京都でうどんすき

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また京都に行ってきた。今回は日帰り。天気予報では午後から雪になるという話だったので、東京に戻れなくなるのではないかと思っていたけど、無事に帰ってきた。行きの新幹線で見た富士山に雪がかぶっている。今年は富士山の雪が少ないと新聞で読んだが、少ないのだろうか。

東山のほうにあるスタンフォード日本センターで夕方まで研究会。主査の林敏彦先生は、東京で開かれた話題の竹中総務相の懇談会に出席してから駆けつける。

研究会終了後、近くの権太呂で懇親会。

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名物のうどんすきをいただく。

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竹中懇談会やIP懇談会の裏話もうかがっておもしろかった。

ネットワークの中立性

昨日の昼と夜とそれぞれ別の研究会でネットワークの中立性のことが話題になった。「インターネットはベスト・エフォートでバケツ・リレーしています」というのがこれまでインターネットの美しい説明だった。しかし、バケツ・リレーしている人が意地悪で、バケツの中身を見ながら差別し始めたらどうなるのだろう。「おまえが汲んできた水は気に入らないから後回し」という具合だ。

他のISPから流れてきたトラフィックを後回しにしたり、特定のサービスのトラフィックを止めてしまったりすることもできなくはないし、アメリカでは訴訟も起き始めているそうだ。アメリカの事情は日経デジタルコアで谷脇氏が解説してくれている。

しかし、日本の法令ではそれを止めるのは難しいようだ。「うちのサービスはベスト・エフォートです」と書いてあるのだから、サービスが遅延しても文句をつけにくい。サービスを止めてしまったら自明だが、トラフィックを遅らせるぐらいなら外部からは検証しにくい。

夜の研究会に参加されていたNさんは、なぜアメリカでこの問題が議論されているのかという文脈が気になると話されていた。確かにそうだ。現実にたくさんあるから議論されているということなのだろうか。

こんなことを議論していたら、近くで騒ぎが起きていることに気づかなかった。帰りがけに六本木ヒルズの前を通ると、報道陣がたむろしていた。

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情報通信政策研究

おとといと昨日、湘南国際村で情報通信政策研究会議(ICPC)が行われた。準備会合を含めると4回目になるが、今回は若手底上げ合宿と称して、若手を中心に16名が発表した。

内容は実に多岐にわたっている。過疎地でのブロードバンド敷設やユニバーサル・サービス、IPアドレスの配分といった昨今の中心的話題の他、パクリ問題を著作権の視点から考察したり、安全保障とインターネットについて考えたりというわけだ。

米国のTPRCと比べたら、日本で情報通信政策の研究をする人がまだまだ少ない気はするものの、この多様性は注目すべきものがある。ここに集まった若い研究者、政策担当者、ビジネスパーソンたちがフロントラインに出る頃にはより良い政策が生まれてくるようになればと思う。

誰がインターネットをコントロールするのか?

Kenneth Neil Cukier, “Who Will Control the Internet?,” Foreign Affairs, November/December 2005.

Summary: Foreign governments want control of the Internet transferred

from an American NGO to an international institution. Washington has

responded with a Monroe Doctrine for our times, setting the stage for

further controversy.

モンロー・ドクトリンと来たか。やはりインターネットは外交問題になってきたんだなあ。ケンはICANNの会議などで何度か話したことがある。いろいろなところに顔を出して精力的に取材していた。今まさに開かれているWSISはどうなることやら。

従量制ブロードバンド

下記はソウルで泊まったホテルの有線ブロードバンドの説明。利用時間を計測して料金請求している。上限があるとはいえ、あまりうれしくない。上限の約26000ウォンは米ドルで20ドルぐらいだから相場より高い。つなぎっぱなしにするのには抵抗がある。しかし、いちいちケーブルを外すのは煩わしい。

米国でもISPの収益が悪化しているので、従量制が検討されているという記事を見たことがある。常時接続がブロードバンドの隠された魅力のはずなのだが。

高速インターネット接続ザービスをお楽しみ下さい KRW648.67 を1分毎に課金し、 KRW25,946.80 を上限として24時間ご利用出来ます。 記載されたすべての価格にVATが含まれています。

購入時の利用期間は、購入された時間から次の日の同じ時間までを1日として計算します。全てのご利用料金はお部屋に課金され、追加料金を請求されるまで何度でも利用可能です。接続回数は関係有りません。

ご注意:料金は、コンピュータ毎のものです。お客様のコンピュータからインタータッチ社のケーブルが外されるまで、またはお客様のコンピュータがオフになるまで、料金は計算され続けます。

IPv9?

中国がいつの間にやら勝手にIPv9を採用しているのではないかとIETFで問題になっている。

http://news3.xinhuanet.com/english/2004-07/05/content_1572719.htm

セキュリティの名の下に相変わらずの検閲体制のようだ。使われるのは中国国内だけで、国際ゲートウェーでIPv4ないしIPv6に変換されるという。

ビント・サーフ「何なんだこれは」と中国の関係者に問い合わせているようだ。

中国人研究者からIETFのメーリング・リストに出てきた情報によると、中国では10桁の電話番号を使っているが、IPアドレスも10桁にして、シームレスに使えるようにするという(なんだそりゃ?)。ただ、これはある中国人研究者が研究資金をとるために自己宣伝しているのではないかという見方もある。

IP電話は電話?

Colin C. Haley, “Vonage Records Regulatory Victory,” internetnews.com, July 1, 2004.

アメリカでもIP電話が普及し始めているが、IP電話は「電話サービス」なのか「情報サービス」なのかでもめている。電話サービスだとすると重い規制の対象となってしまうからだ。VonageなどのIP電話サービス・プロバイダーは規制を逃れようとしているが、結論には時間がかかりそうだ。

ストアイマジネーション2009ポリシー

昨日、國領二郎先生が国際大学グローバル・コミュニケーション・センターで「ID技術とトレーサビリティ」と題する講演をされた。その中の最後に出てきたのが「ストアイマジネーション2009ポリシー」。

  • プライバシーの取扱いについて、EPCグローバルおよび提案されている経済産業省のガイドラインに(つまり平成17年4月1日から施行される個人情報保護法にも)完全対応すること
  • ストア内においてヒトとモノの紐付けは行わないこと
  • 個人情報データベースをもたないこと
  • ストア退出時にタグを利用不能にするサービスを用意すること

RFIDと個人情報保護の話は分かるようで分かりにくい。早くうまい整理ができるといいと思う。

米国商務省の電波政策提言

米国商務省が電波政策に関する提言を発表した。ひとつは連邦政府向け。もうひとつは地方政府と民間向け。

http://www.ntia.doc.gov/reports/specpolini/presspecpolini_report1_06242004.htm

http://www.ntia.doc.gov/reports/specpolini/presspecpolini_report2_06242004.htm

主な提言は、以下のとおり。

■イノベーションと新技術を奨励する

■電波管理システムを近代化する

■経済的・効率的インセンティブを確立する

■重要な政府電波利用者とサービスの保護を確実にする

中国のインターネット接続10周年

China celebrates 10 years of being connected to the Internet” (computerworld.com.au)

中国のインターネット接続10周年を記念した6本の企画記事。2本目では検閲の問題が取り上げられていて、現地の人々は「大したことではない」「100%できているわけではない」と考えているという。慣れっこになっているということか。3本目のウィキペディアが検閲されていないという話もちょっとおもしろい。

暗号規制?

ネット接続の問題はひょっとするとチュニジアの暗号規制かもしれない。

実は一つのメーラーで三つのメール・アドレスを使っているのだが、うまくいかないのはSFCのアドレスだけだ。SFCのアドレスが他と違うのはAPOPを使っていること。

グーグルで検索してみたら、下記のような情報が出てきた。

http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/1999/00085/contents/184.htm

http://www.jccme.or.jp/japanese/08/08-02.cfm#Tunisia

ちなみにダイヤルアップでつなぐと、すべてのメール・アドレスで送信ができなくなる。ADSL接続にすると、SFC以外の二つのアドレスからは送信が可能になる。ううむ。

土建屋とソフト屋

先日、某SI(システム・インテグレーション)会社の課長さんにお会いした。情報産業の将来をどう思うか意見を聞きたいとのことだった。彼の意味する情報産業は、デバイスというよりも、ソフトウェアを含めたSIの話だったので、私は門外漢だ。だから逆にこちらがいっぱい質問をする形になって申し訳なかったが、得るところが大きかった。

一番おもしろかったのが、土建屋とソフト屋のアナロジーだ。一円入札が話題になるなど、SI産業は土建産業に近い側面を持っている。政府が大規模な発注をするとそれに群がるという構図がよく似ているからだ。最近の電子政府がらみの動きは、公共事業的側面がよく出ていた。

しかし、ソフトの発注を受けて各社が入札するわけだが、ハードウェア・メーカーも兼ねているようなところは、SIで儲けずに、抱き合わせのハードウェアで儲けることができる。ハードウェアを持たない純粋SI会社だと、同じ条件では競争できない。仮に入札に勝ったとしても、いざシステム構築という段階ではハードウェア・メーカーの世話になる。そこのレイヤーが分離されていないから、とても平等な競争条件とはいえない。

さらに問題なのが、ソフトウェア開発をどう評価するかだ。ここでは土建屋のアナロジーはきかない。土建屋が造るものは、道路にせよ建物にせよ、はっきりと目に見える形で残る。そこで誰がどれだけの時間と労力を掛けて作業したかがよく見える。しかし、ソフトウェア開発においてその工程とアウトプットがそこまではっきりと見えることはない。

ソフトウェアの価格はいわゆる人月で決まる(『人月の神話』で論じられた問題だ)。何人がどれだけの時間をかけたかを積み重ね、人件費単価で掛けるわけだ。このルールに従えば、ダラダラと無駄なプログラムをゆっくり時間をかけて作ればいいことになる。しかし、優秀なプログラマーは短時間で美しいプログラムを書いてさっさと仕事を終わらせてしまう。なのに彼の給料は安いままになるだろう。

産業の発展形態としてみれば、(1)土建産業のように、現在の工房的ソフトハウスの段階を脱して大量生産型のマス・ソフトハウスが登場するという見方と、(2)プログラミングは芸術的産物としてプログラマーのカリスマ化が進むという見方を考えることができる。しかし、現在のところ、大手ソフトハウスや大手SI会社が会社を飛び出して自立するという例はほとんどない。カリスマが存在しないのだ。建築家がやがて独り立ちするのとは大きく異なる。

結局のところ、ソフトウェア開発の仕事をどうやって評価するのかというメソドロジーが確立していないのが問題だ。ここが確立しなければ、SI産業は成熟へ向かうことはできない。なかなか悩みは深いのだと教えてもらった。

RFID反対運動

RFIDに対する反対運動をしているCASPIANがふたたび動き出した。中心人物のキャサリン・アルブレヒトが出産のためしばらく活動休止だったが、5月11日付でプレスリリースが出た。

Wal-Mart Tries New PR Spin to Accompany Item-level RFID Tagging

それによると、ウォルマートがHPの製品にRFIDを付けてテキサス州の七つの店に置いているという。

残念ながら先日の出張では彼女に会えなかったが、CFPでも多くの人が彼女に言及していた。反対運動の中心的な人物である。

しかし、CFP以外の場所で聞くと、反対運動は大した影響力がないともいう。つまり、技術的・コスト的な問題の方が深刻だというわけだ。

その中でもウォルマートと国防総省の動向は注目されている。来年1月までに納入業者は対応できるのだろうか。

RFIDとプライバシー

この問題はもうだいぶ議論されている。CFPでも話題になった。しかし、今日、MITのオートIDラボに行ったら、予想以上におもしろい話が聞けてびっくりした。CFPのプライバシー論者たちとは正反対といっていい。でもそういう考えもあるかと思わされた。帰りの飛行機の中でレポートを書いてみよう。