複雑な世界、単純な法則

またまた創発関連本。

マーク・ブキャナン(阪本芳久訳)『複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線』(草思社、2005年)。

たくさんの他の本と一緒に注文したらちっとも届かない。同じ著者の下記の本のほうがおもしろいという声もある。どちらもまだ読んでない。

マーク・ブキャナン(水谷淳訳)『歴史の方程式—科学は大事件を予知できるか』(草思社、2003年)。

東京ユビキタス会議

こんなのもあるらしい。

世界情報社会サミット(WSIS)東京ユビキタス会議

http://www.wsis-japan.jp/index_j.html

ユビキタスネット社会の実現に向けた具体的方策や

想定される課題への取組みについての提言をまとめる。

開催日時:5月16日(月)、17日(火)

開催場所:東京(京王プラザホテル)

参加申し込み開始は3月上旬(予定)。詳細HP参照。

※WSIS本会合は11月16-18日チュニジアにて。

ブロードバンド・ゼロ地域脱出計画

使えそうなのでメモ。

全国均衡のあるブロードバンド基盤の整備に関する研究会

中間報告 「ブロードバンド・ゼロ地域脱出計画」の公表

http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/050201_1.html

ブロードバンドサービスが利用できる地域とできない地域の

間で生じている格差を是正することを目的。

国や地方公共団体との連携が重要と考え、

民間の活力を十分に発揮するための環境整備や支援措置

を挙げている。

特に以下の二つは興味深い。

参考2 市町村別ブロードバンドサービス普及状況

参考6 都道府県別ブロードバンドサービス普及状況

GOVCON05

3月にアメリカ出張に行かなくてはいけないようなので、ついでに行けるカンファレンスはないかと探していたら行き当たったGOVCON05。興味津々なのだが、何とアメリカ市民権がないと参加できない! やっぱりインテリジェンスは秘密主義なのだ。

たぶんオライリーのEmerging Technology Conferenceに行く気がする。レッシグ教授も出るし、W. Daniel HillisやCory Doctorow、Clay Shirkyも出る。参加費高いなあ……。

ひさしぶりに日吉に

ひさしぶりに日吉キャンパスに行った。以前は庭園になっていたところに巨大な研究棟が立っていてすこしさびしい。教員の研究室が入っているものの、あまり使われていなくてがらんとしているとか。

「第4校舎B棟」といわれても全く思い出せなかったが、校舎に入ってようやく思い出した。たぶん10年ぶりに校舎に入る。全体の雰囲気はあまり変わらずぼろいが、床が上がって電源やネットが配線されていたり、教壇にSFCチックな操作パネルが付いていたりする。よく出入りしていたクラブ棟のようなもの(名前を忘れた)は、とても、とても汚くなっていてがっかりした。

日吉とSFCはよく似ているが、SFCにないのは高い木々だ。日吉の背の高い並木はいいよなあ。三田にも古くて背の高い木々がある。SFCの木々の背が高くなって、夏に気持ちのいい木陰ができるとすばらしい。5年ぶりにSFCに戻ったとき、タロー・ツリーの並木が大きくなったなあと思ったけど、まだまだだ。

BBのコンテンツとテレビのスポンサー

ブロードバンド・コンテンツのためにテレビのスポンサーを動かせ」が日経ネット時評に掲載。

「またそんなこと言っちゃっていいの?」と言われましたが、やっぱり変かなあ。ライブドアの一件を見ていても、(この一件がいいかどうかは別として)テレビ局はあんまりネットのほうを見てないんだろうなあと思う。テレビは視聴者のものではないのですよ、たぶん。

スカイプとNTT

昨日、今日と、日経の世界情報通信サミットを見てきた。今回は周到にスケジューリングをしたので全部見ることができた。

いろいろおもしろかったけど、やはり一つの見せ場はスカイプとNTTの幹部がそろい踏みしたセッションだったのかなあ。スカイプの幹部は「スカイプはアプリケーション・ソフトの一つに過ぎない。インフラがなければ意味がない」と言っていて、NTTの幹部は「スカイプのようなP2Pは、光ファイバの有望な使い道です」と示し合わせたかのようなやりとりだった。電話の基本料金と通話料金は確かになくなるが、インフラの利用料が入ってくる限りNTTは生きていける。今までの巨大会社ではいられないかもしれないが、何とかなるのかもしれない。あるいは、NTT法の縛りが解ければ、同じパネルに出ていたFastWeb(イタリアでトリプル・プレーを展開中)のようにインフラ以外のところで稼げるようにもなるかもしれない。

國領先生のデジタルホーム、加藤幹之さんのセキュリティ、中村伊知哉さんのコンテンツのパネルもそれぞれ含蓄があった。

マハン海軍戦略

アルフレッド・T・マハン(戸高一成監訳、井伊順彦訳)『マハン海軍戦略』中央公論新社、2005年。

今頃なぜ新訳が出るのか不思議だが、買ってしまった。なぜか「です、ます」調で訳されている。課題書にするかもしれないよ、GSの皆さん。

9.11事件と情報機関の再編

春名幹男「9.11事件と情報機関の再編」日本国際問題研究所編『国際問題』第539号(2005年2月)44〜55頁。

共同通信の春名さんが9.11レポートと最近の報道に基づいて米国のインテリジェンス・コミュニティ改革論議をまとめている。

テレコム・メルトダウン

telecommeltdown2.jpg前にも書いたテレコム・メルトダウン』が完成。週明けに開かれる日本経済新聞社の世界情報通信サミットでも即売される予定。著者の一人のエリ・ノーム教授(コロンビア大学)が基調講演をする。

ついでにレッシグ教授つながりで、来月には、クリエイティブ・コモンズ・ジャパン編『クリエイティブ・コモンズ』も出る予定。レッシグ教授の講演録を収録。

採点

大学人として生きていく上で一番嫌な仕事は採点だ。数百本の授業レポートの採点を土曜の朝4時半までやり、土曜日から研究会(ゼミ)の合宿に入った。残りは今日(月曜)午前の発表3本だけになった。睡眠不足からもようやく解放される。

採点が嫌なのは、第一に、履修者の格付けをしなくてはいけないからだ。もちろん、その人の人格を格付けするわけではないにしろ、出てきたものだけで、良い、悪いを判断しなくてはならない。特に、名前と顔の一致する学生だとつらいことが多い。いいレポートや答案ならうれしいが、そうでないときはつらい。

第二に、不正なレポートや答案がそれなりにあるからだ。授業は出席をとっていないから、レポートだけ出して単位をもらおうとする輩も少なからずいる。今回もまったく同じ内容が書かれているレポートがあった。ウェブなどから明らかにコピーしてきただけのものもあった。今回の「最高傑作」は、私の本の序文を全部コピーしてきたレポートである(SFCの学生のものではない)。私の文章があまりに稚拙なために採点せよというメッセージなのだろうか。理解に苦しむ。いずれにせよ、不正なレポートを目にすると機嫌が悪くなる。

第三に、そうした不正なレポートも全部含めて、自分の授業の内容がそこに反映されているからだ。なんで分かってないのかなあと思いつつ、その内容を十分に伝えられなかった自分の未熟さを呪わなくてはならない。授業に出てこないのも、出てきて眠っているのも、授業がおもしろくないせいだろう。授業を娯楽にする気はさらさらないが、少なくともやる気を持っている学生のやる気を増幅させるぐらいのことをしなくてはならない。

あと30年もして定年になるころにはこんなことに悩まなくなっているのだろうか。先日、ある先生と話したとき、「ドライにやりなさい」というのがアドバイスだった。

今朝も曇りで富士山が見えないのが残念だが、ばっと開けた三浦半島西岸の景色はなかなかだ。しかし、デジカメを忘れた。