山根徳太郎『難波の宮』学生社、1964年。
年明けに大阪に行く用事があるので、古本屋で買ったまま読んでいなかったこの本を一気に読む。もともとは数年前に大阪歴史博物館に行ったとき、展示で山根先生のことを知り、博物館の目の前に広がる難波の宮の遺跡に興味を持ったから。
読んでみると何だかシュリーマンの『古代への情熱』を思い起こさせる。専門的なところはよく分からなかったけれども、山根先生が二枚の瓦から難波の宮を発見していくまでのストーリーがおもしろい。そして、その遺跡を守るために奮闘されたプロセスも興味深い。山根先生の頑張りがあったからこそ、遺跡は発見され、破壊されずに今も残っている。大阪城の真南という中心地にずっと難波の宮は眠っていたのに、長い間忘れ去られていた。そんなところにあるはずがないと他の学者たちに批判されながらも、山根先生は掘り続けてついに見つけた。
考古学者というのも実に楽しい仕事だろうなあ。しかし、研究のアウトプットにはとても時間がかかるだろうし、職もなかなか見つからないだろう。大変な仕事だ。年明け、機会があればまた博物館と遺跡を見に行きたい。