狂ったモクバ工科大学

やたらと忙しかった3週間が終わった。先週末、無事ICPCも終わった。

先週の金曜日、イアン・コンドリーの脚本によるライブ・アクション・アニメ「狂ったモクバ工科大学」を北千住の芸大で見てきた。

初めて北千住で下車したが、その昭和っぷりに驚く。西口を降りて芸大方向に続く飲み屋街が、映画のセットかと思えるほど賑やかかつレトロで、芸大の学生はなんて幸せなんだろうとうらやましくなる。

人が集まるのかと心配していた「狂ったモクバ工科大学」だが、フタを開けてみると満席立ち見で、仮設の客席が倒壊するんじゃないかという盛況ぶり。ホストをされていた毛利先生も驚かれていた(毛利先生はMITにいらして講演されたのでちょっと存じ上げている)。私の席の周りはアメリカ人の留学生らしき人がいっぱいで、アメリカに戻ってきた感じが一瞬したが、彼女たちが持っている携帯電話がキンキラに装飾した日本のケータイだった。

監督のトーマス・デフランツと脚本のイアンが踊りながら挨拶して舞台は始まる(何だかダンス漫才みたいだった)。その後、大音響とともにロボットの登場。セーラームーン風のキャラやサムライ風のキャラ、ヲタクなんて名前のキャラも出てきて、ICN(Infinite Channel Network)というメディア会社の陰謀と戦うというのがストーリーだと分かってくる。「動物化するポストモダン症候群」なんてのが出てきたり、鉄腕アトムからマジンガーゼット、ガンダム、エヴァンゲリオンへと続くアニメ史が織り交ぜられていたりして、イアンのアニメ研究が織り交ぜられている。

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途中休憩を挟んで45分。呆然としているうちに終わり、最後に出演者たちとの質疑応答。「モクバ工科大学のモクバって何なの?」って質問が出る。略称が「MIT」になるようにMで始まる言葉を選んだのだけど、ガンダムに出てくるホワイトベースが「モクバ」と呼ばれているところからとったという。そういえばそうだった。私はガンプラを一所懸命作った世代だけど、もう忘れたよ。そもそも何でロボットなのかというと、女の子にもてたくてロボットの着ぐるみを作ってしまった学生がいて、彼が授業やイベントにそれを着て現れたのがきっけかなのだそうだ(しかし、本当にもてるんだろうか)。

駅へ帰るためにまた飲み屋街を歩きながら内容を思い起こすと、確かにいろいろ織り交ぜてあって、案外よくできたストーリーだったと思う。たぶん、字幕を出すために台詞が固定されていて、アドリブが使えないのが窮屈そうだったけど、演劇を見るのは久しぶりで楽しめた。スタッフのTシャツには「ワールド・ツアー」って書いてあったが、フランスあたりでやると受けるのかもしれない。出演者には良い思い出になっただろうなあ。こんなの成功させてしまうなんてトムもイアンもえらいよ。