日本の占領期を描いた『敗北を抱きしめて』でピューリッツァー賞を受賞したジョン・W・ダワーが、MITのキリアン・アウォードを受賞し、記念講演を開いた。キリアン・アウォードというのは、MITの第10代学長で多大な貢献をしたジェームズ・キリアンを記念した賞で、毎年MITのファカルティから1人選ばれる。分野を問わずに優れた業績を挙げた人が選ばれる。慶應で言えば、福澤賞・義塾賞に相当するものかな。ちょっと違うのは、キリアン・アウォードを受賞すると、「Killian Award Lecturer」という肩書きが一年間与えられ、講演をすることになっている点だ。
講演のタイトルは、「Cultures of War: Pearl Harbor/Hiroshima/9-11/Iraq」というもので、歴史的な裏打ちもなく、パール・ハーバーや広島の原爆の話と、9-11やイラク戦争の話が対比的に語られるのは良くないと指摘していた。また、意外にもインテリジェンスの話が出てきて、インテリジェンスの失敗というのは、歴史的なイマジネーションの失敗でもあると強調していた。歴史を知らずしてインテリジェンスを語るなということだろう。戦争とは文化なんだという指摘もおもしろい。
http://web.mit.edu/newsoffice/2008/dower-tt0402.html
“Dower to deliver Killian Award lecture April 7,” MIT News, April 2, 2008
http://web.mit.edu/newsoffice/2008/dower-tt0409.html
“Dower probes ‘cultures of war’ in Killian award lecture,” MIT News, April 9, 2008