Soft Power: The Means to Success in World Politics (Amazon.com)
ジョセフ・ナイの新著がいつの間にか出ていた。ソフトパワー論の総決算というところか。
序文にも書いてあるけど、ソフトパワーはどうも誤解されている気がする。本当は安全保障を論じるための概念で、コンテンツ産業育成のための議論ではない。
Soft Power: The Means to Success in World Politics (Amazon.com)
ジョセフ・ナイの新著がいつの間にか出ていた。ソフトパワー論の総決算というところか。
序文にも書いてあるけど、ソフトパワーはどうも誤解されている気がする。本当は安全保障を論じるための概念で、コンテンツ産業育成のための議論ではない。
Bush touts broadband, high-tech jobs
ブッシュはブロードバンドへの課税禁止を打ち出した。う〜ん。
Clinton’s ‘My Life’ hits stores in June
クリントン前大統領の回想録が6月末に出るそうだ。なんと初版150万部。ヒラリーが100万部だったから50万部多い。ヒラリーの回想録は総計200万部売れている。クリントンはこの本で1200万ドル(12億円以上)もかせぐ。もう借金は返し終わっているのだろうか。
問題はクリントンが本の宣伝ツアーを7月以降に行うことでケリーの選挙戦がかき乱されるのではないかということ。
米国のホームレス管理データベース計画、懸念されるプライバシー
CFPのセッションの一つが記事になっている。
Kerry’s broadband policy plans emerging (news.com)
ブッシュ大統領に続いてケリー候補もブロードバンド政策を発表する予定のようだ。両者とも「universal broadband」を目指すらしいがうまくいくのか。民主党は電波の開放も視野にやっているという。
「IT産業が米大統領選を左右する?――支持するのはブッシュかケリーか」でも書いたが、パパ・ブッシュ再選のための選挙(1992年)ではインターネット政策が大きな鍵になった。今回は安全保障・治安維持政策に隠れているが、どうなるか。
Teens Ring Up Market Share: Extras Help Cell Phone Firms Woo Youths (Washington Post)
アメリカの携帯電話会社は、若者が収益源になるということにようやく気づいたらしい。写真のやりとりやリングトーン(着メロ)のダウンロードで月75ドル使っている子供が出てきたことに驚いている。これまでアメリカの携帯電話がお金を持っているビジネス・ユーザーに焦点を当ててきた。それが失敗の原因だったのだ。
ワシントンDCのホテルの予約がなかなかとれなかったので、おかしいなあと思っていたら、大規模なデモとぶつかっていた。昨日(24日)は世界銀行とIMFに反対するデモ隊が市内に繰り出して、警官隊と衝突していたらしい。
今日(25日)は「プロ・チョイス」の人たちが全米から集まっている。朝からニュース各局は中継をしている。プロ・チョイスの人たちは民主党支持層と重なるから、反ブッシュの色合いも強い。
今日の午前中は予定がないから、メトロ(地下鉄)に乗って、モール(ワシントンDC市内を横断する公園)に行ってみた。日曜日の朝のメトロはたいていがらがらなのに、今日は上りが満員。バッジやプラカードをつけた人が乗り込んでいる。スミソニアン駅を降りるとモールまで長い人の列ができている。
モールにはうじゃうじゃ人がつめかけている。日本なら黒山の人だかりというのだろうけど、髪の毛が黒くないし、みんな色鮮やかなTシャツやプラカードをつけているから華やかだ。
(この写真は合成写真みたいに見えるけど本物です。)
プロ・チョイスは女性の権利と自由のための運動だけど、それを支持する男性もそれなりに来ている。ただ、どうもヨーロッパ系の人が多くて、アジア系やアフリカ系の人は少ないように見える。年齢は子供から年配までさまざま。掛け声もいさましい。ある種、お祭りのようでもある。
しかし、プロ・チョイス対プロ・ライフの対立は、アメリカ政治の大きな軸の一つだ。これだけ深刻な問題を回避せずに、自分の意見をこうやって大声で叫ぶ政治文化は、日本と違うなと思ってしまう。少なくともこの問題に対して、これだけの人間が日本で一同に会することはないだろう。演説台があり、あちこちに巨大モニターとスピーカーが設置されていることから見ても、かなり組織化された運動ではあるが、実際にこれだけの人が動員されているのを目の当たりにすると、政治的なパワーを感じてしまう。
帰りの電車の中で「賢力と愚力」という言葉が思い浮かんだ。こうした大衆が動かす政治を政治家たちは衆愚政治と呼んで蔑んできた。しかし、賢い人たちがやっている賢力政治は権力政治とほぼ等しいと受け止められている。賢力と愚力の間にはそれほど開きがないのかもしれない。もし、大衆が情報技術を使って賢力を持つようになったら、政治は大きく変わるのだろうか。
バークレーに初めて来た。しかし、CFPの会場になっているホテルが大学から遠くて、一度しかいけなかったのが残念。しかし、なんだか小汚いというのが感想。
ホテルそのものは良かった。部屋の中では有線のブロードバンド(といっても128Kbps)、会議場やロビーでは無線の11bが使えた。
部屋からははるか遠くにサンフランシスコ湾をはさんでサンフランシスコが見える。夜になると欠けた月が見えてきれいだった。
Internet Archive、こいつはすごいプロジェクトだ。人類のすべての知識にユニバーサルにアクセスできるようにするという。(今のところアメリカ中心だけど)全世界の出版・公表された本、音楽、映像、ソフトウェア、ウェブページを収集して公開している。
クリエイティブ・コモンズのライセンスは使ってないけど、思想は知っているらしい。CFPのとりで講演したBrewster Kahle氏は、レッシグ教授に言及していた。
米国では電子投票の問題は予想以上に深刻なようだ。
2004年4月23日付けの『San Francisco Chronicle』紙のA1面で「Electronic voting machines dealt blow: Panel wants to pull plug in 4 counties」と題する記事が掲載され、カリフォルニア州の4つの郡で電子投票機の使用禁止が決まったとある。
CFPで配布されたverfiedvoting.orgの資料によると、過去2年間、全米各地の少なくとも15回の選挙で問題が起きている。
CFP最終日には電子投票による模擬選挙も行われた。
あらかじめ主催者側がソフトウェアを操作しておいたので、電子投票の結果とバックアップでとっておいた投票用紙の結果が異なることになった。ソフトウェアを操作した犯人はその理由を「チョコレートが欲しかったから」と述べた。そう、プログラミングができる人がいて、ソースコードにアクセスできれば、電子投票の結果を変えてしまうことなど簡単なのだ。
無論、紙で投票してもさまざまな問題は起こる。検証できる=紙の投票ではない。しかし、集計の迅速さと正確さをはかりにかけたら、正確さが当然優先されるべきだろう。今のところどちらが正確な投票結果を残せるかというと紙ではないか、というのがパネルの結論。
米中が貿易摩擦解決に向けて合意(CNET)
WAPIの仕様は、中国政府がワイヤレスネットワーク経由でやりとりされる国民のあらゆる通信を解読できるようにつくられている。
勘弁してよ。なるほど中国からCFPに参加者がいないわけだ。日本からは今年は5人かな。うち2人はカリフォルニア在住。
日経デジタルコアのネット時評に「電子投票の裏側」が掲載された。
元ネタになったルービンたちが、ちょうどEFFのパイオニア賞を受賞した。
CFPのキーノートも電子投票がテーマだった。このディル教授も電子投票に疑問を呈している。監査(audit)ができない投票はダメで、今のところは紙が唯一のソリューションだといっていた。
一方で、インドでは大々的に導入したらしい。
http://japanese.meetup.com/members/?fulltop=1&localeId=406
びっくりだなあ。毎月第二火曜日は世界中で日本語の練習をしているそうだ。
Moveon.orgと並んでMeetup.comは注目だ。
ワークショップに出たら、やはりこのタクシーの問題が気になった人がいたようだ。彼によると、写真を撮っただけではその人が誰なのかはわからないけれども、タクシーの中にRFIDのリーダーをつけておいて、その人が持っているタグの記録をできる限り読んでしまえば、どこかのデータベースで引っかかるようになるだろうという。犯罪者は裸でないとダメだね。
機内で見た映画は『Runaway Jury』。テレビドラマ『プラクティス』の主役の俳優(名前知りません)が出てきたので、彼が主役かと思ったらいきなり殺されてしまった。
法廷ものだけど飽きさせない。原作はやっぱりジョン・グリシャム。しかし、今回はあまり法律のテクニカルなところは問題にならない。むしろ、法廷の周りで陪審員コンサルタントが何をしているかが見どころ。
ジーン・ハックマンとダスティン・ホフマンの曲者ぶりがおもしろい。でもジーン・ハックマンの勝ちかな。ヒロインは『ハムナプトラ』のヒロインだった人(この人も名前知りません)。
日本で大ヒットすることはないんじゃないかと思うけど、私の好みではある。
1時間遅れでサンフランシスコに到着。入国のセキュリティが厳しくなったというが、何の問題もなく通過。「ビジネスって何?」「会議出席です」「何の会議?」「コンピュータ関連の会議です」「どこで?」「サンフランシスコとワシントンDCとボストンです」で終わり。
前の人はビザを持っていたみたいで、指紋をとられていた。入国審査官の前に、小さな電子式指紋読み取り装置が据え付けてあって、左手の人差し指、右手の人差し指を順番に乗せるだけでいいらしい。
サンフランシスコ空港からバークレーまでタクシーに乗る。ぼおっと窓の外を見ていると、窓に「YOU ARE ON CAMERA(カメラに撮られてますよ)」と書いてある。「何?」と思って反対側を見ると同じステッカーが貼ってある。
カメラはどこだと探すと、バックミラーのところに確かについている。
「Fare View in Operation」とも書いてあるから、料金トラブル防止のためらしい。しかし、それだけじゃないだろう!? いやはやアメリカもすごいことになってきている。こんなのありか?
#TKさんに写真を明るくしてもらったので差し替えました。ありがとう。
ついでに長らく気付かなかった言葉。スパムの発信名としてよく付いてくる「Some Bozo」というのは南米かどこかでよくある名前かと思いこんでいた。「ソメ・ボゾ」と読むのかと。
しかし、『スマートモブズ』を訳していたときに「bozo filter」というのが出てきて、ああそうかと気が付いた。「ある愚か者」という意味だった。
■bozo {名-1} : (血の巡りの悪い)男、やつ / 【用例・名-1】 Who’s this bozo? : こいつは誰だ?
■bozo {名-2} : ばか者、愚か者、あほ、間抜け、能なし、脳たりん
■bozo button : 《コ》ボーゾーボタン、不要メール削除プログラム
■bozo filter : 《コ》迷惑文除去ソフト、不要メール・不要メッセージ削除プログラム
(英辞郎より)
「ある愚か者」と名乗ってスパムを送ってくるのは一種のユーモアのつもりなのだろうか。顔が見てみたい。
今日からアメリカ出張。バークレーでCFP2004に出た後、ワシントンDCとボストンを回る。
CFPは、ネット・プライバシー関連では有名な会議。毎年西海岸と東海岸を往復している。前回2002年に出たときはPGPのフィル・ジマーマンにインタビューできた。「Computers, Freedom and Privacy Conference」という名前はアメリカ人にもインパクトがあるようで、「何だそれ?!」といわれることが多い。
今年はRFIDとポスト9.11関連の話題が多そうだ。クリエイティブ・コモンズのBOFもある。ちなみに、BOFとは、
■birds of a feather {1} : 同じ羽毛の鳥、似たような連中{れんちゅう}、同じ穴のムジナ、同類{どうるい}(の徒)
■birds of a feather {2} : 同じ興味を持つ人たちの集まり◆【同】Special Interest Group
のこと(英辞郎より)。こういう業界用語は最初に聞くと訳が分からない。
SYさんが教えてくれた。
もともとコラボレーションしていた二人だけど、レッシグ教授の新著『Free Culture』の前書きではFSFのストールマンのことをたくさん書いている。より関係が密接になったということかな。