小柏葉子「太平洋島嶼諸国の紛争と地域協力—グッド・ガバナンス構築に向けての試み—」『広島平和科学』第30号、2008年、49〜70ページ。
手元にある最後の小柏論文。
「グッド・ガバナンス」をキーワードに、太平洋島嶼フォーラム(PIF)がどう変わってきたかを分析。外来の「グッド・ガバナンス」を上からと下から普及させようという試みがあった。
「グッド・ガバナンス」は1989年に世界銀行が初めて唱えたが、PIFの中では、説明責任(accountability)、透明性(transparency)、政策決定過程へのすべての層の参加の三つの要素からなる。
「紛争の多発するメラネシアでは、世界の言語の約4分の1にあたる約1200の言語が話されていると言われている」(52ページ)というのは驚きだ。
アジア太平洋島嶼地域のデジタル・デバイドというのが私の関心事で、一連の小柏論文はその点については全く触れていないが、この地域の背景を知る上では有用だった。