日中紛争の主戦場はサイバー空間

土屋大洋「日中紛争の主戦場はサイバー空間——新しい国防組織の拡充は焦眉の急」『撃論』第8号、2012年12月、136〜143ページ。

 求めに応じて書かせていただいたけど、相変わらず過激な見出しが躍っている『撃論』。

土屋大洋「インターネット その破壊力がもたらすもの」

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土屋大洋「インターネット その破壊力がもたらすもの」『週刊エコノミスト』臨時増刊2012年10月8日号、118〜121ページ。

 こういうところにインターネットも取り上げてもらえるようになったんだなあ。担当の編集者さんからは12年ぶりにご連絡をいただき、書かせていただいた。覚えていてくださるのはありがたいことだ。

 ちなみに12年前の原稿はこれ。書いたのは覚えているけど、内容は忘れてしまった。ちゃんとスキャンしてとっておかないといけない。

土屋大洋「eデモクラシー インターネットは両刃の剣」『週刊エコノミスト』(2000年12月26日号)。

土屋大洋『サイバー・テロ 日米vs.中国』

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土屋大洋『サイバー・テロ 日米vs.中国』文春新書、2012年。

 ヴィントン・サーフへの名誉博士号授与式と記念講演から帰ってきたら、見本が届いていた。

 すごい帯が付いていた。一応言い訳しておくと、タイトルも私が付けたわけではない(私はもっと保守的なタイトルを提案していたんだけど、全てボツ)。

 ともあれ、形になったのはまちがいなく良いこと。ありがたい話だ。国内外のいろいろなところに行って、調査・研究して、原稿を書いて、本にまとめるのは、ひとりではできない。特に、原稿を渡してから本になるまでの間、会ったこともないたくさんの人たちが手伝ってくれている。感謝。

 しかし、新書っていうのは決まると早い。とにかくびっくりしっぱなしだった。

Motohiro Tsuchiya, ”Digital Divides in Pacific Island Countries: Possibility of Submarine Cable Installation for Palau”

Motohiro Tsuchiya, “Digital Divides in Pacific Island Countries: Possibility of Submarine Cable Installation for Palau,” G-SEC Working Paper, no. 32, September 5, 2012 <http://www1.gsec.keio.ac.jp/text/working_detail.php?n=34>.

太平洋島嶼国におけるデジタル・デバイド」という論文を英語にしたものをグローバル・セキュリティ研究所(G-SEC)のワーキングペーパーとして載せた。

海底ケーブルの話は調べるほどおもしろい。

今は100年前の太平洋ケーブル、特にハワイをめぐる争いについて調べている。イギリスがハワイ王国につながせてくれと頼むと、互恵条約を根拠にアメリカが拒否、アメリカは補助金を使ってアメリカの海底ケーブルを引こうとするが、議会を巻き込んでの大論争。そこに無料で引いてやると現れた実業家。米西戦争のあおりでハワイも併合……といった感じでドラマが続く。

これは是非とも次の本としてまとめたい。もうすぐ出る『サイバー・テロ 日米vs.中国』で本を書くのは終わりにしようと思っていたんだけど、また書きたくなってきた。インターネットの研究をしている私が100年前の文献を読むなんて考えにくかったのだが、とてもおもしろい。

今日は『明治天皇紀』や『日本外交文書』でハワイのカラカウア王が来日した時の記述を読んだ。「国王」ではなく「皇帝」として書いてあるのもおもしろい。カラカウア王は明治の日本が初めて迎えた外国の皇帝だから礼を尽くせと明治天皇が指示し、「微服間行」で「アリー・カルカウア」という偽名でやってきたカラカウア王は、あまりの歓迎ぶりにびっくりして滞在を延長することになる。

そして、カラカウア王は、(1)アジアの諸国が欧米に対抗するために連合し、その盟主に明治天皇がなるべきだ、(2)海底ケーブルをハワイとの間に引こう、(3)カラカウア王の姪を日本の皇室に嫁がせたい、という三つの驚くべき提案をする。どれも実現しないのだが、(1)なんかは明治天皇の国際情勢認識に影響を与えたんじゃないかと思う。想像が膨らんでおもしろい限りだ。

授業が始まるまでにある程度読み込んでおきたい。

Motohiro Tsuchiya, ”Systematic Government Access to Private-Sector Data in Japan”

Motohiro Tsuchiya, “Systematic Government Access to Private-Sector Data in Japan,” International Data Privacy Law (2012) doi: 10.1093/idpl/ips019, first published online: August 21, 2012.

 各国の政府が民間のデータにどうアクセスしているかについて比較研究する国際プロジェクトに参加し、レポートを送ったら、それぞれのレポートを雑誌に掲載しようということになった。紙版の前にオンライン版が出た。

 プロジェクトのリーダーのアメリカの研究者たちは、アメリカ政府がパトリオット法などで民間のデータにアクセスしていることを問題にしているが、日本だとあまりそういう事例はない。私の日本版だけ読むと日本の読者にはおもしろくないと思うが、各国のレポートがこれから出て来るので、並べて読むとおもしろくなると思う。

来月新著

 来月、新著が出る見込み。

 テーマはサイバーセキュリティで、初めての新書。タイトル付けは苦手なので出版社にお任せしたところ、私としては気恥ずかしいものになった。それで多くの人が手に取ってくれるなら良いかもしれないと思い直している。

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refBook=978-4-16-660878-2&Sza_id=MM

 手元の記録によると、書き始めたのは昨年の12月26日、第一稿を編集者に送ったのがゴールデンウィークの終わりの5月6日、書き直しの第二稿を送ったのが7月10日。発売予定が9月20日。ずいぶん速いなあという感じ。

海底ケーブルの地政学的考察

土屋大洋「海底ケーブルの地政学的考察—電信の大英帝国からインターネットの米国へ—」『アメリカ研究』第46号、2012年3月、51〜68ページ。

アメリカ学会の学会誌で「海と国家」という特集を組むということで、これは書かねばなるまいと投稿した。特集論文は4本しかなく、普通の研究論文が6本収録されている。

「地政学的考察」というのは今となっては大げさで、気恥ずかしい。私としてはパラオの海底ケーブルの論文とセットで書いたつもりだ。

太平洋島嶼国におけるデジタル・デバイド

土屋大洋「太平洋島嶼国におけるデジタル・デバイド―パラオにおける海底ケーブル敷説の可能性―」慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所編『メディア・コミュニケーション』第62号、2012年3月、161〜171ページ。

 慶應のメディア・コミュニケーション研究所の菅谷先生のプロジェクトの成果(正確には慶應の東アジア研究所が支出しているプロジェクト)。

 一時期、やたらと太平洋島嶼国に関する論文を読んでいたのは、これを書くため。なかなか海底ケーブル関連の話はなかったが、それでもこの論文を書くのは楽しかった。

Cybersecurity

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Motohiro Tsuchiya, “Cybersecurity in East Asia: Japan and the 2009 Attacks on South Korea and the United States,” Kim Andreasson, ed., Cybersecurity: Public Sector Threats and Responses, Boca Raton, FL: CRC Press, 2012, pp. 55-76.

 ずいぶん久しぶりに英語の本が出た。もっと英語で書かないとね。しかし、英語での出版というのはやたらと時間がかかる。これに声がかかったのは2010年9月初旬。書いている内容は2009年の話。時間を超えても残る内容を書かないといけない。「緊急出版!」みたいな本の出し方はあまりないのかもしれない。

党国体制の現在

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土屋大洋「党国体制と情報社会——インターネット規制を事例に」加茂具樹、小嶋華津子、星野昌裕、武内宏樹編著『党国体制の現在——変容する社会と中国共産党の適応』慶應義塾大学出版会、2012年、235〜261ページ。

 同僚の加茂さんたちと行ってきた共同研究の成果が出版された。「党国体制」をキーワードに現代の中国を考える本。

現代の戦争とサイバースペース:攻撃優位の現実と防衛の諸課題

土屋大洋「現代の戦争とサイバースペース:攻撃優位の現実と防衛の諸課題」時事通信社Janet週刊e-World、2月8日号。

 残念ながら、会員制有料サイトらしく、どうやったらアクセスできるのか分かりません……。ごめんなさい。

【追記】こちらで読めるようになったそうです。でも有料です。

http://astand.asahi.com/webshinsho/jiji/eworld/product/2012020900010.html

これからたぶん出る成果

 今日も大して仕事が進まない。修士論文のドラフトを1本読み、コメントを返す。内容はおもしろいのだが、これがけっこう大変。

 他に、急ぎの自分の論文の初校ゲラを戻す。

 ついでに、これからたぶん出る成果を紹介(若干、現実逃避的)。

  • Kim Andreasson, ed., Cybersecurity: Public Sector Threats and Responses, CRC Press, 2011.

http://www.prlog.org/11742755-cybersecurity-public-sector-threats-and-responses.html

(日本のサイバーセキュリティ対応について一章書いた。)

  • 加茂具樹、小嶋華津子、星野昌裕、武内宏樹編著『党国体制の現在——変容する社会と中国共産党の適応』慶應義塾大学出版会、2012年。

http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766419108/

(中国のインターネット規制について一章書いた。)

  • 某学会学会誌に海底ケーブルについての論文(印刷中)
  • 某紀要に海底ケーブルについての論文(印刷中)

パワー行使の領域の拡大について—サイバースペースとアウタースペース(宇宙)への注目—

土屋大洋「パワー行使の領域の拡大について—サイバースペースとアウタースペース(宇宙)への注目—」国際安全保障学会、拓殖大学、2011年12月11日。

 1週間前、拓殖大学で開かれた国際安全保障学会で報告。会員ではないのでかなり不安な気持ちで参加した。自衛隊や防衛省などの実務家が多くて、かなり厳しい批判が来ると聞いていたからだ。幸い、それほどお叱りは受けなかったが、あまりおもしろくもなかったのかもしれない。

 3人の報告者のうち、最初だったので、自分の報告が終わってからツイッターをのぞいてみたけれど、誰も関連したツイートをしていなかった。やはりちょっと堅めの学会なのか。

 他の2人の報告者のうち1人は何度かお目にかかっているし、もう1人はさらに1週間前の結婚式で隣同士だったので、壇上では和やかな雰囲気だった。

 セッション終了後、いろいろ声をかけてくださる方がおり、原稿依頼も一ついただいた。大学院生2人とランチを食べて、次の仕事へ。午後の報告が聞けなかったのが残念。

Transformacje

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Motohiro Tsuchiya, “Defense against Cyber Terrorism: Head War and Body War,” Transformacje, Special Issue 2010, pp. 259-267.

2009年2月にニューヨークのISAで発表した際、ポーランドの先生に原稿をくれと言われ、発表原稿をそのまま送ったところ、校正も何も無く、忘れた頃に送られてきた。先生が各所から集めたと思われる多様な論文が収録されていて、けっこう分厚い。

ゼロ年代 日本の重大論点

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土屋大洋「第10章 日本とサイバー安全保障」簑原俊洋編『ゼロ年代 日本の重大論点—外交・安全保障で読み解く—』柏書房、2011年、214〜230ページ。

 こちらも出ました。こちらは夏に原稿締切だったので、比較的早かったですね。

比較ガバナンス

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土屋大洋「グローバル・ガバナンスとインターネット・ガバナンス—プラットフォーム化する国家—」大山耕輔編『比較ガバナンス』おうふう、2011年、121〜140ページ。

 ようやく出ました。

Missing In the Midst of Abundance

Mito Akiyoshi, Motohiro Tsuchiya, Takako Sano, “Missing In the Midst of Abundance: The Case of Broadband Adoption in Japan,” The 39th Research Conference on Communication, Information and Internet Policy, Arlington VA, United States, September 24, 2011.

 TPRCで発表。TPRCはもともとは、Telecommunications Policy Research Conferenceの略だったのだけど、最近はResearch Conference on Communication, Information and Internet Policyになった。しかし、通称はいまだにTPRCのまま。

 総務省情報通信政策研究所から支援を受けた行った共同研究の成果発表。なぜ安いブロードバンドが使えるようになっているのに、日本のブロードバンド利用率はそれほど高くないのか(OECDで16番目)について分析。