その昔、アンソニー・ダウンズが『民主主義の経済理論』(邦訳もあるけど絶版)で確か説明していたと思うのだが、二大政党制といっても、できるだけ得票するためにはどうしても過激に走るのではなく中道にならざるをえない。だから二大政党制でも結局は政策は近づいてきて、差が分からなくなるといわれた。クリントン政権の時には中道化が顕著に出ていた。
今回の大統領選挙を見ると、それがあてはまるのかどうか分からない。ケリーとブッシュで政策に大きな差はなかったように見える。ケリーも「私のほうがうまくできる」というぐらいで、ラディカルに政策に差があった気がしない。
しかし、有権者は二人の政策以上に分裂していたのではないかと思う。ブッシュにうんざりしたアメリカ人がカナダの移民局のウェブサイトに殺到しているというニュースは、米国民の間の分裂があまりにも深いことを示している気がする。