昨日はいろいろなところでいろいろな人に会っていろいろ刺激を受けた。
午後の研究会では、またもや著作権の話が出た。「著作権の問題があってコンテンツが出てこない」という話だ。この際、テレビのスポンサーである大企業が「うちでスポンサーする番組は著作権フリーにせよ」といってくれればあっという間に増えてくるはずだ。こう言ったら、聞いていた人に激しくかみつかれた。「そんなことでは権利は守れない」というのだ。
しかし、テレビ局が向いているのは視聴者ではなくスポンサーであり、広告代理店である。視聴者がいくら番組を出して欲しいといってもダメだろう。
プロデューサーたちだって、自分の番組が簡単に見られるようになったほうがいいと思っているのではないだろうか。音楽のプロデューサーたちが楽しんでいるような名声をテレビのプロデューサーは得られていない。ネットで再配信される番組にはスポンサーの名前とロゴをしっかり入れて、プロデューサーのクレジットもしっかり入れておけば「気持ちの整理」は付くだろう。
そもそも番組が最初に放送されるときまでにスポンサーから十分な報酬が制作側には支払われているはずだ。それにプラスアルファでネット再配信料が仮に小額でも入ってくればうれしいだろう。死蔵されてゼロになるよりはプラスになるのだ。
それに、オンライン販売の単価が十分に安くなれば、いちいち不正コピーをする人はほとんどいなくなるだろう。
こういう話をすると、「国営放送のNHKがまずコンテンツを出すべきだ」という人がいるが、NHKは公共放送だ。国民が税金を払ってNHKを支えているわけではない。テレビを持っている人だけが払っている受信料でNHKは成り立っている。NHKは国営放送ではなく公共放送で、政府機関ではなく特殊法人だ。NHKのコンテンツが国民のものだとはどこにも書いてない。「BBCがクリエイティブ・アーカイブを作るのだから、NHKも」といっても一筋縄ではいかない。BBCも公共放送だが、受信料は税金的に徴収されていて、払わないと罰金がかかるが、NHKの受信料支払いは11万人も拒否している。
まずは民放がやってほしい。特に一社がスポンサーとなっている番組からだ。NHKスペシャルの話ばかりがされるが、たまには民放だって高品質の番組が出てくる。不正コピーが怖いというが、「プラス・アルファ」の分け前を求めるよりも、番組作りのプロとしての名声を確立したほうが、次の仕事へとつながるのではないか。プロデューサーや制作会社の間で良い番組作りへの競争も始まるのではないかと思うのだが、甘いだろうか。