日加平和安保協力シンポジウム

 カナダの首都オタワで日加平和安保協力シンポジウムに参加。寒いのは覚悟していたが、到着日の翌朝、カーテンを開けたら雪景色なのはびっくりした。前日は何も降っていなかったのに。

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 カナダでは英仏併記なので、フランス語のプログラムもちゃんとある。”Japan’s Response to Cyber Threats”と書いてあるはず。

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 司会はUBCのPaul Evans教授、カナダ側の報告者はトロント大学Citizin LabのIrene Poetranto。シチズン・ラボはダライ・ラマに絡む「ゴーストネット」を見つけたところである。

 昨年の3月(?)、シチズン・ラボ主催の会議に招いてもらったのだが行けなかった。今年はどうなったのかと聞いてみたら、サイバーセキュリティ関連の会議がたくさん出てきたからもうやめたのだそうだ。残念。

 初日の会議の後は、日本大使公邸で大使主催のレセプション。「酒サムライ」の称号を持つ門司大使の貴重な日本酒が振る舞われた。二日目の会議の後は、ベトナム料理屋で宴会。ベトナム戦争時の移民がたくさんいるそうだ。なぜか私は青島ビール。時差ぼけと疲れで食事中に居眠り状態。こんなのは久しぶりだ。

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 3泊したが、予定がいっぱいで、行きたかった本屋にも行けず、何も観光できないまま帰国便に。夕方、羽田空港に近づくと、富士山の形がきれいに見えた。

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 カナダでの議論は、Newsweekの連載に書くつもり。

政府機関はテロリストの通信をどこまで傍受していたのか

土屋大洋「政府機関はテロリストの通信をどこまで傍受していたのか」『Newsweek日本版』2015年11月19日。

 連載の第7回。急遽、内容を変更して掲載してもらいました。

 テロが起きたとき、私はロンドンから東京に戻る機内の中でした。飛行機に乗る前のヒースロー空港で見たテレビではたいしたニュースをやっていなかったのに、帰国したら世界が変わっていたという感じです。

 イギリスのオズボーン財務大臣が政府通信本部(GCHQ)を訪問しているときの写真がリンク先にあります。こんな感じなんですね。テロの後にオズボーン財務大臣がGCHQを訪問してハッパをかけたときの写真でしょう。

 オズボーン財務大臣は先の英中首脳会談に際して親中派と日本のメディアでは報じられましたが、将来の首相候補でもあり、注目の人とロンドンで教えてもらいました。

 最初、チャンセラーと何度もイギリス人が言うので分からなかったのですが、イギリスの財務大臣はチャンセラー(chancellor)というのだそうです。チャンセラーはドイツでは首相なので混乱します。大学では総長の意味で使うこともあります。

書評:ローラ・デナルディス『インターネットガバナンス』

土屋大洋「この一冊 インターネットガバナンス ローラ・デナルディス著 管理の課題、多様な視点から解説」『日本経済新聞』2015年11月15日。

日曜日の日経書評欄に『インターネットガバナンス』の書評を載せてもらう。原稿はロンドンに行く前に書き、ロンドン滞在中に最終のゲラ確認を行った。

最初は気づいていなかったが、後で著者のローラ・デナルディスには会ったことがあることを思い出した。2009年2月、ボストン滞在中にイェールでのセミナー発表に呼んでくれたのだ。雪嵐が来ていて、イェール滞在はゆっくりできず、デナルディスとも挨拶程度で終わってしまったので、彼女は私のことは覚えていないだろう。今は同プロジェクトのAffiliated Fellowになっているようだ。

書評そのものには十分に書き切れなかったが、第9章の「インターネットガバナンスの暗黒技法」は今の私の関心からしてかなりおもしろい。政治に翻弄されるインターネットの自由を垣間見ることができる。

ロンドンからの帰国便ではおもしろい映画がなかったので、ベン・マッキンタイアー(小林朋則訳)『キム・フィルビー』(中央公論新社、2015年)を読み始めた。眠ってしまったのでまだ半分しか読めていないが、おもしろい。なぜ彼が「キム」と呼ばれるのか理解できないでいたが、父親が付けたニックネームのようだ。

イギリス社会は魅力的だが、当時の社会的風潮と教育システムが、フィルビーのような複雑な人格を作り出してしまったかと思うと考えさせられるものがある。たくさんのイギリス人と話してきた後でこの本を読むと味わい深い。

そうそう、ロンドンでは『SPECTRE』が公開されていたが、観る時間がなかった。イギリスでこそ観たかった。残念だ。

ロンドン

 1年2か月ぶりにロンドンへ。それほど寒くなかった。

 旧知の大学研究者たちや、新しく知り合ったシンクタンク研究者たちなどと議論できて得るところが大きかった。我が研究室のK君も頑張っていた。ジャーナリストのKさんご夫妻とのギリシャ料理もおいしく、楽しかった。ごちそうさまでした。

 道路を歩いていて、ふと気がつくと足下にマーキュリー社のマンホールが! 1982年に独占通信会社だったブリティッシュ・テレコムに挑戦した会社だが、1997年にケーブル・アンド・ワイアレスの一部になっている。通信自由化を勉強すると必ず習う名前だったが、今では忘れられている。

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 ふと空いた時間にピカデリーの大型書店Waterstonesへ。ここはいつ来ても楽しい。出張で本を買って帰るのはやめにしたいのだが、結局、ハードカバーを1冊買ってしまう。重い。

 2階のカフェで紅茶とレモン・タルトをいただく。至福の時である。

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 このロンドン出張のため、沖縄でのサイバー会議には参加できなかったのが残念だった。