

 同書には、編者のおふたりのほか、多くの方の力が入った論文が並んでいます。静かに、しかし深く語りかけてくる一冊だと思います。

 それにしてもこの装丁、相変わらず凝っていますね。さすがです。
 いい顔の本。うれしいです。

<以下、目次。出版社のサイトから>
序論―小林道彦・中西寛
第Ⅰ部 分岐する運命―帝国日本と革命中国
 第1章 伊藤博文の中国観―立憲政友会創設期を中心に―瀧井一博
  1 国制としての立憲政友会
  2 立憲政友会への旅―明治三二年の憲法行脚
  3 もうひとつの旅―明治三一年の清国訪問
  4 戊戌政変の体験―政治的中国との距離
  5 張之洞との会見―経済的中国との出会い
  6 通商国家戦略としての政友会創設―市場としての中国
 第2章 辛亥革命と日本の反応―近代日本と「崛起する中国」―清水唯一朗
  1 本稿の視座
  2 革命の勃発と日本の反応
  3 講和交渉の進展と中華民国の成立
  4 清朝の滅亡と日中関係の彷徨
  5 近代日本と「崛起する中国」
 第3章 加藤高明と二十一ヵ条要求―第五号をめぐって―奈良岡聰智
  1 日本外交の転機としての二十一ヵ条要求
  2 第五号はいかにして提出されたのか
  3 第五号の作成過程
  4 第五号の秘匿
  5 第五号はいかなる波紋を及ぼしたのか
  6 海外メディアの反応
  7 イギリスの反応
  8 暗礁に乗り上げた交渉
  9 二十一ヵ条要求への新視点
 第4章 第一次世界大戦後の中国をめぐる日米英関係―大国間協調の変容―中谷直司
  1 大戦の終結と日中関係の決裂
  2 日米関係の変化―パリ講和会議
  3 日英関係の変化―新四国借款団の結成交渉
  4 「ワシントン体制」の成立と中国をめぐる国際政治の変容
 第5章 王正延の外交思想―高文勝
  1 王正延の文明観
  2 王正延の国際認識
  3 王正延の外交観
  4 王正延の不平等条約撤廃
  5 王正延の対日構想
 第6章 危機の連鎖と日本の対応―朝鮮・満州・「北支」・上海一九一九~一九三二―小林道彦
  1 ワシントン体制と朝鮮要因
  2 朝鮮統治の動揺と張作霖の中原進出
  3 政友会積極外交の迷走
  4 経済外交と朝鮮自治論
  5 危機の連鎖―朝鮮・満州・「北支」
  6 朝鮮独立運動と第一次上海事変
  7 新たな危機と体制の立て直し
第Ⅱ部 冷戦下の変容―帝国の解体から国交正常化へ
 第7章 トルーマン政権の極東政策―長尾龍一
  1 トルーマンの登場
  2 ポスダム宣言
  3 マッカーサー
  4 国共内戦と米国
  5 トルーマン政権と中国―アチソン外交
  6 マッカーシズム
  7 結語
第8章 ポーレー・ミッション―賠償問題と帝国の地域的再編―浅野豊美
  1 米国による賠償政策の起源
  2 賠償と日本人引揚命令―極東委員会成立をめぐって
  3 帝国の分割と在外財産活用による地域形成―米国による帝国再編構想
  4 終わりに―帝国の地域的再編の手段としての賠償
 第9章 戦後日本における華僑社会の再建と構造変化―台湾人の台頭と錯綜する東アジアの政治的帰属意識―陳來幸
  1 東アジアの冷戦と華僑社会
  2 戦後における在日華僑社会の再建
  3 華僑民主促進の成立と朝鮮戦争による情勢の変化
 第10章 日中国交正常化交渉における台湾問題一九七一~七二年―井上正也
  1 台湾問題をめぐる日中関係
  2 佐藤政権の対中接近の模索と挫析
  3 田中角栄訪中への道
  4 日中国交正常化交渉と台湾問題
  5 台湾問題をめぐる暫定協定
第Ⅲ部 歴史像の転換―二一世紀日中関係の礎
 第11章 体制変革期における日本と中国一九二七~一九六〇年―中西寛
  1 体制変革という視点
  2 一九二七、八年の日中関係
  3 日本の降伏と象徴天皇制の選択
  4 安保改定をめぐる騒乱と体制競争の決着
  5 「革命と戦争の世紀」としての二〇世紀東アジア
 第12章 歴史は鑑か鏡か?―国際比較の中の日中歴史教科書―等松春夫
  1 分断された記憶
  2 南京虐殺事件―事例研究1
  3 真珠湾攻撃―事例研究2
  4 戦時下の強制労働(「従軍慰安婦」問題を含む)―事例研究3
  5 満洲事変―事例研究4
  6 東京裁判(および靖國神社)―事例研究5
  7 教科書の叙述の背後にあるもの
 第13章 「中国の台頭」と国際秩序―浅野亮
  1 「中国の台頭」への分析視座
  2 アジア秩序の変容と中国の役割
  3 秩序形成の行方
 結論―小林道彦・中西寛
 あとがき
 主要人名索引

2010年10月16日

日本政治学会「近代日本の政権交代と官僚制」(10月10日)

 秋晴れのなか、日本政治学会@中京大学に行ってきました。

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 地下鉄駅から直結したキャンパスに入ると、大学院同期や研究仲間が事務局として大活躍。ごくろうさまです。ありがとうございます。

 報告者ではないので悠々と思っていましたが、討論者を頼まれていました。セッション名は「近代日本の政権交代と官僚制―内務省の事例から」。報告者は博士論文公刊直前、博士号取得直後、博士論文審査中という、まさに一番勢いのあるお三方。港湾行政、党派人事、社会運動取締と、多角的な報告が続き、面白く議論させて頂くことができました。報告者の黒澤さん、稲吉さん、宮地さん、司会の中静先生、討論の中澤さん、おつかれさまでした。

 1日目に行われたセッション「『内閣主導』のアナトミー」も刺激的でした。矢野さん、村井(哲)さんの精緻な歴史研究に、野中先生の現代研究、歴史に深い理解を持つ行政学者である岡田先生、牧原先生のコメント。統治のあり方について根本的に考え直すきっかけをいただきました。

 現実政治の変動がなせる技でしょうか。いつもの学会と異なり、今回は現実政治への貢献を視野に入れた、熱の入った報告が多かったように思います。多くの刺激を受けた3日間でした。
 

2010年10月18日

内務省研究会、50回(10月17日)

 昨10月17日、内務省研究会が50回の節目を迎えました。

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(明治期の内務省。国立国会図書館ウェブサイトから転載)

 研究会や大学の枠を越えて、いろいろな専門、ディシプリン、背景を持った仲間たちと研究交流をしていきたい。そうした思いから会を立ち上げたのは2001年の3月。第0回は横浜開港資料館脇の「喫茶ペリー」で修士論文報告会として行いました。市川智生さん(現、上海交通大)、大内雅人さん(しょうけい館)、清水の3名が参加者でした。

 この試みを面白いと思ってくれた仲間で同年6月に第1回を開催しました。多くの人が参加できる研究対象という意味合いもあり、会の名前は「内務省研究会」としました。松澤裕作さん(東京大学史料編纂所)、小川原正道さん(慶應義塾大学法学部)、官田光史さん(日本学術振興会)が参加。会を重ねる毎に多くの方が参加してくださいました。初期には谷口裕信さん(皇學館大学)、水野京子さん(国立公文書館)が会を支えてくださいました。中期以降は参加者も増えました。片山慶隆さん(関西外国語大学)、村井良太さん(駒澤大学)のご助力には、本当に助けられました。

 あれから10年。会は50回を重ね、昨日の研究会では松澤さん、市川さん、清水の幹事3名で報告しました。就職などでメンバーは全国に広がり、家庭や仕事も持って生活も変わりました。そうしたなかで、以前からのメンバーに新しい仲間が加わって議論できることを本当に嬉しく思います。

 昨日、参加者のみなさんから「この会のアーカイブスは?」と尋ねられました。会のブログにずっと溜めてあります。レジュメも私の研究室に、第1回からずっと保存してあります。

 懇親会で市川さんが打ち上げた「100回記念」まであと10年。楽しく集まれればと思います。

 これまでご参加くださったたくさんの方に感謝して。
 ありがとうございます。これからもどうぞよろしく。

 清水

2010年10月26日

「政党内閣期の政治と行政」(笠原英彦編『日本行政史』)

 17840.jpg 笠原英彦編『日本行政史』慶應義塾大学出版会、2010年

 本邦初となる日本行政史のテキスト執筆に参加させて頂きました。通史7章、テーマ史5章の全12章立てです。私は第3章「政党政治期における政治と行政」と執筆しました。
 内務省研究会で共に歩んできた小川原正道さんが通史4章「戦時体制と行政の中央集権化」と、テーマ史11章の宗教行政史を、柏原宏紀さんがテーマ史12章の国土交通行政史を執筆されています。このお二人のテーマ史、読みごたえがありました。


以下、出版社のサイトより。

日本行政史

▼日本の「行政文化」「官僚文化」を明らかにし、真の政治主導による政策形成に必要な歴史的視点を提示する。さらに、政策決定の分岐点を具体的に特定してその成否を検証することにより、あるべき「日本型モデル」の構築を目指す。
▼「行政史」の基本書たらんとする一冊。


総説

第Ⅰ部 総論
第1章 明治政府の成立と太政官制の復活
 はじめに
 1 明治維新期の政府機構
 2 廃藩置県と太政官三院制
 3 留守政府と太政官
 4 大阪会議
 5 自由民権運動と天皇親政運動
 おわりに

第2章 内閣制度の創設と帝国議会の成立
 はじめに
 1 太政官制と内閣制度
 2 大日本帝国憲法と内閣
 3 「富国強兵」と「民力休養」
 4 立憲政友会の成立
 おわりに

第3章 政党内閣期の政治と行政
 はじめに
 1 政党内閣移行期における政治と行政――立法と行政の相克
 2 政党内閣定着期における政治と行政――立法と行政の協働
 3 政党内閣動揺期における政治と行政――立法と行政の相互不信
 おわりに

第4章 戦時体制と行政の中央集権化
 はじめに
 1 第一次大戦後の総力戦研究と国家総動員の法制化
 2 戦時体制と総動員政策
 3 革新官僚と軍の行政関与の拡大
 4 内閣行政権の拡大
 5 戦時体制下の中央集権化の推進と地方行政の変容
 6 戦時体制下の東京市政・府政・都政
 おわりに

第5章 戦後復興と第一次臨調の設置
 はじめに
 1 初期占領改革
 2 新憲法制定と日本行政の変化
 3 占領政策の転換
 4 高度経済成長と「第一次臨調」
 おわりに

第6章 第二次臨調の設置と新自由主義
 はじめに
 1 第二次臨調の設置
 2 第二次臨調の活動
 3 第二次臨調の成果と課題
 4 中曽根行革と国際的潮流
 おわりに

第7章 省庁再編と構造改革
 はじめに
 1 連立政権の誕生と行政改革
 2 自民党の政権復帰
 3 橋本内閣と省庁再編
 4 小泉内閣と構造改革
 おわりに――残された課題

第Ⅱ部 各論
第8章 財政改革史
 はじめに
 1 戦前の行財政整理
 2 戦後の行財政改革
 おわりに

第9章 警察行政史
 はじめに
 1 明治初期の警察行政
 2 立憲体制下の警察行政
 3 戦後占領改革による警察行政の変容
 おわりに

第10章 衛生行政史――健康と国家の諸相
 はじめに
 1 「養生」
 2 長与専斎と近代衛生行政
 3 伝染病との格闘
 4 慢性伝染病対策
 5 昭和戦前期の衛生行政
 6 GHQの民主化政策と衛生行政
 7 「五五年体制」と衛生行政
 8 少子高齢化と衛生行政
 おわりに

第11章 宗教行政史
 はじめに
 1 民衆教化政策の展開と信教自由・政教分離原則
 2 明治憲法下における神社・宗教行政の展開
 3 占領政策と宗教行政の転換
 4 日本国憲法下における宗教行政の展開
 5 戦後日本の政教分離原則と「国家と宗教」をめぐる諸問題
 おわりに

第12章 国土交通行政史
 はじめに
 1 工部省と初期技術官僚の登場
 2 内務省の河川・道路政策と技術官僚の役割
 3 戦前鉄道行政と技術官僚の地位
 4 建設省の設立と技官の躍進
 5 運輸省の展開と技官の立場
 6 国土交通省と技官の課題
 おわりに

日本行政史関連年表
索引

執筆者紹介


2010年12月03日

SFC Open Reserch Forum(11月22、23日)

 この季節がやってきました。

 SFCの研究成果を発表するORF(Open Reserch Forum)が、今年も六本木ヒルズ40階のアカデミーヒルズで開催されました。

 これまでは直接的に参加することはあまりなかったのですが、今年は4つのセッションにお声がけいただき、関係する学生(宇和島プロジェクト、ゼミ有志によるまちづくり学生国際会議)の出展など、あわただしく過ごしました。

 もはや1週間過ぎてしまったので、記録として。

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 11月23日(火・祝)
  10:30~13:00「メディアと民主主義」
   郷原信郎 名城大学コンプライアンス研究センター長
   神保哲生 日本ビデオニュース株式会社代表取締役
   堀茂樹   総合政策学部教授
   清水唯一朗 総合政策学部准教授
   土屋大洋 政策・メディア研究科准教授

  11:30~13:00「総合政策学の創造/環境情報学の創造」
   國領二郎 総合政策学部長
   清水唯一朗 総合政策学部准教授
   廣瀬陽子 総合政策学部准教授
   村井純 環境情報学部長
   脇田玲 環境情報学部准教授
   大前学 政策・メディア研究科准教授
   齋藤賢爾 政策・メディア研究科講師ほか

  13:00~15:00「『新しい公共』と日本の社会ビジョン」
   鳩山由紀夫 衆議院議員、前首相
   小城武彦 丸善株式会社代表取締役社長
   土井香苗 ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表
   金子郁容 政策・メディア研究科教授
   清水唯一朗 総合政策学部准教授
   神野翔 総合政策学部3年
   下向依梨 総合政策学部2年
   本田哲也 総合政策学部4年

 郷原さん、神保さん、鳩山さん、小城さん、土井さんら豪華ゲストとの議論も刺激的だったのですが、何より嬉しかったのは「総合政策学の創造」でのプレゼン。これまで3年間取り組んできた「政策コーカス」の話をせよとのことで、歴代リーダー、ブレーンを総動員して臨みました。彼ら彼女らの活躍をみるのは、なにより嬉しいものです。「新しい公共」セッションに登壇した神野くん、下向さんもコーカス卒業生でした。
 みんなの力で、会場に来ていた高校生にも、大きなインパクトを与えることができたようです。終了後、北城恪太郎さんから「コーカスはぜひ続けてください」と仰っていただいた時には、万感の思いがしました。

 各研究会の展示も、例年に増して力が入っていたように思います。うれしいことです。来年も楽しみに。
 

2010年12月07日

『穂積重行オーラルヒストリー』

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 『穂積重行オーラルヒストリー』(渋沢栄一記念財団、2010年)

 2007年度に取り組んでいたオーラルヒストリーが、刊行のはこびとなりました。

 近代日本の法学を牽引した穂積陳重、八束兄弟、陳重の子・重遠という流れに連なる穂積先生をお迎えして、5回にわたって穂積家のこと、渋沢家のことを伺いました。

 今回のオーラルのおもしろさは、男性のことだけでなく、両家をめぐる女性についてもお伺いしたこと。『穂積歌子日記』を翻刻された重行先生ならではのお話を伺うことができました。

 このため、聞き手も政治史(清水)、法制史(出口雄一さん)、女性史(西沢直子さん)、経営史(島田昌和さん)、渋沢家(渋沢雅英理事長)と分野横断で臨みました。穂積先生の広範な学識に追いつくことは無理としても、これまでにない記録を残せたのではないかと思います。

 貴重な機会をくださった渋沢理事長、木村部長、井上館長、そして丹念な仕事で刊行までこぎ着けてくださった渋沢史料館の川上さんに心から感謝します。
 

2011年03月10日

「戦前日本の政官関係―党派化と政党化の文脈から―」

昨年6月に行ったシンポジウム報告が活字になりました。

平成22年度慶應法学会シンポジウム「政党制をめぐる諸問題」
 駒村圭吾「解題 政権交代の狂騒の後で冷静に政党について考える」
 清水唯一朗「戦前日本の政官関係―党派化と政党化の文脈から―」
 菅原和行「アメリカ二大政党制における政治任用の機能と課題」
 増山幹高「政党制と議会政治」
 山本一「憲法学から見た政党と「政治主導」をめぐる諸問題」
                      (『法学研究』83巻11号、2010年)

 同号には同期の小川原正道氏「福沢諭吉の議会論」も所収されています。
 

2011年04月22日

「政治学と日本政治史のインターフェイス」(『レヴァイアサン』48号)

 

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 『レヴァイアサン』48号(2011年4月18日刊)に、「政治学と日本政治史のインターフェイス」という特集がくまれました。拙文もこの特集に加えていただきました。

 特集の目次は以下の通りです。

 特集のねらい  増山幹高
 政治主導と官僚主導―その歴史的組成と構造変化  清水唯一朗
 自民党「長期政権」の形成  牧原出
 統治システムの運用の記憶―議会先例の形成  赤坂幸一
 消費税導入をめぐる立法過程の検討―「平野日記」を手がかりに  奈良岡聰智

 担当編集委員(増山先生)による「特集のねらい」は下記で読むことができます。
 http://www.bokutakusha.com/leviathan/leviathan.html#link14

 村井良太さんの3冊一括をはじめ、8本の書評は圧巻です。

 増山先生によれば、今回の特集は『オペレーションズ・リサーチ』4月号(こちらも増山先生が編集委員。ごくろうさまです)の特集と一対とのこと。
 
 そちらの特集は「政治現象の計量分析」。特集の目次は以下のとおりです。

 特集にあたって  増山幹高
 政治学における時系列・横断面(TSCS)データ分析   曽我謙悟
 国際政治学における計量分析  多湖淳
 日本における政党連立モデル:交渉力指数による接近  森正
 内閣の存続と時間依存  増山幹高
 メディアの計量的内容分析  稲増一憲

 これから両方読んで見ます。
 

2011年04月23日

『華族令嬢たちの大正・昭和』(吉川弘文館、2011年)

 
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 華族史料研究会編『華族令嬢たちの大正・昭和』(吉川弘文館、2011年)

 もう10年前のことになりますが、宮内庁の内藤一成さんにお声がけ頂いて、旧華族史料を研究する会に参加しました。主に聞き取りと資料調査を行い、これまでも「四條家文書」などを公にしてきています。
 この会の活動でとりわけ思い出深く、思い入れも深かったのが、4人の女性へのグループ・オーラルヒストリーでした。女子学習院のご友人である上杉(徳川)敏子さん、寺島(細川)雅子さん、京極典子さん、勝田(原田)美智子さんが、月例の同窓会ののちに2時間ほどお話いただく形で会は進みました。男性華族とはまた違う世界を知ることができ、とても有意義な聞き取りでした。

 それから10年、内藤さんをはじめとするみなさんのご尽力で、この貴重な記録が刊行されることになりました。家系、躾、家政、女子学習院、避暑、スポーツ、恋愛、結婚、戦争、戦後、華族制度の廃止。面白い聞き取りができたと思います。関係されたみなさんへの感謝の念は尽きません。

 どのように読まれていくのか、楽しみです。
 

2011年05月04日

『近現代日本を史料で読む』(中央公論新社、2011年)

 

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 御厨貴編『近現代日本を史料で読む』(中央公論新社、2011年)

 2007年ごろから仕込んできた仕事(共同研究?)がまとまりました。30代の若手を中心とした日本政治史研究者が駒場リサーチキャンパスの東京大学先端研に集う、通称「御厨塾」。「原敬日記」をゆっくり、ゆっくり読む会が続いています。このメンバーを中心に、なにか史料の読みを愉しむことをしたいねという企画が上がり、本書に結びつきました。

 私は本書では、佐野真一さんの著作で一躍世に知られるようになった「倉富勇三郎日記」、貴重な女性華族の日記である「梨本宮伊都子日記」と、近年、制度整備の著しい「公文書」を担当させてもらいました。リサーチ、ディスカッション、合評会と、なかなか楽しい企画でした。

 楽しい企画といえば、このメンバーとは、文字史料の読みだけではなく、全国各地の史跡を一緒に訪ね歩いています。各地に残る御用邸、山県、松方、乃木、三島、青木、西園寺、井上、西郷といった明治期の政治家たちの旧宅など。多くは酷暑のなかを歩く旅でしたが、交わされる会話がことに面白く、気がつけば投宿というすてきな旅でした。また行ってみたいですね。
 

2011年06月05日

「政界再編と政権交代―第二次護憲運動による構造変化」(5月14日)

 少し時間が経ってしまいましたが、日本選挙学会@関西学院大学で、「政界再編と政権交代―第二次護憲運動による構造変化」と題して報告させて頂きました。2008年の同学会で京大の奈良岡さんと報告して以来のテーマだったので、ようやくという感じです。

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 今回は奈良岡さんが企画委員となり、明治期を小宮一夫さん(中大)、大正期を私、昭和期を小宮京さん(桃山学院大)という組み合わせ。司会は玉井清先生(慶大)、討論者は季武嘉也先生(創価大)、奥健太郎さん(東海大)という豪華な取り合わせでした。全くの偶然なのですが、師匠が司会、兄弟子が討論者というのは、予想以上にプレッシャーになりました、、、

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 充実した議論に加えてうれしかったのが、I先生、H先生、T先生など現代政治やメディア分析を専門領域とする先生方が多くお越しくださり、示唆的なコメントを頂けたことです。同じ政治学のなかとはいえ、専門領域を横断していただけるコメントは本当にいい刺激になります。選挙区が胚胎する歴史的経緯は、ひとつのテーマとして追いかけていきたいと思います。

 それにしてもきれいなキャンパス。いつ来ても癒されます。開催校幹事のY先生に感謝です。

 ゼミ1期生の実家が営む鳥刺し屋さんも相変わらずの美味でした。ごちそうさまでした。

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2011年09月01日

"From Conflict to Compromise"(EAJS 2011 in Tallinn, August 25th)

 エストニアの首都・タリンで行われたEAJS(ヨーロッパ日本研究学会)に参加してきました。ヨーロッパを中心に800人ほどの日本研究者が一堂に会するというなかなかの機会でした。日本人研究者は2割弱だったように思います。Ph.Dワークショップも行われ、盛況だったようです。

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 私が報告したパネルでは、以下の4報告が行われました。

 Back to Politics: Rethinking Visions and Networks for Cooperation During “Taisho Democracy”
  Organiser: Andrea REVELANT, Ca‘ Foscari University of Ven-ice, Italy
  Taxation under Party Cabinets: Preparing for Mass Politics, Heading to Democracy? (Andrea REVELANT, Ca’ Foscari Uni-versity of Venice, Italy)
  After the War is before the War? – ‗Taisho Democrats‘ and their Visions and Politics for the Postwar Era, 1916–1921 (Jan SCHMIDT, Ruhr University Bochum, Germany)
  From Conflict to Compromise: The Changing Relations of Party Politics and Ministerial Bureaucracy in Interwar Japan (SHIMIZU Yūichirō, Keio University, Tokyo)
  The Subversive Internationalist – Rethinking Japan‘s Visions of International Cooperation during the ―Taisho Democracy‖ (Matthias ZACHMANN, University of Heidelberg/University of Munich)

 History Sessionの基調講演は伊藤之雄先生。ほかにもイアン・ニッシュ先生の報告など、盛りだくさんでした。議論も闊達、とても得るものの多い会でした。政治思想史のみなさんが積極的に報告に望まれてきた理由もよくわかったように思います。

 タリンの街も魅力的でした。ドイツ騎士団が建設し、ハンザ同盟の一員として交易で栄えた港町。街のなかにもドイツ人のあしあとを数多く見つけることができました。

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 タリンに向かう途上、ベルリンを訪ね、ポツダム会談が行われたチェチィーリェン宮や旧東ベルリン地区の壁を見て回りました。スターリンの権威を示したとされる正面玄関の赤い植え込みも60年あまりの年月を越えて健在でした。

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 壁は建設開始からちょうど50年を迎えたそうです。崩壊から20年あまり。あのとき、僕は15歳でした。
 

2011年09月05日

吉野作造記念館人材育成研修会(9月2~4日)

 今年で5回目となる吉野作造記念館(宮城県大崎市)での人材育成研修会。震災の影響から開催できないのではないかと案じましたが、関係各位のご尽力で開催に至りました。

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 今年は苅部直先生による大正の「開国」と吉野作造― 国をひらくこと、社会をひらくこと ―』、ディック・ステゲウェルンス先生による「吉野作造の対外認識と日本観」に加え、石巻視察、地元行政・NPOの方との懇談が行われました。

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 東京、京都、仙台から集まった6人の講師と20人の学生での議論は、やはり収穫の多いものでした。
例年利用してきた会場が震災の関係で使えないなど、時間や場所の制約はありましたが、なにより困難の多いなかで運営に尽力してくださった大川事務長をはじめ、記念館のみなさんに心から御礼申し上げます。

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 帰途、2年ぶりに有備館を訪れました。岩出山の藩校、貴重な江戸の教育遺構は震災で全壊し、ブルーシートに覆われていました。ふたたびその勇姿を目にする日がくることを。
 

2011年09月08日

『吉國一郎オーラル・ヒストリー』Ⅰ・Ⅱ(2011年)

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 『吉國一郎オーラル・ヒストリー』Ⅰ・Ⅱが刊行されました。

 吉國さんへのオーラルがはじまったのは2005年1月。以後、2007年11月まで、内閣法制局次長・長官時代に話を絞りながらも、実に26回に亘ってお話を伺いました。私はSFCへの着任のため22回以降はお休みし、最終回にふたたび同席させて頂きました。内閣法制局、法令審査、田中内閣、三木内閣、そして「吉國メモ」で知られる法制の権威その人を理解するうえで、とても貴重な記録を残していただくことができました。

 それから一ヶ月。今日は吉國さんの告別式でした。雅楽のひびくなか、法令、政治、タバコ、コーヒー、音楽、、、話題のつきない洒脱な吉國さんと、とても長い時間ご一緒させていただいたことを思い出しながら、あらためてその僥倖を噛み締めました。ありがとうございました。
  

2011年09月19日

日本研究碩士学位学程成立大会及日本研究研討会(9月16日)

 台湾・政治大学で開かれた日本研究碩士学位学程成立大会及日本研究研討会に出席、日台の著名な先生方にまじって「岐路をゆく日本政治」と題して報告をさせていただきました。

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 台湾では唯一の大学院日本研究コースの設立。学生さんたちは自由自在に日本語を話し、研究にも意欲的。私の報告に対してなされた質問も鋭く、正鵠を射たものでした。今後の交流が楽しみです。

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 会場となった国際会議場のフロアを歩いていると、ウワサに聞いていた政治大学選挙研究センターがありました。

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 専用のインタビュールームに、電話調査室、たくさんのRAさん。すごい設備でした。
 

2011年11月06日

「台日論壇:美国重返亜洲後的東亜局勢與両岸関係」(10月28、29日)

 10月28、29日に台北で開かれた日台フォーラムに参加、「政権交代後の日本政治」と題して報告をさせていただきました。

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 台湾側は行政院大陸委員会委員長をはじめ、政治大学副学長、亜東協会会長など錚々たる顔ぶれ。日本側は国分良成先生、柳澤協二氏などを中心にしつつ、若手主体のメンバーで臨みました。

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 2日間の議論は、とても刺激的でしたが、台湾に政治の季節が近づいていることが肌で感じられました。来年1月14日は総統選挙。立法院議員選挙(国会議員選挙に相当)が同日に行われるという予想もあるようです。

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 中心部では双十節(10月10日)を祝う国旗がたなびいていました。辛亥革命から100年の双十節。来年の選挙は建国100年の年に行われます。

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2011年12月05日

『国民皆保険オーラル・ヒストリーⅠ 幸田正孝』

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  『国民皆保険オーラル・ヒストリーⅠ 幸田正孝』(医療経済研究機構、2011年)

 同僚の印南一路先生、日本大学の中静未知先生と取り組んだオーラル・ヒストリーが刊行されました。(財)医療経済研究機構で始まった「国民皆保険オーラル・ヒストリープロジェクト」の成果第一号になります。

 幸田氏は1954年に厚生省に入省、年金局、社保庁、医務局などに勤務したのち、官房長、保険局長を経て、1986年から2年間、厚生事務次官を務めました。国民皆保険制度とともに官僚としての人生を歩んできた方です。その豊富な経験の一端を残すことができました。

 本書は、私にとって、初めてSFCの同僚と取り組んだオーラル・ヒストリーの成果です。研究会の学生も全面的に協力、まさに奮闘してくれました。ご高覧いただければ幸いです。

 

2011年12月20日

『上原勇作日記 大正6年~昭和6年』

 51APfJr24VL._SL500_AA300_.jpg 尚友倶楽部編『上原勇作日記』芙蓉書房出版、2011年

 10年越しの仕事が形になりました。

 二個師団増設問題から陸相を辞職、第二次西園寺内閣の総辞職から大正政変にいたる流れを作ったことで知られる上原。その後、大正6年から昭和6年にいたる日記からは、彼の像がやや違って見えてきます。いわゆる統制派と皇道派の構造理解も、それに応じて変わってくるように思います。

 櫻井良樹先生、小林道彦先生、今津敏晃さんをはじめ、尚友倶楽部の上田和子さんをはじめ翻刻の過程でお世話になったみなさま、なにより原蔵者であり、本資料をいまに伝えてくださった上原家のみなさまに感謝しつつ。
 

2012年08月06日

『渋沢雅英オーラルヒストリー』刊行

 R0019945.JPG 『渋沢雅英オーラルヒストリー』(渋沢栄一記念財団・渋沢史料館、2012年)

 2009年に5回にわたって行ったオーラルヒストリーが刊行されました。話し手の渋沢雅英さんは渋沢栄一の嫡孫で、渋沢栄一記念財団の理事長を務められています。雅英さんご自身の経歴についてはすでに政策研究大学院によるオーラルヒストリーがライフストーリーのスタイルで行われていますが、今回はそれとは全く異なる視角からお話を伺いました。

 それは焦点を「家」に当てたこと。対象はもちろん渋沢家です。渋沢史料館の全面的なバックアップのもと、渋沢同族会の会議録を材料に、「渋沢家」の像を紡いでいきました。家法、家訓、家政などがキーワードになるでしょうか。

 会場がかつての渋沢家にほど近い慶應義塾旧図書館であったのも、語りに深みを与えたように思います。聴き手も、経営史・渋沢研究(島田昌和先生)、法制史(出口雄一先生)、女性史(西澤直子先生)、史料学(都倉武之先生)、政治史(清水)と、『穂積重行オーラルヒストリー』を発展させた多様なメンバーで臨むことができました。会場をご提供いただいた西澤先生、都倉先生をはじめ、関係されたみなさんに御礼申し上げます。

 2007年に実施、冊子された『穂積重行オーラルヒストリー』を軸に、「穂積歌子日記」の未公刊部分の解読も進んでいるようです。こちらも進捗が楽しみです。

2012年11月18日

『政権交代時代の政府と政党のガバナンス』

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 21世紀政策研究所『政権交代時代の政府と政党のガバナンス』(2012年)

 2010年11月から、曽根泰教先生を研究主幹として取り組んできた「政党政治タスクフォース」の成果が冊子にまとまりました。意義のある報告書になったと思います。ご高覧ください。

 報告書PDFファイルはこちら

 はじめに
  サマリー
  第1章 提言
  第2章 提言の解説
 第2部 各論
  第1章 米国政治との比較からみた課題(国立国会図書館 廣瀬淳子氏)
        アメリカの政治制度と政治的意思決定の特色―政党政治の視点から
  第2章 欧州政治(大陸型)との比較からみた課題(委員 日野愛郎)
        オランダ・ベルギーの政治制度と政治的意思決定の特色
  第3章 欧州政治(英国型)との比較からみた課題 (成蹊大学法学部教授 高安健将氏)
        英国の議院内閣制と空洞化するウェストミンスター・モデル
  第4章 日本政治史から見た課題(委員 清水唯一朗)
        日本の政党政治―その歴史的経験知から考える
  第5章 政党政治と選挙制度の課題(1)(京都大学法学部教授 待鳥聡史氏)
        現代日本の政治制度と政党―逆接と順接―
  第6章 政党政治と選挙制度の課題(2)(神戸大学法学部教授 品田 裕氏)
        選挙区レベルの投票行動および最近の選挙制度の問題
  第7章 政治とカネをめぐる課題(日本大学法学部教授 岩井奉信氏)
  第8章 政治家から見た政党政治の課題(1)(参議院議員 林 芳正氏)
  第9章 政治家から見た政党政治の課題(2)(参議院議員 松井孝治氏)
 

2012年12月07日

『上原尚作オーラルヒストリー』刊行

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 『上原尚作オーラルヒストリー』(慶應義塾大学オーラルヒストリー研究会、2012年)

 ようやく刊行まで辿りつくことができました。

 陸軍大臣・元帥を務めた上原勇作の嫡孫、尚作さんとお目にかかったのは10年前。「上原勇作日記」の翻刻、刊行を仰せつかったときのことでした。当初、『勇作日記』の解題として、尚作さんの記憶のなかにある勇作像を伺えればと思い、お目にかかるたびにぽつぽつとお話を伺っていました。

 そうしているうちに、尚作さんご自身のことを残したいと思うようになり、発足まもないオーラル・ヒストリーゼミのメンバーに話したところ、3人の聞き手が集まってくれました。

 あれから2年半。ようやくかたちにまとめることができました。お話いただいた尚作さん、聞き手を務めてくれた五十嵐くん、深田くん、装丁まで担当してくれた光末さんに感謝です。
 

2013年03月04日

『日本政治史の新地平』刊行。

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 坂本一登・五百旗頭薫編『日本政治史の新地平』(吉田書店、2013年)

 『政治を生きる』、『政治主導の教訓』につづく、御厨貴先生の退職記念論文集第3弾として『日本政治史の新地平』が刊行されました。前2冊が政治学、公共政策学であるのに対して、本書はタイトルのとおり、日本政治史を専門とするメンバーが執筆しました。

 私自身は、「立憲政友会の分裂と政党支持構造の変化―一党優位制の崩壊と二大政党制の端緒―」を書かせていただきました。ここ数年、日本における「政党を支持すること」と政党再編の構造の解明すべく、中央における政治変動が地方の政党支持にどのように現れるのかということに関心を持って研究を進めてきました。
 これは全国の選挙区を地域紙や郷土資料から見て回る、地道な、しかしなんとも面白いテーマで、ずいぶんと時間がかかるものでした。今回、ようやくこのテーマではじめての論文を書くことができました。

 目次は以下のとおりです。

 政治史の復権をめざして――はじめに   坂本 一登                      
 【第Ⅰ部 立憲政の潮流】
  第1章  明治初年の立憲政をめぐって――木戸孝允を中心に(坂本 一登)
  第2章  福地源一郎研究序説――東京日日新聞の社説より(五百旗頭 薫)
  第3章  征韓・問罪・公論――江華島事件後の対朝鮮政策をめぐるジャーナリズム論争(塩出 浩之)
  第4章  明治期の内大臣(西川  誠)                                 
  第5章  清末の中央官制改革――戊戌から丙午まで(浅沼かおり)         
 【第Ⅱ部 政党政治の展開】
  第6章  大正政変と桂新党――「立憲統一党」構想の視点から(千葉  功)        
  第7章  立憲政友会の分裂と政党支持構造の変化――一党優位制の崩壊と二大政党制の端緒(清水唯一朗)
  第8章  一九二〇年代の政治改革、その逆コースと市川房枝――政党内閣制黄昏期の内閣と議会と社会(村井 良太)
 【第Ⅲ部 戦後体制の模索】
  第9章  戦後保守勢力の相互認識と政界再編構想の展開 一九四五―四九年――政党機関誌・機関紙の分析を中心に(武田 知己)
  第10章  戦後政治と保守合同の相克――吉田ワンマンから自民党政権へ(村井 哲也)
  第11章  自治省創設への政治過程(黒澤  良)                           
  第12章  日米安保条約改定交渉と沖縄――条約地域をめぐる政党と官僚(河野 康子)
 【第Ⅳ部 地方の諸相】
  第13章  戦間期の水道問題(松本 洋幸)                                
  第14章  国民健康保険直営診療施設の普及――行政施策の展開を中心に(中静 未知)
  第15章  「交通戦争」の政治社会史(土田 宏成)                         
  第16章  現在の中央・地方関係への一考察――沖縄における「自立論」を中心に(佐道 明広)  新地平に映るもの――おわりに   五百旗頭 薫   
 

2013年03月09日

「吉野作造と大正の公論空間」(『近代日本研究』29号)

 R0022924.JPG 『近代日本研究』29号(2013年2月)」

 慶應義塾大学福沢研究センターが刊行する『近代日本研究』で「大正期再考」と題する特集を組まれることになり、拙稿を寄せさせていただきました。大正100年の記念企画です。

 「吉野作造と大正の公論空間―地域メディアでの口述筆記から―」

 2007年から毎夏、吉野作造記念館(宮城県大崎市)にうかがい、同館で開かれる人材育成研修会で東北大、東大、京大、慶應の先生方、学生のみなさんと勉強させてもらってきましたが、なかなかその成果を文字にすることができずにいました。

 そうしたなか、2010年春に横浜開港資料館で開催されていた「『横浜貿易新聞』創刊120周年 地域メディアの誕生 ―横浜・神奈川のオピニオンリーダーをめざして」をゼミ生と見学したおりに、同紙で展開されていた吉野の口述筆記が目に止まりました。同館の松本洋幸さんの大きなサポートをいただき、諸先生に教えを請いながら、なんとか本稿をまとめることができました。『吉野作造選集』巻末の著作一覧に未収録のものも20タイトル、54件見つけることができたことは、何らかの貢献になるかもしれません。

 私自身には、関東大震災後、吉野が同紙を退くのと交代するかのように与謝野晶子の連載が日曜版の一面にのぼっていくさまが印象に残っています。ご高覧賜わりますれば幸いです。

 そして、なによりすごいのは本誌『近代日本研究』29号の特集「大正期再考」の執筆陣です。下記に目次をあげておきます。やや入手しにくい雑誌かもしれませんが、ぜひ。

■第29巻 (2013年2月刊)
【特集 大正期再考】 
 「日露戦争から大正政変へ―1901~1913―」(小林 道彦) p.3~32
 「大正時代を考える―ナショナリズムの位置―」(櫻井 良樹) P.33~60
 「吉野作造と大正の公論空間―地域メディアでの口述筆記から―」(清水 唯一朗) P.61~104
 「大正期の海外渡航」(季武 嘉也) P.105~124
 「『経済雑誌ダイヤモンド』から見た大正期の経済社会問題」(中村 宗悦) P.125~164
 「普選前夜の企業城下町―大正期における三井鉱山と大牟田―」(松本 洋幸) P.165~204
 資料紹介
 「大正デモクラシーと青年華族―三島通陽と劇団「友達座」を中心に―」(内藤 一成) P.205~240

 http://www.fmc.keio.ac.jp/publication/modernjapan/#340

2013年03月15日

『沖縄時論』創刊号の「発見」

 okinawajiron.jpg 『沖縄時論』創刊号(1899年)

 沖縄の民主化を語る上で欠かせない人物に謝花昇がいます。彼は、1899年に憲政党に入党し、『沖縄時論』という雑誌を刊行して言論活動を展開しました。『沖縄時論』がいかに重要な雑誌かがおわかり頂けるでしょう。

 ところが、この雑誌はほとんど今日に伝わっていません。広く知られているのは沖縄県立図書館天野鉄夫文庫にある27号(1900年)だけのようで、他の巻号は『琉球新報』などの広告に記された目次で概要を知るのみだったようです。

 昨年の夏、偶然にも同誌の創刊号に出会うことができました。ドイツにいる友人の紹介で、奈良原繁(沖縄県令(現在の県知事))と謝花を軸に研究を進めるニナ・ホルシュナイダーさんが尋ねて来たおりのこと。奈良原も謝花もなかなか資料がないということで、あちこち検索をしてみました。
 すると、画面に「沖縄時論 神谷正次郎 謝花昇 1899」と出てきました。雑誌ではなく、図書扱いで所蔵されているようでしたが、1899年といえば『沖縄時論』創刊の年です。まさかと思い、所蔵する政令市の市立図書館に問い合わせをしました。
 後日、図書館から連絡があり、確認したところ第1号とのこと。さっそく現物を確認すると間違いありません。沖縄のことを知らない私では心許ないので、琉球大学の塩出浩之さんにチェックをお願いしました。

 同誌は、塩出さんの尽力で琉球大学図書館沖縄閉架資料室にて複製本が所蔵されることになり、先日、琉球放送でも報道されました。報道してくれたのはゼミ1期生の大城くんでした。これもうれしいことでした。

 今回の「発見」は、国立国会図書館の「国会サーチ」が各地の図書館OPACとの連動機能を備えたことでできたものでした。開発に携わってくださったみなさんに、心からお礼を申し上げたいと思います。

 国会サーチ「沖縄時論」
 http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I026925490-00
 
 覚書までに。

(2013.5.21 琉球大学図書館に所蔵されることとなったのはマイクロフィルムではなく、複製本とのことでした。誤記により、関係各位にはご迷惑をおかけいたしました)
 

2013年06月19日

『近代日本の官僚』(中公新書)を刊行しました。

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 『近代日本の官僚―維新官僚から学歴エリートへ』中公新書、2013年

 5年かけてようやく書き上げることができました。目次は以下のとおりです。

 はじめに
 第1章 維新の時代―誰が統治を担うのか
 第2章 明治政府の人材育成
 第3章 立憲の時代―1870年代~80年代
 第4章 帝国憲法制定前後―高等教育の確立
 第5章 憲政の時代―1890年代~1910年代
 第6章 大正デモクラシー下の人材育成
 終章 統治と官僚の創出

 版元のページ http://www.chuko.co.jp/shinsho/2013/04/102212.html
 AMAZON http://www.amazon.co.jp/dp/4121022122

 刊行から2ヶ月経ち、ありがたいことに書評に取り上げていただくことが出てきました。
 この場を借りて御礼申し上げます。

 (気がついたものだけですが)

 日本経済新聞(佐々木毅先生 評) http://www.nikkei.com/article/DGXDZO56250850V10C13A6MZC001/
 本よみうり堂 http://www.yomiuri.co.jp/book/sinsho/20130527-OYT8T00884.htm
 NHKラジオ 新書ナビ http://www.nhk.or.jp/suppin/shinsho.html
 山下ゆの新書ランキング http://blog.livedoor.jp/yamasitayu/archives/52031632.html
 Essais d'herméneutique
  http://thomas-aquinas.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/2013-353d.html
 世界システムに関する考察 http://worldsystemtheory.wordpress.com/2013/05/12/

 みなさん、どうぞありがとうございます。

 清水唯一朗 拝

 

2013年09月18日

『四條男爵家関係文書』刊行

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尚友倶楽部・華族史料研究会編『四條男爵家関係文書』(同成社、2013年)

 大きな反響をいただいた『華族令嬢の大正・昭和』(吉川弘文館、2011年)につづく、華族史料研究会メンバーの成果が刊行されました。私はほとんどお手伝いできなかったのですが(史料1点の翻刻と、史学のみなさんが読めなかったイレギュラーな崩し字「築地」を読めたくらいです)、貴重な成果だと思います。

 以下、出版社のウエブサイトより。

【目次】
Ⅰ 四條隆平と戊辰戦争
 民政録/御用諸方書状往来留/京師ヨリ御布告書控/辞職歎願控/探索方御用書上帳/御用諸方書状往来控/京都ヨリ御布告控/御伺書之控、御達書ノ控、在町御達書之控/高田藩江御達控/書状往復控/京師御布告到来控帳/書状往来/京都御布告到来留/京都御布告到来留/北陸道督府御申渡控/口上

Ⅱ 四條隆平と明治国家
 四條隆平宛書簡
 爵位局第三課 明治( )年8月19日/醍醐忠敬 明治31年7月20日/東久世通禧 明治( )年1月25日
 四條隆平関係書類
 華族関係勅諭等書取/華族会館司計概算書写/華族の負債対策について/各類宗族長及触頭等ヘ示談書/公家華族ニ常職ヲ授クル議/華族会館規則改正意見/宗族仮条約写/宗族会議題案/演述覚書・外債償却鉄道建築銀行創立順序書・諸家各自計算書/第十五国立銀行定款同創立証書〔草案〕/宮内省差出定款/総会演説/国立銀行創立願関係書類/第十五国立銀行開業関係書類写/第十五国立銀行世話役増加の儀/第四十四類各家銀行計算表/内田政風・海江田信義意見書/島津久光上奏書/商人手形流通ノ儀ニ付関係書類/合本銀行貯蔵銀行条例御発行ノ義ニ付上申/合本銀行貯蔵銀行条例

Ⅲ 四條隆英と商工政策
 四條隆英宛書簡
 維新史料編纂事務局/一木喜徳郎/一木喜徳郎/太田正孝/金子堅太郎/四條隆愛/下岡忠治/高橋是清/高橋是清/中橋徳五郎

四條隆英関係書類

解 題

2013年11月07日

『医療政策オーラル・ヒストリー : 仲村英一(元厚生省健康政策局長)』刊行

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 『医療政策オーラル・ヒストリー : 仲村英一(元厚生省健康政策局長)』(医療経済研究機構、2013年)

 同僚の印南一路先生、院生の三谷宗一郎くんと続けている医療政策オーラルヒストリープロジェクトから2冊目の成果が刊行されました。

<目次>
 はしがき
 東大時代
 茨城県衛生部
 大臣官房統計情報部
 医務局指導課
 群馬県衛生民生部公衆衛生課長
 医務局総務課
 公衆衛生局特定疾患対策室
 社会局老人保健課
 保険局医療課
 医務局国立病院課
 大臣官房統計調査部
 保険局医療課
 健康政策局
 医系技官の意義
 省内の人事
 これまでの医療行政について
 関係年表
 附録資料

 このプロジェクトの事務局を務めてくれている三谷くんは、2年前に国民皆保険制度を扱った卒業論文で優秀卒業制作賞、今秋に医療政策を事例とした意思決定研究の修士論文でSFC政策メディア研究科加藤賞(加藤寛先生の寄付にをもとにした、政策系の最優秀修士論文に贈られるもの)を受賞しました。

 文献調査とオーラルヒストリー、そして意思決定を中心とした理論研究。これからが楽しみです。
 

2013年12月27日

「日本の国会議事堂と議場―民主主義を規定する枠組みとして―」

 すっかり忘れていたのですが、下記のワーキングペーパーを書きました。リンク先からPDFファイルでご覧いただけます。

 「議場の比較研究(1) 日本の国会議事堂と議場―民主主義を規定する枠組みとして―」SFC研究所日本研究プラットホームワーキングペーパーシリーズNo.5、30p

 土屋大洋さん、加茂具樹さん、阿川尚之先生と続けてきた大学院プロジェクト「インターヒストリー」での研究、議論を反映したものです。8月には奈良で開かれた「20世紀と日本」研究会で、この論文の内容を発展させた報告をさせていただきました。コメントをいただきましたみなさまに御礼申し上げます。

 今年もあと少し。元気に過ごせたことに感謝です。

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  「インターヒストリー」は、その後、日本研究プラットホームの取り組みのひとつとなり、2013年秋学期には「日本研究概論1」を開講するなど、教育面でも進捗を見せることができました。

2013年11月29日
【セッション】新しい学びのかたちは実現するか? 「日本研究概論」と「MOOC」
http://sfcclip.net/news2013112907

2013年11月29日
【ブース】実験! 挑戦! 新たな「日本研究」とは?
http://sfcclip.net/news2013112203

 

2014年04月30日

オーラル・ヒストリーの方法論をめぐって

 ずっとやりたいと思っていた課題に着手しました。

 経験則に大きく依拠してきたオーラル・ヒストリーの方法論を、もう少し実証的に考え、議論することができないだろうか。そのためにはどのような方法があるのだろうか。講義・ワークショップ・研究会で、オーラル・ヒストリーを教育に活用する意義を再認識すればするほど、その必要性を感じていました。

 このひとつの解答として、同僚の諏訪正樹さんと共同研究をはじめました。昨年11月にSFC-ORF2013でポスター発表をしたのち、今年3月に認知科学の研究会で2度、研究発表をさせていただきました。

 清水唯一朗,、諏訪 正樹「身体知の観点から聴き手ー話し手の関係を捉える―オーラル・ヒストリーメソッドの再検討ー」
  第18回身体知研究会、於、千葉大学
  http://www.jaist.ac.jp/ks/skl/activity/pg112.html

 諏訪正樹、清水唯一朗「対話によるコミュニケーションの発生と展開-ひとはいかにして打ち解け,想いを語るか?-」
  第8回ヴァーバル・ノンヴァーバル・コミュニケーション研究会年次大会、於、国立情報学研究所
  http://www.ieice.org/~vnv/activity.php

 共同研究にあたっては、SFCの地元・湘南台にある人気パスタ店「ニューオリンズ」の松本さんにご協力いただきました。その成果も冊子として刊行しました。

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 こちらは、SFCの卒業生にとっては垂涎の作品かもしれません!

 夏には、改めて論文にして世に問うことができると思います。

2014年05月10日

『学校を変えれば社会が変わる―信州からの教育再生』

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 戸田忠雄・合田哲雄・竹内延彦・大久保和孝・清水唯一朗・伊藤学司『学校を変えれば社会が変わる―信州からの教育再生』東京書籍、2014年
https://www.tokyo-shoseki.co.jp/books/80859/

 ずっと書きたかった本が出ました。「学習者本位」を掲げて前進する長野県の教育改革を現場で切り拓いてきたみなさんとの共著です。

 私は前著『近代日本の官僚』でトライした教育社会学的なアプローチで歴史部分を担当しましたが、今回は戦後と現在にも1章を書きました。反転授業とその応用としてのSFC「日本研究概論1」、学生たちが作り上げた小布施若者会議、信州学生1000人会議、飯山北高校、H-LAB。これを書けたのは本当にうれしいことでした。

 たくさんのことを教えてくれた若者会議の三谷くん、山本さん、正能さん、1000人会議の児玉さん、横森くん、藤原くん、飯山北高(今やSFC生!)の山本さん、H-LABの大宮くん、亮介くん、伊藤さん、越村さん、大竹くん、稲田さん。皆さんをはじめたくさんの人との出会いがあって書くことができました。ありがとう。

 これからも(というか、これからですね!)どうぞよろしくお願いします。
 

2014年06月13日

【ご報告と御礼】日本公共政策学会賞を受賞しました。

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 日本公共政策学会より、拙著『近代日本の官僚』(中央公論新書)に対して、2014年度の学会賞をいただきました。政治学と歴史学のはざまで生きてきた私にとって、たいへんありがたく、うれしい受賞となりました。お世話になりましたみなさまに謹んでご報告申し上げます次第です。

 http://www.sfc.keio.ac.jp/news/20140619_2.html

 今後とも一層精進してまいります。どうぞよろしくお願い致します。

 清水唯一朗 拝

2014年06月30日

"From Local Youths to National Elites: Developing Human Resources in Modern Japan" at ASPAC2014(June. 20)

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 West Washington University(ワシントン州ベリンハム)で開かれたASPAC, Asian Studies on Pacific Ocean 2014にて、"From Local Youths to National Elites: Developing Human Resources in Modern Japan"と題して報告をさせて頂きました。
 港町の高台にあるとても魅力的な環境で、ゆったりとした心地で議論を交わすことができました。なにより、西田幾多郎研究で知られる同大学の遊佐道子先生とたくさんの意見交換ができたことは、明治・大正期の人材育成を扱った今回の報告において、とても貴重な示唆を与えてくれました。

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 地元のカフェ、Tony's のコーヒーが本当においしかった。またゆっくり来たい街が増えました。

Making the Modern State
Chair/Discussant: Diana Wright, West Washington University
Presenter: Yuichiro Shimizu, Keio University
    “From Local Youth to National Elites: Developing Human Resources and Democratic Society”
Presenter: Audrey Lim, National University of Singapore
    “State Policies and Single Motherhood”
Presenter: Silvia Corydon, Harvard University
    “The Rights’ Price for Order: The Treatment of Prisoners in Japan”

ASPAC2014
 http://www.wwu.edu/eas/ASPAC_conf.shtml

2014年09月08日

「第一次世界大戦と日本の官僚」@ドイツ・ボーフム(9月6・7日)

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 充実した日本研究拠点として知られるドイツ・ルール大学ボーフム校で国際会議「第一次世界大戦と東アジア」が行われました。100年目の今年、ヨーロッパだけでなく、日本、ドイツ、中国、韓国を視野にいれて、実に22の報告が行われた、きわめて興味深い研究会でした。

 私は「第一次世界大戦と日本の官僚― "How Japan studies the war: WW1 and Japanese Bureaucrats"」 と題して、転換期における官僚の洋行とその意義について論じました。8月末に行われたEAJS(European Association for Japanese Studies)での第一次世界大戦関係セッションの議論を踏まえながら、とても深い議論ができたように思います。

 すてきな会を主催してくれた、ルール大学ボーフム校、ヤン・シュミット先生、カーチャ・シュミットポット先生に感謝です。

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 ヤン先生おすすめのボーフム・カリーブリュスト、最高でした。

http://www.1914-1918-online.net/news/2014-08-26_WW1-EastAsia-conference_Bochum.html
 

2014年09月24日

"Conflict, Collaboration and Confusion: Reexamining the Relationship between the Bureaucracy and Party Politics in Japan, 1868-1924" at NYCAS/MAR/AAS 2014(Sep. 20)

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左:ホフストラ大学、右:キーノートスピーチ

 ニューヨーク・ホフストラ大学で開かれたNYCAS(New York Conference Asian Studies)2014に参加してきました。4月に申し込んだ時にはずいぶん先の話だと思っていたのですが、あっという間です。
 私は日本研究のセッションで"Conflict, Collaboration and Confusion Reexamining the Relationship between the Bureaucracy and Party Politics in Japan, 1868-1924"と題して、現代の状況と交差させながら報告させていただきました。

 事前に多くの方からNYCASはいいカンファレンスだと伺っていましたが、本当にたくさんの方の前でたくさんの質疑ができ、大満足でした。同じセッションの報告も、嘉納治五郎、東京オリンピック(1940~2020)、占領期日本といずれも面白いものでした。

 ニューヨークといえば、ラーメン。ココナッツパウダーたっぷりのおいしいラーメンでした。ごちそうさま。

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http://www.hofstra.edu/community/culctr/culctr_events_association-asian-studies.html

BUILDING MODERN JAPAN: DEMOCRACY, CULTURE AND INTERNATIONALIZATION (JAPAN)
Moderator .Shigeru Osuka, Seton Hall University
Paul Droubie, Manhattan College, “International Nationalist: The Case of Kano Jigoro”
Robin Kietlinski, LaGuardia Community College, CUNY, “The Tokyo Olympics: Past, Present and Future”
Yuichiro Shimizu, Keio University, “Conflict, Collaboration and Confusion: Making Hybrid Governance by Translating Inheritance to Democratization in Modern Japan, 1868-1924”
Michael Stone, Seton Hall University, “Laying the Foundation for Prosperity: Early Efforts to Rebuild Japan During the American Occupation, 1945-1952”
 

2014年10月07日

"Shaping the Diet: Competing Architectural Designs for Japan's Diet Building" at APSA2014(Sep. 29)

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左:Kiribill地区から見たオペラハウス、右:オーストラリア旧議会議場

 オーストラリア・シドニー大学で開催されたAPSA(Australian Political Studies Association)2014に参加してきました。各国の議場を比較する共同研究が慶応SFCの大学院プロジェクト(旧:インターヒストリー、現:日本研究)と京都大学を中心とする科研費プロジェクトで行われており、今回はこの二つのプロジェクトをジョイントしたパネルとなりました。パネリストで参加出来ない方があったのは残念でしたが、刺激的なパネルになりました。

 ネット上に乗ったこともあり、自分のペーパーにも多くのコメントをいただきました。ブラッシュアップ、頑張ります。

 Shimizu & Naraoka "Shaping the Diet: Competing Architectural Designs for Japan's Diet Building"

 ということで、キャンベラでも一杯。

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CP11 Legislative Architectures and Processes in Asia‐Pacific.
Stream: Comparative Politics

Chair: Sadafumi Kawato, The University of Tokyo
Paper: Chao‐Chi Lin, National Chengchi University, Satoshi Machidori Kyoto University
    International Spread of Chamber Designs and Its Effects on Asia‐Pacific
Paper: Yuichiro Shimizu Keio University, Sochi Naraoka, Kyoto University
    Shaping the Diet: Competing Architectural Designs for Japan's Diet Building
Paper: Tomoki Kamo, Keio University
    Chamber Management and Policymaking in China
Discussant Sadafumi Kawato

APSA2014 at Sydney https://sites.google.com/site/apsa2014/home
 

2014年10月29日

"Politicians and Bureaucrats in Modern Japan, 1868-2014" at the university of Edinburgh(Oct. 21)

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左:エジンバラ大学文学部新校舎、右:プリンスストリートから見たエジンバラ旧市街

 独立の是非を問うレファレンダムから一ヶ月。スコットランドに行ってきました。たくさんの方からエジンバラは格別な街と伺っていましたが、岬の先端に位置する起伏に富む中世の都市は、白眉の風格を持っていました。
 いくつかの調査のあと、エジンバラ大学日本学科で"Politicians and Bureaucrats in Modern Japan, 1868-2014"と題してお話しさせていただきました。さすがは、Mattias Zachmannさんが教鞭を執るだけあり、学生、院生の質問がきわめて的確で鋭く、深く感銘を覚えました。彼のような友人がきわめて有意義な研究と教育を行っていることに、心から敬意を表します。

 まずは、フィッシュアンドチップスと思ったのですが、とてもおいしかったのがマッシュルーム。スープにしても、ソースにしても、ソテーにしても抜群でした。

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2014年11月03日

"Who is at the helm of Japan, politicians or bureaucrats?" at the university of Nottingham(Oct. 23)

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左:ノッティンガム大学パークキャンパスTrent buliding、右:Portland building

 エジンバラから湖水地方を抜けて、南、イングランドへ。手つかずの自然が広々とした牧草地に変わり、マンチェスターに着く手前から突如として都市空間が目の前に広がりました。

 もう少しばかり南に下り、ノッティンガム大学アジア太平洋研究所で"Who is at the helm of Japan, politicians or bureaucrats?"と題してお話しさせていただきました。国際政治系の方が多く、歴史学・地域研究の方を前にお話ししたエジンバラとはまた違う刺激がありました。招聘してくれた15年来の友人、Miwaさんに感謝です。

 http://www.nottingham.ac.uk/iaps/events/2014/who-is-at-the-helm-politicians-or-bureaucrats.aspx

 というわけで、ノッティンガムでも一杯。ごちそうさまでした。

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2014年11月07日

"The Formation of the Bureaucracy in Modern Japan" at the Modern Japan History Workshop 2014(Oct. 18)

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左:ペンシルバニア大学ホウストンホール、右:会場のベンジャミン・フランクリンルーム

 10月18日(土)、ペンシルバニア大学で開かれたThe Modern Japan History Workshop 2014に参加しました。戸部良一先生の基調講演のあと、瀧井一博先生、将基面貴巳先生とパネルを組み、"The Formation and Evolution of the Bureaucracy in Modern"と、ちょっと広めのテーマで発表させていただきました。ホストの Fred Dickinson先生や、Shaldon Garon先生が丹念にペーパーに目を通し、鋭いコメントをくださり、刺激的でした。ありがとうございます。

 ペンシルバニア大のキャンパスは、緑と彫刻が多く、とても洗練されていました。同大の大学院で頑張っている卒業生に会えたこと、深夜に火災警報で起こされてエントランスで1時間過ごしたことなど、思い出深い発表になりました。瀧井先生をはじめ、企画していただいたみなさんに改めて御礼申し上げます。

http://modernjapanhistoryworkshop2014.weebly.com/

 フィラデルフィアでの一杯は、Fred先生おすすめのお店で。

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Keynote 10:00 – 10:20 a.m.
Ryoichi TOBE (Professor of History, Nichibunken)
 “Democratization and Political Change—Japanese Politics in the 1930s”
Panel I 10:30 a.m. – 12:15 p.m.
Politics and Partisans in Prewar Japan
Kazuhiro TAKII (Professor of History, Nichibunken)
 “Ito Hirobumi and the United States”
Yuichiro SHIMIZU (Associate Professor of Politics & History, Keio)
 “Bureaucracy in Modern Japan"
Takashi SHOGIMEN (Associate Professor of History, Otago)
 “Violator of Academic Freedom?”
Discussant:
Frederick DICKINSON (Professor of History, Penn)
Panel II 2:00 – 3:45 p.m.
What is Global/Transnational about Interwar Japan?
Panel III 4:00 – 5:45 p.m.
Transnational Distribution of Labor and Care: Rethinking Feminist Political Theory in Contemporary Japan

2014年12月13日

ドイツ・ルール大学ボーフム校の日本研究(12月3日)

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左:ボーフム市内のクリスマス・マルクト、右:ルール大学ボーフム校駅

 3ヶ月ぶりにドイツ・ボーフムを訪れました。こちらはクリスマスムード一色です。今回はルール大学ボーフム校で日本研究に取り組む院生のみなさんとのワークショップ。マティアス・レジーネ先生、マーティン・クレーマー先生、ステファン・コック先生、ヤン・シュミット先生の熱い指導のもと、たくさんの若手研究者がここから育っています。

 ヤン先生の薦めもあり、英語ではなく日本語で講義とワークショップを行わせてもらいましたが、みなさん、しっかりと本質的な質疑をしてくださって感激しました。なにより、最前列に座って一番質問してくれたのが学部生だったことに、同校の日本研究の層の厚さを感じました。

 同校を訪れるのは三度目ですが、何度伺ってもすてきな場所です。特筆するラーメンにはまだ出会っていませんが、格別なスープヌードルは見つけました。

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2014年12月24日

"Bureaucrats as Japanese Political Elite", Freie Universität Berlin(Dec. 5)

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左:ベルリン自由大学ヘンリー・フォードビルディング、右:ティールプラッツ駅

 こちらは3年ぶりとなるベルリン。ベルリン自由大学日本学科で"Bureaucrats as Japanese Political Elite, 1867-2014"と題してお話しさせていただきました。昨秋に私のゼミ生たちとともに神保町ブックツアーに参加してくれたカーチャ・シュミットポット先生の指導のもと、多くの学生が日本のことを真剣に学んでいました。

 思いを深くしたのは、この大学の名前です。かねてからベルリンにあったのはフンボルト大学のみ。東西分裂後、同大学は東ベルリンに属していました。これに対して、西側の支援を受けて創設されたのがベルリン「自由」大学なのだそうです。多くの理系の研究所がある、とても落ち着いた環境のなか、充実した先生方のもとで日本研究が進んでいることをとても心強く感じました。

 とりわけうれしかったのは、同大学に留学しているゼミ生の奮闘ぶりを見られたことです。ハレからも2人のSFC生が、以前ドイツからSFCに留学していた学生とともに駆けつけてくれました。今回の一杯は、そんな懐かしいメンバーといただきました。おいしかった。

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2015年02月10日

"The Fostering of Young Elites in Modern Japan: Education, Institution, Promotion”, Oxford University(Jan. 29)

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左:オックスフォード大学ニッサン日本問題研究所、右:ポート・メドウの牧草地

 1月29日、オックスフォード大学ニッサン日本問題研究所にお招きいただき、"The Fostering of Young Elites in Modern Japan: Education, Institution, Promotion”と題してお話しさせていただきました。苅谷先生をはじめ、日本史、社会学、教育学の泰斗を前に緊張の報告でしたが、それだけにたくさんのアイディアをいただくことができました。留学中最後の研究発表として、なんとか今年の成果をかたちにすることができたように感じています。

http://www.nissan.ox.ac.uk/how-modern-japan-fostered-young-elites-education-institution-and-promotion

 翌朝は先生方にお勧めいただいたテムズ川へ。キャンパスからわずか10分でポート・メドウの牧草地に出ました。この季節、さすがに馬はいませんでしたが、ゆったりとした広い空と、テムズ川の力強い流れを満喫できました。ハーバードとMITにはチャーリーリバーが、ジョージタウンにはポトマック川が、京大には鴨川が。こうした環境は大事なのだと改めて感じました。

 オックスフォードでの一杯は、日本の家庭料理を提供するというEdamameさんで。店頭の行列になんだかうれしくなりました。

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2015年05月24日

「選挙区はどう作られたのか」(日本選挙学会@熊本、5月17日)

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(左:会場の熊本市崇城大学ホール、右:熊本城)

 熊本市で開かれた日本選挙学会で「選挙区はどう作られたのか―近世・近代の連続・非連続から考える―」と題して報告させていただきました。同学会の学会誌『選挙研究』30巻2号に寄稿した「日本の選挙制度―その創始と経路」では選挙権、選挙事務(選挙管理)、選挙運動とともに選挙区も扱ったのですが、あまりに面白い資料に出会ったことと、紙幅の関係から、その時には制度への言及にとどめていました。

 それから1年半、在外研究期間に暖めたアイディアを入れてポスターセッションで報告させていただきました。実はポスターセッションは初挑戦。予想していたとおり、とてもたくさんの方と深くお話しさせて頂くことができました。これからはできるだけ、オーラルセッションではなくポスターセッションで報告したいと思うようになりました。お世話になったみなさん、お越し下さったみなさん、ありがとうございました。

https://www.jaesnet.org/research/news121.html

 熊本といえば、ラーメンを外すわけにはいきません。3日で3軒回りましたが、一番気に入ったのは山水亭さんの素直な熊本ラーメンでした。報告後の一杯は格別でした。

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2015年06月13日

"Reformatting Elite in Modern Japan", EHESS International Workshop, Paris (June 4)

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(左:カンファレンスにて、右:会場のEHESSからセーヌ川を眺めてみました)

 6月4日、パリ社会科学高等研究院(EHESS)日本研究所で開かれた国際ワークショップ「近代日本のエリート」で、"Reformatting Elite in Modern Japan"と題してお話しさせていただきました。ワークショップ全体のコンセプトとフレームワークを提供せよとのことでしたので、いつもより少し間口を広げてエリートの再編をテーマにしてみました。
 それぞれの報告テーマが官僚、政治家、翻訳者、学者、軍人、医師、鉱山技術者、建築家と多岐に亘ったことで、幅広くエリートについて捉え直すことができたように思います。いや、刺激的でした。お招きくださったのNicolasさん、Alexsandraさんに心から感謝申し上げます。

http://actualites.ehess.fr/nouvelle6715.html

 今回はラーメンは食べられませんでしたが、ワークショップのランチボックスのミートがうさぎでした。40歳にして人生初体験の味でした。

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2015年08月17日

連載をはじめました。

 昨年1年間、ボストンに留学して研究交流を続けるなかで、多くのことを考えました。
 今回、東京書籍さんからそのことを連載させていただく機会をいただきました。
 8月、10月、12月、2月、4月と全5回の予定です。ご高覧ください。

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「マサチューセッツからお届けします(1)かつては英語恐怖症だったのですが」
東京書籍「東書Eネット」中学校英語のひろば
(購読には登録が必要です)。

http://ten.tokyo-shoseki.co.jp/

2015年09月07日

「戦後70年目の日本研究」(9月5日、吉野作造記念館)

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(左:会場となった中新田研修センター、右:研修会のようす)

 今年で9回目となる吉野作造記念館人材育成研修会に行ってきました。昨年は在外研究で参加できなかったので、2年ぶり8回目の参加となります。今年は吉野の「憲政の本義」論文刊行100年を記念した苅部直先生の講演にはじまり、新潟大学の武藤先生と私がお話しさせてもらいました。
 毎年感じることですが、東北大、東大、慶應(法・SFC)、駒澤大、青山大、京大と幅広く全国各地から集った学生のみなさんとの議論は多面的で、常に刺激的です。来年、10年目はどんな会になるのか、楽しみです。

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 古川から東京に舞い戻り、そのまま、慶應ウインドOBバンドの演奏会にアンコールだけ乗せてもらいました。翌日から台湾です。国立政治大学国際事務学院日本研究学位学程で3ヶ月ほど教鞭を執ることになりました。楽しみです。
 

2015年09月26日

「世界の中で日本を研究する」(9月25日、台湾大学)

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(左:台湾大学校史館。この1階に日文系があります。右:台湾大学のメインストリート椰子大道)

 台湾大学日本語文学系所で「世界の中で日本を研究する」と題して講演させていただきました。台北大学のキャンパスは1930年前後に建てられたスクラッチタイルの学校建築が多く残り、内装は私の前任校である先端研を思い出させるものでした。

 政治大学とは異なる広く歴史のある校地で、やはり政治大学の学生とは異なる人文科学系の大学院生を前にした講義は新鮮でもあり、懐かしくもありました。

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 台北にはおいしいラーメンがたくさんあるのですが、せっかくなので変わったもの、台湾らしいものを食べたいと思い、蕃茹麺(トマトラーメン)をいただきました。おいしかった。
 

2015年10月15日

連載第2回「アメリカの日本研究―187人の公開書簡から見えるもの」(10月15日)

 東京書籍Eネットさんでの連載「マサチューセッツからお届けします」、第2回は「アメリカの日本研究―187人の公開書簡から見えるもの」です。

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 5月の連休、アメリカの日本研究者187名が連名で安倍首相に送った公開書簡は、その後、ヨーロッパの日本研究者からも支持され、署名者は500名近くに達しました。その構造から見えてくるアメリカの日本研究の今を論じてみました。ご高覧ください。

http://ten.tokyo-shoseki.co.jp/

(購読には登録が必要です)。
 

2015年10月17日

「制度の政治史―統治を巡る4つの枠組から考える―」(10月17日、九州大学)

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(左:取り壊しの決まった旧法文学部本館。右:旧工学部本館会議室)

 九州史学研究大会にお招きいただき、「制度の政治史―統治を巡る4つの枠組から考える―」と題して講演させていただきました。2000年以降、福岡には何度も資料調査に伺いましたが、その際にお世話になった有馬先生、福嶋さん、官田さんをはじめとする皆さんや、ドイツで親しくさせて頂いた赤司さん、伊東さん、クラマーくん、内務省研究会にもよく来てくださる原口さん、野島さん、ハーバードから留学中のハンナさんなどに囲まれ、とてもアットホームな雰囲気のなかで過ごさせていただくことができました。なにより、有馬先生と大選挙区制について、山口先生と政治と社会のありようについてお話できたのはとてもありがたい機会でした。

 会議の翌日、伊都キャンパスへの移転が始まった箱崎キャンパスを案内して頂きました。官田さん、市原さんのすばらしい解説に引き込まれるようにしてキャンパスの魅力に身を浸しました。旧工学部本館は保存されるようですが、河村又介や鹿子木員信が教鞭を執った急報文学部本館はコンクリートの劣化が著しいこともあり取り壊しが決まっているそうです。

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 見学後、百年史編集室のみなさんと名店「名島亭」へ。小早川隆景の古蹟である名島で、本当においしい博多ラーメンをいただくことができました。みなさんに心から感謝申し上げます。
 

2015年11月30日

「日本の政治エリート―近代・現代・現在・未来」(10月23日、輔仁大学)

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(左:輔仁大学外語学院日文系のみなさんと、右:輔仁大学のキャンパス)

 「台湾の慶應」と呼ばれる名門私立・輔仁大学外語学院日文系にお招きいただき、「日本の政治エリート―近代・現代・現在・未来」と題して講演してきました。ひまわり運動に代表されるように台湾では学生たちの政治意識が極めて高いのですが、これを「政治への意識の高い台湾、意識の低い日本」ではなく、「政治に関与する台湾、政治を忌避しつつも政策に関与する日本」という図式でお話ししました。

 日本側はSFCの学生・卒業生たちの取り組みを中心に紹介したのですが、台湾の学生たちからすると、政策に関与して自ら問題を解決していこうとする日本の学生たちの取り組みはとても具体的かつ実践的で興味深いと映ったようで、たくさんの質疑をいただきました。お招き頂いた何思慎先生とは5年ぶりにお目にかかりましたが、以前と変わらずエネルギーに溢れていらっしゃいました。先生とたくさん議論できたことも収穫でした。

 輔仁大、ミッション系の大学だけあってとてもおしゃれなキャンパスです。なかでも先生方が自慢されるこのコーヒーは抜群でした。FUといってもベルリン自由大学ではないですよ。Fujin Universityです。また伺いたいと思います。

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2015年12月13日

「日本の政治と青年―政治参加の変化を考える」(10月26日、国立中央大学)

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(左:国立中央大学客家学院、右:教室のようす)

 台北から西へ車で1時間ほど行った桃園(国際空港があるので有名ですね)にある国立中央大学にお邪魔し、客家学院社会科学系で「日本の政治と青年―政治参加の変化を考える」と題してお話ししてきました。先日の輔仁大と同じテーマでの講演でしたが、政治大学の李先生がとてもすばらしい通訳をしてくださったおかげで、よく集中して聞いてもらえました。

 終了後、社会起業に取り組む学生さんからのアクセスもあり、うれしい成果となりました。SFCのみんなと繋がりたいと言っていますので、ぜひやりましょう。

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 終了後、台北に戻り、待ち合わせまでの時間を台北駅のカフェでゆったり過ごしました。写真はグレープフルーツコーヒー。台湾ならではの味です(結構いけましたよ)。
 

2015年12月14日

"Politics, or Policy?"(10月28日、台中科技大学)

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(左:日本統治時代の面影が残る台鉄台中駅、右:講演後の一枚)

 輔仁大、中央大と続いて、今度は台中に行ってきました。念願の台湾高速鉄道(新幹線)に乗って台北から1時間。もっとも高速鉄道の駅は市の郊外にあるので、そこからローカル線に乗り継いで15分ほど。台中に到着です。

 台北とはまた違った地方都市の街並みを楽しんだあと、台中科技大学国際貿易・経営系にて"Politics, or Policy?: New youth activities in modern and contemporary Japan"と題してお話しさせていただきました。広いホールで驚きましたが(演台がなかったので、ステージ上を歩き回ることに、、、)、なんとか皆さんに関心を持って聞いてもらえたようでした。

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 台中といえば台湾スイーツ。評判の「宮原眼科」でマンゴーアイスをいただいてきました。台中、またゆっくり伺いたい街です。
 

2015年12月17日

「現代日本の政・官・民関係」(11月13日、政治大学)

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(左:政治大スタッフと真渕先生で、右:大会パンフレット)

 お世話になっている政治大学国際事務学院日本研究学位学程で「第二届全国日本研究碩博士生論文研討会」が行われました。台湾で日本研究に取り組む院生たちの研究発表会です。政治大学日本研究専攻はもちろんのこと、台北、台中の大学院から報告者が集りました。

 午前中は真渕勝先生(京都大学)の基調講演。午後の基調講演では、私から「現代日本の政・官・民関係―政権交代と三つの変化」と題してお話しさせていただきました。

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 終了後は、すっかり顔なじみになった院生たちと打ち上げです。写真は台湾の二郎風ラーメン。西門街の「楽麺屋」でいただけますが、より二郎風にしたい場合は野菜を追加注文するとよいようです。
 

2015年12月21日

「近代日本外交の分岐点」(11月16日、台湾大学)

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(左:台湾郊外・北投温泉に残る日本時代の施設、右:同博物館内のステンドグラス)

 帰国1週間前の11月16日、台湾大学日本研究学程で「近代日本外交の分岐点―日清・日露戦争から第一次世界大戦まで―」と題してお話しさせていただきました。これまでSFCで行ってきた講義「日本の近現代」の内容から中国外交のエッセンス部分を取り出してまとめてみました。

 驚いたのは、日本外交、とりわけ日中外交と安全保障に興味を持つ学生が多かったことです。徐先生、楊先生、何先生のご指導の賜物ですね。

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 台湾といえば、小籠包。萬芳社区にあるこのお店は抜群でした。
 

2015年12月22日

連載第3回「ヨーロッパの日本研究―『自由』と『不自由』の国、ニッポン」(12月15日)

 東京書籍Eネットさんでの連載「マサチューセッツからお届けします」、第3回は「ヨーロッパの日本研究―『自由』と『不自由』の国、ニッポン」です。

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 EAJS2011、2014に参加して感じたこと、昨年度、イギリス、フランス、ドイツを回って考えたことを「自由」と「不自由」をキーワードにまとめてみました。

http://ten.tokyo-shoseki.co.jp/

(購読には登録が必要となります。すみません)。

2015年12月23日

「世界のなかで日本研究を考える」(12月18日)

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 日本財団国際フェローシップの帰国報告会で「世界のなかで日本研究を考える―米・欧・豪・台・日―」と題してお話しさせていただきました。2014年3月から15年3月までの留学中、同財団フェローシップの支援をいただいて、たくさんの場で研究、報告、調査を行うことができました。

 私は3期生で1年間のフェローシップでしたが、当日は2年間のフェローシップを終えられた2期生の先輩方の報告が目白押しで、その充実した内容に圧倒された3時間でした。

 後日、成果報告会のページが立ち上がるようですが、ひとまずのレポートがアップされていました。
 http://intl-fellow.jp/activities/shimizu.html

 引き続き、元気にがんばります。
 

2015年12月29日

「日本の民主主義」(12月28日)

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(左:国立台北大学三峡キャンパス、右:作っていただいた講演フライヤー)

 台北市のおとなり、新北市三峡にある台北大学日本研究中心で「日本の民主主義―誰が政治を動かしてきたのか、動かしていくのか-」と題してお話させていただきました。尊敬する歴史家・蔡龍保先生のお誘いで、山口智哉先生に通訳をいただき、とても楽しい時間を過ごすことができました。ありがとうございました。

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 三峡訪問のもう一つの目的は老街にある祖師廟、別名「清水祖師廟」への参拝でした。なんだかうれしいものですよね。念願が叶いました。

 ここから4日連続、講演マラソンのはじまりです。
 

2015年12月30日

「大学生と政治」(12月29日)

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(左:高速鉄道台中駅から台中市街地を眺める、右:馬習会反対デモを待つ予防線)

 講演マラソン2日目は、台中・国立中興大学日韓総合研究所で「大学生と政治―日本と台湾の比較から考える-」と題してお話させていただきました。

 渡台前は、台湾の学生たちが政治に高い関心を持っていることを羨ましく思っていたのですが、彼らと話してみると、政治への関心が深い一方で政策への関心が薄いことにも気がつきました。このあたりは日本の学生たちとは大きく異なるようです。このテーマ、少し追って行きたいと思っています。

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 台中での楽しみは、なんといってもおいしい食事。名物の潤餅をいただきました。
 

2015年12月31日

「誰が日本の近代を担ったのか」(12月30日)

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(左:台湾大学図書館、右:台湾大学日本研究中心)

 講演マラソン3日目は、台湾大学日文系・日本研究中心で「誰が日本の近代を担ったのか―行政国家を作り上げた官僚たちの思想と行動―」と題してお話しさせていただきました。拙著『近代日本の官僚』のエッセンスから、選挙区、世襲議員、現在の政官関係、政治と学生まで、最近考えてきたことをまとめてお話しさせていただきました。
 徐興慶先生、辻本雅史先生、朱秋而先生と大先輩がいらっしゃるなかでの講演は緊張の連続でしたが、たくさんの議論をさせていただけたのは本当に貴重な機会でした。

 なにより嬉しかったのが、オープンレクチャーであったこととロケーションの良さもあったのでしょう、台湾で出会った多くの方が聴講にいらしてくださいました。みなさん、本当にありがとうございます。

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 写真は、鴨料理で有名な宜蘭県でいただいた、鴨のまぜごはん。絶品でした(35元!)。
 

2016年02月19日

連載第4回「スーパーグローバル!スーパーグローバル? in ボストン」(2月15日)

 東京書籍Eネットさんでの連載「マサチューセッツからお届けします」、第4回は「スーパーグローバル!スーパーグローバル? in ボストン」です。

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 ボストンから見た日本のスーパーグローバルプログラムと、ボストン&ハーバードで行われている日本との交流について書きました。大好きなラーメンやさんにもちょっと触れてみました。

http://ten.tokyo-shoseki.co.jp/

(購読には登録が必要となります。すみません)。

2016年03月17日

“Changing Youth in Contemporary Japan”(3月7日)

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(左:ガウディがデザインしたグエル公園、右:バルセロナ自治大学のキャンパス)

 某財団での講演、阿川先生の退職謝恩会、オーラル・ヒストリーの集いと慌ただしく過ごしたあと、スペインに飛び、3カ所で講演をさせていただく機会を得ました。
 最初の会場はバルセロナ自治大学翻訳・通訳学部(la Facultat de Traducció i Interpretació, Universidad Autónoma de Barcelona)。なんとこの学部に東アジア学科があり、日本研究が盛んに行われているとのことで呼んでいただきました。
 
 この日は“Changing Youth in Contemporary Japan: After 5 years from the Great Earthquake”と題して、震災後5年間における、日本政治と学生の関係について、政治チャネルと非政治チャネルからお話しさせて頂きました。小さな教室に80人ほどの学生さんが(なんと、着物をお召しになったスペインの学生さんも!)。
 この内容は、今学期を台湾で過ごすなかで見出したもので、政治に深くコミットしていく台湾の学生と、政治とは距離を取りつつも目の前にある課題に政策チャネルから取り組んでいく日本の学生を対比して論じたものです。

 これまで、SFCをはじめとする、身近な学生たちの活動について話すことには妙な迷いがありました。それが、台湾での経験を通じて、これは伝えるべき、発信すべきことなのではないかと思えるようになりました。
 学術的にどこまで詰まっているかと言われるとまだまだ改善の余地がありますが、近々、活字にしていきたいと思っています(スペイン語になることは確定したようです!)。
 


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 スペインと言えば、生ハムですよね。コクを共感できる国の食事はすばらしい!!
 

2016年03月19日

"Evolución de la opinión pública japonesa en cuestiones de seguridad"(3月9日)

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(左:マドリードの中心地マヨール広場、右:マドリード自治大学の講演会場)

 バルセロナ自治大学での講演のあと、高速鉄道AVEで首都マドリードへ向かいました。次の会場はマドリード自治大学哲文学科。やはり日本研究が盛んなところです。

 この日は、大阪大学の星野副学長、慶應の阿川先生とご一緒しての講演。星野先生は安全保障法制の全体像を、阿川先生は日米同盟と日中関係の視点からお話をされました。私は、安全保障法制に対する日本の世論を、学生の反応を中心に報告させていただきました。
 中規模の教室でしたが、100名近い学生さんが集ってくださいました。日本から研究者が来て話すことはなかなかないそうで、多くの質疑を頂きました。私にとっては、なにより同校で教鞭を執る旧友との3年ぶりの再会がうれしいことでした。

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 マドリードでは、珍味「亀の手」をいただきました。スペイン語ではPercebesといい、日本では四国で採れるそうです。フジツボのように岩に張り付いているものの、甲殻類。なんとも奇妙ですが、お酒のつまみとしては絶品でした。亀の手を借りて、次のカンファレンスもうまくいくといいのですが。
 

2016年03月21日

“Politics and Youth in Modern Japan”(3月10日)

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(左:世界遺産に登録されたサン・パウ病院、右:会場となったCIDOB本部)

 マドリードから戻り、再びバルセロナへ。講演旅行の最後はCIDOB(バルセロナ国際問題研究所)でのセミナー"Retos de la política internacional de Japón en Asia-Pacífico(アジア太平洋における日本の国際戦略が抱える課題)"。CIDOBのディレクターであるJordi先生、Oriol先生、Sean先生、バルセロナ自治大学のBlai先生、Artur先生、Lopez先生、ベルリン自由大学のCoreyさん、京都大学(LSEに留学中)の奈良岡さん、阿川先生と報告が目白押しです。

 午前中のセッションで、阿川先生の安保法制と東アジア、奈良岡さんの第一次世界大戦と日中関係に続いて、震災後の日本の政治と学生についてお話しさせて頂きました。16世紀に教会として建てられたという本部ホールでの講演は、大学での講演とはまた違った心持ちにさせてくれました。

 この1週間、政府関係者ではなく、日本研究者や日本に関心のある学生さんに対して講演を続けてきましたが、その中で強く感じたのは、イメージによる支配が、とりわけ安全保障をめぐる問題については大きいことでした。アメリカで感じたこととは異なる、EU圏から見たアジア圏の国際関係の捉え方が何となく掴めてきたように思います。

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 バルセロナといえば、パンコントマテ。メールアドレスでも「.cat」と自治強化の動きを示唆するカタルーニャ。2014年のスコットランド、2015年の台湾、2016年のスペインと回らせていただいたことで、国民と国家について、思いを新たにすることができました。パンコントマテの味がさまざまなように、人も国も。
 

2016年04月25日

連載第5回「ボストンの小学校教育」(4月25日)

 東京書籍Eネットさんでの連載「マサチューセッツからお届けします」、第5回はボストン(正確にはブルックライン)の小学校教育について書きました。

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 教室で、校庭で、イベントで。責任がはっきりしているかたちでの自由な教育にはとても影響を受けました。

 次回は連載最終回。在外研究期間で考えたことをまとめたいと思っています。

http://ten.tokyo-shoseki.co.jp/

(購読には登録が必要となります。すみません)。

2016年04月30日

「二つの架橋―政治研究と行政研究、歴史研究と現代研究」(4月15日)

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 『レヴァイアサン』58号(2016年4月)に「二つの架橋―政治研究と行政研究、歴史研究と現代研究」 と題して、出雲明子さん『公務員制度改革と政治主導』(東海大学出版会、2015年)の書評を書かせて頂きました。

 昨年度の大学院クラス「ガバナンス論」で、ピアソン、ガーツ、保城さん、前田さんと方法論を架橋する議論を多く読むことができた成果です。参加してくれた皆さんに感謝申し上げます。

 それにしても、ひとり通史、あこがれます。いつかは書いてみたいものです。

 http://www.bokutakusha.com/leviathan/leviathan.html#link14
 

2016年06月06日

日本選挙学会賞をいただきました(5月14日)

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 5月14日に日本大学で行われた日本選挙学会において、昨年度の熊本大会での報告「選挙区はどう作られたのか―近世・近代の連続・非連続から考える―」に対して学会賞をいただきました。熊本の会場で頂いたたくさんのコメントに改めて御礼申し上げます。

 6月4日に行われた内務省研究会でもこのテーマについて報告し、歴史学からのコメントも多く頂くことができました。おかげさまで活字にする目処がつきました。

 お世話になった熊本の街を思い出しながら。

2016年06月08日

「18歳選挙権の次に来るもの」(6月4日)

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(左:雑誌表紙、右:台湾総統選の前夜祭)

 『公研』6月号に「18歳選挙権の次に来るもの」という短文を寄せました。台湾、スペインを回るなかで考えた「日本の大学生と政治」についてまとめたものです。12月には論文も出る、予定です。。。

 お目にとまれば幸いです。

2016年07月04日

国立政治大学日本プログラム、SFC来訪(6月28日)

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 昨年の秋学期をともに過ごした、台湾・国立政治大学国際事務学院日本研究学位学程の皆さんが、ついにSFC来訪。これはうれしいことです。

 今度はこちらから伺います! 

2016年08月31日

JENESYS2016台湾訪日団@慶應三田(8月30日)

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 8月30日、台湾で日本研究に取り組む学部生・大学院生40名が参加するJENESYS2016日本研究団をお迎えして、講義とワークショップを行いました。
 私の講義は、まあ、どうでもよいのですが、圧巻だったのは日本側の学生16名を交えたグループディスカッション。台湾側5名+日本側2名の8グループが、わずか1時間できわめて濃密な議論を展開して、充実したプレゼンを見せてくれました。これは大きな収穫でした。

 次に台湾に行けるのはいつでしょうか。皆さんに再会できることを楽しみにしています。
 

2016年09月30日

『憲法判例からみる日本―法×政治×歴史×文化』(9月15日)

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 『憲法判例からみる日本―法×政治×歴史×文化』(日本評論社、2016年)が刊行されました。山本龍彦さん(法務研究科)、出口雄一さん(桐蔭横浜大学)との共編著です。

 「多分野のメンバーで憲法判例を議論してみよう」とお二人にお声がけいただいて研究会をはじめたのは2013年のこと。途中、留学で研究会に出られず、スカイプで参加したりと面白い経験でした。

 目次からご覧いただけるとおり、すべての章が憲法学者×他分野の研究者によって執筆されており、それぞれの視点から楽しんでいただけると思います。文学史の日比さん、政治学の砂原さん、音楽史の奥中さん、神道学の藤本さん、警察政策史の中澤さん、教育学の荒井さん、政治学の小堀さん、安全保障・国際政治史の中島さん、吉田さん。ものすごい著者陣です。ぜひ。

第1章 小説はプライバシーを侵害するのか
 「宴のあと」事件  …………山田哲史・日比嘉高
第2章 社会や家族の変化に民法は応えるべきか
 非嫡出子相続分最高裁違憲決定  …………白水 隆・宇野文重
第3章 「投票価値の平等」を阻むものは何か
 「一票の較差」判決  …………徳永貴志・砂原庸介
第4章 憲法「土着化」プロセスにみえる「公務員」秩序とは
 猿払事件  …………水谷瑛嗣郎・清水唯一朗
第5章 思想・良心に反する行為を拒めるか?
 君が代起立斉唱事件  …………堀口悟郎・奥中康人
第6章 「神社は宗教ではない?」が示唆すること
 津地鎮祭事件  ……石塚壮太郎・藤本頼生
第7章 「お行儀のよいデモ行進」を目指して?
 東京都公安条例事件  …………岩切大地・中澤俊輔
第8章 自分の好きなところに店を開くことができない?
 薬局開設距離制限事件(薬事法事件)  …………山本真敬・小石川裕介
第9章 「大学の危機」時代に考える学問の自由・大学の自治
 東大ポポロ事件  …………中島 宏・荒井英治郎
第10章 「最低限度の生活」を求めて
 朝日訴訟  …………武田芳樹・山下慎一
第11章 私のものは「私だけのもの」か?
 森林法事件  …………山本龍彦・出口雄一
第12章 日本の解散権は自由すぎる!?
 苫米地事件  …………植松健一・小堀眞裕
第13章 「統治行為論」とは何か?
 砂川事件  …………奥村公輔・中島信吾・吉田真吾

2016年10月15日

行政フォーラム「政官関係のいままでとこれから」(10月14日)

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 人事院の皆さんにお声がけいただき、各省の課長級の皆さんを対象とした研修「行政フォーラム」でお話しさせていただきました。

 お話しする内容をずいぶん迷ったのですが、せっかくなので私にとっても本丸のお話をさせていただきました。150名に及ぶ皆さんとじっくりお話できたのことは貴重な経験になりました。お世話になった皆さん、ありがとうございました。

http://www.jinji.go.jp/kensyusyo/kensyuu/forum-admin/
 

2016年11月10日

「制度論的政治史試論」『九州史学』175号(11月9日)

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 昨秋、台湾から飛んで報告させていただいた内容が講演記録になりました。歴史的制度論を用いた日本政治史の可能性について論じています。九州史学研究会の皆さん、ありがとうございました。

 「制度論的政治史試論―4つの制度から考える」『九州史学』175号、40~48頁

 http://www2.lit.kyushu-u.ac.jp/~his_jap/kyushusigaku/
 

2016年12月02日

「民主主義を規定する枠組みとしての選挙区」(11月30日)@韓国・仁川

06165.JPG06282.JPG (左:全体セッションのようす、右:光化門前の反政府集会)

 韓国・仁川で開かれた第1回東アジア日本研究者協議会で、共同パネル「日本型民主主義の歴史的展開」を開きました。東海大学の出雲先生に公務員制度の歴史的展開を、私が「民主主義を規定する枠組みとしての選挙区―空間的歴史的制度の形成と展開」と題して選挙区制度について話し、立命館大学の上久保先生、高麗大学の李先生に討論をしていただきました。

 この会、EACJS(East Asian Consortium of Japanese Studies)という名称にも現れているように、EAJS(ヨーロッパ日本研究学会)のアジア版を作ろうというもので、人文科学と社会科学、日本語報告と英語報告が行われるとてもすてきな会となりました。

 なにより、院生を対象とした次世代セッションは、30名の報告者を交流させる工夫が随所にあり、EAJSのPh.Dワークショップを彷彿とさせるネットワーク機能を見事に果たしていました。

 来年もぜひパネル参加したいですね。次世代パネルにて英語報告を完遂したわが研究室の三谷くんにも拍手を送りたいと思います。

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2016年12月11日

「日本の選挙区はどう作られたのか」『年報政治学』2016-2(12月10日)

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 ここ数年取り組んできた選挙区制度の研究がようやくかたちになりはじめました。第一弾として、「日本の選挙区はどう作られたのか―空間的政治制度の始点を考える」が日本政治学会『年報政治学』2016-2に掲載されました。

 とても思い入れのある研究が公表できたことに加え、同号には兄弟子の奥健太郎さん、初弟子の三谷宗一郎くんの論文も掲載。とりわけうれしいできごとになりました。

 ご高覧いただければ幸いです。

 http://www.bokutakusha.com/announcement/2016_announce.html#link12

年報政治学2016-Ⅱ政党研究のフロンティア 目次
はじめに 待鳥聡史
<特集論文>
日本の選挙区はどう作られたのか: 清水唯一朗
 空間的制度の始点を考える
選挙制度改革の政治学: 西川 賢
 カリフォルニア州のプライマリー改革の事例研究
サルトーリ再考 岡﨑晴輝
20世紀ヨーロッパにおける政党デモクラシーの現実モデル: 網谷龍介
 H.ケルゼンの民主政論を手がかりに
政党の選挙戦略と党内の資源配分: 藤村直史
 内閣総理大臣による選挙期間中の候補者訪問
自民党結党直後の政務調査会: 奥健太郎
 健康保険法改正問題の事例分析
左翼ポピュリズムという幻影 中島晶子
 ギリシアの急進左翼連合とスペインのポデモスから
政党支持は投票行動を規定するのか 善教将大
 サーベイ実験による長期的党派性の条件付け効果の検証
ボリビア小選挙区比例代表併用制における投票行動 舟木律子
 白票を含む分割投票の規定要因について
<公募論文>
「学力」をめぐる政治: 坂部真理
 アメリカ初等中等教育改革をめぐる「社会的学習」の交錯
医療保険政策をめぐるアイディアの継承と変容: 三谷宗一郎
 なぜ保険者入院事前審査制度は導入されなかったのか
「『総評―社会党ブロック』と『同盟―民社党ブロック』の対立」成立の萌芽: 堀内慎一郎
 独立青年同盟の結成と排撃
英国における所得税廃止論争(1816年)の再検討: 板倉孝信
 麦芽税廃止論争との関連性を中心に
日米関係における「価値観の共有」 1973-1976年: 長 史隆
 冷戦変容期における同盟の基盤
リアリズムにおける慎慮(プルーデンス)の意味内容に関する一考察: 宮下 豊
 H・J・モーゲンソー、R・アロン、永井陽之助、高坂正堯を対象として
影響を受ける者が決定せよ: 松尾隆佑
 ステークホルダー・デモクラシーの規範的正当化
2015年度学界展望 文献委員会
2016年度日本政治学会総会・研究大会日程 事務局
日本政治学会規約・その他 事務局
日本政治学会倫理綱領 事務局
論文投稿規程 事務局
査読委員会規程
『年報政治学』の著作権に関する規程 事務局
 

2016年12月15日

「選挙区は誰のものか―国民代表論と地域代表論」(12月14日)

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 公益産業研究調査会『公研』640号(2016年12月)に「選挙区は誰のものか―国民代表論と地域代表論」と題したエッセイを寄稿しました。

 選挙区制度の歴史的展開を研究するなかで考えたことを、1月解散の風説と重ねて論じています。お目にとまれば幸いです。

 (12月28日以降、本文へのリンクを張れる予定です)。 

http://www.koken-seminar.jp/new.htm
 

2016年12月19日

新時代的台日関係―社会科学領域的学術対話(台湾、12月17日)

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 12月17・18日に国立政治大学日本研究プログラムの主催で行われた「新時代的台日関係―社会科学領域的学術対話」に参加してきました。台湾からは黄自進先生、何思慎先生、于乃明先生のような重鎮から若手まで、日本からは政治大学に派遣された経験のある先生を中心に30名ほどが研究報告を行いました。

 それぞれのセッションは日台の研究者がペアを組むかたちで行われ、私は政治大学の林先生とともに選挙区についてそれぞれ報告しました。同じセッションで報告された阪大の上川先生、義守大の呉先生の報告、いずれも刺激的でした。

 それにしても、台湾は私にとって第二の故郷と感じるようになりました。歓迎してくださった皆さん、たくさんの議論をいただいた皆さんに心から感謝申し上げます。

http://www.mpjs.nccu.edu.tw/news/news.php?Sn=116
 
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「『日本の若者は政治に関心がない』は本当か?」WEDGE Infinity(12月19日)

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 「時代の先端を行く雑誌」WedgeのWeb版WEDGE Infinityに「『日本の若者は政治に関心がない』は本当か?」というちょっと刺激的な原稿を書かせていただきました。

 国際比較、経時的比較から、現在の若者が決して「政治に関心がない」わけではないこと、彼らは政治好きの大人が好む「大文字の政治」ではなく、直面する公共的な課題に向き合おうとしていることを論じました。

 このテーマは、以前から関心があったものの、身の回りの学生の活躍を書くことになるのでためらいがありました。ですが、昨秋から台湾で、スペインで、韓国で、多くの学生と議論するなかで、この日本の動きは伝えておく必要があると考えるようになりました。

 すでにいくつかのネットメディアでご意見をいただいていますが、この議論は少し時間をかけて続けていきたいと考えています。
 

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8479

 

2016年12月21日

「日本年輕人對政治不感興趣?」『自由時報』(台湾、12月19日)

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 まったく偶然なのですが、Wedge Infinityの記事公開と同日、台湾紙『自由時報』朝刊に拙稿「日本年輕人對政治不感興趣?」が掲載されました。台湾向けに若干書きぶりを変えていましたが、趣旨はほぼ同じものです。

 中文の記事は、2011年に香港の雑誌に書いて以来になります。滞在中に刊行されたため、実物も手に取って見ることができ、台湾の研究者、学生の皆さんとも議論することができました。ありがたい限りです。
 

http://talk.ltn.com.tw/article/paper/1063256

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2017年01月01日

新年のごあいさつ(1月1日)

 いつも当ブログをご覧頂き、ありがとうございます。
 
 本年も、研究に教育にがんばってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

                      2017年1月1日 清水唯一朗

1月  政治大学生・台湾大学生・慶應生と台湾総統選挙フィールドワーク
    Wise2015@台北にSFCから「青春基地」が参加。台湾、マレーシアの学生と交流
    かぞくオーラルプロジェクト第1回@湘南T-SITE d-labo
    諏訪研・小川研・加藤研・井庭研との合同卒論発表会@SFC t21

2月  JPDゼミ×立命館大学政策科学部上久保ゼミインゼミ@三田キャンパス
    連載「マサチューセッツからお届けします(4)スーパーグローバル!」東書Eネット
    講演「時代を変える若者たち」@Wise2015。日台学生ディスカッション&プレゼン
    講演「日本研究の現状と課題―国際研究交流のあり方をめぐって―」尚友倶楽部

3月  阿川先生退職記念会@三田キャンパス。ゼミメンバーと「若き血」を演奏
    報告「2010年代のオーラル・ヒストリー」@第1回オーラル・ヒストリーの集い
    講演 “Changing Youth in Contemporary Japan”@バルセロナ自治大学
    講演 "Evolución de la opinión pública japonesa en cuestiones de seguridad"
     @マドリード自治大学
    講演 “Politics and Youth in Modern Japan”@バルセロナ国際問題研究所
    カーチャ・シュミットポットさん特別講演
    学部卒業式。高松さん、陣内さんがSFC AWARDを受賞
    大学院修了式。修士2名が無事修了。濱田くんは修了生総代

4月  論文「二つの架橋―政治研究と行政研究、歴史研究と現代研究」『レヴァイアサン』58号
    連載「マサチューセッツからお届けします(5)ボストンの小学校教育」東書Eネット
    論文「戦後70年目の日本研究―アメリカ、ヨーロッパ、日本」『吉野作造研究』12号

5月  日本選挙学会賞受賞(2015大会「選挙区の線引きはどう行われたのか」に対して)
    三谷くん、報告「有効期限の明記は「政策終了」を促すか」@日本行政学会
    靍岡くん、論文「井上期条約改正交渉と知的財産権」上・下(『法学研究』89-5,6)

6月  高松さん、高校への政治出前授業に全精力傾注。
    論考「18歳選挙権の次に来るもの」『公研』634号
    国立政治大学日本研究プログラム×清水研インゼミ@SFC
    連載「マサチューセッツからお届けします(6)英語嫌いが英語で講義をするまで」
     東書Eネット

7月  ヒロム・ナガハラ先生特別講義@SFC。
    参議院選挙。ゼミ生は総出で好例の選挙速報アルバイトに。教員は家でテレビ東京。
    ヤン・シュミット先生特別講義@SFC。
    かぞくオーラルプロジェクト第2回 powered by青春基地@SFC

8月  記事「なぜ政策コーカスは始まったのか?(インタビュー)」『SFC REVIEW』61号
    講演「日本の政治・文化・社会」JENESYS台湾訪日団。日台討論・発表。

9月  第10回吉野作造記念館人材育成研修会。清水研から4名参加。
    寺島くん、2冊目のZINE『LAYER/ music issue』を発行。
    長野県上田高校スーパーグローバルハイスクールプログラム@SFC
    秋季卒業式。越村さん、卒業生総代。
    「原敬の関連書を検索しようとすると、槇原敬之がとてもたくさんヒットしてしまう。
     どんなときも、どんなときも。」と書いたツイートが想定外の反響を呼ぶ。
    慶應義塾大学ウインドアンサンブル第15回定期演奏会@練馬文化センター
    共編著『憲法判例からみる日本―法×政治×歴史×文化』(日本評論社)が刊行。
    初のJPDゼミ×オーラルゼミカップル結婚式

10月  講演「政官関係の過去・現在・未来」@人事院行政フォーラム

11月  論文「制度論的政治史試論―4つの制度から考える」『九州史学』175号
     SFC「日本研究概論1」に市村良三小布施町長が登壇。4年ぶり。
     講演「二つの区割り―世代と選挙区」@SFC-ORF。高校生のためのSFC講座。
     報告「民主主義を規定する枠組みとしての選挙区」
      @第1回東アジア日本研究者協議会(韓国)
     三谷くん、報告「なぜ政策課題の解決は先送りされるのか」@同上

12月  JPDゼミ×立命館大学政策科学部上久保ゼミインゼミ@OICキャンパス
     論文「日本の選挙区はどう作られたのか―空間的政治制度の始点を考える」
      『年報政治学』2016-2
     三谷くん、論文「医療保険政策をめぐるアイディアの継承と変容」同上。
     論考「選挙区は誰のものか―国民代表論と地域代表論」『公研』640号
     報告「日本の選挙区はどう変遷してきたか」
           @「新時代的台日関係―社会科学領域的学術対話」(台湾)
     論考「『日本の若者は政治に関心がない』は本当か?」WEDGE Infinity
     論考「日本年輕人對政治不感興趣?」『自由時報』(台湾)

 身長 不明。
 体重 年末に入り2kg減。

 今年もすこやかに。

2017年01月10日

「次期衆院選は今年後半? 政治学者10人が「酉の目」予測」(1月8日)

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 『日本経済新聞』1月8日朝刊の記事「次期衆院選は今年後半? 政治学者10人が「酉の目」予測」に寄稿しました。牧原先生、上久保先生、待鳥先生、竹中先生など、普段からよく議論する皆さんとの共通点、差異点が見える、興味深い企画でした。

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO11448740X00C17A1TZJ000/
 

2017年01月11日

日本美術オーラルヒストリーアーカイブWS(1月8日)

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 加治屋健司先生にお招きいただき、日本美術オーラル・ヒストリーアーカイブの皆さんとワークショップを行わせていただきました。
 美術史と政治史、同じ歴史を扱うものであってもアプローチの仕方は大きく異なります。メンバーの皆さんも「政治史のオーラル・ヒストリアンから学ぶものがあるのか」と疑問を持たれた方もいらっしゃったようです。幸い、4時間のワークショップを楽しんでいただけたようです。これも学部の皆さんと8年間にわたって試行錯誤を重ねてきた成果です。これまでの履修者の皆さんに、感謝。

http://www.oralarthistory.org/

 

2017年01月21日

「選挙区割り改定から見える民主主義のジレンマ」(1月20日)

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 『Wedge』29巻2号に「選挙区割り改定から見える民主主義のジレンマ」と題して寄稿しました。現在進行している区割り改定作業を念頭に、選挙区と一票の格差をめぐる歴史過程から、現状への分析を行いました。お目にとまれば幸いです。
 

2017年01月30日

「明治の青年から平成の大人たちへ」(1月30日)

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 大好きな愛媛・松山に縁のあるお仕事をいただきました。坂の上の雲ミュージアムの小冊子『小日本』28号に「歴史からのメッセージ 明治の青年から平成の大人たちへ」という小文を寄せました。同館で開催中の特別展「子規と帝国大学」に合わせたものです。2月19日まで開催中です。

 久しぶりに行きたいなぁ。今夏にはかならず!


 坂の上の雲ミュージアム ウェブサイト

 

2017年02月10日

「日本の政治と学生―政治との隔絶、政策への接近―」(2月10日)

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 台湾・国立政治大学国際関係問題研究所が発行する『問題と研究』45巻4号に「日本の政治と学生―政治との隔絶、政策への接近―」(129~157頁)を寄せました。一昨年秋の台湾滞在中に感じたことから書き起こしたものです。

 リボンムーブメント、小布施若者会議、ハピキラFACTORY、H-LAB、信州学生1000人会議、ぼくいち、政治美人、manma、青春基地など、この10年間に触れあった学生たちの活動にも触れることができました。日本の大学図書館でも読めますよ!

2017年02月17日

「選挙区改定の限界「地盤変動」に焦る議員、戸惑う住民」(2月17日)

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 『Wedge』2月号に掲載された原稿が、Web版に転載されました。ご高覧ください。

 http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8898
 

2017年03月08日

「維持日本政治安定的「選區」劃分」(3月6日)

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 台湾紙『自由時報』6日朝刊に「維持日本政治安定的「選區」劃分」という記事を書かせていただきました。選挙区割り改定と一票の格差について、中国語で発信できるのはとてもうれしいことです。台湾の皆さん、中国の皆さん、ご高覧ください!

 http://talk.ltn.com.tw/article/paper/1083344
 

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