遅ればせながらMITの図書館をよく使い始めた。学生がいなくなっているのでがら空きだ。国際関係研究所から一番近い経営学・社会科学系のDewey Libraryはあいにく工事中でうるさいが、チャールズ側をはさんだボストンの景色を見ることができる。ただし、工事が完成して新しいスローン・スクールの建物ができたら見られなくなるかもしれない。
ドームの近くにある人文系のHayden Libraryは静かだ。MITは基本的に理科系の大学ではあるが、人文・社会科学系もトップクラスである。フェルナン・ブローデルの『地中海』の英訳やアーノルド・J・トインビーの『歴史の研究』原書全12冊といった定番もちゃんとある。『森の生活』のヘンリー・デイヴィッド・ソローの本はあるかと思って探してみたら、彼の本と関連本だけで5段もあった。ソローはそれなりの思想家なのだろう。誰かが寄付した福澤先生の『文明論の概略』の和装綴じ6巻セットもあった。
ハーバードには戦時中に集めた日本の貴重な文献もあるらしいし、ケンブリッジに来て、少し離れたところから日本研究というのも悪くないのだろう。Hayden Libraryのロビーの本棚を眺めていたら日本のマンガの英訳まで置いてあった。ドラゴン・ボールその他がずらりと並んでいる。さすがMITだ。