ユーロダラー

経済学を落第したことがある身としては、ユーロダラーとかユーロ市場というのはどうも分かりにくいので、古い本だけど、及能正男『国際マネー戦争』(講談社現代新書、1987年)で少し勉強した。

ヨーロッパ(EUROPE)に集まったドルであるためにユーロ・ダラー(EURODOLLAR)と略称されるようになった、巨大な無国籍的な国際資金市場の誕生である。(22ページ)

米国をはなれたドルがユーロ・ダラーと呼ばれるように、ドイツ国外にあるマルク建ての預金がユーロ・マルク、スイス国外にあるフラン建ての勘定がユーロ・スイス・フランと称されており、同様に日本国領土以外に所在する銀行が取引する日本円はユーロ円と呼ばれている。(78ページ)

広く非居住者に金融システムを開放し、居住者・非居住者間で当該主権通貨以外の通貨を自由に貸借する市場をユーロ通貨取引市場と呼んでいる。つまり、ロンドンで英ポンドを居住者間、居住者非居住者間、非居住者間で取引するのはいわば国内金融取引である。しかし、同じ関係の下でマルクやドルや円を定期預金の形で貸借する市場がユーロ・カレンシー市場である。(87〜88ページ)

結局のところ、最初はヨーロッパ(特にロンドン)で取引されるようになった米ドルのことだったが、徐々に、自国以外で取引される通貨をユーロカレンシーと呼ぶようになってきたようだ。

グローバリゼーションは80年代後半になって突然使われるようになった言葉だというが、この本でははっきりと次のように書いているのも興味深い。

グローバリゼーションとは経済規模の拡大、開放経済体制の進展、情報の迅速化と緻密化、取引内容の統一化、国内法・慣行規制の形骸化などによって、金融市場を第一義的な国内市場と第二義的な海外市場とに分断するという既定概念を放棄して、双方をひとつの合体した金融市場として見ることである。(191ページ)

それと、長年疑問だったことも解決した。

たとえば日本における国際金融市場のひとつの形態である外国為替市場をとらえてみても、丸の内界隈になにか特定の外国為替市場ビルというものがあって、そこの一室内で毎度NHKニュースにおなじみの、ワイシャツ姿の若い男性たち(最近は女性の進出もさかんであるが)が、マージャン台を特別に大きくしたような四角なテーブルをかこんで、両手に電話受信機を握りしめ、猛り狂い、怒鳴りあい、目をつりあげながら叫びつづけているのが、いわゆるトーキョイガイタメ市場だと思うのは錯覚である。あれはたとえば東京短資とか山根短資とかの公認ブローカー業者の事務室にすぎないのであって、実は同市場はほとんどが電話の市場、テレフォン・マーケットとして形成されているのである。テレビ局は具象的な視覚対象を放映上必要とするので、やむをえず怒鳴り合いの修羅場じみた場所を放映しているのである。(85ページ)

ちなみに山根短資は合併でセントラル短資になったらしい。

しかし、だとするとテレビのニュースで流れてくる数字はどこで誰が決めているのか。たぶん、さまざまなデータをどこかで集計して平均しているのだとは思うけど。

メディア・アートの新世代

初台のNTTインターコミュニケーション・センターで「ネクスト:メディア・アートの新世代」を見た。

アートのセンスがさっぱりない私なので、いまいちよく分からないものが多くて残念。自分はやはりテキスト好きなのだと実感した。特に映像で視覚に訴えるものはなかなか難しい。おもしろかったのは、電子ペンで地図上の道路を指定すると、実際にそこで聞こえる音がヘッドホンから聞こえるというもの。

出品者のほとんどが70年代以降の生まれ。アートの世界も若返りなのだ。

泥棒を捕まえに泥棒を送り込む

Ex-C.I.A. Aides Say Iraq Leader Helped Agency in 90’s Attacks” (New York Times)

イラクの暫定首相になるIyad Allawiは、かつてCIAと協力してサダム・フセイン政権に対抗するために爆弾テロをしていたと元CIAのオフィサー複数が認めたという。Allawiの第一優先事項は爆弾を止めさせて治安を回復することだというから、「Send a thief to catch a thief」というわけだ。彼の反体制グループの爆弾テロはフセイン政権には何の影響も及ぼさなかったようだが、よりによってそんな人を引っ張り出すとは人材難もはなはだしい。あるいは、アメリカの傀儡政権を作るという冷戦時代の発想からアメリカは抜け出ていないのか。そこまでひどくないと信じたいが。

中国のインターネット接続10周年

China celebrates 10 years of being connected to the Internet” (computerworld.com.au)

中国のインターネット接続10周年を記念した6本の企画記事。2本目では検閲の問題が取り上げられていて、現地の人々は「大したことではない」「100%できているわけではない」と考えているという。慣れっこになっているということか。3本目のウィキペディアが検閲されていないという話もちょっとおもしろい。

南米は遠い

昨日、ようやく帰国した。リマからロサンゼルスまで約8時間、5時間の待ち合わせの後、成田まで約10時間。映画を何本も見て、ヘトヘトなって眠ってを繰り返した。今回は12日間でスパム総数は846通。

サン・マルコス大学

ペルーの東大にあたるサン・マルコス大学を訪問する機会があった。ここは国立大学で、授業料は完全無料だそうだ。入学はとても大変らしい。

ここのサイバーローの講義に招かれた。一緒に出張しているHさんが簡単に日本の情報通信政策を説明して、私は質疑応答に参加した。その中でクリエイティブ・コモンズについても説明したのだが、「何の話をしているの?」という顔をしていた。

パラパラと教室を出て行く学生もいたからつまらなかったのかと思ったが、終わった後に数十人に囲まれて質問攻めにされた。「ウェブからとった写真を使って訴えられるのはおかしいじゃないか」と講義する学生もいたけど、議論できておもしろかった。途上国(ペルーは途上国脱出中だけど)の学生は真摯だなと感動した。

リマ

リマに着いた。南半球はもう秋で、サマータイムは終わっているからロサンゼルスからリマのフライトは8時間半だった。ランチリ航空は先進国と変わらない設備とサービスで悪くない。スターアライアンスでないのが残念。

夜の12時半到着と言うのに空港にはわんさか人が溢れている。白タクが多いのは当然か。われわれにはガブリエラさんとホセさんが迎えに来てくれたので助かった。

リマは霧に包まれているが、まったく雨は降らないそうだ。ガブリエラさんは東京に来たときに初めて傘をさしたとか。リマでは傘も売ってないらしい。

ブログ中毒

Katie Hafner, “For some, the blogging never stops,” International Herald Tribune, May 29, 2004.

結婚記念日の旅行の最中にホテルのバスルームにこもってブログをしてしまうほどの中毒者が紹介されている。大して読んでいる人がいないブログ(私のブログがまさにそうだ)がほとんどなのに、みんな必死になって書き続ける。自分のアイデアをすべて残しておきたい、書き続けなくちゃいけないという強迫観念にとりつかれ、仕事もすっぽかしてブログにはまってしまう。

よく見たらこのブログもここ数日たくさん書き込んでいるが、明日は無理。11時間半(本当か?)かけてフランクフルトからロサンゼルスへ。約1時間半の乗り継ぎで、ロサンゼルスからリマまで7時間半。おまけに到着は夜中の12時半。誰だこんな日程組んだのは。

報道機関の自己批判

Paul Krugman, “America’s press has been too soft on Bush,” International Herald Tribune, May 29, 2004.

クルーグマンは、自分がコラムを書いているニューヨーク・タイムズを含めてアメリカの報道機関がブッシュ政権に甘すぎたと批判・反省している。9.11後のアメリカの報道機関は愛国精神を鼓舞するためにブッシュ政権批判を弱めてしまったがゆえに、数々の問題を招いてしまったという。

戦争の時に報道機関が体制寄りになるのはよくあること。しかし、異常な時期でも反対意見を許容しておけるか、異常な時期が過ぎたら元に戻れるかが重要だろう。

チュニス(4)

いよいよチュニス滞在最後の日になった。昼の便でフランクフルトに戻る。

毎朝散歩をしていたが、6時前からカフェの店開きをしたり、店の前を掃除したりしている人がけっこういる。夜遅くまで騒いでいる人が多いのに、早起きの人も多いのは驚きだ。一所懸命掃除をしている姿を見ると、どこの国も変わらないなと思う。

今朝は偶然、魚市場に出くわした。カツオ、サバ、イワシのようななじみの魚から、太刀魚やサメなどもあった。エビも大量に積み上げられている。確かにチュニスのシーフードはおいしかった。残念ながらデジカメのケーブルを忘れたので、帰国してから写真をアップしよう。

暗号規制?

ネット接続の問題はひょっとするとチュニジアの暗号規制かもしれない。

実は一つのメーラーで三つのメール・アドレスを使っているのだが、うまくいかないのはSFCのアドレスだけだ。SFCのアドレスが他と違うのはAPOPを使っていること。

グーグルで検索してみたら、下記のような情報が出てきた。

http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/1999/00085/contents/184.htm

http://www.jccme.or.jp/japanese/08/08-02.cfm#Tunisia

ちなみにダイヤルアップでつなぐと、すべてのメール・アドレスで送信ができなくなる。ADSL接続にすると、SFC以外の二つのアドレスからは送信が可能になる。ううむ。

チュニス(3)

チュニスにはメディナと呼ばれる旧市街がある。聖書に出てくるメディナかと思ったらそれはサウジアラビアだった。

チュニスのメディナは魔窟のような感じだ。フランス門を越えて一歩踏み込むと「日本人か、中国人か。俺の店をのぞいていけよ」という魔手があちこちから伸びてくる。どうもこういうのは苦手だ。基本的にはみんな親切な人たちなんだろうけど、うっかり話を聞いていると「ガイド料を寄こせ」と言ってくる(実際にカルタゴでやられた)。

カルタゴはチュニスから電車に乗って20分ぐらいのところにある。カルタゴと言えば、森本哲郎の『ある通商国家の興亡』という本を読んだことがあるが、すっかり忘れてしまっていた。現地の人がPunicと言っているのも最初は何かよく分からなかったが、古代カルタゴ人のことらしい(フェニキア人とも言う?)。カルタゴ人は子供を生け贄にしたという伝承があるらしく、トフェという子供のお墓がたくさんある遺跡がある。

出張前にもっと勉強してくれば良かったが、後の祭り。できるだけいろいろなものを見ておいて、後でもう一度勉強しよう。

またもや

またもやネットワークのトラブルらしい。どこに問題があるのか分からないが、SFCのアドレスからメールを送るとブラックホールに吸い込まれるらしい。今朝、たまっていた返事を20通もいろいろなところに書いたのに、どれも届いていない気配だ。SFCのサーバーにトラブルが起きているのか、それともチュニジアのどこかで……。なぞだ。勘弁して欲しいなあ。

チュニス(2)

ADSLが使えないから部屋を変えてくれと頼んだら豪華な部屋に変えてくれた。ADSLは完璧につながる。LANの中では100Mbpsらしい。すばらしいじゃないか。ダイヤルアップではメールの送信もできなかったのだが、これも完璧に動いている。ああ、ネットがつながるというのはすばらしい。

今日の夕方会ったベンチャーの社長はなかなか強烈だった。止めないといつまでも話し続ける。約束の2時間が経ったところでちょうど彼の携帯に電話が入った。これで帰ろうかと思って身支度したものの、彼は20分間携帯でしゃべり続ける。終わったところでありがとうと言おうと思ったら、「まあ座れよ。続きを話そうぜ」ということで、結局3時間半、彼はほとんどしゃべりっぱなしだった。

こちらも負けずに議論したのはWSIS(世界情報社会サミット)のこと。シビル・ソサイエティのメンバーをなぜ歓迎しないのかという点。「民主主義の定義は国によって違うし、チュニジアの場合のシビル・ソサイエティは政党になってしまう」というのが彼の主張。「だからって政府だけがインターネットのガバナンスを論じる主体になるべきだということにはならないだろう」と反論したけど平行線。

最後は「国際電話をかけなくてはいけないから」と言って帰ってきた。

チュニス

チュニジアのチュニスに来た。初めてのアフリカ大陸だが、漠然と抱いていたイメージとは少し違った。建物や町並みはベトナムを思い起こさせる。どちらもフランス文化の影響を受けているからだろう。

イスラム教のせいか女性が一人で歩いている姿はあまり見ないが、ベールもかぶっていないし、男性もひげを生やしていない人がかなりいる。おもしろいのは、やたらとブラブラしている男たちが多いことだ。ホテルは町の中心部の目抜き通りに面しているのだが、ネクタイを締めたビジネスマンが歩くという姿はほとんど見られない。みんなやたらと体を触れ合い、しゃべりながら歩いている。濃密な人間関係が社会の基盤になっているのかもしれない。

ホテルにADSLが設置されている。しかし、つながらない。ケーブルを差し込んでブラウザーを起動するだけでいいと書いてあるのだが、接続を認識しない。ダイヤルアップは28.8Kでつながるのだが、メールの送信ができない。メールを受信はできるのだが返事が書けない。困る。

いつ読んだか分かるメール

Kevin Maney, “Now they’ll know if you read their e-mail,” USA Today, May 20, 2004.

この記事によると、DidTheyReadIt.comという会社のサービスを使うと、自分が送ったメールを相手が読んだかどうか、どれくらい読んでいたか、それを転送したかが分かるという。おっそろしい。しかも、受信者は自分のメールにそうしたトラック機能がついているかどうか分からない。

FirstClassのような昔のグループウェアにはそうした機能が付いていたけど、それは小さなコミュニティの中だから機能したように思う。それにお互いそういう機能が知っていたから使えた。知らない間にそうされているとなると、どうなのかなあ。

ダイヤルアップ

ドイツのホテルに入って困ったのが、久しぶりにダイヤルアップで

つながなくてはいけないこと。最近のアメリカのホテルではたいて

い有線か無線のブロードバンドが入っている。多少お金はかかるが、

イーサーケーブルをつないでブラウザーを起動するだけで使えるの

は非常にうれしい。

しかし、ダイヤルアップは電話番号を探してからIDとパスワードを

入れて、その他もろもろの設定をするのにえらく時間がかかる。何

といっても遅い。それに従量課金だ。

おまけに今回は教えてもらったパスワードが違っていて最初はつな

がらなかった。こういうのは何回やってもイライラする。

たまたまメールを送ってきたイギリスの友人に愚痴を書いたら、

Dial-up is good to remind you of how other’s suffer 🙂

だと。なるほどね。