Motohiro Tsuchiya, ”Digital Divides in Pacific Island Countries: Possibility of Submarine Cable Installation for Palau”

Motohiro Tsuchiya, “Digital Divides in Pacific Island Countries: Possibility of Submarine Cable Installation for Palau,” G-SEC Working Paper, no. 32, September 5, 2012 <http://www1.gsec.keio.ac.jp/text/working_detail.php?n=34>.

太平洋島嶼国におけるデジタル・デバイド」という論文を英語にしたものをグローバル・セキュリティ研究所(G-SEC)のワーキングペーパーとして載せた。

海底ケーブルの話は調べるほどおもしろい。

今は100年前の太平洋ケーブル、特にハワイをめぐる争いについて調べている。イギリスがハワイ王国につながせてくれと頼むと、互恵条約を根拠にアメリカが拒否、アメリカは補助金を使ってアメリカの海底ケーブルを引こうとするが、議会を巻き込んでの大論争。そこに無料で引いてやると現れた実業家。米西戦争のあおりでハワイも併合……といった感じでドラマが続く。

これは是非とも次の本としてまとめたい。もうすぐ出る『サイバー・テロ 日米vs.中国』で本を書くのは終わりにしようと思っていたんだけど、また書きたくなってきた。インターネットの研究をしている私が100年前の文献を読むなんて考えにくかったのだが、とてもおもしろい。

今日は『明治天皇紀』や『日本外交文書』でハワイのカラカウア王が来日した時の記述を読んだ。「国王」ではなく「皇帝」として書いてあるのもおもしろい。カラカウア王は明治の日本が初めて迎えた外国の皇帝だから礼を尽くせと明治天皇が指示し、「微服間行」で「アリー・カルカウア」という偽名でやってきたカラカウア王は、あまりの歓迎ぶりにびっくりして滞在を延長することになる。

そして、カラカウア王は、(1)アジアの諸国が欧米に対抗するために連合し、その盟主に明治天皇がなるべきだ、(2)海底ケーブルをハワイとの間に引こう、(3)カラカウア王の姪を日本の皇室に嫁がせたい、という三つの驚くべき提案をする。どれも実現しないのだが、(1)なんかは明治天皇の国際情勢認識に影響を与えたんじゃないかと思う。想像が膨らんでおもしろい限りだ。

授業が始まるまでにある程度読み込んでおきたい。

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