土屋大洋「非伝統的安全保障問題としての米国のサイバーセキュリティ政策」久保文明、高畑昭男、東京財団「現代アメリカ」プロジェクト編著『アジア回帰するアメリカ—外交安全保障政策の検証—』NTT出版、2013年、第8章。
帰宅したらこちらも届いていた。良かった、良かった。
土屋大洋のブログ
土屋大洋「非伝統的安全保障問題としての米国のサイバーセキュリティ政策」久保文明、高畑昭男、東京財団「現代アメリカ」プロジェクト編著『アジア回帰するアメリカ—外交安全保障政策の検証—』NTT出版、2013年、第8章。
帰宅したらこちらも届いていた。良かった、良かった。
サイバーセキュリティ関係のニュースが続き、対応に追われているが、それとはあまり関係ない成果が出た。
土屋大洋「海底ケーブルとデジタル・デバイド――パラオを事例に」菅谷実編著『太平洋島嶼地域における情報通信政策と国際協力』慶應義塾大学出版会、2013年、第9章。
数年続けてきた菅谷先生のプロジェクトの成果。このプロジェクトでパラオに行かせてもらったのは、良いきっかけだった。
土屋大洋「太平洋における海底ケーブルの発達―情報社会を支える大動脈―」慶應義塾大学JSPワーキングペーパー、第2号、2012年10月。
日本研究プラットフォームのワーキングペーパーがアップロードされた。これはアメリカ学会の学会誌『アメリカ研究』に書いたものをアップデートしたもの。特にハワイにおける海底ケーブル接続について加筆している。
これと少し似ているが、違うバージョンが、今年中に出版される本に収録されるはず。はず。はず。だが先行き不透明。その出版社の近刊案内はからっぽである! またすごーく時間のかかるプロジェクトなんだろうか。
と思ったら……、その本の初校ゲラを返していなかったことに気づいて呆然としている。他の著者がまだだからゆっくりで良いとは言われたものの、すっかり意識から遠ざかっていた。まずい。
ロンドンに行く前に中国の上海と杭州にも行ってきた。
今学期卒業する学生のひとりが、中国のアニメ(動漫)産業について卒論を書いてくれた。それによると、上海から新幹線で1時間のところにある杭州が一大拠点になっているとのこと。ちょうど上海に行かなくてはならない用事もあったので、同僚と院生と行ってきた。
杭州は毎年4月末から5月にアニメフェスティバルを開催しており、日本のコミケ並みの賑わいになるらしい。
今回の強力な助っ人は北京在住のAさん。この分野の専門家なので、Aさんが一時帰国されたときに手伝ってくださいよとお願いしたら、大変なことになった。杭州政府の担当者や地元企業の社長さん、若い幹部などがぞろぞろと出てきてくれた。
日本のマンガやアニメはよくサブカル(サブカルチャー)と呼ばれる。それは、ハイカルチャーに対抗するカウンターカルチャーでもない別の文化的様式だろう。しかし、中国政府の宣伝・プロパガンダのツールとしてもともと位置づけられてきた中国の映画や動漫は、日本の影響を強く受けつつも、どこか少し違う。社会的問題を背景としてメッセージ性の高い動漫はまだ作れず、そのため、大人向けの動漫もほとんどない。いわば、「従順な」という意味の「コンフォーマブル(conformable)」を付けた「コンカル」という感じだ。
議論をしながらもう一つ分かったのは、分業化がまだそれほど進んでいないので、利益を分け合う構造になっており、それなりにみんなが潤うようになっている。日本のマンガやアニメに携わる若者たちが貧窮しているのとは様相が違い、それなりに良い仕事として認知されていることだ。
これからどうなるのかはまだ私には分からないが、見ているとおもしろいテーマだろうと思う。
同僚とロンドンに行って来た。行くまで知らなかったのだけど、チャタム・ハウス・ルールで有名なチャタム・ハウスで、タリン・マニュアルの発表イベントに少しだけ参加できた。
http://www.chathamhouse.org/events/view/189465
タリン・マニュアルはエストニアのタリンにあるNATOのCCD COEが検討してきたサイバー戦についてのマニュアルで、長らく発表が待たれていた。
チャタム・ハウスに話を聞きに行ったら、「明日、タリン・マニュアルのローンチ・イベントがあるから来れば」と誘ってもらってびっくりした。そして、司会をするのが、2008年にトルコのアンカラとスイスのジュネーブのイベントで一緒だったパトリシア・ルイスだったのにも驚いた。彼女はめぐりめぐってチャタム・ハウスの安全保障研究のディレクターになっていたのだ。
当日、チャタム・ハウスに行くとイギリス政府のサイバーセキュリティ関係者や、マニュアル作りのプロジェクト・コーディネーターのエネケン・ティックも来ていた。エネケンには昨年7月にシンガポールで会っている。
タリン・マニュアルはケンブリッジ大学出版から本として発売される。会場でいち早く買うことができた。イベント自体は最初の30分しか出席できずに残念だったが、ちょっとうれしい。
マニュアルは95項目のルールとそれに対する論評で構成されている。第一ルールや第二ルールは日頃考えてきたことと重なるのでとても興味深い。読み込むのには時間がかかりそうだが、当面の最重要文献だ。
秋吉美都、土屋大洋、佐野貴子「日本におけるブロードバンド利用―知識と活用に関する格差の影響―」総務省情報通信政策研究所編『情報通信政策レビュー』第6号、2013年3月8日。
数年続けてきた共同研究の成果が出た。このペーパーは2011年のTPRCで発表したものを加筆・修正したバージョンでもある。このTPRCバージョンはもうすぐ英語の学術書にも収録される予定。この日本語論文は査読でそれなりに苦しんだけど、実り多い共同研究だった。
同じ『情報通信政策レビュー』第6号には、G-SECのグレゴリー・ディーエル君の「英国のサイバーセキュリティ戦略—脅威からリスクへの認識変化と組織的対応—」も収録された。めでたい。