「コンカル」としての中国的動漫

 ロンドンに行く前に中国の上海と杭州にも行ってきた。

 今学期卒業する学生のひとりが、中国のアニメ(動漫)産業について卒論を書いてくれた。それによると、上海から新幹線で1時間のところにある杭州が一大拠点になっているとのこと。ちょうど上海に行かなくてはならない用事もあったので、同僚と院生と行ってきた。

 杭州は毎年4月末から5月にアニメフェスティバルを開催しており、日本のコミケ並みの賑わいになるらしい。

 今回の強力な助っ人は北京在住のAさん。この分野の専門家なので、Aさんが一時帰国されたときに手伝ってくださいよとお願いしたら、大変なことになった。杭州政府の担当者や地元企業の社長さん、若い幹部などがぞろぞろと出てきてくれた。

 日本のマンガやアニメはよくサブカル(サブカルチャー)と呼ばれる。それは、ハイカルチャーに対抗するカウンターカルチャーでもない別の文化的様式だろう。しかし、中国政府の宣伝・プロパガンダのツールとしてもともと位置づけられてきた中国の映画や動漫は、日本の影響を強く受けつつも、どこか少し違う。社会的問題を背景としてメッセージ性の高い動漫はまだ作れず、そのため、大人向けの動漫もほとんどない。いわば、「従順な」という意味の「コンフォーマブル(conformable)」を付けた「コンカル」という感じだ。

 議論をしながらもう一つ分かったのは、分業化がまだそれほど進んでいないので、利益を分け合う構造になっており、それなりにみんなが潤うようになっている。日本のマンガやアニメに携わる若者たちが貧窮しているのとは様相が違い、それなりに良い仕事として認知されていることだ。

 これからどうなるのかはまだ私には分からないが、見ているとおもしろいテーマだろうと思う。

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