これも中立性問題か

マイナーな話題なんだけど、備忘録を兼ねて。

Molly Peterson, “FCC Grants Internet Phone Access,” Washington Post, March 2, 2007; D03.

タイム・ワーナーが訴えた請願を許可する形で、FCC(連邦通信委員会)がインターネット電話のための回線開放を決めた。構図としては大手の通信会社が中小の通信会社のネットワークを経由してVoIPを使えるようになったということらしい。

一般的にはケーブル会社のタイム・ワーナーと電話会社のAT&Tやベライゾンは競争関係にある。しかし、三社ともこの決定を歓迎している。

中小の(そしてたぶん過疎地にある)通信会社はまだ収益の大部分を固定電話サービスで上げている(アメリカの田舎にはうじゃうじゃ小さな電話会社がある)。このFCCの決定で、都会の大手通信会社のネットワークを使う加入者がVoIPを使って田舎の通信会社の固定電話と通話できるようになる。その結果、田舎の通信会社が得られる収益が変わるのだろう。

たぶん中小の通信会社のロビーイングを受けてサウス・カロライナの規制当局はそうした通信を認めていなかったが、FCCはこの規制をくつがえした。

ネットワークとネットワークをつなぐ際の相互接続料やアクセス・チャージは複雑怪奇でよく分からないが、「VoIPだけはつなぎたくないよ」という中小の通信会社のぼやきが聞こえてきそうだ。

ネットワークは中立的であるべきで、サービスやコンテンツを差別してはいけないという中立性原則に立てば、FCCの決定は正しい。それによって田舎にもブロードバンドが普及するとマーチン委員長は考えているようだ。しかし、その提供者が地元の中小通信会社ではなく、それを買収した大手になるかもしれない。利用者にとってはどちらがいいのだろう。

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